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<東京怪談ウェブゲーム アンティークショップ・レン>


超絶!惚れ薬

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OPENING

「あぁ、なるほど。こりゃあ…確かに超絶だ」
カウンターに頬杖をつき、クスクスと笑うアンティークショップの店主。
彼女の手には、ネズミが二匹。
…何やら様子がおかしい。
ネズミ達が、店主に言い寄っている…そんな感じだ。
満足そうな表情を浮かべる店主。
カウンター上には、不思議な形の小瓶。
ネズミ達の様子がおかしいのは、
この小瓶に入っている液体の効果によるもののようだ。
まったく…この店主は、常に妙なものばかり集めている。

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カラン―
鐘の音に反応し、妖しく微笑む店主は扉を見やった。
本日初、アンティークショップへの御来客。
店を訪ねたのは端正な顔立ちで柔らかな雰囲気を纏う青年…白月・蓮。
自分に向けられる、店主の妖しい笑みに、蓮は微笑み返す。
見やれば、店主の手にはネズミが二匹…。
ネズミを手懐ける行為も相当気味の悪いものだが、
それ以上に、店主の笑顔が…妖しすぎる。そちらのほうが不気味である。
「モテますね〜?」
クスクス笑いつつカウンターに歩み寄る蓮。
店主はネズミ達の背を指で優しく撫でながら言った。
「良い女ってのは、何者にも好かれちまうもんでね」
冗談交えて微笑む店主。確かに、店主は美人だ。
蓮も、何度か口説いたことがある。無論、本気ではないが…。
そんな店主ならばネズミに好かれてもおかしく…いやいや、おかしいだろう。
ネズミ達の動きは、明らかに妙だ。
店主の手に頬擦りしたり、何ともいえぬ声で鳴いたり。
気のせいかもしれないけれど、どことなくフラついてるようにも見える。
ネズミ達の様子が変なのには、ちゃんとした原因がある。
「まさか、ここまで効果があるとは思わなくてね」
スッと懐から小瓶を取り出して見せる店主。
親指ほどしかない、その小さな小瓶にはトロリとした青い液体が入っている。
これは…惚れ薬。店主が独自のルートで入手した代物だ。
小瓶には何か文字が記されているが、
みたことのない文字で、何と書いてあるのかはわからない。
店主は、どんなもんかと試しに、カウンター付近にいたネズミに一滴ずつ垂らしてみた。
すると、ほんの一秒たらずで…この状態になってしまったという。
「凄い効果だね…調合した奴、かなりの腕だな」
クスクスと笑いつつ、店主の持つ小瓶を見やる蓮。
店主はネズミ達を撫でながら、こう提案した。
「あんた、これ買わないかい?」
「え?俺が?」
「そう。使ってみたい女、たくさんいるだろう?あんたなら」
「はは。誤解を招く発言だなぁ。…高いんでしょ?どうせ」
「そうだねぇ…一つ条件を出そうか」
「条件?」
「あぁ。結果報告、この条件を飲むなら金は要らないよ」
「報告か…良い趣味してるよね、ほんと」
クックッと笑う蓮。
結果報告。店主が提示した、その条件。
この惚れ薬をタダであげるから、
そのかわり、使った結果を報告しろという。
何というか、店主らしい条件である。
条件を提示され、うーんと考える蓮。
だが、それは演技。
蓮の中では、もう返す言葉は決まっている。
(面白いことになってきた…ふふ)
蓮はしばらく考え込んでみせてから、店主に言う。
「オーケー。その条件、飲むよ」
「報告、楽しみにしてるよ」
妖しく微笑んで、小瓶を蓮に渡す店主。
惚れ薬を受け取り、蓮はニンマリと口元に笑みを浮かべた。


「誰に使うつもりだい?」
掌の上で転がるネズミを見やりつつ尋ねる店主。
すると蓮は、キュッと小瓶の蓋を捻って開けた。
小春日和、窓から流れ込んでくる風は、店主の髪をフワリフワリと揺らしている。
蓮はクスリと笑って、小瓶を左右に揺らした。
店内に漂う、ほのかに甘い香り。
「!!あんた…っ」
店主が蓮の悪巧みに気付いたときには、もう手遅れ。
風の流れ的に惚れ薬の香りを一身に浴びた店主に成す術はない。
突如眠ったかのようにコテン、とカウンターに頭を乗せてしまう店主。
(あれ?)
もしかして、人間には『惚れ』効果はないのかな?などと思いつつ、
そっと店主の顔を覗き込んでみる蓮。
店主の頬は、桃色に染まっていた。
目も何だか焦点が合っておらず、トロンとしている。
(お〜…)
見た感じでは『惚れ』症状がハッキリと確認できた。
けれど店主はカウンターに伏せたまま、動く気配がない。
ちょっと不安になった蓮は、店主の頬をペチリと叩いてみた。すると。
ギュッ―
店主が蓮の手を掴み、うっとりした眼差しを向ける。
まるで少女漫画のヒロインかのように瞳をウルウルさせる店主。
(ぷ…)
普段の店主からは想像もできない表情に蓮は口元を押さえて笑いを堪える。
蓮の手を掴んだまま上目遣いで、店主は呟く。
「あんた…こんなにイイ男だったのかい…」
ウルつく瞳から放たれる、好きですビーム。
蓮は堪えきれなくなってブハッと吹き出し、
「今更気付いたの?」そう言ってケラケラと笑った。

惚れ薬の効果は、およそ一時間半ほど。
店主は一時間半の間、ずっとウットリしていた。
蓮の頬を撫でたり、耳元で囁いたり…。
薬の効果だとはいえ、イイ女にここまでされちゃあ、
『男の性』的には、ちょっと厳しいものがある。
蓮は、自分にメロメロになっている店主の相手をしつつ、
心のどこかで、早く効果消えてくんねぇかな…と思っていたりいなかったり…?
一時間半が経過したとき。
店主は蓮の膝上に座り、首に腕を回していた。
「………」
正気に戻ると同時にハァ…と大きな溜息を漏らす店主。
何事もなかったかのように膝から降り、カウンターに戻って、
店主は、頬杖をついて呆れた口調で言った。
「勘弁しとくれよ。ほんとに、困ったコだね。あんたってコは…」
蓮はクックッと肩を揺らしつつ笑い、思う。
(いや、もう、ほんと。それは、こっちの台詞ですっていう、ね)


存分に楽しみ、店を去る蓮の手には、惚れ薬。
小瓶には、まだまだタップリと青い液体が入っている。
帰り際にもらった取扱説明書によると、
嗅がせるだけでも、かなりの効果が期待できるが、
摂取、何かに混ぜて液体を飲ませると、更に効果は強まるとのこと。
ただし適量を。一定量を超えた摂取には、危険が伴うらしい。
とはいえ死に至るとか、そういうものではない。
ただ単に、蕩けすぎて数日間、歩くこともままならなくなってしまうだけ。
蓮は惚れ薬をススッと懐にしまい、ニンマリと微笑んだ。
誰か…試してみたい人物でも浮かんだのだろうか。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 碧摩・蓮 (へきま・れん) / ♀ / 26歳 / アンティークショップ・レンの店主

■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

こんにちは! 発注・参加 心から感謝申し上げます。
アイテム、惚れ薬を贈呈しました。お好きなように使って下さい(*'ー'*)フフ。
気に入って頂ければ、幸いです。是非また、宜しく御願い致します。

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2008.03.18 / 櫻井 くろ(Kuro Sakurai)
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