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<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


決死の取材〜いなくなる者達〜
ここは月刊アトラス編集部。
有名なオカルト雑誌を作っているところである。

「よーし。できたぞ。この企画なら売上げアップ間違いなし!」

そうやって意気込んだのは三下忠雄。いちお…いや編集員である
さっそく編集長の碇麗香のとこをへ持っていった。

「うーん」

そのわりには碇麗香の反応がおかしい。

「没ね」

がーん。せっかくの自信作だったのに。

「パソコンから血が流れてきて使えなくなるってやつ?
 そんなのただのウイルスに決まってるじゃない」

しょぼんとして三下はデスクへと向かった。
そこへ性別不明の子供が編集部に入ってきた。

「こんにちは。いい情報を入手してきましたよ」

一見どこにでもいそうな日本人だか、いまだに性別だけははっきりしない。
それが桂であった。

「じゃあ見せていただくわよ」

碇麗香がその企画書を読んでる間、時間が止まったかのようだった。

「これいきましょう」

そして企画書が碇麗香のデスクにばらまかれた。

『そこでお参りすると消えて行く人間たち』

「さぁ何人か人を連れて取材するのよ!」


そうやって三下と桂は取材へと編集部から追い出されてしまった。

「桂く〜ん。僕は絶対に嫌だからねぇ。そんなとこにお参りするの」

「さんした君にはさせませんよ。
 霊能力もない人間にそんなことされて死なれても困るし」

やがて三下と桂は繁華街からはなれていき、坂をのぼって高級住宅街に出た。
その高級住宅街の中に、「子猫のティールーム」と書かれた小さな看板をみつけた。
どうやらセレブ御用達のこじゃれた喫茶店のようであった。

桂はそこのドアを開け、チリリンとドア上部にあるベルを鳴らした。

「いらっしゃいませ」

従業員と思われる若い女性が声をかけてくれた。

「あの、待ち合わせをしてるんです。あそこ」

そこには背が高く、赤い瞳がきらりと光る青年が丸いテーブルのところに座っていた。

「桂、それと初対面の方かな?ここ空いてるから座れよ」

そう言われて桂と三下はイスに座った。

「まさか俺が提供したネタが雑誌になるとはな」

赤い瞳の男はそう言いながらストレートティーを飲んで言った。

「あ、自己紹介忘れてたな。俺は御燈・龍視(みあかし・たつみ)。
 国語教師をしている」

「こちらこそ自己紹介が遅れてすみません。月刊アトラス編集部の三下忠雄といいます」

そう言って三下は御燈に名刺を差し出した。

「で、俺は何に協力すればいいわけですか?」

「こういうのはまずは現場から!取材しましょう!
 御燈さんも同行してくれますよね?」

「面倒くさいが、しゃあねぇか」

噂の神社は人通りの少ない道に面してて、
そこから長い階段を上っていくことになる。
不安定でコケまで生えた石の階段を上っていくと、
やっと鈴や賽銭箱がある頂上へたどり着けた。

――その時だった。

御燈がこの神社に来て身震いをしていた。

「……取材だけですよ。絶対お参りしてはいけませんよ」

わかったと桂と三下はうなづき、そこらへんの写真を撮ったり
メモを書いたりしていた。

この神社には人がいない無人神社だった。
巫女さんがおみくじなどを売るところはあるものの、人はいない。
おかげで植物が思うがままに生えて少し幻想的な雰囲気でもある。
しかし、御燈にとっては恐怖の場所でしかない。

それから被害者の身内にインタビューをすることになった。

――A子の場合

「私、冗談でお参りしてみたら?って友達に言ったんです。
 そしたら、本当に行方不明になってしまって……」

――B子の場合

「いじめていたC子に無理やりお参りさせたのね。
 で、マジでC子がいなくなっちゃって。
 私らも怖くなって、あそこの近くはいかないようにしてる」


「これで裏付けはできた。早速これを記事にするぞ!」

そそくさと三下は帰って行った。


夕日が辺りを真っ赤に染めるころ、御燈はあの神社の中に立っていた。
相変わらず身震いがする。

「やっぱり来てましたか」

話しかけたのは桂だった。

「俺は霊能力があるから、ここがヤバイってわかる。
 でも真実を知りたい気持ちも同じくらいある」

「じゃあ行きましょうよ」

そう言って桂は鈴の真下に来た。

「ここに空間の歪みがあるんですよ。ここでお参りをすると
 別の空間に飛ばされるのではないかと思います」

「お参りするのか?お前」

「ええ。それでどこの空間にたどり着くかわかりますし
 いざとなったら空間移動でここに戻りますよ」

「待ってくれ。俺もお参りさせてくれ。
 たしかに俺の剣はやめておけ!って言ってるけど、真実を確かめたい」

「そうですよね。そこがさんした君との違いというか」

「三下さんは霊能力ないからなぁ。そこまで引っ張らなくていいだろ」

「まぁね」

そして御燈はこの薄気味悪い神社に小銭を入れ、
鈴を鳴らし、お参りした。願い事は「全員無事で帰られること」

そしてその場を離れようとしたら、

ストン。

何かの穴に落ちたような感覚が御燈にあった。
そしてその穴からすべり台のように落ちて行き、
ある場所まで落ちたのであった。

そこは真っ暗で何も見えなかったが、目が慣れてきて
だいたい見えるようになった。

――そこは死体置場のように死体が大量にあった。

中には取材で受けたA子の友達やC子と思われる死体が
喉を噛みつかれたような後を残して死んでいた。

そこで空間移動でやってきた桂と合流した。

「うわっこれはひどいですね」

「結局、お参りした人間は死んでしまうってことだ」

やがてカサカサという音が聞こえてきた。

「気をつけろよ」

「まぁ最後はお得意の空間移動で逃げられるとはいえな」

その音をたてていたのは芋虫のような肉食動物の魔物であった。

「やばい!こっち来るぞ」

魔物はカサカサと寄ってくる。空間移動をしている暇はなかった。
しかし魔物が近付いたとたん、御燈が持っていた剣(無銘)がぼうっと
光りだし、バリアを作った。

魔物は一匹ではなく、何匹も数えきれないくらい来たので、

「もうダメだ。桂、空間移動を頼む」

「わかった」

やがて桂の空間移動でなんとか戻ることに成功した。


二人は後日「子猫のティールーム」で作戦会議をすることになった。

「あの空間の歪み、どこから来ているんでしょう」

桂が御燈にそう語りかけた。

「知るかよ。なぁ、もう深く関わるのはやめようぜ」

「でも一番解決を望んでるの、御燈さんだと思いますがね」

「……そ、そんなことないぜ」

で、結局もう一度あの神社に行くことにした。
今度は神社全体の捜索だ。

物品売り場、倉庫と調べたら、倉庫の中に神主表と
この神社を所有している人の住所まで発見した。

そして所有者のところまでたずねることにした。


取材は快く受けてくださり、お邪魔することができた。

「俺は国語教師の御燈龍視と申します。こっちは桂」

「で、聞きたいこととは?」

「あの神社は何故いまは無人なんですか?」

「それはですね……あそこで殺人事件がありました」

「殺人!?」

「それから利用者は減ってきて、私の父……最後の神主は自殺したのです」

「それからおかしな噂がたったわけだ」

「えぇ。そうですね。丁度同じ時期で」


御燈と桂は困っていた。どうすれば解決するか。

「なぁ。お前空間の歪みを直す能力はないわけ?」

「そこまではできないんですよ。だから」

「だから?」

「徐霊師ですよ。きっと彼に頼めば解決するはずです」

そこで、桂と知り合いの除霊師にお願いすることにした。

「彼は徐霊師の高野さん。こっちは御燈さん」

桂が簡単に説明すると高野はこう言った。

「あの神社はあまりにも無残な死に方をした人が多すぎる
 おそらく魔方陣を使って本格的にやらないとだめでしょう」

そうやって魔方陣や清めの塩や炎を使って、本格的に徐霊した。

その神社からはたくさんの霊と思われる白い人霊が空へ浮かんでいく。
そこで徐霊師がこう言った。

「私には空間の歪みまでは直すことができません。
 でも、もう魔物も悲しい死に方をした霊もいなくなりました
 きっと大丈夫でしょう」


その後……

この神社は取り壊されることになった。
これであの怪奇現象もなくなるだろう。
もう悲しんでいる霊はいないのだから……

そして大きなマンションが建つことになった。


「ねぇ知ってる?」

「404号室に住んだ人が次々といなくなってるの」

「だからその部屋だけ格安なんだって」

――ワタシニハ空間ノ歪ミマデハ直スコトハデキマセン

東京怪談は終わらない。



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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【7193 / 御燈・龍視 / 男 / 27歳 / 教師】


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■         ライター通信          ■
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初めまして。真咲翼と申します。
プレイングの書き方って悩みますよね。
特別指定される項目が少なかったので、かなり自由に書かせていただきましたが、
お気に召されると嬉しいです。