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<東京怪談ノベル(シングル)>


BLUE CONCORDE


 日本のミュージックシーン広しといえども、女性ロックバンド『スティルインラヴ』の全国ツアーは特に注目を浴びている。そんな中、ツアータイトルに採用された『BLUE CONCORDE』と同名の新曲がリリースされることとなった。


 ……という風に雑誌やインタビューで簡単に表現されると、作詞担当のマキはなんともいえない疲労を感じてしまう。
 実はこの曲、何の前触れもなく急遽作ることとなったらしい。詳しい事情は秘密にされているが、完成までにかかった時間が最短だったそうだ。作詞・作曲はもちろんのこと、編曲などもメンバーが一丸になってがんばったとマキは振り返る。ツアータイトルの名を冠している以上、なんとしてもツアー開始にまでは間に合わせる必要があったのだ。

 初日に披露した時点ではメンバーもまだ手探りの部分もあった。シングルの収録はツアーの合間を縫って行われる予定で、お披露目から少し間を置く形になっていたらしい。その間に曲を調整することもできた。しかし、メンバーはあえて手を加えずにシングルの収録に挑んだ。

 理由はある。ライブでの受けが非常によかったのが、そのひとつだ。
 特にファンからは『いい意味でシングルリリースされることを意識していない。今までにないスティルの雰囲気がする』と評判だった。ヴォーカルはおなじみさんだが、バックコーラスが今までにない組み合わせがいくつも存在する。実際にはできたてホヤホヤのヴォーカル部分のメロディーをメンバーが聞いて、合わせられるところを片っ端から合わせただけなのだ。だからコーラスの層が厚いところと薄いところがある。もちろんある程度のバランスは取ったが、いつもの手順で行ったわけではないので印象はずいぶんと違うだろう。
 そんな状況の中で生まれたこの曲をいつもの味付けにしてしまうのはもったいない……マキはそう思い、メンバーに初日のヴァージョンを完成としようと提案した。それはすんなりと受け入れられた。 「この作品は現在のスティルインラヴを語る上で重要な意味を持つ」
 「こんなアプローチでも満足のいく曲は作れたことは、今後バンドにとって自信になる」
 その結果、シングルは不思議とライブ感あふれるものになった。ちなみにタイトルからギター担当の名前を連想したため、ふんだんにギターソロが盛り込まれた編曲がされている。


■BLUE CONCORDE 


 見えるかい? 自然のコントラスト
 瞳が映す 豊かなメロディー
 さあ、今だ! 飛び立つのはいつでも
 熱い気持ちで エンジン全開!

 空を飛ぶ 白い雲といっしょに(SKY BLUE SKY)
 無限の世界 駆け抜けていく
 広がるのは 澄んだ青い水面(BLUE SEA BLUE)
 果てしない旅 いつもいつまでも

 赤く青く暗く 時には輝いて
 この空はすべてを包むよ
 Let's go! BLUE CONCORDE 抱かれる腕の中
 目指すのは はるか地平線
 黄色い太陽が道しるべ


 見えるかい? 光の闇のダンス
 瞳が映す 豊かなメロディー
 いつもほら 旅立てるよいつでも
 熱い鼓動で エンジン全開!

 宇宙(そら)を舞う 流れ星とともに(BRIGHT SPACE BRIGHT)
 夢幻の世界 駆け巡っていく
 広がるのは きらめく星の光(SPACE FLY SPACE)
 限りない瞬間(とき) いつもいつまでも

 青く緑の地球 悠然と見下ろして
 この惑星(ほし)はいつも回ってる
 Let's go! BLUE CONCORDE まるで桜のよう
 星々の注目を浴びて
 白い翼を照らしてくれる(BLUE BLUE BLUE)


  速さを肌で感じてる……
  ただ前だけを見つめている……
  目的地なんて決めてない……
  飛び続ける いつまでも熱いまま この鼓動


 赤く青く暗く 時には輝いて
 この空はすべてを包むよ
 Let's go! BLUE CONCORDE 抱かれる腕の中
 目指すのは はるか地平線
 黄色い太陽が道しるべ(BLUE BLUE BLUE)

 青く緑の地球 悠然と見下ろして
 この惑星(ほし)はいつも回ってる
 Let's go! BLUE CONCORDE まるで桜のよう
 星々の注目を浴びて
 白い翼を照らしてくれる(BLUE BLUE BLUE)


  速さを肌で感じてる……(BLUE BLUE BLUE)
  ただ前だけを見つめている……(BLUE BLUE BLUE)
  目的地なんて決めてない……(BLUE BLUE BLUE)
  飛べないところなんてどこにもない……


 マキはこの曲のタイトルが作品よりも先にあることを知っていた。知っているのにも関わらず、歌詞にここまでカラフルな彩りを選択したのには意地にも似たこだわりがあった。この曲は全員で作るのだから、全員分の色を象徴する言葉を織り込みたい。バンドみんなのものとして、そしてファンも巻き込んだものにするため、あえて一人称のない歌詞にした。もしかしたらそのこだわりが、すべての調和を生み出したのかもしれない。