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<WhiteChristmas・聖なる夜の物語>


【恋する漢女】倒せ! 悪の幹部、参太・クロウス大佐!

〜参太が街へ殺(や)りにきた〜

「座標も不明、場所も不明か……だが、面白い。ここで派手にパーティを開こうじゃないか!」
 ガッシャンと手に持つアサルトライフルにマガジンをこめた。
「ホワイトクリスマスなど温い、やはり赤でなくては。血のような赤が我輩には似合う」
 不敵に初老の男、参太・クロウス大佐は笑った。
「女は貴様らにくれてやろう、たくましい男を我輩の元に連れて来い! 部下に欲しいからな!」
 命令を下すと、紅い服に紅い帽子。
 そして、鉛弾のプレゼントを持った男達がパラシュートによって夢の世界を襲いだす。
 銃声と悲鳴がこだまして、白い雪が血で染まっていくのであった。
 誰もが願う、この危機を救ってくれる存在が現れてくれることを……。
「そこのサンタ! 待ちなさいっ!」
 そして、願いは通じ、反旗を翻す存在がやってくる。
 もっとも、藤田・あやこはミニスカのサンタ衣装。
 エロかわ路線らしいが、子供には目の毒だ。
「この藤田・あやこがコロシマツリー作戦で、おしおきよんっ!」
 びしっとポーズを決めるあやこに、夢の世界の住人は希望を捨てたのだった。
 
〜買い物しようと街まででかけたら〜

「ひふみ、どうしてついてくる?」
 風閂はいつもの通り買い物をしようとしたら、今回は主である空木崎・ひふみも一緒だった。
 商店街のバーゲンへ出向かうのでなければデートに見えるかもしれない。
「最近、お使い遅いよね? どういう理由があるのか確かめるため、あたしも付き合うからね〜」
 ひふみはにっこりと笑って、風閂の疑問に答えた。
 冬の寒空のした、二人は歩く。
 夕日の熱も北風にかき消され、商店街の賑わいは冷え込みをはねっ返すかのように聞こえる。
「理由はいろいろと……」
「いろいろって何? 私に何かいえないことでもあるの?」
 瑞々しい瞳で、ひふみは風閂を見上げた。
 眉は下がり、いつもの元気さがない。
「いや、いえないわけではないのだが……どう説明したらいいものか」
 風閂はいつもと違うひふみに対して、顔を赤くし、ぽりぽりと頬を掻く。
「何か、嫌な予感がするの……風閂がどこか別の世界にいっているような気がして……」
(相変わらず、勘が鋭いな……)
 風閂はひふみの言葉を聞きながらそう思う。
 そのときだ、不意に世界が揺らいだ。
「これは、いつものヤツか!」
「『いつも』の?」
 風閂はちっと舌打ちをし、ひふみの手を握る。
「今から、起こることから目をそらさないでくれ……今まで遅かった理由を説明する」
 無骨な篭手に包まれた手ではあるが、どこか暖かい風閂の手をひふみはそっと握り返しながら答えた。
「わかったから、無茶……しちゃだめだよ?」

〜真っ赤なライトのTONA改〜

 あやこは銃弾の雨にさらされているが、空中の水分を結晶化させて銃弾をはじいていた。
 しかし、その部下の量に圧倒され、参太の乗るヘリまで届かない。
「くそー、ボスなら直接あいてしなさいよ!」
「我輩は女子供に手をださんのだ。必要なのは男のみ!」
 紳士のようであり、紳士ではない言葉を断言する参太。
 そんな戦火のさなかに風閂とひふみは現れる。
「え、な、なになに? ここって」
 ひふみは周囲を見回すが、見慣れた商店街の姿はなく雪化粧に覆われたヨーロッパのような町並みが広がっていた。
 そこにまた異質なサンタクロースの格好をした兵士がアサルトライフルで住人をおいたてたり、グレネードで家を破壊していた。
 綺麗な雪景色とは違う光景。
 戦場という言葉が良く似合い、赤い炎が白い雪化粧との対比でよく目立つ。
「異世界だ。どうにも俺はこういうところに引き寄せられる体質らしい……毎度、毎度なそして……」
 風閂が説明しているとき、シャァァっとロープを伝って参太が降りてきた。
 初老でありながら傷だらけの顔とたくましい肉体は一般的なサンタクロースとは違う。
 それは、姿形だけでなく瞳も……。
「なんか、あのサンタクロース、風閂を見る目が違うひょっとして……アッチ方面の変態!?」
「毎度毎度、ああいうものと戦っていたのが理由だ。たくましい体をしているだけに惜しい」
「その言い方はちょっと、あれだと思うな〜けど、私が許す! 風閂、全力でやっちゃいなさい!」
 ひふみは苦笑しながら風閂の言葉を訂正すると共に安堵した。
(本当は好きな人ができたとか、心配していたんだよ)
 心の中でひふみはそう思いつつ、ビシっとサンタを指差し攻撃指示をした。
「無論! 人々が楽しむ『くりすます』を邪魔するものはこの俺が許さん!」
 風閂は主であるひふみと共に戦えることが嬉しいのか気合が入る。
「その目、その体。いいぞ、我輩の部下として可愛がってやろう。従うならば、今のうちだぞ? 断るのであれば我輩も本気でいどまなければならないからな」
 ぐふふと笑う参太。
「ええい、変態の仲間が!」
「だが、まずは部下が相手だ! 部下に勝てない弱い男など必要ない!」
 ぱちんと指をならすと、赤いヘッドライトのついたヘリコプター『TONA改』からさらに二人の部下が降りようとしていた。
「そうは問屋が卸しますかっ! ええいっ!」
 そのとき、銃弾を交わしつつタイミングをみていたアヤコがヘリに向かって近くの家に埋まっていたクリスマスツリーを魔法で引き抜き、勢いをつけて飛ばした。
 ミサイルのように加速したクリスマスツリーは槍となり『TONA改』を破壊した。
「ば、ばかな!? サムソンとアドンがっ!」
 参太はヘリから降りようとした部下の名前を叫ぶ。
 その光景に、すでにパラシュート降下を終えていた兵士達に動揺が走った。
「雑魚は任せなさい! あんたはそっちのおじさまを倒すっ!」
 あやこはそういって風閂を鼓舞した。
「どなたかは知らぬが感謝する!」
 そういって風閂は参太に向き直った。
 
〜暴れん坊の参太・クロウス〜

「今一度聞こう、我輩の部下になれ」
「くどい! 俺の主はひふみだけだ! 主を仇なすものは俺は容赦せん!」
 まるでプロポーズのような台詞にひふみは頬を赤らめた。
「ちょ、ちょっと風閂〜」
「ひゅーひゅー、お姉さんやけちゃうわっ!」
 サンタ袋に詰められたパイやケーキで反撃をしだしたあやこが茶々をいれだす。
「そ、そういう意味ではっ!?」
 さすがに、風閂も気づき、ひふみの方を向く。
 だが、それは一瞬の隙となり、また屈強なる軍人の参太が見逃すわけがない。
 アサルトライフルで突撃しながら射撃する。
 ダダダダっと銃弾が走った。
「風閂、危ない!」
「くっ!」
 鉄扇ではじくも距離が近くかなりの衝撃が風閂を襲った。
 何より、ここで回避をしては後ろにいるひふみを危険にさらすことになる。
「女を守ろうとするから不利になるのだ!」
 吼えながら、参太は風閂に近づく。
「うるさいっ! 近距離ならば!」
 鉄扇で攻撃をすると、参太は風閂を腕をロックし、体重をかけてへし折った。
 グギィと嫌な音が響き風閂の手から鉄扇が落ちた。
「ぐはぁ!?」
 篭手が砕かれ、中の骨まで達した。
「風閂!」
「自慢の腕を砕かれた気分はどうだ? ん? 我輩が欲しいのは胴体があればいい。逃げないよう両足も折ってやろうか」
 ずんずんと風閂に近づく参太。
 しかし、風閂の前にひふみが立ちはだかる。
「ひ、ひふみ……逃げろ、この相手は普通じゃない」
「風閂が私を主と認めたように、私も風閂をパートナーと認めているもの。おいて逃げるなんてできない!」
「ええい、虫唾がはしるわ! 二人まとめて片付けてくれよう!」
 参太が血管をこめかみに浮かばせて叫ぶ。
「さ、せ、る、かぁぁぁぁっ!」
 風閂が立ち上がり、すさまじい気迫をまとう。
 レプリカントの力『限界突破』だ。
「うぉぉぉぉっ! ひふみに指一本ふれさせるかぁぁぁっ!」
 折れた腕が強固な力をまとい、参太を殴り飛ばした。
「ぐおほっ!? こ、この我輩が……負けると……は」
 参太が倒れ、残りの兵士達も降伏をする。
 惨劇は終了したのだ。
 
〜ホワイトクリスマスを貴方と〜
 
「はぁ……はぁ……」
 風閂の息が荒い。
 力の解放はそれだけのリスクを背負っているのだ。
「後のことはこの私に任せて貴方は彼女とデートでもしてきなさい」
 ミニスカ衣装で腰をふりふりしてあやこは兵士や参太を縛り上げる。
「で、でーと!?」
 直接的な表現にひふみは照れる。
「それじゃあ。行こうか、ひふみの贈り物を買いに……な、何でも買おう」
 照れながら、風閂はひふみに手を差し伸べる。
「それじゃあねぇ……最新作のシルバーアクセサリが欲しいな〜」
「う、余り高いものは……」
 さすがに、懐がさびしくなりそうで風閂は顔をしかめる。
「ほら、何でもっていったでしょ。男なら二言はなしで!」
 ホワイトクリスマスにて、風閂の懐は冬を迎えた。


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
w3g785maoh/空木崎ひふみ/女   /21歳 /巫女
w3g785ouma/風閂    /男   /35歳 /レプリカント
7061   /藤田・あやこ/女   /24歳 /IO2オカルティックサイエンティスト

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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どうも、橘真斗です。
このたびは参加ありがとうございました。
クリスマスにイロモノと思いきや、ノリでラブ要素が濃くなりましたがどうでしょうか?

楽しんでいただけたなら幸いです。

それでは、良いお年を。
また、来年、運命の交錯するときまでごきげんよう。