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<東京怪談ノベル(シングル)>


Who?

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気のせいかなぁ…。
ソファに座り、ジッと観察。
朝から、何だか変な気がして。
私はシュランさんを目で追っている。
コーヒーをこぼしたり、お皿を割ったり…いつかの私みたい。
でも思いつめてるって感じじゃなくって…。
寧ろ、嬉しそう…?
んー…やっぱり、変。
気のせいなんかじゃないと思う。
むむぅ、と眉を寄せていると。
食器を片付けながらシュラインさんが言った。
「零ちゃん。あのね…私、今晩は外で食事するから」
「ふぇ?そうなんですか?」
「うん。それでね、ちょっと…お願いがあるの」
「何ですか?」
「着ていく服をね、一緒に選んで欲しいの」
「え?服…ですか?」
「うん。清楚で知的な感じにしたいんだけど…」




シュランさんの服選びは一時間半ほど続いて。
一緒に選ぶというよりは、ファッションショーな感じだった。
これは、どうかな?こうしたら、変かな?
そうして、コーディネイトやアレンジを何度も変えては、
シュラインさんは、私に意見を仰ぐ。それの繰り返し。
私は次々と変わるシュラインさんの服装を楽しみつつも、
時折むむぅ、と眉を寄せた。
「うん…よし。これでいこう。変じゃないよね?」
クルリと回って言うシュラインさん。
私は頷き、
「素敵ですよ」
そう返す。
ありがとうとは言うものの、シュラインさんは鏡の前で、
「大丈夫かな。大丈夫よね」何度も、そう呟いている。
やっぱり、変。
いつも、用事がある時は前もって言うのに。
今日は突然だった。
「シュラインさん」
小さな声で呼ぶと、シュラインさんはハッと我に返り、振り返って言う。
「んっ?なぁに?」
「嬉しそうですね」
「えっ?そ、そう?」
「はい。とっても」
「そりゃあね…嬉しくもなっちゃうわ。ふふ…」
目を伏せ、微笑むシュラインさんの頬が、ほんのり紅く染まる。
それは、その表情は、いつもお兄さんに向けているものと同じ。
瞬間、私は悟る。
デートだ。
シュラインさん、お兄さんとデートするんだ…!




シュラインさんのおめかしは、思わず見とれてしまう程完璧な仕上がり。
いつも、上手にお化粧するなぁって思っていたけど。
今日は格別。すっごく念入りな、丁寧なお化粧。
服に映える、可愛らしいお化粧。
いつも束ねている髪は、下ろして毛先だけ、ちょっとクルクル。
普段はかけない、オシャレな銀縁の眼鏡に、桃の香りの香水。
いつもと…全然違う。
「変な所、ないかな?大丈夫かな?」
不安そうに言うシュラインさん。
「み、見当たらないです…」
別人のようなシュラインさんを前に、妙に照れてしまう私。
すごいなぁ…変身…上手だなぁ…。


「ん…よし、っと…」
白いハイヒールを履いて、扉に手をかけるシュラインさん。
フワリと揺れる水色のフレアスカートの裾が、お姫様を思わせる。
「いってらっしゃいです」
ニコリと微笑み言う私。
本当に、綺麗。
綺麗なだけじゃなくって、可愛い。
いいなぁ、お兄さん。
こんなシュラインさんを独り占めしちゃうんだぁ…。
「あっ、そうだ」
扉を開けた途端、何かを思い出すシュラインさん。
「?」
微笑みつつ首を傾げる私。
「二人分の夕飯のおかず、冷蔵庫に入ってるから。温めて食べてね」
「あ、はい。わかりましたっ」
「じゃあ、行ってきます」
バタン―


「…ん?」
扉が閉まり、その場に立ち尽くす私。
二人分?
私と…お兄さん…?だよ、ね。
…あれ?
…えっ?
一緒にご飯食べるの、お兄さんじゃない…の?


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

0086 / シュライン・エマ (しゅらいん・えま) / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員

NPC / 草間・零 (くさま・れい) / ♀ / 草間興信所の探偵見習い


著┃者┃通┃信┃
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こんにちは。いつも、発注ありがとうございます。心から感謝申し上げます。
気に入って頂ければ幸いです。また、どうぞ 宜しく御願い致します。

2007/06/22 椎葉 あずま