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<東京怪談・PCゲームノベル>


みどりの黒髪




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事の始まりは先日の事。


「早いな、聡呼………うん、その服装の聡呼も良いとは思うが…」

「が、って…なんですか、刀夜さん」

一人の女性を見つけ、聡呼、と名前を呼んで声をかけた男、静修院刀夜は彼女の姿を見てううんと顎に手を掛けた。聡呼は不思議そうな顔をして刀夜を見ている。
…待ち合わせ時刻より、いつも早く来ている聡呼の姿を探すのは、彼には…いや、彼女を知っている人間ならば、誰にでも簡単だろう。
白いシャツに黒いパンツスーツ、重たそうなフレームの、いかにも…俗に言うガリ勉な眼鏡が目元を覆う。後ろに束ねた長い髪は美しい黒髪だが、それを活かされる事無く背に垂れている。

「決めた、今度のデートは俺に任せろ」

「……何をですか」

よし!と意気込むような声を吐いて、刀夜は何かしら決意したようだった。
それを見ていた聡呼は、少し訝しげに刀夜を見つめて相変わらず首を傾いだままで。


そして、その数日後、刀夜とのデートの予定が聡呼のスケジュール手帳に刻まれた。





デート当日。
やはり聡呼は何時ものように、仕事の帰りのような白いシャツと黒のパンツスーツ姿で刀夜を待っていた。先日彼が言った事は忘れたのか、コレといって変わった風もない。そして、何時ものように相変わらずの便底眼鏡を掛けなおした。

「聡呼、待ったか?」

「いえ、先ほど来た所ですよ」

何時もの通りの対応で、聡呼は笑って応えた。刀夜は何時も通りの着物姿、何時も通りといっても着こなしや、容姿、姿勢も綺麗で着物の柄も粋な物が多く、小物にも気を使い、お洒落と言える。其の反面、全く何も拘りを感じない聡呼の服装は横に並ぶととても浮いた。
しかし、それもあまり気にしていないのか、聡呼はいつも同じ服装だ。

「じゃ、行こうか」

「…何処へですか?」

きょとんと、聡呼の目が眼鏡の奥で瞬いた。刀夜はくすりと口元を緩め、聡呼の眼鏡にそっと指を添え、太い黒のフレームをするりと撫ぜた。

「今日は、いつもと違う聡呼を見せてもらおうかな」

にこりと笑った刀夜に、聡呼が背筋を戦慄かせた事を刀夜は知ってか知らずか、綺麗な微笑をたたえたままに、聡呼の腕をするりと自分の腕へと極自然に絡ませた。

「ど、どういう意味ですかそれはっ!」

聡呼の言葉に、刀夜はどうだろね、なんて、はぐらかす言葉を言いながらさくさくと足を進め行く。








「たっ、高そうな、お店…です、ね」

思わず入り口で立ちすくんでしまう聡呼の背をぽんと叩くのは、刀夜。隣で優雅に笑っている。そして、刀夜が一歩先に踏み出せば、店員は綺麗にお辞儀をし、二人を迎え出た。其の様子にすら、聡呼はびくびくと怯えっぱなしだ。

「そんなに緊張するなよ」

「こんな所にイキナリ連れて来られたら、緊張だって、し、しますっ」

先を歩く刀夜へと、聡呼は不満を言いながらも離れると不安なのか、刀夜の背にぴたりとくっつき辺りを用心深そうに見ている。其の様子に、まるで動物か何かだなと、刀夜は思ったが、それを正直に口に出せばそれこそ野生動物のように、聡呼はこの場から逃げ出してしまうだろう。その考えもあってか、刀夜は口端を緩く持ち上げるだけに留めた。

硝子ケースに入った様々なフレームは、プラチナやシルバー、ゴールド。太いフレームに宝石が鏤められた物まである。様々なフレームを、珍しげに眼鏡を掛けなおしながら聡呼は見ていた。其の横から刀夜もケースの中を覗く。ケースの中には、無難、と称する感じの、まあ至って普通の眼鏡が並んでいる。

「…聡呼は、其の眼鏡しか持ってないのか?」

「へ?あ、は、はい。べ、別に何個も必要ないですし…」

…なるほど、聡呼は根っから服や小物などに興味が無いのだ。それならば、この無頓着さ加減も納得が行く。しかし、拘りがない分、改造もしやすいと言うもの。

「じゃあ、俺が選んでやるから、付けてみてくれないか?」

「良いですけど…あんまり変なのは選ばないで下さいよ!」

「こら」

店員の前で変なのとか言わない、刀夜は冗談めかし、しーっ…と、人差し指を立てて示せば、聡呼も我に返ったように周りを見回し、申し訳無さそうに笑ってから黙り込む。店員はそんな二人の様子に、くすりと笑い声を漏らすだけで終わらせた。

「…さて、と」

どれが良いだろうか。レンズは薄めの物にしようと決めているのか、刀夜は細いフレームから見て行く。今、聡呼がかけている眼鏡は、黒縁の太いフレームでレンズは分厚い。数メートル離れれば、きっと眼鏡の奥の眸は覗けないだろう。

…素顔は良いのに。

思わず溜息を禁じえないが、ここで買った眼鏡を彼女は付けるだろう。なるべく引き立つような眼鏡にしなくては…。
ぴたり、…刀夜の足がケースの前で止まる。…クリアミントの細めなアンダーブローフレーム。これならば似合うだろうし、聡呼の黒髪も漆黒の目も引き立つだろう。肩越しに振り返り、聡呼を手招きして呼び寄せた。

「…これ、良いんじゃないか?」

「……壊れやすそうですね」

くいっと、眼鏡を掛けなおしながら色気も何も無い言葉が刀夜に降りかかってくる。さすが、と言いたくなりながらも何とか我慢をして、刀夜は店員へとこのケースを開けてくれるよう指示をした。

「付けてみろよ、視界が広がるぞ」

「そうなんですか?んー…まあ…、そこまで言うなら」

渋々と言った感じが拭い去れないが、聡呼は眼鏡を外し取り出された眼鏡をそっと掛けた。聡呼はレンズの入っていないおかげで良く見えていないらしい、鏡の前で近くに寄ったり遠ざかったりを繰り返している。

「似合ってるよ」

「…本当ですか?何か、軽すぎて落ち着きません」

うーむ、と眼鏡を何度も掛けなおしているのを見ると、落ち着かない、と言うのは正直な感想のようだが、鏡を見ている分では恐らく気に入ってくれたらしい。

「お客様、レンズの為に視力の検査を行いますので、此方へ」

「…だ、そうだ。ほら聡呼、いってきな」

「あ、え、はい」

聡呼は目を何度も瞬かせながら、置いていた黒縁眼鏡を掴んで店員の後へと付いて行く。その様子を見ながら、刀夜は腕を組んで少し笑う。そして、支払いの為、店員へと一枚、カードを渡した。

「…変な奴だな、本当」

…さて、眼鏡はコレで決まり。次は何にするべきか…。
思考を巡らせている内に、聡呼はレンズをはめた新しい眼鏡で戻ってきた。刀夜はにこりと笑って、聡呼の頭へと手を乗せる。

「似合ってるって言っただろ?」

「…子供じゃないんですから……って、似合う以前にこんな高価な眼鏡買えませんよ!」

聡呼は頭の上に置かれた手に、少し照れながらも不満を零す。…が、きっと値段を聞かされたのだろう、聡呼は慌てて刀夜に反論を。それに笑ったのは、反論された本人の刀夜だ。聡呼の頭の上の手を、ぽんぽんと軽く叩く。

「気にしないで良い、俺持ちだからな」

「?!ま、また、何を…!!」

「ほら、そんな事より、次はあそこだ。行くぞ」

有無を言わせないよう、隙を見せずに聡呼を連れ店を出る。…其の前に、出入り口でカードを手渡され、再び懐へとしまった。外は秋の訪れを感じさせる風が吹いている、其の風は聡呼の髪を浚い巻き上げた。そして、さくさくと歩道を歩いていく。

「つ、次は一体何なんですか〜?」

わたわたとしながらも、刀夜へと付いてくる聡呼は目が回ったようにフラフラしている。刀夜は聡呼に笑いかけ、空いている手であちら、と手で示した。そこもまた高そうな服が並ぶショップ。またしても、刀夜の腕に絡んだ聡呼の手に力が入り、緊張しているのがわかる。

「…もしかして、服も、ですか…?」

いつぞやの海を思い出します…と、聡呼は額に手を置いた。恐らく、この調子だと一式揃えられる事は間違いないだろう、観念したのかへろへろとした足取りで刀夜に付いてくる。

「おいおい、確りしろよ…別に買えとか言ってる訳じゃないんだから」

「それは…そうなんですけど」

「…けど?」

「何か、申し訳ないです」

其の言葉も、また聡呼らしいと言える。刀夜は聡呼にもう一度笑いかけた。

「気にするな、俺は聡呼に喜んで欲しいだけだよ」

「…………」

聡呼は何も言わずに俯いてしまったが…、怒らせただろうか、と思っていれば、刀夜は髪の間から見える耳が真赤なのに気づいた。…どうやら、怒ってはいないようだ。
少し安堵しながら、目的の店の中へと足を踏み入れた。

「じゃあ、服はどうするかな…」

「あ、あの、よく判らないので…刀夜さん、お願いできますか?」

「…良いぜ」

…珍しい聡呼の申し出に、刀夜は快く了承した。漸く慣れてきたのか、それとも諦めているのか、聡呼は刀夜の後ろをくっついて回り、見ている服をしげしげと眺め値札を見ては息を飲んでいる。

「これなんかどうだ」

「みっ、短いですよ!何歳だと思ってるんですか!」

「全然大丈夫だって、俺に任せろよ」

聡呼は何か言いたそうにしているが、任せると言った手前もう何もいえないようだ。刀夜と言えば、聡呼に見合う服を着実に見つけては店員に渡している。最後に、皮のロングブーツを店員に渡し、漸く終わった。…聡呼は色々な事に驚きすぎて、ぜぇぜぇと肩で息を吐いている。

「お客様、それでは御試着の方へ…」

「うぇ?も、もうですか?」

「行って来いって!あ、値札も取っておいてくれ。そのまま来て帰る」

「かしこまりました」

「えええーーーーー?!!!」

叫びながら店員に連れて行かれる聡呼に手を振りながら、待っている間に先ほどと同じく支払いを済ましておく。さて、聡呼はちゃんと出てきてくれるだろうか。

「と、刀夜さん…!」

「?何だ、どうした?サイズが合ってないか?」

試着室から小さく掛かる呼び声に、首を傾げながら試着室の傍へと寄って行く。すると、カーテンの隙間から聡呼が顔だけを覗かせているが、顔は真っ赤で出られない、と言った様子だ。やっぱりか、刀夜の予想は当たったようで…

「こ、こここ、こんな短いスカートで出歩けませんっ…!」

声を震わせながら言って来る聡呼に、刀夜は困ったような笑みを浮かべて宥めるように彼女の頭をぽんぽんと軽く叩いてやった。聡呼は戸惑いを浮かべた眼差しで刀夜へと視線を送る。

「聡呼が嫌なら、俺は無理に着ろとか言わない。ほら、着替えな」

「………」

刀夜の言葉を聞けば、聡呼は申し訳無さそうに眉根を寄せてさっと、カーテンの奥に身体を引っ込めた。失敗したか…と、刀夜は落胆の溜息を隠せず漏らしてしまいながら、聡呼が出てくるのを待っていた。…思っていたより早く、カーテンの開く音が聞こえ、不思議に思いながら刀夜が振り返る。

「……聡呼、着替えは?」

「…刀夜さんが選んだ服だし、せ、折角買ってもらうんだから着ないと勿体無いでしょう!」

「嬉しいよ…うん、俺の見込んだとおり、だな」

目を細めた刀夜の視線に、恥ずかしいのか聡呼は視線を横へと背けた。その勢いで、ふわりと、降ろしたのだろう、黒髪が肩に掛かる。……ラビットファーのボレロに、下は黒のキャミソール、スカートはミニで、ギンガムチェックのフレアスカート。茶のロングブーツに、黒のニーソックスと歳の割には若々しい感じだが…元々の雰囲気が幼い感じを持っているのでこれと言って気になりはしない。

「よし、じゃあ次」

「!ま、まだあるんですかっ」

「安心しろよ、次は美容室だ」

「何をどう安心するんですっ!!」

きゃんきゃんと喚きながらも次は美容室へ。既に予約を入れていたらしく、聡呼は気が付いた頃には既にシャンプーもトリートメントも終わりさあ切り始めようか、と言ったところだった。

「わ、ちょ、ああ、あの、あんまり切らないで下さいっ」

ここまで伸ばすの大変だったんですから!…奥で聡呼の喚いている声を涼しげに聞きながら、刀夜は雑誌を読みふけっていた…。聡呼が刀夜の元に帰って来たのはそれから1時間程度後の事。

「お帰り、聡呼」

「うう…何だか、馴れない事が一気に起こったようです…」

ううっ、と震える肩に掛かっているのは、緩くウェーブが掛かった漆黒の髪。買ったばかりのクリアミントのフレームの下にあるのは、何時もよりかは幾分長い睫。どうやらメイクも施してもらったらしい。

「似合ってる、本当にいつもの聡呼じゃないな」

「笑いながら言われると、嫌な意味に聞こえますけど…」

「褒めてるんだよ」

刀夜は聡呼の肩をぽんぽんと叩きながら、あっという間に次の目的地へと聡呼を連れ去った。外は既に日が暮れ落ちて、宵闇が街を包みネオンの灯りが此方に御出でと手招きをしている。それに誘われるように、様々な人々が様々な店へと行き来していた。

「…なんか、恋人の方が多いですねえ」

「有名だからかな」

主語が抜けた刀夜の返答に、聡呼は首を傾いだ。次は何処に連れて行かれるのか、聡呼には怖い反面、嬉しい、楽しいと言う感情があったのも確かで、きょろきょろと辺りを見回しながら刀夜の腕を確り掴んで付いて行く。…するりと、刀夜の手が絡みを外し、聡呼の手へと指を這わせ柔らかく握った。

「もう直ぐ其処だ」

「うぇ?!あ、い、いいいえっ!!」

手を握られただけで、取り乱した聡呼は刀夜の視線が別の方向へ言っている時に、落ち着きを取り戻せるよう何度も深呼吸を繰り返している。…さて、今宵の終点は、小さいが上品そうなレストラン。煉瓦作りの壁と塀に囲まれ、塀の内側には植物も植えられている。

「静修院だ」

「いらっしゃいませ…、此方へどうぞ」

初老の従業員が恭しく頭を下げて後、ゆっくりと案内してくれる。静かな雰囲気、店内には生演奏のピアノの音が響き、客達の耳を愉しませていた。流線型を描き、漂う雰囲気と音色で酔ってしまった様な錯覚を聡呼は覚えた。案内されたのは窓際、角の席。

「疲れたか?」

「…疲れたというか、何と言うか、精神的に余裕がなくなったといいますか…」

疲れてるんじゃないか。
聡呼の返答に、刀夜は上の言葉に正直だなと付け足しながら笑った。聡呼もつられて恥ずかしそうに笑った。話し込んでいるうちに、料理が運ばれてきた。ナイフやフォークの扱いには、手馴れていない聡呼に使い方を教えながらの食事会は中々楽しいものだった。

「あの、本当に今日は有り難うございました…!」

「良いから。ほら、タクシーが来たぜ」

レストランが手配してくれたタクシーが店の前で止まる。黒のハイヤーだ、運転手が後部座席のドアを開けてくれた。
「どこまで?」と、運転手の問いかけに、聡呼ではなく刀夜が、さらりさらりと答えてしまった辺りで、聡呼は羞恥心の限界が来たのか、助手席の背もたれに顔を押し付けて誤魔化していた。


タクシーは曲がり角で止まる。聡呼の家はあと数分もあれば辿り着ける位置だ。バンッと、音を立てて後部座席のドアが開いた。よいしょ、と声を掛けて聡呼はタクシーから降り、刀夜へと頭を下げる。

「有り難うございました…送ってまで貰っちゃって」

「気にするなよ、…どうだった?今日のデートは」

…普通に質問したつもりだったが、どうやら聡呼にはダメージが強かったようで、真赤になって俯いてしまった。刀夜としては、今日はコレで何度目だ…と考えながらも、伺いを立てずとも、彼女が嫌で俯いたわけではない、と言う事が判る程度には学習もしていた。

「嫌だったか?」

わざと。
そう聞いてみる。

「……いいえ…、あの…ええと…その、た、楽しかった、です…」

小さい声で返答しながら緩く、聡呼が首を振るった。その反応に、刀夜はくすりと満足げに笑みを零す。

「聡呼」

一度呼びかけて、彼女の顔を此方へと向かせ、手を伸ばして彼女ごと引き寄せる。

「聡呼」

もう一度、呼びかける。
互いの顔の距離が近づき、もう少し、顔を近づければ刀夜の唇に柔らかい感触。すぐにそこが緊張で強張るのがおかしくて、唇を離して刀夜はまた優しく笑う。

「…やっぱり、どんな格好でも聡呼は聡呼だな。…可愛くて…綺麗だ」

柔らかな黒髪を撫でて、彼女へ告げる。…真っ赤な顔は更に真赤になったが、照れたように笑顔を浮かべる聡呼に、刀夜は眩しげに目を細めた。そして、刀夜は撫ぜた黒髪を一束掬い、軽く唇を寄せもう一度笑う。

「…もっと色んな聡呼を見せてくれよ」

「……じゃあ、刀夜さんも、色んな刀夜さん、見せてくださいね」

依然と、照れたような笑みを浮かべている彼女の言葉に返そうと口を開く前に。

ふと、聡呼の顔が近づいてくる。

唇に、先ほど味わった、同じ感触が舞い降りた。
が、それは先ほどとまた同様にすぐに離され、驚きを隠せない刀夜の目の前には、先程よりも少し、勝ち誇ったような表情の聡呼が手を振っている。

「運転手さん、もう良いですから」

「あ、ちょっと、聡呼」

「また、あの、…よ、宜しくお願いします。お休みなさい、刀夜さん」

運転手はどうやらフェミニストな様だ。聡呼の別れの言葉と同時に、刀夜の目の前で窓ガラスがウィーンと機械音を立てて上がり、ブゥンとエンジンをふかし発車する。

…聡呼は、タクシーへと軽く手を振った後に、家路に着いたのだろう。角の奥へと姿を消した。

……そして、刀夜は

「してやられた」

発車したタクシーの中で、刀夜は人知れず呟く事しか出来ない。
表情は、どこか子供の悪戯を愉しんでいるような表情に似ている。

「どこまで?」

運転手の声が車内に響いた。
刀夜は背もたれに背を預け、軽く笑う。



「お任せするよ」






夜道に消える黒のハイヤー、今日の帰りも遅くなるだろうか。




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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【6465 / 静修院・刀夜 / 男性 / 25歳 / 元退魔師。現在何でも屋】

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■         ライター通信          ■
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■静修院・刀夜 様
毎度、発注有難う御座います!ライターのひだりのです。
今回は更に甘い感じにしてみたのですが如何でしょうか。
始終砂糖を吐いているような感じですが…
何時にも増して文量が多くなってしまいました。
そして、刀夜さんにも楽しんでいただけますと幸いです!

此れからもまだまだ精進して行きますので
是非、また機会がありましたら何卒宜しくお願いいたします!

ひだりの