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不思議収集
オープニング
投稿者：シズ☆
件名：協力者求む
本文：実は、ある廃墟に不思議現象が起こるみたいなんです。その現象って言うのは、廃墟の中に入る体を切り裂かれるかまいたち現象みたいなんだけど、その真相を確かめるべく、協力者を募集します！誰か協力してくれる人、よろしくね！！
＊＊＊
「貴方が、周静流さん？」
NAISTに派遣を受けた藤田あやこが掲示板に事件の詳細を書き込んでいた周静流に声をかけた。
静流はNAISTにもその件に関して依頼を行っていたのだ。
静流の依頼内容は不思議の解明と収集。
静流は世にも変わった不思議収集家という趣味を持っていた。
今回の不思議も自分のコレクションの一つに加えようと考えているようだった。
「こんにちは、藤田あやこさんですね。よろしくお願いします」
「ええ、よろしく」
「とりあえず、夜になってから行動を起こしましょう。日が昇っているうちは、あんまり派手なことをすると目だってしまいますからね」
静流のその提案に、沈む夕日を眺めながら、あやこが頷いた。
＊＊＊
閉校した服飾学校の前に、二つの人影があった。それは掲示板に依頼状を書き込んだ周静流と、NAISTに派遣を受けた藤田あやこだった。
二人は目立たないように夜の闇にまぎれ、不思議を調べにやってきた。煌々と月の輝くその夜。先に口を開いたのはあやこだった。
「ここが、噂の場所ね」
「そうなんですよー。ここでかまいたちが起こるらしくて」
「へー」
灰色の外壁を持っている服飾学校の名残を見つめるあやこは、感心したように声を上げた。しばらく、不審なところがないか、見てから、学校内に入ることを決意したようで、二人そろって歩き出した。
鍵のかかっていない今にも壊れそうな扉を開いて中へと入ると、そこには青白い光を放つパソコンが数台置かれていて、壁や床には蔦のようにコードが走っていた。
「かまいたちの現象はあれらに理由がありそうね」
あやこはコードを見つめ、それから自分たちに早速襲い掛かってくる空気の流れを感じ取ると、それをすばやく避けた。
「突発的な空気の乱流の正体は熱エネルギーね。周さん、気をつけて！」
「あいあいさー」
上手くかまいたちを避けながら、あやこは冷静かつ迅速に頭の中で、起こる現象の情報を整理していく。
「残留情報が行き場を求めてるんじゃないかしら。それが熱エネルギーとなって、かまいたち現象が起こっている･･････？」
情報というものは消去する際に、大変な労力を消費する。そのため、膨大な熱エネルギーが発生して、その衝動でかまいたちのような現象が起きているようだ。
あやこと静流がかまいたちを避けていると、服飾学校の情報が形を取り始めた。
その情報は時代遅れのファッションをかたちどる。それを見たあやこは自分の用意していた服を大量に着込み始めた。スクール水着、ブルマ、体操服、セーラー服などだ。
大量に服を着込んだあやこは、情報に向かって体当たりを試みた。情報はあやこを切り裂こうと迫ってくるが、服が破れるばかりだ。
「そんな古臭いファッションで私のファッションに勝てると思うの！？」
あやこは余裕の表情で自らを切り裂こうとする情報の熱エネルギーに立ち向かう。熱エネルギーは消費させればよいという考え方の基にファッションにはファッションで対決するという方法をあやこは取っていた。かまいたち現象はあやこに焦点を絞って攻撃を仕掛けていたので、静流はただただ圧倒されたようにあやこの様子を見つめるだけだった。
服がどんどん切り裂かれ、さすがにあやこの表情にも焦りが見えはじめる。
「藤田さん！」
静流も焦ったような声を上げる。
最後の砦であるスクール水着が切り裂かれたそのとき、もうダメだとあやこは感じたが、その瞬間情報が熱エネルギーを使い切ったようで攻撃がやみ、古臭いファッションを象っていた残留情報が跡形も無く掻き消えた。
あやこはビキニ一枚という格好になりながらも、ガッツポーズをつけ、己の勝利を確信した。
「あーあー、不思議収集できなかったや」
静流のその言葉も、勝利の余韻に浸るあやこには届いていないようだった。
エンド
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■ 登場人物（この物語に登場した人物の一覧） ■
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【整理番号 ／ ＰＣ名 ／ 性別 ／ 年齢 ／ 職業】
【7061／藤田・あやこ(ふじた・あやこ)／女性／24歳／女子大生】
【整理番号 ／ ＮＰＣ名 ／ 性別 ／ 年齢 ／ 職業】
【4334／周・静流(あまね・しずる)／女性／16歳／不思議収集家】
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■ ライター通信 ■
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藤田様
いかがでしたでしょうか。
少々難しいプレイングでしたので、満足のいくものが出来たのかはわかりません。
少しでも想像通りにかけていましたら、嬉しく思います。
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