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<東京怪談ウェブゲーム アンティークショップ・レン>


カップル・マッチング

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OPENING

(面倒だねぇ…)
送られてきた手紙と招待状を手に、溜息を落とす蓮。
蓮が持っているのは、カップル・マッチングの招待状。
さて、カップル・マッチングとは何か。
まぁ…簡単に言えば”合コン”だ。
友人が主催者らしく、是非参加してくれと招待状を送りつけてきたらしい。
何だかんだで古くからの付き合いだ。
無下に断るわけにもいかない。
蓮は渋々、準備を始めた。
カップル・マッチングは今宵、二十時より開催される。

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ひととおりの準備を済ませ、
蓮が招待状をバッグに入れた、ちょうど その時だった。
カランカラン―
「お邪魔しますわ」
来客だ。何というか…タイミングが良いというか悪いというか。
店にやって来たのはアレーヌ・ルシフェル。有名サーカスの団員だ。
黒いスリップドレスを纏い、念入りな化粧。
いつもと違う蓮を見て、アレーヌはキョトンとして言った。
「何ですの。その格好。珍しいですわね」
アレーヌを上から下までジーッと見やって、蓮はこう返す。
「道連れ捕獲。だねぇ」
「…?」
相変わらずキョトン顔のアレーヌ。
蓮は、店の奥へパタパタと駆けて行き、
真紅のパーティドレスを持ってきた。
そして、ドレスをアレーヌに宛がい、嬉しそうに言う。
「うん。アンタには、これがお似合いだ。さ、奥で着替えといで」
蓮にグイグイと背中を押されて、店の奥へ行くアレーヌ。
「ち、ちょっと。どういうことですの?」
アレーヌは状況説明を願う。
「マッチング・パーティがあるんだよ。ついてきとくれ」
「マッチングパーティ??」
「合コン、って言った方が、わかりやすいかい?」
「ご、合コン…?」
困惑していたアレーヌだったが、
強制的に着替えされられ、もはや後戻りは出来ない状態。
真紅のボンテージドレスを纏ったアレーヌは、セクシーかつキュート。
モテモテ間違いナシだ。
「うんうん。似合う似合う。アタシのお古だけど」
「…あなた、こんなの着てましたの?」
「あっはは。昔、若い頃はねぇ」



マッチング・パーティの会場は、都内某所にある立派な屋敷。
パーティの主催者が友人だという、蓮の交友関係は広い。
会場には、幅広い年齢層の男女がおり、
ビシッとスーツでキメてきている男や、
Tシャツにジーンズというラフな格好できている者、
着ぐるみで参加している者もいる。皆、とても個性的だ。
そんな中、颯爽と歩く蓮とアレーヌ。
二人は、ただ歩くだけで、会場の視線を集めてしまう。
「結構いますのね。参加者」
「初開催だからねぇ」
自身はワインを手に取り、アレーヌにはピーチソーダを渡す蓮。
蓮の言うとおり、このパーティは今日が初開催。
というからには、二回目もあるということだ。
主催者は気の良いマダムで、
若者に出逢いの場を提供したくて、
このパーティを計画し、実施した。
パーティからカップルが誕生することが、何よりの願いだそうだ。
マダムの願いは、どうやら叶いそう。
会場のあちこちで、カップルらしきものが続々と誕生している。
正式に胸を張って、お互いを恋人だと言えるようになるまでは、
まだ少し時間が掛かるかもしれないが。
盛り上がるパーティ。
だが、蓮は決してパートナー探しを目的としていない。
あくまでも、友人開催パーティのゲストとして参加している。
だが、遠目にも目立つ蓮を、男達が放っておくはずがない。
動かずとも次々と。蓮には、男が寄ってくる。
口説き文句を並べる男達の中心で、
蓮はワインを飲みつつ、上手くそれらを受け流している。
蓮の隣でクスリと笑い、アレーヌは、からかうように呟いた。
「あらあら。モテますのね、蓮さん」
そういうアレーヌも、物凄く目立つ存在だ。
可愛らしい顔に魅了される男が、いないはずがない。
アレーヌの回りにも、あっという間に男が群がる。
口説き文句を並べる男達の中心で、
迷惑そうにしつつも少し嬉しそうなアレーヌ。
そんなアレーヌに、お返しとばかりに蓮は言った。
「あらあら。モテますのねぇ、アレーヌさん」

パーティは、以降も盛り上がり続け、カップルが続々と誕生。
そんな中、アレーヌは、とあるゲームに誘われる。
合コンの定番、王様ゲームだ。
ルールを知らないアレーヌに、親切な男(下心アリアリ)が説明する。
「選んだスティックの端が赤いと、王様として何でも命令できるんだよ」
「まぁ。素敵なゲームですわね」
説明を聞いたアレーヌは、嬉しそうに微笑み、ノリノリで参加。
さて、王様は…?
「まぁ!わたくしがクイーンですわ」
アレーヌが王様(アレーヌはクイーンと言っているが)に決定した。
ゲームに参加している男は、アレーヌに下心のある者ばかりだ。
何を言い出すんだろう…とワクワクしている。
そんな男達に、アレーヌは告げた。
「三番」
「あっ、はい!俺です!」
指名され、三番のスティックを持つ男が挙手する。
男にズイッと近づき、観察するアレーヌ。
何を命じられるのかと、男はワクワクドキドキ…。
アレーヌは、ウン、と頷き、命令を決定した。
「馬になりなさい。あなた、馬面ですもの。ほほほっ」
「はっ、はい〜っ!」
馬面だと言われているのにも関わらず、
三番の男は喜んで四つん這いになり、馬と化した。
アレーヌは、男の背中に足を乗せ、ホーホホホと満足気な高笑い。
元々露出の高いドレスの為、
アレーヌの美脚は限界まで露出。
馬面男の背中のお陰で、それは一層引き立つ。
(やれやれ…)
心からゲームを楽しんでいるアレーヌを見つつ、蓮は肩を竦めて苦笑した。



もう十分に楽しんだ、そう判断したアレーヌと蓮は、
パーティを良いタイミングで抜ける。
帰り際、挨拶を交わした主催者のマダムは、
パーティを盛り上げてくれた二人に、
感謝として、最高級のワインをプレゼント。
だが、アレーヌはまだ未成年。
それを聞いたマダムは、それならこれを、と、
べシュールのクッキーを渡した。
べシュールは異国の菓子ブランド。
とても美味で芸術的だが、とんでもなく高価な為、
口に出来る者は、そうそういない。
アレーヌは「サーカス団の皆と美味しく頂きますわ」と言って、
喜んでクッキーを受け取った。

帰路、アレーヌは笑って言う。
「楽しかったですわ」
紛れもなく、それは心からの言葉だ。
「それは何よりだ。次回も参加するかい?」
淡い笑みを浮かべて言う蓮。
アレーヌはクスクス笑うと「考えておきますわ」と返した。
アレーヌと王様ゲームをした男達は、すっかり骨抜き。
今も会場で、アレーヌを探していることだろう。
帰ったとは知らずに…。

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

6813 / アレーヌ・ルシフェル (あれーぬ・るしふぇる) / ♀ / 17歳 / サーカスの団員・退魔剣士(?)

NPC / 碧摩・蓮 (へきま・れん) / ♀ / 26歳 / アンティークショップ・レンの店主


■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは。いつも、発注ありがとうございます。
納品が遅れてしまい、大変申し訳御座いません。
心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです。
また、どうぞ宜しく御願いします^^

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2008.02.27 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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