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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


うたかたの戦いのち宴 〜 美少女の定義 〜



 賑わう興信所内、台所では蓬莱と零2人が忙しく動いており、因幡・恵美と草間の娘もお手伝いに勤しんでいる。
 ソファーに座って無言の男3人組みは、若さパワーではしゃぐ瀬名・雫やルチルアに引きずり回される影沼・ヒミコと茂枝・萌を見ては、彼女達の若さパワーがコチラに向かないことを祈っていた。
 繭神・陽一郎と高峰・沙耶は何処を見ているのか分からない様子でジッとしており、月神・詠子はそんな2人を意味ありげな視線で見つめている。
「凄い事になってるな‥‥‥」
「同感だ」
「まぁ、どーせ今日だけのことなんだろう」
「どうせなら楽しんだ方が得よね」
 いつの間にかむさ苦しい男3人組みの隣に立っていた碇・麗香が呟き、その隣にひっそりと立っていた三下・忠雄がコクコクと頷く。
 確かにそうかも知れないな‥‥‥そう言おうとして開かれた草間・武彦の口は、背後から聞こえたノックの音に閉じられた。
 ソファーに座る彼の背後は壁だが、今の草間興信所にはそこら中に扉がある。
 また誰か来るのかと思いつつ立ち上がり、扉を開けた瞬間‥‥‥‥中から無数の黒い影が飛び出し、興信所の扉や窓を突き破ると夜の町へと飛び出して行った。
「今の音は何ですか!?」
 台所から零2人と蓬莱が飛び出して来ると、興信所内の悲惨な光景を見てアングリと口を開ける。
 まるで竜巻に襲われたかのような興信所内に、集まった人々は面食らっていた。
「今のはなんだ?」
「何か変なものを見た気がするけれど‥‥‥」
 口々に囁きあう中、突然1つの扉から漆黒の髪を持つ美しい双子の姉弟が姿を現した。2人はまず、興信所内に集まっていた人の多さに驚き、次に沙耶と武彦に視線を向けると小さく溜息をついた。
「大変な事になってしまいましたわ、草間様」
「夢宮‥‥‥」
 双子の性は夢宮。名は、姉が美麗で弟が麗夜。夢と現の扉を司る2人の登場に、武彦の背筋が凍る。
「何が起きたんだ?」
「夢と現の世界より、封じられていた様々なものが飛び出して行ってしまいました」
「例えば誰かの夢に現れた殺し屋」
「例えば裏の現にいるゾンビ」
「例えば誰かの夢に現れた霊」
 例えば、例えば、例えば ――――― 延々と続く双子の言葉に、緊張が走る。無表情で言葉を続ける双子も怖いが、真剣に聞き入っている面々も怖い。
「お前達の力で何とかならないのか?」
「イヤですわ」
 キッパリとした拒否の言葉に、武彦は目を丸くした。
「どうして‥‥‥」
「わたくしどもは、この時期は何かと忙しいんですの。飛び出していったものを捕まえて入れなおす、その作業をしているだけの体力も時間もありません」
「そもそも、扉を開けたのは草間様、ですよね?」
 麗夜の意地の悪い視線に負け、武彦は唸りながらどうすれば良いのかを尋ねた。
「霊の類でしたら、願いを叶えれば消えてくれるはずですが、攻撃的なものは倒さなくてはなりません」
「魔物も倒さなくてはなりません。ちなみに、俺達が把握している外に出て行ってしまったものは‥‥‥」
 殺し屋、ゾンビ、能力者の影、美少年コレクターの霊、腹ペコの霊、美少女ばかり誘拐する霊、吸血鬼。
「‥‥とりあえず、そいつらを倒すなり消すなりしてからパーティを再開するか」
 武彦が腰を上げ、それぞれの得意分野を踏まえたうえで指示を出す。武彦の指示など素直に聞くのかと一瞬不安になるが、意外にも皆素直に指示に従った。
 殺し屋にはファング、ゾンビにはギルフォードとマッハ、能力者の影には鬼鮫と萌、腹ペコの霊には蓬莱と零、吸血鬼にはエヴァ・ペルマネントとスノー。
「それで、美少年コレクターの霊だが‥‥」
 一同の視線が一斉に陽一郎に向けられる。何かを反論しようと口を開きかけた陽一郎だったが、直ぐに諦めたように溜息をつくと「分かった」と頷いた。
「美少女好きの霊には‥‥」
「私が行こうか?」
 名乗りを上げた萌を一瞥し、武彦はあえてその発言を流すとアリアにその役を頼んだ。彼女も確かに美少女ではあるのだが、少々胸元が‥‥‥。
「早く片付けて、パーティを再開しましょう」
 麗香がそう言ってソファーに座ると、脚を組んで踏ん反り返った‥‥‥女王様気質の彼女は、グチャグチャになった興信所内を片そうと言う気すらないらしい‥‥‥。


◇ ★ ◇


 クルクルと巻かれた毛先を揺らし、アレーヌ・ルシフェルは青色の瞳を細めると瞳の色と同じリボンを少しだけ弄った。
「お話は分かりましたわ。勿論協力して差し上げても宜しいのですけれど‥‥‥」
 チラリとアリアに視線を向け、頭の先から爪先までをジーっと観察する。
 眩いほどに白い長く美しい髪に、透き通ったグリーンの瞳。肌は白磁のように皇かで、華奢な体型は実に女の子らしい。
「あの‥‥‥私が何か‥‥‥?」
 無表情さは機械のように冷たくもあるが、それはそれで彼女を孤高の存在に高めているようでもある。
 はっきり言って、アリアは可愛らしい。可愛いと言うよりは美人と言った方が適切かもしれないが、とにかく整った顔立ちをしており、男女どちらからの支持も得られそうな外見をしている。
「誰か他にも連れて行っても良いのかしら?」
「え? あぁ‥‥‥別に好きにすれば良い」
 武彦が煙草に手を伸ばしながら頷く。
 それならと周囲を見渡し、桃・蓮花と目が合う。大きな瞳をパチリと瞬かせ、小首を傾げた彼女は「アレーヌだけでも十分大丈夫でしょう?」と言っているようにも見える。
 確かに、アレーヌは弱くはない。剣の腕はたつ方だと思っているし、たかだか美少女好きの霊なんて言う、強いんだか弱いんだか ――― おそらくは弱いとアレーヌは踏んでいる ――― 分からない相手にやられるような事はないだろう。
 しかし、なにしろ相手は“美少女好きの霊”なのだ。アリアはアレーヌから見ても美少女だし、彼女に囮をやってもらうつもりだが‥‥‥美少女二人組みでは、いささか心配な気がする。美少女にだけ効く特殊な能力なんていうものを持っているかも知れない。
「三下さん、当然ご一緒してくださるわよね?」
 アレーヌの呼びかけに、三下がビクリと震える。 いつもビクビクしているのでさして変わりはないようにも見えるが、彼のアレーヌに対する反応は麗香に対する反応と似ている部分がある。
「ぼ、僕ですかぁ〜!?」
 世にも情けない声で小さな抵抗をする三下。
 実は彼、アレーヌが苦手なのだ。 ――― と言うより、誰だってナイフ投げの標的にされれば嫌いにもなるだろう。
 いくらアレーヌがサーカス団に所属していると言っても、彼女の専門は空中ブランコだ。
「さぁ、早く行かないと霊が逃げてしまいましてよ!」
 イヤイヤをする三下を無理矢理連れ出し、アリアにも声をかけて興信所を後にする。
「大丈夫かな、あの三人」
「人の心配なんてしてる暇、あるかしら?」
「そうだね。きっとこっちはエヴァが足を引っ張るだろうし」
「ユーがの間違いじゃないかしら?」
 蓮花とエヴァの口喧嘩の真ん中に立たされ、スノーが小さく溜息をつく。
 ――― 蓮花のことだから大丈夫でしょうけれど、彼女には同情しますわ
 二人が犬猿の仲だと言うことをどこかで聞いた事があるアレーヌは、色白の少女に“頑張れ”と言う気持ちを滲ませた視線を送ると、寒空の中に飛び出した。



 何処に行ってしまったのか分からない霊をコチラから探すのは手間だ。囮作戦ならいくらか時間を短縮できるだろうと提案し、アリアを人気のない公園に立たせるとそっと影から様子を見守る。
「霊なんて、ぼ、僕には無理ですよぉ〜!」
「静かになさい!」
 情けない声で最後の抵抗を試みる三下を一喝する。 囮作戦は、囮を見守るコチラが上手く動かなくては成功の見込みはない。
 北風に髪が揺れ、思わず身体を抱く。腕をさすれば、華奢な体つきのわりに豊満な胸が腕に当たり揺れる。
「場所を移動した方が良いのかしら。でも、あまり人通りの多いところに出ると‥‥‥」
 そう思案し始めた時、突然アリアの背後に誰かが立った。 気配のなさと、あの素早さから言って、人であるはずがない。
「ひぃぃっ!!」
 喉の奥で押し殺した悲鳴を上げ気を失いそうになる三下だったが、沙耶の力が及んでいる今、直ぐに倒れると言うことは出来ないようだった。より長く恐怖が続く分パニックに陥りそうになっているが、彼をフォローしている時間はない。
「かかりましたわね、覚悟なさい!」
 金色に輝く刃と、炎を纏った不死鳥の翼をイメージした鍔と ――― 灼熱のレイピアが街灯の光りを鋭く跳ね返し、アレーヌが一気に霊に近付くと振り下ろす。
 近くにアリアもいたため、かなり手加減をしたのが悪かった。霊がアリアを抱き、さっと飛び退く。腕の中でグッタリしている彼女に意識はない。
「さぁ、かかってらっしゃい!アリアさんは渡さなくってよ!」
 挑発的な言葉を吐いたアレーヌを尻目に、ふくよかな体型の霊は満足げな表情でアリアを見下ろすと、もうここに用はないとばかりに驚くほどのスピードで夜の街に溶け込んで行った。
 レイピアを構えたまま硬直したアレーヌの背後から、危機を脱した事を悟った三下がノロノロと近付くと思案顔で夜空を見上げる。
「行っちゃいましたね。アリアさん、大丈夫でしょうか‥‥‥」
「手荒な事はしないとは思いますわ。でも‥‥‥」
「でも、良かったです。アレーヌさんが対象外で。だって、アレーヌさんまで連れて行かれたら僕一人‥‥‥」
 カッ!と頭に血が上る。 咄嗟に三下を張り倒し、仁王立ちになるとキッ!と睨みつける。
「良いこと!?わたくしはあの方以外から見れば十分美少‥‥‥」
 言葉が途切れる。 尻餅をつき、あいたたたとお尻をさすりながら必死に眼鏡を探す三下の顔を、思わず両手で掴む。
「あなた、どうしてその素顔を隠していたの!?」



 イヤです、無理です、勘弁してください。 そんな台詞を全て受け流し、アリアのために我慢しろと説き伏せながら興信所まで引っ張ってくると、武彦にお願いしてメイク道具と女物の服を借りた。
 ちなみに彼の名誉のために断っておくが、コレは彼の私物ではなく、興信所の備品だ。探偵と言う仕事上必要だから置いてあるに過ぎない。
 零や草間の娘にも手伝ってもらい、メイクを施し、長いカツラを被せる。体型を誤魔化せるからと言って、いつの時代のものとも知れないワンピースを取り出してくると着せる。
 肩の部分が膨らんでる分肩幅は誤魔化せるし、腰周りもコルセットで締め上げられるし、足は長いスカートに隠れてしまうので分からない。確かに体型は隠せているが、浮世離れしている感は否めない。
「ぜ、絶対バレますってー!バレたら、バレたら‥‥‥」
 クラ〜っと、再び倒れそうになる三下だったが、やはり気を失えない。ある意味拷問だ‥‥‥。
 先ほどとは違う人気のない公園の真ん中に立たせて様子を見守るアレーヌ。その瞳には灼熱のレイピア以上に強い炎が宿っている。
 アリアの時は寒さに震えていたが、今は体の中から火照ってくるような錯覚を受ける。
 ――― わたくしに屈辱を与えるなど‥‥‥絶対に許せしませんわっ!
 唇を噛んで耐えること数分、三下の背後に黒い影が立った。 鈍い三下は背後に霊が立っているのにも気づいていない様子で、ブツブツと文句を言っているようだ。対する霊は三下の外見に見とれているらしく、周囲を警戒している素振りはない。
 ――― 失敗は繰り返しませんわ!
 大声は出さず、大きな音は出さない。そっと忍び寄るように背後に立つと、レイピアを振り上げて息を吸い込んだ。
「三下さん、避けなさい!」
「え? え‥‥‥えぇぇえぇぇっ!!!??」
 レイピアから吹き出る炎が霊を襲い、やや力を入れすぎてしまったために三下の元まで炎が這い伸びる。
 慌てて体を捻った三下が地面に倒れこみ、前髪をチリリと焦がしただけでなんとか事なきを得る。 炎に包まれた霊がジーっとアレーヌを見つめ、ふぅと溜息を吐くと肩を竦めた。
「やっぱ、気の強そうな女はダメだな。その子とか、さっきの白髪の子みたいな、可憐でか弱げで儚い感じがないと、全然もえ‥‥‥」
「燃え消えなさいっ!!」
 さらに追加の攻撃を繰り出し、霊がすいっと消え去る。 目を丸くした三下がポカンと口を開けており、アレーヌは慌てて髪を整えてレイピアを仕舞うと、マジマジと三下を見下ろした。
 パッチリとした黒の瞳と、腰まである長い黒髪、オドオドとした表情に、長い睫 ―――
「あ、あの‥‥‥僕が何か?」
 三下とアリアの台詞が被り、二人の顔がダブル。 確かにどちらも可憐でか弱げで儚い感じがするが‥‥‥
「何でもありませんわっ!」
 たかが一人の霊がそう言っているだけですわ!と自分を勇気付けるものの、嫉妬の炎は延焼し続けるのだった。


◆ ☆ ◆


 霊の元に集められていた美少女を解放し、自力で興信所まで戻って来ていたアリアに怪我の有無を尋ね、霊のその後を説明した後で、折角の記念だからと嫌がる三下を無理矢理並ばせると写真を撮る。女装版三下とアリアの横に立つ自分は、やはり二人に見劣りしない美しさだと確信する。
 エヴァとスノーと共に吸血鬼退治に行っていた蓮花と、ゾンビ退治に行っていたギルフォードとマッハが戻ってくる。皆一様に疲れたような顔 ――― 特にスノーとエヴァの疲労が濃いようだ ――― をしているが、何があったのだろうか?
 心なしか、エヴァと蓮花の犬猿コンビも少しだけ仲良くなっているようにも見える。
 ――― 何があったのか、あとで蓮花に訊いてみましょう
 任務を完了させた人々が帰還し、最後に殺し屋退治に行っていたファングが帰って来ると、宴会の再開となった。
 蓬莱と零がから揚げの乗ったお皿を持ってきて、草間の娘が空いた皿を台所まで持って行く。 雫と麗香と三下がなにやら熱心に話しており、阿部・ヒミコと影沼・ヒミコが碧摩・蓮を相手にポソポソと喋っては時折控えめな笑い声を上げる。
 歌姫の歌声に恵美と響・カスミが聞き入り、嬉璃と柚葉、天王寺・綾のあやかし荘トリオが桂を相手に遊んでいる ――― と言うか、困らせている ―――。どこからそんな話になってしまったのか、エヴァと萌がどちらが美しいかと言う話題で盛り上がっており、ギルフォードが、アリアやスノーの方が可愛いし綺麗だと言ってしまい、悲惨な状況に陥っている。が、誰も助ける気はないらしく、鬼鮫とファングは静かにお酒を飲んでいる。
 マッハにモリガン、ネヴァンのアスガルドチームは出された食べ物を興味津々で眺めており、アリアに促されるままに口に運んでいる。詠子と陽一郎は思い出したように時折口を開いては取りとめもない話に興じているらしい。夢宮姉弟は沙耶相手に熱心に喋っており、時折「誰も気づかなかったようですわね」や「これで良いのです」と言うような言葉が漏れ聞こえてくる。蓮花がたまに三人に視線を向けると何かを考え込むように唇を噛む。
「ルチルアちゃんにお任せ〜!」
「待て!おいっ!待てったら!」
 ルチルアちゃんお手製薬草シチューと言う名の兵器を生み出そうとする金髪ツインテール少女を必死に止める黒崎・潤。 何を騒いでいるんだとマッハが声を荒げ、ルチルアちゃん兵器が生み出されそうだとの答えに潤の味方に回る。どんな兵器なのか興味津々の鬼鮫と萌に、ネヴァンが一生懸命たどたどしいながらも説明を入れる。
「こんな楽しい宴に出られて良かったね、陽一郎」
「‥‥‥騒々しいの間違いだろう?」
「そうかな?陽一郎、凄く楽しそうだよ」
「わたしが?」
 自分で分かってないんだからなーと、クスクス笑う詠子に、陽一郎の顔が微かに歪む。雫がどこからか人生ゲームを取り出し、床に広げる。やりたい人を集めてペアを作るとサイコロを振る。雫とペアになった草間の娘がコマを動かし、エヴァと萌のぺアがどちらがサイコロを振るかで少々もめる。
 賑やかな興信所内を見渡し、蓮花は時計を見上げた。もう少しで今日が終わり、明日 ――― 新しい年 ――― が始まる。
 恵美が腕時計に視線を滑らせ、あやかし荘チームがカウントダウンを始める。
「5‥‥4‥‥‥3‥‥‥2‥‥‥1‥‥‥」
「あけましておめでとうー!」
「あけましておめでとう!」
 おめでとうの言葉がそこかしこで花開き、興信所内が奇妙な一体感で包まれた時、蓮花がアレーヌの隣に立つと豊満な胸を揺らした。
「たまにはこう言うのも楽しいね」
「そうですわね」
「まぁ、年の終わりにあんな修羅場は経験したくはないけど」
「修羅場?」
 はぁっと溜息をついた蓮花が、首を振る。サイドの毛がそれにあわせて揺れ、エヴァと顔を見合わせると小さく頷く。
 ――― やはり何かあったようですわね
 エヴァの隣に行く蓮花の背中を見送りながら、アレーヌは目を閉じた。ざわめきの中、雫の高い声が一際大きく響く。どうやら興信所の中央で行われている人生ゲームはなかなか白熱しているらしい。
 泡沫の宴はあと数刻のうちに、幻のように消え去ってしまう。再び動き出す現実は、冷たく過酷なものかも知れない。けれど‥‥‥
「アレーヌさん、難しい顔をしていますけど、大丈夫ですか?」
 三下が不安そうな顔で恐る恐る声をかける。 やはりどこか怖がっているらしいその態度に少々ムっと来るものがあったが、今日の三下の働きに免じてその感情は押し殺す事にした。
「大丈夫でしてよ。少しだけ、考え事をしていただけです」
「今年は良い年になりますかねぇ‥‥‥」
「さぁ、どうでしょう。‥‥‥未来を切り開くのは、自分の力でしてよ」



END


□★◇★□★◇★□  登場人物  □★◇★□★◇★□

【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】


 6813 / アレーヌ・ルシフェル / 女性 / 17歳 / サーカスの団員 / 退魔剣士【?】


 7317 / 桃・蓮花 / 女性 / 17歳 / サーカスの団員 / 元最新型霊鬼兵


■☆◆☆■☆◆☆■  ライター通信  ■☆◆☆■☆◆☆■

お届けが遅くなりまして申し訳ありません
今まで書いた中で一番NPCが登場したお話だと思います‥‥‥
アレーヌちゃんは口調に苦戦しましたが、許容範囲内でしたでしょうか?
高飛車なお嬢様と言うより、ツンとしているものの可愛らしい女の子を目指して書きました
三下君とのツインでは、彼が一方的にアレーヌちゃんを恐れているといたしました
この度はご参加いただきましてまことに有難う御座いました