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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


悪戯な関係

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OPENING

「…あのやろう」
窓の外、疾走する少年を見やって呟く草間・武彦(ディテクター)
全身から”呆れ”の気を放ちながら、
彼はジャケットを羽織り、足早に部屋を出る。

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慌てて、どこかへ向かうディテクターを発見。
冥月は何事かと思い、興味本位でディテクターの隣へ駆け寄った。
「おい、どうした。何か事件か?」
「お…。何やってるんだ、こんなところで」
突如現れた冥月に、驚くディテクター。
冥月は肩を竦めて返す。
「こっちの台詞だ」
話を聞いて、冥月は”またか…”とゲンナリ。
どうやら、ディテクターの愛銃が、また誰かに盗まれたらしい。
まぁ、今回も犯人の目星はついているようだが…。
冥月は、大切な人から貰ったものを粗末に扱うディテクターに少々苛立ちを覚える。
「盗まれすぎだ。貴様、本当に大切にしてるのか?」
「今回は…まぁ、盗ませてやった感じなんだけどな」
「…はぁ?」
首を傾げる冥月。まぁ、当然だ。何を言ってるのか、サッパリだろう。
ディテクターは笑うばかりで、それ以上を語ろうとしなかった。
迷うことなく、ディテクターは異界にある小さな森へ足を運んだ。
冥月も ついては来たが、さっぱり事情が飲み込めない。
「おい…説明しろ。詳しく」
腕を組み言う冥月に、ディテクターは前方を示しつつ言った。
「あいつに聞けよ」
「?」
あいつ?クルリと振り返ると…そこには見覚えのある少年の姿が。
そう、先月、冥月をイノセンスという組織にスカウトした、海斗だ。
「何やってるんだ…お前は」
海斗が持つ銃がディテクターのものだと確認した冥月は、海斗を睨みつつ言った。
「ちょっとちょっと。それ俺の台詞。何でキミとディテクターが一緒に来るのさ?」
海斗は不愉快そうな表情だ。
「偶々、会っただけだ」
冥月が返すと、海斗はジトリとディテクターを睨む。
ディテクターは何食わぬ顔で頬を掻いているが、
海斗の眼差しは、何というか…少し威圧感がある。
とりあえず、お前達は、どういう関係なんだ?と冥月が尋ねようとした途端。
海斗が喚き出す。
「てめー、人がスカウトした人材横取りしてんじゃねーよ!」
海斗の発言に、呆気に取られる冥月。
ディテクターは煙草に火をつけつつ、
海斗に言葉を返さず、冥月に尋ねた。
「何。お前、こいつにスカウトされたのか?」
「…あぁ。先月な」
そう淡々と返すものの、冥月は居心地が悪い。
ライバル関係にある二つの組織からスカウトを受けた上、
今、そのスカウトマン同士が自分を挟んで対峙しているのだから。
(…何だ。この雰囲気は)
若干、雰囲気に飲まれて戸惑う冥月。
そんな冥月を他所に、海斗とディテクターの言い争いが始まる。
「おい、シカトしてんじゃねーよ」
「あぁ?うるさいなぁ。相変わらず お前は…」
「何偉そーにしてんだ!横取りマン!」
「横取りマンって…ぷ」
「何かズルしたんだろ!賄賂か?賄賂だな!?」
「そんな金ねぇよ」
「じゃあ何で、冥月が てめーと一緒に行動してんだよっ」
「さっき言ってただろ、偶々会ったんだって」
「…怪しいんだよ、めっちゃ!」
「お前、それ冥月に言ってんのか?殺されるぞ」
ディテクターがクックッと笑って言うと、海斗はピタリと静まり。
ソロリと冥月を見やった。
腕を組み、不機嫌そうな冥月に、ひるむ海斗。
冥月は静かに言い放つ。
「言っておくがな。私は、どこにも所属する気がないんだ。アホ探偵の世話で手一杯でな」
冥月の言葉に一瞬、静まり返る場。
ハッとして、海斗は冥月に尋ねた。
「アホ探偵って、もしかして草間武彦?」
「…?あぁ、そうだ。知ってるのか?」
「へ?知ってるも何も、ディテクターが草…もがっ」
海斗の口を咄嗟に塞ぐディテクター。
ディテクターは海斗に耳打つ。
(バラすな)
ディテクターの言葉を聞き、海斗は一瞬キョトンとしたが、
すぐにニマリと笑った。弱みを握ったつもりなのだろう。
面倒なことになってきたなぁと頭を掻くディテクター。
遣り取りを不審に思われては、ますます面倒だと判断したディテクターは、
海斗の頭を腕で包み込み、子供の喧嘩のような真似をしてみせた。
二人の遣り取りに呆れつつも、冥月の意識は、ずっと銃に。
影をそっと放ち、海斗の手から銃を奪う。
そして、冥月はディテクターに、
「おい。もういいぞ、三文芝居は」
そう言って、取り返した銃をディテクターに投げ渡す。
ディテクターは若干ワザとらしく喜び、冥月に感謝を述べる。
「あぁ、助かった。どうもな」
「ふん…もっと大切にしてやれよ」
冥月は、鼻で笑い そう言い捨てて、その場を去って行く。


冥月が去り、二人きりになって。
海斗はディテクターに問う。
「おい、知らないって、どーいうコト?」
海斗の問いに、ディテクターは懐から黒い数珠を取り出して見せた。
それは、自身の正体を隠す為に、ディテクターが異界で常時持ち歩いているもの。
この数珠を持っていれば、冥月はディテクターが草間武彦だと気付かないのだ。
海斗は不思議そうな顔をして言う。
「…何で隠すんだよ。意味わかんねぇ」
「そのほうが、面白いからさ」
「うわ。ひでぇ。冥月で遊んでるのか、てめー」
「ちょっと違うな。まぁ…色々とあるんだよ。大人になると」
「ロクなことじゃねーんだろ。どうせ」
「お前ね、その生意気な口、何とかなんないの?」
「ならないねー」
銃を懐にしまい、フゥと息を吐くディテクター。
ディテクターは海斗を見やって微笑み言う。
「で…どうする?冥月はいなくなったけど。やるか?腕試し。付き合ってやるぞ?」
ディテクターの言葉に、海斗はニカッと笑うと、
「今日はいーや。面白いコト聞いちゃったから」
そう言って、手を振りつつ、タタタ…と去って行った。
残されて一人。ディテクターは思う。
(あー。マジで…面倒くせぇことになってきたなぁ)

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

2778 / 黒・冥月 (ヘイ・ミンユェ) / ♀ / 20歳 / 元暗殺者・現アルバイト探偵&用心棒

NPC / ディテクター(草間・武彦) / ♂ / 30歳 / IO2:エージェント(草間興信所の所長)

NPC / 黒崎・海斗 / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント


■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは。毎度、どうもです^^ 参加・発注ありがとうございます。
心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです。
是非。また御参加下さいませ。 お待ちしております。

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2008.01.02 / 椎葉 あずま(Azma Siiba)
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