コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


誓いの銃 -ガール-

------------------------------------------------------

0.オープニング

辿り着いた二階建ての廃墟。
その中に足を踏み入れた俺は、
脇目も振らず、一目散に二階へ向かう。
人が住んでいた痕が、ハッキリと残る廃墟を。颯爽と。

------------------------------------------------------

1.

今にも崩れそうな廃墟を、足早に進む探偵さん。
彼の背中から、様々な想いを感じ取る私。
いつものクールなあなたは、一体どこへやら。
落ち着いて。もう少し、落ち着いてよ。
ドカッ―
バキッ―
廃墟の二階、突き当たりの部屋の扉を蹴り壊す探偵さん。
落ち着け…なんて、無理ね。
残念ながら、我を失ってるみたい。
私は苦笑しつつ、探偵さんの後を追い、部屋の中へ。


枯れた薔薇の敷き詰められた、小さな部屋。
その中心で、銃口を私達に向ける、一人の少女。
可愛い顔に、何て不釣合いな無骨な銃。
身構える私を左手で押やり「下がってろ」そう言って探偵さんは少女に歩み寄る。
「来ないで!」
「………」
「撃つわよ!!本当に撃つわよ!!」
「………」
少女の言葉に、探偵さんは顔色一つ変えず。
ツカツカと歩み寄って、溜息を一つ落として少女を見下ろす。

------------------------------------------------------

2.

無言のまま、少女を見下ろし威圧する探偵さん。
少女の銃を持つ手は、小刻みに揺れている。
「…全部…全部、あんたのせいなんだから」
探偵さんを見上げ睨み言う少女。
探偵さんはクッと笑い、言う。
「理解できる歳になったんだな。誰に聞いたんだ?」
「そんなの、あんたに関係ないでしょ!」
探偵さんと少女の遣り取りから。
二人が知人である事を悟る私。
少々、不思議に思っていた事が一つ。
彼は、何故。私を連れて来たのか。
私の役目は、何なのか。
そんな事を思っていると、少女は小さな声で。
「姉さんを…返して…返してよ」
そう呟いた。
お姉さん…。
そうか、この子、お姉さんを亡くしてるのね、
それに、探偵さんが関わってる…と。
「そんな事、出来ると思うか?」
目を伏せ、返す探偵さん。
少女は唇をキュッと噛み、鋭い眼差しで探偵さんを睨む。
「俺だって…返せるもんなら、返してやりたいさ。今すぐにでもな」
ガッ―
「きゃぁ!」
少女の腕を掴む探偵さん。
ゴトリと床に落ちる銃。
私はタッと駆け寄り二人の間に入ると、探偵さんを目で叱って。
床に落ちた銃を拾って、それを彼に渡す。
少女を掴んでいた手をバッと放し、スタスタと部屋を出て行く探偵さん。
姿が見えなくなる前に、探偵さんはヒラリと手を振った。
…なるほど。そういう事ね。
この後の、彼女のケアの為に私を。
本当、わかりにくい人ね。あなたって。
ちゃんと、前もって言ってくれれば良いのに。

------------------------------------------------------

3.

「…うっ」
涙を落としながら、その場に座り込む少女。
私はしゃがんで少女と目線を合わせると、ニコリと微笑んで。
少女の頭を撫でながら言う。
「奪われたからといって奪い返せば、また別のものが奪われてしまうわ」
そして、奪い返したものより大切だって事に気付くの。
そのまま、それを繰り返せば、
あなたの大切なものは、根こそぎ持っていかれてしまう。
それは、とても悲しく切なく虚しい事よ。
あなたが、そんな辛い思いをする必要なんて。どこにもないの。



私にしがみついて、少女は泣いた。
大きな声を上げて、吐き散らかすように。
涙が枯れ、呼吸を整える少女。
私は少女の背中をポンポンと叩きつつ言う。
「腕、痛まない?大丈夫?」
「…うん」
探偵さんに掴まれて少し赤くなった腕を見ながら返す少女。
うん。もう、話できるね。
私は優しく笑って、少女の目をジッと見つめつつ、
ゆっくりと一つずつ。
真相を紐解くように、少女に問う。

全てを知る為に。

------------------------------------------------------


□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
    登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

0086 / シュライン・エマ (しゅらいん・えま) / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員

NPC / ディテクター / ♂ / 30歳 / IO2エージェント

NPC / カナ / ♀ / 13歳 / ???


□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
           ライター通信          
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□


こんにちは。いつも、発注ありがとうございます!心から感謝申し上げます。
納品が遅れてしまい、大変申し訳ございません; 連作第二話をお届けします。
気に入って頂ければ幸いです。また、どうぞ宜しく御願いします^^

2007/05/30 椎葉 あずま