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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


アイドル護衛 (前編)

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OPENING

今、異界で大人気のアイドル。
彼女の名前は、リュシル。
人間と獣人(妖)のハーフである彼女は、
種族を問わず、人気を誇っている。
その勢いは増すばかりで、衰える予感は一切しない。
今宵も、満員御礼。
リュシルのライブイベントが開催される。

オーディエンス…ファンは男ばかりで、むさ苦しい。
ライブハウスは、熱気ムンムンだ。
そんなライブハウスの中、壁に凭れて煙草をふかすディテクター。
(あぁ…臭い…帰りてぇ…)
そう、ディテクターも、リュシルのファン…なワケがない。
仕事。リュシルの護衛が、今回の彼の仕事だ。

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友人に貰ったライブチケットを手に、
会場に足を運んだ シュライン・エマ。
テレビやラジオ、新聞や雑誌…あらゆるメディアで報じられる、
異界で今、大人気のアイドル、リュシル。
シュラインは、彼女のファンである。
とはいえ、熱狂的なファン!というわけではない。
とても可愛らしいリュシルが、お気に入りなのだ。
ワクワクしながら会場へ入っていくシュライン。
会場は当然のごとく、男性ファンばかり。
その大半が、自作のうちわを持ってリュシルコールをしている。
(私も作ってくれば良かったかなぁ)
クスクスと笑うシュライン。
そこへ、声が掛かる。
「何してんだ」
ポンと背中を叩かれて、ん?と振り返るシュライン。
そこには、ディテクター。
「あら。探偵さんもファンなの?」
笑ってシュラインが言うと、ディテクターは肩を竦めて、
「んなワケねぇだろ。仕事だよ」
「ふぅん。ご苦労様」
「他人事って感じだな」
「だって、私はファンだもの」
「手伝う気ゼロか…」
「あはっ。冗談よ」
ライブを楽しみつつ、ディテクターの手伝いをすることにしたシュライン。
今回彼が請け負った任務は、アイドル・リュシルの護衛とのこと。
依頼人であるスタッフからインカムを受け取り、
それを装着して、シュラインは微笑む。
「何かあったら、すぐ報告な」
「はい、了解」
ディテクターとシュラインは、それぞれ別の持ち場へ向かう。
二人が持ち場に到着すると同時に、フッと会場が暗くなる。
照らされるステージ。いよいよ、リュシルの登場だ。
ポップなBGMに乗って、可愛らしく登場するリュシル。
彼女が客席に投げキッスを飛ばす度、
オーディエンス…ファンは雄叫びをあげる。
(んー。やっぱ可愛いわぁ)
生リュシルを見て、自然と笑んでしまうシュライン。
『楽しんで行ってねー!みんなっ☆』
リュシルの言葉と同時に、ライブがスタート。


ライブ最中、やはりというか何というか、
テンションの上がりすぎたファンが何人か、おかしな行動を取り出す。
ステージに登ろうとしている迷惑ファンを見つけると、
舞台袖で観客席を監視していたシュラインは、すぐさまディテクターに連絡。
「最前列右側の二人、ステージに登ろうとしてるわ」
『了解』
シュラインから報告を受け、ディテクターはすぐに対処。
とっ捕まったファンは、問答無用で摘み出される。
以降も、同じ手順で二人は見事なチームワークを発揮。
少しでも、おかしいと思ったら、すぐに報告。
客席だけでなく、天井や床、機材、そしてリュシルにも注意を払う。
任務を遂行しながらも、シュラインはライブを楽しむ余裕を忘れない。
(あ。この曲好きなのよね)
時折、インカムから鼻歌が聴こえてくることに、
ディテクターはクックッと笑った。

二人の活躍で、ライブは無事に終了。
ファンも大満足なようで、中には男泣きしている熱狂的ファンもいる。
舞台袖に足を運び、シュラインと合流するディテクター。
二人は、インカムを外して「お疲れ」と労いの言葉を掛け合った。
と、その時。ステージから降りて、楽屋へと向かうリュシルと接触。
スタッフから、二人が護衛にあたっていることを聞かされていたリュシルは、
尻尾を揺らしながらペコリと頭を下げて、感謝を述べる。
疲労から、少しクタッとしている犬耳、ふわっふわの尻尾…。
人間と獣人のハーフであるリュシルのチャームポイントだ。
(可愛いぃぃ…)
シュラインはキューンとしつつ、
リュシルにタオルと飲み物を渡して「お疲れ様」と告げた。
パタパタと楽屋へ戻っていくリュシルの背中を見つつ、うっとりしているシュライン。
ディテクターはクックと笑いつつ、シュラインに言った。
「ヨダレ出てるぞ」
「!!嘘っ」
慌てて口元を押さえるシュライン。
「嘘だよ」
ディテクターの言葉に、
シュラインは頬を膨らませて彼の背中をパフッと叩いた。



あとは報酬を受け取って、IO2に報告。
それでようやく、今回の任務は完了となる。
人気アイドルの護衛というだけあって、報酬は凄い。
額を聞いてシュラインは驚いたが、
まぁ、それも当然かと微笑んだ。
依頼人であるスタッフから報酬を受け取ろうと楽屋付近を目指す二人。
客席だけでなく、舞台裏もまだ熱気冷めやらぬ状態だ。
良い雰囲気だなぁと思いつつ歩く二人だったが、
次第に、何かがオカシイ…と思いだす。
スタッフ達が、落ち着きなく駆け回っているのだ。
ライブ終了後も色々とやることはあって、忙しいものだが、
スタッフ達の表情を見るからに、それだけではなさそう。
「何かあったのかしら?」
「かもな」
ディテクターは、状況を把握しようと、
右往左往しているスタッフの一人に声を掛ける。
「おい。どうした。何かあったのか?」
ディテクターの言葉に、スタッフは涙目で、こう返した。
「どうしたもこうしたも!リュシルがいないんですよぉっ!」
「………」
「えぇっ?」
スタッフの言葉に驚く二人。
リュシルとは、ほんの五分前、舞台袖で言葉を交わしたばかりだ。
スタッフの話によると、
楽屋に戻ってこないリュシルを、スタッフ総出で探しているとのこと。
けれど、一向に見つからない。
誘拐されたのでは…と皆、気が気じゃない様子だ。
シュラインは神妙な面持ちでディテクターに言う。
「うん。気にはなってたのよね。アイドル護衛を、どうしてIO2に依頼したのか…」
ディテクターは苦笑し、何か手掛かりはないかと楽屋に入っていく。
たかが、といっては何だが、アイドル護衛を依頼するのであれば、
それなりに腕に覚えのあるツワモノに頼んだほうが、
手間もコストもかからない。
それなのに、スタッフはIO2に依頼した。
報酬から見ても、巨額な依頼金を支払っていることは確かだ。
そこまでする必要性。
そこらのツワモノでは手に負えないような自体になりうることを想定して、
IO2に依頼したのかもしれない。シュラインは、そう思っていた。
ディテクターに詳細を聞きつつ、
シュラインもリュシルの捜索にあたる。

一体、リュシルはどこへ…?


(後編に続く)

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

0086 / シュライン・エマ / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員

NPC / ディテクター(草間・武彦) / ♂ / 30歳 / IO2:エージェント(草間興信所の所長)

NPC / リュシル・ファートン / ♀ / 17歳 / 異界で大人気のアイドル


■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは!毎度さまです。
発注・参加 心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです。
続きは、後編で^^

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2008.02.27 / 櫻井 くろ(Kuro Sakurai)
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