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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE 02 白亜の館

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OPENING

何とも満足そうな笑みを浮かべる、海斗。
無表情ではあるものの、梨乃も、内心は非常に満足しているようだ。
二人は、見つけた”逸材”を、とある場所へと連れて行く。
半ば、強引に。

海斗に手を引かれる逸材は、状況が飲み込めずに不可解な表情をしている。
まぁ、無理もない。
事態を把握しようと、どういうことなのかと尋ねても、
海斗と梨乃は、微笑むばかりで、一向に説明してくれないのだから。
説明不足な二人の所為で、逸材の不安や不満は膨らむばかり。

廃墟が並ぶ、不気味な地に踏み入り、逸材の不安が頂点に達した時。
海斗と梨乃は、アイコンタクトをとり、揃って前方を指差す。

彼等が示した先には、美しい白亜の館があった。

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「綺麗…ね」
少年が示す白亜の館に感想を述べるミリーシャ。
少年と少女には、それが とても無関心そうに映るが、実際は逆。
中は、どうなっているのか…マスターとは、どんな人物なのか…。
ミリーシャは、内心ワクワクしている。
表情には出ない為、他人には理解できぬものだが、ミグは違う。
パッと見ただけで、すぐに理解ってしまう。
ミリーシャが、今、どんな想いかを。
鼻でフンと笑うミグ。
楽しむのはいいが、油断するなよという意味合いの込められたそれに、
ミリーシャは淡く微笑んでミグの頭を撫でた。

少年らに案内され、館の中。
外観と同じく、内部も真っ白で不思議な感覚に陥る。
少年と少女についていき、歩んでいるのは確かなのだが、
変わりばえなく真っ白な景色が、
延々と同じところに留まっているような錯覚に陥らせる。
それが本当に錯覚だと実感できたのは、
少年と少女が立ち止まった時。
巨大な扉を前に、ミリーシャはフッと息を吐いた。
安心感…にも似た感情から。
「大丈夫ですか?」
少女がミリーシャを案じて声をかける。
「うん…平気…」
ミリーシャが大丈夫だと返すと、
少年は頷いて、扉に手をかざした。
すると扉が音もなく消える。
「マスター。連れてきたよ」
手をヒラリと振りながら言う少年。
扉の先には、やはり真っ白な空間。
ただ、中央にソファがあり、そこに灰色のローブを纏った老人が座っていた。
「ご苦労じゃったな。どれ…」
老人は、そう言うと、ゆっくり立ち上がり、ミリーシャに近付いた。
「グルル…(訳:気をつけろ)」
警戒を促すミグ。ミリーシャは促されたとおり、
一歩退いて、老人をジッと見つめた。
「ふむ…素晴らしいのぅ。お主、名は何と?」
老人に問われ、ミリーシャは警戒したまま返す。
「ミリーシャ…この子は、ミグ…」
ミグを示しながら言うミリーシャ。
すると老人は少し驚いて言った。
「ほぉ…これはまた…良い連れじゃのぅ。動物型の霊鬼兵か」
「「えっ!?」」
同時に驚きの声を上げる少年と少女。
パッと見ただけで、理解してしまった老人に、さすがのミリーシャも驚いた様子。
「グルルル…(訳:何故、理解った?)」
唸り声をあげて老人に問うミグ。
老人はファッファッと笑い、返した。
「お主の纏うオーラじゃよ。何とも立派じゃな」
「グルルル…(訳:貴様、何者だ)」
「ただのジジィじゃよ。ふぁっふぁっ…」
老人とミグの会話。ミリーシャは理解できるが、少年と少女はサッパリ。
マスターって、狼とも会話できるのか…と感心もしている。
「あの…スカウトって…何なの…?」
呆気に取られている少年と少女を放り、ミリーシャは老人に尋ねた。
老人はジッとミリーシャを見つめ、問う。
「お主、退魔の経験は?」
「それは…もちろん…」
「申し分ないのぅ。お主の力を欲しておるんじゃよ。我が組織は」
「正式に…エージェントに…ならなきゃダメ…?」
「手が空いた時に手伝ってくれれば構わんよ。お主も忙しいじゃろうて」
「うん…それなら…いいよ」
頷いて、承諾するミリーシャ。
「グル…(訳:おい、ミリーシャ)」
「大丈夫…きっと…」
安易に応じるなと言おうとしたミグだったが、
ミリーシャは、こう見えて、なかなか頑固だ。
一度言い出したら、聞かない。
それゆえに、ミグは”やれやれ”と溜息を落とした。
ミグの その溜息で、ボーッとしていた少年と少女はハッと我に返る。
少女は、老人に尋ねた。
「マスター。魔銃は…」
「あぁ、与えて構わんよ。きっちり働いてくれるに違いないからのぅ」
「了解しました。では…」
スッと両腕を前方に伸ばす少女。
すると、ミリーシャの目前に、ポンッと黒い箱が出現した。
「…?」
キョトンとしているミリーシャ。
少女は告げる。
「支給品です。お使い下さい」
「ありがと…」
軽く頭を下げてから、蓋を開けてみるミリーシャ。
そこには、先程 少年が使っていた銃と同じものが入っていた。
老人の説明によると、この銃は魔銃といい、
イノセンス・エージェントのみが持つことを許される武器らしい。
所有者の潜在能力により、宿せる魔力が異なる。
少年は炎を、少女は水の魔力・魔法を宿しているそうだ。
そういう仕組みだったのか…と納得するミリーシャ。
ミグは、銃に鼻を近付け、クンクンと匂いを嗅いだ。用心深い。

少し遅い、少年と少女の自己紹介。
少年の名は、海斗。少女の名は、梨乃…というらしい。
先ずは、名乗るべきじゃろうと老人に叱られる二人に、ミリーシャはクスリと笑った。
「さて…そうじゃな…とりあえず館内を案内してやりなさい」
老人の言葉に海斗と梨乃は「ハイッ」と良い返事をして、
ミリーシャとミグに、館内を案内した。
館内には設備が充実していて、生活に何の不備もない。
ずっと館内に閉じこもっていても、悠々自適に暮らせるようだ。
とはいえ、イノセンスは魔物討伐・調査が基本任務。
特に有能なエージェントは、館でノンビリしている暇はないだろう。
エージェントには個室が与えられ、そこで生活できるのだが、
ミリーシャは、あくまでもフリーエージェント。
帰る場所もあることだし、必要な時に、個室を借りる…ということになりそうだ。
ひととおり説明・案内を受け、理解したミリーシャとミグは、
サーカス団の皆が心配しているから、と一旦戻ることにした。
「仕事が入ったら、呼びに行くからなー」
「ご迷惑をかけて、申し訳ございませんでした。任務の際は、宜しく御願いします」
ニコニコと笑って言う海斗と、頭を下げて言う梨乃。
ミリーシャは頷き、ミグを連れて皆のところへ戻っていった。
サーカス団のところへ戻る道中、ミグはミリーシャに言う。
「グルル…(訳:あまり首を突っ込むなよ)」
「大丈夫…楽しそうだし…ね」
「グル…(訳:困ったもんだ)」


ミリーシャとミグが去り、館の入口前で、んーっと伸びをする海斗。
「やー。良かった良かった。期待の新人だなー」
ミリーシャの能力を高く評価し、気に入っているようだ。
「…いきなり襲い掛かってテスト、は もう禁止だからね」
梨乃は海斗の頭をペシッと叩いて言った。
マスターはフッと笑い、二人に忠告する。
「あの娘っ子は、おそらくジーンキャリアじゃ。怒らせるでないぞ」
「「え!?」」
ギョッとする海斗と梨乃。
マスターはファッファッと笑い、
「寒くなったのぅ」
そう言って、そそくさと館内へ戻って行く。
「ち、ちょっと待ってマスター。それ、どーいうコト?」
「私も、気になります」
「うぉーい!マスターってば!」

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

6814 / ミリーシャ・ゾルレグスキー (みりーしゃ・ぞるれぐすきー) / ♀ / 17歳 / サーカスの団員・元特殊工作員

7274 / ー・ミグ (ー・みぐ) / ♂ / 5歳 / 元・動物型霊鬼兵

NPC / 黒崎・海斗 / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント

NPC / 白尾・梨乃 / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

NPC / イノセンス・マスター / ♂ / ??歳 / INNOCENCE:マスター(ボス)  

■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは。
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
発注・参加 心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです。

※アイテム「魔銃」を贈呈しました。宿る魔力ですが、お任せします。
宿らせたい魔力があれば、以降プレイングで教えて下さいませ。

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2008.01.05 / 椎葉 あずま(Azma Siiba)
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