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パズル/卒業式の……
□Opening
パズル好きの皆様へ。
次号掲載予定のパズルです。この問題、チェックも兼ねて解いてくださる方を募集しております。パズルの回答は、メール、FAXにて受け付けております。また編集部へ直接訪問していただいても構いません。
このパズルは本当に解けるのか。その場合の答えは?
パズルの難易度は?
ご意見などもお聞かせください。
よろしくお願いします。
パズル雑誌『机上の』編集部・水戸ススム
次号掲載予定パズル
<ここから>
私立徳川パズル学園の卒業式は少し変わっています。卒業生が一組から五組まで順番に出し物を披露するのです。その際、舞台に花を飾るのですが、薔薇・コスモス・ガーベラ・スイートピー・チューリップとクラスによってばらばらです。
今年も、卒業式の季節です。
徳川パズル学園では、今年、どの組がどんな出し物を披露するのか、またその際の舞台に飾る花はそれぞれどう言うものか、考えてみてください。
なお、分かっているのは以下の通りです。
・出し物は合唱・寸劇・漫談・仮装・踊り。
・二組は合唱をする。
・五組はコスモスを舞台に飾る。仮装ではない。
・三組はガーベラを舞台に飾る。
・チューリップは奇数組の演目で飾る。
・踊りは寸劇のすぐ後の演目で薔薇を飾る。
<ここまで>
■01
んっ、と、椅子に座ったままで背伸びをして、シュライン・エマは目を閉じた。力の入っていた身体が伸びるのは気持ちが良い。
「さて、少し休憩しますか」
仕事が一段落ついたので、机の上の資料を片付け立ち上がる。
言葉通り、少し休憩しよう。珈琲を淹れてパズル雑誌を手に取った。
外は寒い風が吹いているけれど、事務所の中はそうじゃない。珈琲を飲むと身体の中から温まる。
シュラインは、お菓子をつまみながら雑誌をめくり、ほくほくと休息を満喫していた。
「あら? 次号掲載予定のパズル……」
ふと、挟み込まれたチラシに目を止める。それには、次号掲載予定のパズルについてのお願いが書かれていた。解いてみるのも、面白いかもしれない。
ざっと目を通し、シュラインはメモ帳を取り出した。
■02
まずは、順番通りに組を書き、その下に出し物と花の欄も作る。
┏━┳━┯━┯━┯━┯━┓
┃□┃一│二│三│四│五┃
┣━╋━┿━┿━┿━┿━┫
┃合┃□│□│□│□│□┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃寸┃□│□│□│□│□┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃漫┃□│□│□│□│□┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃仮┃□│□│□│□│□┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃踊┃□│□│□│□│□┃
┣━╋━┿━┿━┿━┿━┫
┃薔┃□│□│□│□│□┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃コ┃□│□│□│□│□┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃ガ┃□│□│□│□│□┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃ス┃□│□│□│□│□┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃チ┃□│□│□│□│□┃
┗━┻━┷━┷━┷━┷━┛
「さて、と」
表を作り終えたシュラインは、問題文を追った。
二組の合唱と五組のコスモス、三組のガーベラはすぐに埋まる。まず、問題文に沿って埋めていくのはセオリーだ。すらすらと表に○×を記述して行く。決定している欄には○、その縦横の列には×を記述すると非常に分かりやすい。その他に、五組は寸劇・漫談・踊りの可能性があるので、それも追記した。
┏━┳━┯━┯━┯━┯━┓
┃□┃一│二│三│四│五┃
┣━╋━┿━┿━┿━┿━┫
┃合┃×│○│×│×│×┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃寸┃□│×│□│□│△┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃漫┃□│×│□│□│△┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃仮┃□│×│□│□│×┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃踊┃□│×│□│□│△┃
┣━╋━┿━┿━┿━┿━┫
┃薔┃□│□│×│□│×┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃コ┃×│×│×│×│○┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃ガ┃×│×│○│×│×┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃ス┃□│□│×│□│×┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃チ┃□│□│×│□│×┃
┗━┻━┷━┷━┷━┷━┛
後は、順番に可能性をつぶしながら検討して行くだけ。シュラインは、問題文と表を見比べくるりとペンを回す。まず、チューリップは奇数組と言う問題文、これは、残った奇数組一組しかないのでチューリップは一組で決まり。
「踊りは寸劇のすぐ後、かつ薔薇と同じ組だから、条件が合うのは四組ね」
まだ温かい珈琲を口に含み、条件を一つ一つ吟味する。
踊りは寸劇のすぐ後と言う事は、寸劇の後には少なくとも一つ以上の出し物がある。同じように、踊りの前には必ず一つ出し物があるのだから、寸劇は最後ではないし、踊りが一番最初ではない。また、二組は寸劇の可能性が無いので、その次の三組は踊りじゃない。これに加えて、踊りの組は薔薇を飾るのだから、薔薇の可能性のない五組は踊りではない。
単純に条件にあわせて○×を付けるところから一つ進んだ検討をし、踊りは四組となる。
ここまで来ると、後は機械的に残った欄を埋めて行けば良い。
結果、必然的に三組が寸劇、五組は漫談、残りの仮装は一組となる。そして、スイートピーは最後に空いている二組、で完成だ。
┏━┳━┯━┯━┯━┯━┓
┃□┃一│二│三│四│五┃
┣━╋━┿━┿━┿━┿━┫
┃合┃×│○│×│×│×┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃寸┃×│×│○│×│×┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃漫┃×│×│×│×│○┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃仮┃○│×│×│×│×┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃踊┃×│×│×│○│×┃
┣━╋━┿━┿━┿━┿━┫
┃薔┃×│×│×│○│×┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃コ┃×│×│×│×│○┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃ガ┃×│×│○│×│×┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃ス┃×│○│×│×│×┃
┠─╂─┼─┼─┼─┼─┨
┃チ┃○│×│×│×│×┃
┗━┻━┷━┷━┷━┷━┛
表が綺麗に完成し、シュラインは一人頷いた。
「纏めると、一組・仮装・チューリップ、二組・合唱・スイトピー、三組・寸劇・ガーベラ、四組・踊り・薔薇、五組・漫談・コスモスね」
今回は、解き易い問題だったと思う。
「今、メールで送っちゃおうかな」
そうして、簡単に感想等も付け加え、編集部にメールを送信した。
□Ending
「おー、来た来た。頼みますよぉ」
ある日の夕方、パズル雑誌『机上の』編集部のデスクのパソコン前で、水戸ススムは手もみをしながら嬉しそうに呟いた。
電子メール受信数(2)の文字に、期待を膨らませてダブルクリックする。
「何何? 水戸クン、面白い事あった?」
「あ、編集長、おはようございます。次の号のパズル、試し解きしてくれた人からメールが届いたんですよ」
パズルを作ったのは、編集長である徳川タカシなので、水戸の後ろから声をかけた徳川もなるほどと興味深くメールを読んだ。
「最初は、シュラインさんからですね。きちんと表にして解いてくれたようですよ。あー、順番について戸惑った……?」
「なるほど、どのクラスがどのタイミングで披露するか、順番まであてると言う印象」
「これは、ある意味面白そうですね。一組が何番に出し物を披露するかまであてるとなると、良い感じに頭が混乱するんじゃないでしょうか」
シュラインから送られてきたメールを読みながら、その可能性について検討を重ねる。今回のパズル難易度は変えられないので、次回以降のネタに繋がるかもしれない。
「こちらの、えーとこれは、『Flower shop K』の鈴木さんからも来てますよ。あ、お客様が解いてくださいました、と。あはは。鈴木さん自身の回答は無しですか。こちらも、面白いですよ」
水戸の言葉に、徳川も頷く。
「五組の出し物は途中まで複数の可能性があるが、これが別の組や花も複数可能性を持たす事ができれば、か。うん、それは難易度が跳ね上がるな」
そうですよねと、満足げに唸っていた水戸だが、画面を少しスクロールしてぴたりと固まった。
「あ、追伸、正解なら粗品でもあるんでしょうか、ですって」
「水戸クン、丁度良いじゃないか、アレ、送ってあげなよ。お礼も兼ねてさ」
徳川の後押しに、水戸はほっと笑顔を覗かせる。パズルの難易度は、易しいと表記して問題ないだろう。また、回答を送ってくれた両名ともきちんと正解を言い当ててくれた事で、パズルに破綻が無かったのだと胸をなでおろす。
編集者二人は、届いたメールの内容を吟味し、次号へ向けて編集を開始した。
後日、『机上の』編集部から郵便が、シュライン宛の封筒は興信所に、冥月宛の封筒は『Flower shop K』に届けられる事になる。
その中には簡単な礼状とパズラーの証と書かれたブルーのカードが封入されていた。
<End>
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧)
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
【0086 / シュライン・エマ / 女性 / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【2778 / 黒・冥月 / 女性 / 20歳 / 元暗殺者・現アルバイト探偵&用心棒】
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■ ライター通信
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この度は、ノベルへのご参加有難うございます。久しぶりのパズルの依頼でしたので、答が届くまでどきどきしながら待っていました。回答も解き筋もほぼ同じなのにやはり少し違うと言うところもありますので、他の方の解き方も是非見てみてください。
□部分は集合描写、■部分は個別描写になります。
今回は、明確に繋がる時間ではないので、■部分の時系列数字が複数存在します。
■シュライン・エマ様
こんにちは、いつもご参加有難うございます。正解おめでとうございます。
パズルの雑誌を休憩時間のお供に、と言うのが、すごくパズルの楽しみ方として良いなーと思いました。適度に脳を使い適度にリラックス。良いですね。
それでは、また機会がありましたらよろしくお願いします。
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