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<WhiteChristmas・聖なる夜の物語>


WONDER BOX @ 2007

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OPENING

十二月二十五日、クリスマス。
草間興信所では毎年、クリスマスパーティを開催している。
無論、主催は零。今年も、ノリノリだ。
大勢で騒ぐ事に抵抗がある武彦も、今日だけは特別。
クリスマスの雰囲気に、見事に飲まれているようだ。

「みなさん集まりましたかぁ?」
リビングソファの上に立ち、大声で言う零。
その声を聞いたパーティ参加者達は、皆一斉に零を見やる。
自分に向けられる幾つもの視線に、零はフフフと満足気に笑って、
「じゃあ、始めますよ〜!ワンダーボックス2007〜!」
大きな箱を持ちつつ、楽しそうに言った。

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武彦の知り合いや零の友達、過去に依頼をしてきた人など。
たくさんの人が草間興信所に集結。
今宵はクリスマス。
パーティも終盤。
いよいよ、メインディッシュだ。
イベントが始まると同時に、冥月は興信所に到着。
箱を持ったまま、零はホッとした表情を浮かべた。
「冥月さぁん…遅かったじゃないですかぁ〜」
冥月は土産(差し入れ)に持ってきた高級シャンパンを武彦に渡しつつ返す。
「すまん。仕事が立て込んでな」
「クリスマスだってのに、ごくろうさん」
武彦は微笑みながら、冥月の頭を撫でる。
ごく自然な、その行為。
(機嫌が良いな。酔ってるのか)
冥月は、いつもと違う武彦に苦笑しつつ、コートを脱ぐ。
興信所には、二十名ほど。
改装する前なら、ギュウギュウで押し競饅頭のようになっていただろうが、
今年は、皆ゆったりと過ごしている。
改装は成功だったと、こんな時に実感してみたり。
テーブルの上に並ぶ食事は、もう殆ど食べつくされた後。
昨晩、準備を手伝った冥月としては、嬉しい光景だ。
ケーキは、どうやら冥月の分をとっておいてくれたようで。
冥月は、武彦に渡されたケーキを受け取り、
それを頬張りつつ、零の進行を眺める。
「じゃあ、整理番号1の人から!さぁ〜…どうぞ!」
テーブルの上に置かれた巨大な箱。
パーティのメインディッシュである、このイベントは、
参加者が一人ずつ箱の中に手を入れ、
中のものを一つ、手に入れることができるというシンプルなものだ。
箱の中に入っているプレゼントは、多種多様。
実用的なものもあれば、どこでどう使えばいいか判断しかねるものまで。
殆どの品物を用意したのは武彦と零だが、
昨晩、手伝いの際に冥月も一つだけ。箱の中にプレゼントを入れた。
誰が手に入れるか。わからないが、手に入れた者は大喜びするであろう品だ。
招待状と共に配布された整理券の番号どおりに、
参加者たちは次々とボックスから景品をゲット。
喜ぶものもいれば、ゲンナリするものもいる。
中には、交換しあう反則的な輩までいる。
まぁ、イベントの趣旨は楽しむことなので、
参加者たちが楽しんでいるのであれば、反則も何もないが。

(…なぜに残るかな)
残りは三人。武彦と、零と、冥月のみ。
冥月が箱の中に入れたプレゼントは、まだ引かれていない。
ということは、三人のうち、誰かがそれを手に入れることになる。
適当な奴が適当に引くのだろうと思っていた冥月だったが、
お馴染みのメンバーが手に入れることになるとは…と不思議で苦笑する。
「じゃあ、俺等だな。一斉にいこうぜ」
武彦の提案に従い、零と冥月は頷く。
三人は、一斉に箱へ手を入れ、真っ先に掴んだものを離さず、
そのまま手を引き抜いた。その結果…。
零が手に入れたのは…”うさぎのぬいぐるみ”
冥月が手に入れたのは…”デート券”
そして、武彦が手に入れたのは…”何でも買ってやる券”となった。
零が手に入れたぬいぐるみは、武彦が箱に入れたもの。
冥月が手に入れたのは、零が箱に入れたもの。
武彦が手に入れたのは、冥月が箱に入れたものだ。
見事にバラバラ。自分が入れたものを手に入れるというオチはなかったが。
冥月は券を見つつ、不可解な表情を浮かべる。
手書きのそれは、間違いなく零の字。
けれど書かれているのは”デート”という文字。
冥月は券を見せつつ、クスクス笑って零に問う。
「これは…私が零とデートできるということか?」
零はニコリと微笑み、券の裏を示して言った。
「私か、お兄さんとですよ」
「は?」
キョトンとしつつ、券を裏返してみる冥月。
裏には、こう書かれていた。
”草間興信所:武彦or零のいずれかを選択する権利あり☆”
何という粋なはからい…などと感動することはない。
冥月は、変なのを掴んでしまったなぁ…と溜息を落とす。
うさぎのぬいぐるみを嬉しそうにギュッとしつつ、零は言った。
「まぁ、冥月さんなら…お兄さんを選ぶでしょうね」
「んなっ…」
券をクシャッとして、顔を強張らせる冥月。
武彦は、そんな冥月を見つつ、
手に入れた”何でも買ってやる券”をヒラヒラさせて言った。
「じゃあ、俺、そのデートん時に使おうかなぁ、これ」
「………」
どう足掻いても、逃げ場はない。
冥月は、クシャクシャになったデート券を握り締めつつ、頬を赤らめた。




パーティが終わり、後片付けを済ませた冥月。
武彦と零は、おおはしゃぎして疲れたのかソファで並んで転寝中だ。
武彦に至っては、雰囲気に流されて酒を飲みすぎたというのもあるだろう。
冥月は、二人の向かいに座り寝顔に微笑むと、
ゴソゴソと荷物を漁り、袋の中から用具を取り出して…編み物を始めた。
仕事の合間を埋める為、退屈凌ぎがてら再びはじめてみた編み物。
昔は、好き好んで編んでいたものだ。大切な人のために。
編んでいる間の、何ともいえぬ雰囲気が冥月は好きで、
自然と柔らかく、優しい表情になる。
向かいに無防備な寝顔が二つあることも重なって、
今の冥月の表情は、聖母のごとく温かく優しいものだ。
編み物を始めると集中してしまう癖。
もう少しで完成だ…と穏やかな気持ちで仕上げる中、
冥月は、ふっと視線を感じ手を止めて顔を上げてみた。
すると武彦が目を覚ましていて、ソファに凭れたまま、ボォッとこちらを見ている。
いつから見られていたのだろう。
集中し、まったく気付いていなかった冥月は気恥ずかしくなり、頬を染めた。
すると武彦は、微笑みながら聞いた。
「なぁ、それ、誰に?」
武彦の問いに冥月はフイと顔を背け、こう返した。
「別に。ただ編んでるだけだ」
「ふぅん…」
ニヤニヤしている武彦。
冥月はスクッと立ち上がり、荷物をまとめると、
完成したマフラーを武彦にポイと投げ渡して言う。
「欲しいなら、くれてやってもいい」
無愛想で適当な言い様だが、何ともバレバレ。
決して、こちらを見ないで言う冥月。
見られたくない顔をしていることは明らかだ。
武彦は投げ渡されたマフラーをクルリと自身の首に巻いて、
逃げるように帰ろうとしている冥月に言う。
「もう遅いし。泊まってけよ」
「い、いや……」
「お前の部屋だって、あるんだしよ」
「いや…その…」
「何なら、俺の部屋で一緒に寝る?」
「ばっ…ばか…寝るわけないだろう」
冥月は頬を染めながら、零の頭にカポッと帽子を被せた。
「ふにゃ…?」
目を覚まし、頭を包む温かい感触を確かめる零。
その帽子も、冥月が編んだものだ。
編み物は、二人の為。それが事実。
武彦は、冥月の照れくさそうな顔にクスクスと笑う。

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■■■■■★ THE CAST ★■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

2778 / 黒・冥月 (ヘイ・ミンユェ) / ♀ / 20歳 / 元暗殺者・現アルバイト探偵&用心棒

NPC / 草間・武彦 (くさま・たけひこ) / ♂ / 30歳 / 草間興信所所長、探偵

NPC / 草間・零 (くさま・れい) / ♀ / --歳 / 草間興信所の探偵見習い


■■■■■★ ONE TALK ★■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは。いつも、発注ありがとうございます。心から感謝申し上げます。
気に入って頂ければ幸いです。また、どうぞ宜しく御願いします。

メリー・クリスマス☆ ゝ(▽`*ゝ)(ノ*´▽)ノ

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2007.12.25 / 椎葉 あずま(Azma Siiba)
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