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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE 初任務

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OPENING

「うへぇ。ガルカスの討伐かぁ…キツいんじゃねぇか?」
渡された依頼書を見つつ、頭を掻いて笑う海斗。
梨乃も依頼書を覗き込み、神妙な面持ちだ。
不安がる二人を見つつ、マスターはファッファと笑い言う。
「何の。このくらい余裕じゃろうて」
「そーかなぁ」
「寧ろ、余裕じゃないと困るわい」
「んー。まぁ、そーだけどな」
笑いながら依頼書を懐にしまうと、海斗は時計を確認。
そして梨乃と顔を見合わせ頷き、マスタールームを後にする。

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「遅いなー」
欠伸をしつつボヤく海斗。梨乃は本を読んでいる。
二人が待っているのは、ミリーシャとミグ。
彼等にとって今日は、INNOCENCEでの初任務だ。
初任務ということで、万が一の為に海斗と梨乃が同行する形となる。
念には念を。マスターの配慮だ。
暫くすると、エンジン音が近づいてきた。
レトロなデザインの車を運転しているのは、ミリーシャ。
助手席には、ミグが座っている。
現場は、山間部にある廃墟と化した駅。
駅の中に洞窟があり、その中に潜んでいるガルカスという魔物を討伐することが、初任務の内容だ。
山間部なだけあり、道が悪い。
ガタガタと揺れる車内から、ブンブンと手を振る海斗を確認したミグは呆れて呟く。
「グルル…(訳:今日も馬鹿だな。あいつは)」

依頼内容についての詳細は、事前に二人から聞いている。
ミリーシャは、内容を把握した上で、準備してきたものを二人に渡した。
ドリンク剤と同じ大きさのガラス瓶。中には、ガソリンが入っている。
瓶を受け取り、海斗は感心した。
「用意周到だな。さっすがー」
討伐する魔物、ガルカスは炎に弱いと聞いた。
炎に関しては、火炎放射器を用意。
まぁ、炎のエキスパートというか、うってつけの人物もいるし、問題ないだろう。
炎を威力を高めるために、ガソリンを用意するのは、正しい判断だ。
「よっしゃー。んじゃ、早速行くかー!ガルカス覚悟ー!」
ノリノリで、先陣を切って洞窟へ入っていく海斗。
海斗についていきつつ、ミリーシャは無表情のまま呟いた。
「元気ね…いつも…」
「ごめんね。うるさくて」
梨乃は申し訳なさそうに笑う。



洞窟内はとても広く、ジメジメとした空気で満ちている。
いかにも、魔物が好みそうな環境だ。
辺りを警戒しつつ進む一行。
談笑を交わす余裕さえあったが、
それは突然、予想外の展開になったことで、すぐに緊張へと変わる。
少し開けた場所に到達し、様子を伺ってみると、
何と、そこにはガルカスが四匹生息しているではないか。
「…うそーん」
討伐対象が四匹だなんて聞いていない。
海斗は額に汗を滲ませて苦笑した。
四匹を相手にするとなると、慣れた海斗でも、正直ちょっとキツイところ。
「一度…引き返す…?」
「グルルル…(訳:うむ。それが良いだろう)」
ミリーシャとミグの提案に、海斗と梨乃は、すぐさま賛同。
足音を立てぬよう、そーっと、そーっと…引き返そうとした、その時。
ドテッ―
石につまずいて、海斗が転んだ。お約束…。
ギロリとこちらを見やるガルカス四匹。
「やっ…べぇ」
海斗はゆっくり立ち上がると、次の瞬間。
「逃げろーーーーー!!!!」
そう叫んだ。一斉に逃げ出す一行。
「もぉぉぉー…馬鹿ぁっ!」
逃げつつ梨乃は海斗に何度も馬鹿、という言葉を投げつけた。
ミリーシャとミグにいたっては、呆れて何も言えない状態のようだ。
一行は全速力で洞窟外へ逃亡。
ガルカスは完全夜行性で、深夜零時前は洞窟から絶対に出てこない。
だが、時刻は今、深夜零時一分を回ったところだ。
唸り声をあげ、一行を威嚇するガルカス達。
まとまっていては不利だと判断したミリーシャは、
タッと一人で駆け出し、近くにあった機関車(ボロボロだが)に身を潜めた。
ミグはミリーシャと反対方向へ駆け出す。
ふと目に入る、貨車に積まれた石炭。
「グルル…(訳:こいつは使えるな)」
ミグは不敵な笑みを浮かべた。
海斗と梨乃も、それぞれ別方向へ逃げ、身を潜めつつ作戦を練っている。
想定外の展開。それぞれが別々に作戦を立てて、うまくいくのだろうか…?

先ず一番に動いたのはミグ。
四匹いるガルカスの内、一匹に狙いを定め、瓶を投げつけた。
瓶が割れ、ガルカスはガソリンを浴びる。
そこへすかさず次の攻撃。口に石炭を咥えては、それを次々と投げつけていく。
暇を与えないミグの連続攻撃に、イラ立ち、
一際大きな唸り声を上げるガルカス。
「グルル…(訳:弱い奴ほど、よく吼える)」
ミグは不敵な笑みを浮かべて、背中に背負っていた火炎放射器の引き金を引いた。
ゴォォォッ―
燃え上がるガルカス。耳障りな唸り声は、どんどん小さくなっていき、やがて…消える。
消し炭となったガルカス。
ミグは同様の手段で、もう一匹ガルカスを手際良く始末した。
仲間を殺され、残り二匹のガルカスは、
それまでとは違う不気味な唸り声を上げた。
ミグはクックッと笑うように鳴きつつ、
ガルカス二匹を、貨車に誘い込む。
怒りから冷静さを欠いているガルカスは、
ミグの挑発にいとも簡単に乗り、
貨車の上で構えているミグを押し潰して、
ぺしゃんこにしようと勢い良く高くジャンプした。
「狼せんべいが出来るな」
ケラッと笑って言う海斗。
「笑えない」
梨乃は海斗を小突きつつ言った。
ミグは、自慢の足でガルカスの巨体を回避。
ガルカス二匹は、貨車にそのまま突っ込んだ。
それだけならまだしも、器用に挟まってしまい、身動きが取れない。
「グルル…(訳:今だ、撃てっ)」
ミグの合図に応じ、ミリーシャ、海斗、梨乃の三人は一斉に瓶をガルカスへ投げ、
海斗は自身の炎を宿した魔銃の、
ミリーシャと梨乃は火炎放射器の引き金を引く。
ゴォォォォッ―
響き渡る轟音と立ち昇る炎。
想定外の展開になったとはいえ、
ガルカス討伐任務は、成功だ。



任務を終えて、フゥと一息つく一行。
海斗は、初任務におけるミリーシャとミグの動きや判断力を手放しで褒めた。
「んー。さっすが。文句ナシ!だなっ」
梨乃は、すかさずツッこみを入れる。
「駄目だったのは、海斗だけね」
「うっさいな…ワザとじゃねーもん。アレは事故」
言い合いをしてはいるものの、満足そうな海斗と梨乃。
「グルル…(訳:やれやれ)」
「お疲れ…さま…」
ミリーシャは溜息を落とすミグの頭を撫でて労った。
ガルカス討伐から、およそ五分。
洞窟付近に、無骨な連中が次々と集まってくる。
海斗と梨乃にとっては、見覚えのある面子ばかりだ。
彼等は、IO2エージェント。
おそらく、マスターが後始末を頼んでおいたのだろう。
迅速に処理を開始するIO2の面々。
海斗は、ぶすっとした表情で、
「俺、先戻ってるわ。あいつに会ったら気分悪ィし」
そう言って、一人先に本部へと戻っていってしまう。
「……?」
「グル…(訳:あいつ…?)」
首を傾げるミリーシャとミグ。
「とりあえず、私達も本部に戻ろう。マスターに報告しなくちゃ」
梨乃は、ニコリと微笑んで二人に言った。

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【 整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業 】

6814 / ミリーシャ・ゾルレグスキー (みりーしゃ・ぞるれぐすきー) / ♀ / 17歳 / サーカスの団員・元特殊工作員

7274 / ー・ミグ (ー・みぐ) / ♂ / 5歳 / 元・動物型霊鬼兵

NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント

NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント


■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


こんにちは!
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
発注・参加 心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです。
INNOCENCEは、関連シナリオが幾つもありますので、
是非。また、ご参加下さいませ^^

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2008.02.27 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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