コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


呪われたSHIZUKUを救え!
とあるネットカフェにて。
自動扉がガーっとあいた。
その客は一通り手続きをした後、ある席まで行って立ち止まった。

「ここにいると思ってたわ、雫」
「ヒミコじゃない」
「んー時にはこっちにも顔出そうと思って」

一呼吸おいた後、ヒミコは語りだした。

「そろそろかな?SHIZUKUのオカルト番組やるらしいよ」
「えーー見たい!」
「ここならテレビもあるから、見れるんじゃない」

そうして二人はテレビに釘付けになってしまった。
番組では以下のようなやりとりをしていた。

「SHIZUKUさん、呪いとか信じますか?」
「えーっと、あるんじゃないでしょうか?」
「それを検証するために、SHIZUKUさんに実際に呪いをかけてみます」

それを聞いたヒミコは、
「ヤバいんじゃない?」
「あたしもヤバいと思う」

そんな二人の会話もむなしく、テレビは呪いの準備を進めていく。

「hdvへrhgghらhがhpggk」

テレビではSHIZUKUは紫の渦に包まれ、テレビ局のスタッフさえも圧倒させた。

そしてSHIZUKUは言った。

「ここは下界なのか?やったぞ」

SHIZUKUは本当に呪われてしまったのか。

現場スタッフは、

「はい、カーーット」

という言葉もむなしく、SHIZUKUの様子は変わらない。
テレビはというと、「ちょっとお待ちください」というイラストが画面に出たままだった。

「SHIZUKUさん本当に危ないよ」
ヒミコは言った。
雫もそう思いながら、ゴーストネットOFFの掲示板を確認していた。


そんな中見つけた書き込み。

「SHIZUKUさんの呪い解きます(メールアドレスはこちら)」

雫はそれが気になって帰宅後、自分のパソコンからメールを送ってみた。

「SHIZUKUを救えるなら何でもやります。
呪いを解く方法を教えてください」

すると返事はすぐに来た。

「初めまして。藤田あやこと申します。
まずは噴水広場あたりで会いませんか?
目印はエルフのような長い耳です」

そして雫は藤田あやこと名乗る人物に会うことにした。

雫は噴水広場に着くと明らかに「人」ではない人物がいるのに気づいた。

「あなたがあやこさん?」

するとその人物は顔を上げ、

「ええ。私が藤田あやこです」

二人は近くのカフェに入り、今回の出来事について話をした。
まず、あやこは口を開いた。

「犯人はSHIZUKUさんに散々ネタにされた霊と思うわ。
 今回のテレビ放送はロケ地でやってるだけに、
 そこに必ずファンが集まる。その霊はスタッフやファンを殺すか
 発狂させて心霊探訪ブームの終息が目的と考えられるの。そこで」

「そこで?」

「ダメになったSHIZUKUの代わりに二代目オカルトアイドルに私が立候補します。
 もちろんそれ以外の人間にも候補者を募ってネット投票するの」

「それって何のために?」

「まぁ世間のSHIZUKUに対する意識をそらすための遊戯に過ぎないけどね。
 あとは私にまかせておいて。アイディアならいろいろあるから」


そして二代目オカルトアイドル募集が始まった。
あやこを筆頭に何人か候補者が集まってきたところで、
ネット投票が行われるというものだ。

その間、あやこはネカフェ友達と協力しあって、霊体験の過去ログを調べ、
霊にとって恥ずかしい事件を探し、絞り込む。
その内容を改変し、似たような記事を作りだし、あちこちへ転載していった。
これも霊を刺激させるためだった。

それが終わったころには、二代目オカルトアイドルの候補者募集の締切が近付いていた。
それと同時に世間ではSHIZUKUの存在を少しずつわすれかけていた。


あやこは事件のあった場所は、SHIZUKUのファンで
そこに駆け付けたという人に教えてもらった。
現場にはその人と同行してもらうことにした。

薄暗い洞窟がそばにあり、その付近ではお地蔵さんと思われる石の人形が
たくさん積み重なっていた。コケがそこらじゅうに生えていて、
不思議な空間を作っていた。

「ここです。SHIZUKUちゃんが呪われた場所は
 もっとも僕が着いたころにはSHIZUKUちゃんはスタッフによって
 保護されたようですが……」

そこであやこはこの場所のありとあらゆる場所を持っていたデジカメで撮影した。
その後は清めの塩をあちこちにばらまいて、その場所から立ち去った。

この時に撮った写真は無料素材サイトとして掲載することにした。
あそこは景色がきれいなので、喜んでもらっていく人もいるようだ。

二代目オカルトアイドルの締切は過ぎ、投票期間になっていた。
そこであやこは匿名で「SHIZUKU不要論」を自ら提案した。
こうすることで、敵に無意味と無言のアピールになるだろうと思った。

するとやがてアンチ二代目の連中がネット上で活動を始めた。
二代目の立候補者のホームページを荒らしたり、
二代目を支持する人の掲示板にも荒らしが横行した。

ある時、アンチ二代目の人たちがオフ会をするというので、
あやこは自分もアンチを装って徹底的に対決することにした。

もちろんあやこ一人では危ないので、あやこの友達にも何人か同行してもらった。
アンチの連中の男ども四人はあやこの姿を見た途端、

「こいつ二代目オカルトアイドルに応募した奴だぜ」
「何でお前が来るんだよ」

アンチ連中は近づいてあやこを威嚇した。

「二代目の存在について徹底的に話し合うためよ」

やがてカフェに入ったものの、しばらくにらみ合いが続いた。

「SHIZUKUちゃんは俺達のアイドルなんだ。彼女が不要なわけはない。
 いまでも彼女のファンだ!って言ってる奴はいくらでもいる」

「でもSHIZUKUはもう使えないかもしれないけど、厳重注意すれば…」

「二代目なんて認めない。俺達のオカルトアイドルは彼女だけだ!」

「でも!彼女は呪われてしまった。
 今はその恐怖心でもう本人は続けられないかもしれない」

「大丈夫だ!SHIZUKUちゃんなら乗り越えられるさ」

「トラウマ(PTSD)になっているかもしれないのよ。
 無理に彼女を芸能界に戻す必要はないわ」

話は平行線のまま分かり合うことなく、あやこ達はカフェから抜け出した。

そのころからだろうか。アンチ二代目の活動も収縮していった。
もちろんSHIZUKUの存在感と共に。


あやこはネカフェで、フリーメールのチェックをした。

「お、来てる」

そのメールとは最強と言われている徐霊師からだった。
あやこは現場に出向いたり、アンチ二代目と対決している裏で
徐霊師を検索しまくっていたのだ。

「やった!徐霊してくれるのね」

しばらくして。あやこと徐霊師が、SHIZUKUが保護されているというT精神科病院に向かった。
あやこも徐霊師もこういうところに出入りするのは初めてで緊張していたが、
それは余計な心配だということがわかった。

精神病=頭のおかしい人というイメージがあるが、みんなぱっと見どこが悪いのか
わからず、同じ病人同士仲良くやっているという雰囲気だであった。
やがて看護師はSHIZUKUのいる部屋――保護室へと案内してくれたのだ。
そこは外から鍵がかけられ、小さな御札が一枚貼られていた。
看護師は持っていた鍵でドアをあける。

保護室の中はまるで牢獄を思い出させるような、トイレと寝床が一緒になっていて、
そこにやつれきった昔の面影のないSHIZUKUがこちらを見ている。

徐霊師は即座にSHIZUKUに塩をまいた。

「うわっ。何をする。何をするのだ!」

顔を手で覆って座り込み、おとなしくなったSHIZUKUを相手に
徐霊師は巻物を取り出し、徐霊の言葉を唱え始めた。

「やめろ、やめてくれーー」

SHIZUKUに取り憑いた霊が叫びをあげた。
そして彼女の身体から白いもやが出てきたところで、
徐霊師は神具と思われる小さい入れ物を取り出し、そこに白い霊は入っていった。

「SHIZUKUさん!」

あやこはSHIZUKUのところに向かった。

「え?私はロケ現場にいたはずなのに……何この牢獄みたいな部屋」
どうやらSHIZUKUは呪われていた時の記憶はないようだった。

「もう何も無理することはないんですよ。何も……」
あやこはSHIZUKUにぎゅっと抱きしめた。




□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【7061 / 藤田・あやこ / 女 / 24歳 / ホームレス】


□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
こんにちは。二度にわたってお依頼してくださるのは初めてで、
とても嬉しく思っています。

今回はストーリーの指定が多かったので、ただの設定の垂れ流しにならないよう
極力努力しました。気に入ってくださるとうれしいです。