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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE 白亜の館

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OPENING

何とも満足そうな笑みを浮かべる海斗。
無表情ではあるものの、梨乃も、内心は非常に満足しているようだ。
二人は、見つけた”逸材”を、本部へと連れて行く。

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スカウトに応じ、INNOCENCEへの所属を了承した蓮。
海斗と梨乃に連れられ、組織の本部へと案内される。
本部は異界、森の中にある、とても美しい白亜の館。
周辺の黒いコウモリが飛び交っている様が、ミステリアスな雰囲気を増徴させる。
館を見上げ腕を組み、蓮は満足そうに微笑んだ。
「へぇ。綺麗な館だね」
「だろー?自慢なんだよね。ウチのウリ?みたいなさー」
フッフーンと勝ち誇って言う海斗。
自身の所属する組織を、海斗は心から愛しているんだなぁと思う蓮は、
淡く微笑みつつ、隣にいる梨乃をチラッと見やった。
バチリと交わる視線。梨乃は首を傾げて照れくさそうに微笑み返す。
蓮はクスクス笑って梨乃の頭を撫でると、優しい声で言った。
「館の美しさは、エージェントにも反映するのかな」
「へっ…あっ…」
キョトンとした梨乃だが、蓮が遠回しにメッセージを伝えていることに気付くと、
パッと視線を逸らし、困った表情で目を泳がせる。
「蓮、からかいすぎ。ぷぷ」
困惑する梨乃が可笑しくて、海斗は笑う。
自分には決して見せない、女の子らしい表情だ。
梨乃のこういう表情は、そう容易く見れるものではない。
そういう意味で蓮は、かなりの腕前だといえるだろう。

館内へ入り、蓮は「おぉ〜」と声を漏らした。
館は外観だけでなく中も真っ白。
ふっと気を抜くと気が遠のいてしまいそうなほどに美しい。
同じところを延々と歩いているかの感覚を覚えるが、
海斗と梨乃に案内されて、蓮は大きな扉の前へと辿り着いた。
二人が言うには、ここはマスタールームと呼ばれる部屋で、
中には組織の設立者であり最高責任者である『マスター』がいる、とのこと。
「ピシッとしといた方が良いのかな?」
笑いつつ襟を整える蓮。海斗はケラケラと笑い、
「ありのまんまでいーよ。取り繕ってもバレるしね」そう言って扉を開けた。
ゴゴォン…と低い音を伴い、ゆっくりと開く扉。
マスタールームと呼ばれる部屋もまた白亜の空間。
あちこちに紋章のようなものが刻まれている空間の中心にはソファがあり、
そこに座っている老人が、こちらをジッと見やっていた。
(ん。相当強いな…)
老人を見て即座に、実力を感じ取る蓮。
蓮はペコリと礼をして、老人に自身の名を告げる。
「どうも。彼等のお眼鏡にかなった、白月・蓮と申します。以後、お見知りおきを」
ジッと蓮を見つめる老人。この老人こそが、組織のトップ・マスターだ。
マスターの眼差しは表現しにくい独特なもので、何故か目を逸らすことができない。
(マスターというだけあるね)
クスクスと笑う蓮。マスターはニコリと微笑むと、
杖でコツンと床を叩き「合格じゃ。歓迎しよう」そう言って頷いた。
スカウトをするのは海斗や梨乃、エージェントの役目だが、決定権はマスターにある。
エージェントがどれほど気に入り薦めても、
マスターが許可しなければ、組織に所属することはできない。
まぁ、基本的に来るもの拒まずの体制なので、払われることは滅多にないが。
晴れてエージェントとして所属することになった蓮。
「よろしくどうぞ」
蓮は気さくな笑みで三人へ告げた。


INNOCENCE所属エージェントには、個室が与えられる。
本部三階から五階までは、ほとんどがエージェント達の個室だ。
海斗や梨乃は、ここを帰るところとしている為、
彼等にとっては本部こそが自宅、自室というものになるが、
エージェントの中には妻帯者など、別所に自宅を持つ者も多い。
そういう面々にとっては個室は主に仮宿として使われる。
長期に渡って遂行する任務の際に利用するのだ。
ただ単に、倉庫として使っている者もいる。
与えられるからには有効活用すべきだ。
蓮に与えられた個室は四階にある一室。
かつてこの部屋を使っていたエージェントは、今は外国にある支部で働いているという。
とはいえ今は綺麗に片付けられており、生活に支障は何一つない。
必要なものは一通り揃っているし、ベッドも寝心地が良さそうだ。
「いい部屋だね。気に入ったよ」
与えられた個室に満足気に微笑む蓮。
海斗と梨乃は部屋にあるものの中で、最も重要なものについて説明した。
壁に掛かっているモニター。これはリクエストボードと呼ばれるもので、
手順どおりに画面にタッチしていくことで、あらゆる依頼を確認できる。
報酬や地域、難易度などで表示を切り替えることが可能だ。
本部の一階にある中央ホールにもリクエストボードはあるが、
大抵多くのエージェントが利用しており、
思うように利用できないので、最近個室にも設置されたとのことだ。
リクエストボードについての説明を終えた後、
続いて梨乃は机の上にあった黒い箱を手に取り、告げる。
「どうぞ。魔銃です」
「あぁ、あの銃だね。俺にもくれるんだ」
「はい。支給品ですので。御好きなようにカスタマイズしても構いません」
「へぇ、かっこいいね。こうして改めて見ると」
魔銃を手に取り構えて見せながら言う蓮。
魔銃はエージェントに支給される武器で、扱うには、それなりの魔力が必要。
マスターに認められた蓮ならば、難なく使いこなせるだろう。
宿す魔力に関しては、各々が自由に決定できる。
大抵は自分の好きな属性を宿すのだが、宿せる属性は一つのみ。
とあるエージェントに頼めば、属性変換も可能とのこと。
一通りの説明を終えて、海斗と梨乃はフゥと息を吐く。
「ま、こんなとこだな。仕事に関しては、随時説明っつーことで」
「これから、宜しく御願いします」
「うん。よろしくね」
ニコリと微笑む蓮。蓮は、ふとベッドを見やり何かを閃いてクスリと笑う。
首を傾げる海斗と梨乃。蓮はベッドに腰を下ろし、パフパフと枕を叩いて言った。
「梨乃ちゃん、今晩一緒に寝よっか?」
「えっ!?」
驚く梨乃。海斗はヒュウと口笛を鳴らして言った。
「手ぇ早いなー蓮。近所迷惑にならないように頼むぜ☆」
「なっ、何言って…え、えと、あの…」
困惑する梨乃に、蓮は続ける。
「いやぁ、俺って枕が替わると寝付き悪くてさ。君が一緒なら、ぐっすり眠れそうなんだ」
屈託のない笑顔を向ける蓮。もちろん、蓮が言ってるのは嘘だ。
ちょっと梨乃をからかっているだけ。梨乃の反応はオーバーで、見ていて愉快。
蓮は、散々梨乃を困惑させて「冗談だよ」とクスクス笑う。

夜も遅いことだし、と蓮は、さっそく個室を利用することに。
シャツを脱ぎ、月灯りが差し込む薄暗い部屋で蓮はフゥと息を吐いた。
(ふふ。楽しめそうだ。今度は海斗くんを弄ってみようかな)
INNOCENCEエージェントとして組織に加入した蓮。
弄り甲斐のある少女と少年。そして謎の多いマスター。
他のエージェント達も、皆個性的で愉快な者ばかりだという。
楽しめないわけがない。蓮は期待にクスクスと笑いつつ、ベッドに潜る。
彼にとって、この組織で過ごす時間が、
かけがえのないものとなり、大きな成長をもたらしますように。

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / イノセンス・マスター / ♂ / ??歳 / INNOCENCE:マスター(ボス)  

■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度さまです^^
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
発注・参加 心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです。
蓮さんが梨乃をからかうシーンの描写が楽しすぎます(笑)

アイテム魔銃を贈呈しました。宿す属性に関しては御好きなものを。
以降のプレイングの際に教えて下さいませ^^

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2008.03.13 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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