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<東京怪談ウェブゲーム アンティークショップ・レン>


超絶!惚れ薬

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OPENING

「あぁ、なるほど。こりゃあ…確かに超絶だ」
カウンターに頬杖をつき、クスクスと笑うアンティークショップの店主。
彼女の手には、ネズミが二匹。
…何やら様子がおかしい。
ネズミ達が、店主に言い寄っている…そんな感じだ。
満足そうな表情を浮かべる店主。
カウンター上には、不思議な形の小瓶。
ネズミ達の様子がおかしいのは、
この小瓶に入っている液体の効果によるもののようだ。
まったく…この店主は、常に妙なものばかり集めている。

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『超絶 惚れ薬』
そう書かれた小瓶を目の当たりにして、はぁ〜…と息を漏らすシュライン。
「逆に胡散臭いよ…」
シュラインがいうように、小瓶からは怪しさが溢れている。
ストレートすぎるネーミングに不信感を抱くのは、いたしかたないことだ。
またも独自のルートで蓮が入手した代物、惚れ薬。
怪しくはあるものの、蓮の手に頬擦りしているネズミ達を見る限り、
効果は確かに、超絶…なもののようだ。
蓮の手にチュッチュと口付けたり、何ともいえない声で鳴いたり、
ネズミ達は、実に情熱的な愛情表現をしている。
取扱説明書によると、薬の効果は、およそ一時間半。
ネズミ達は、あと三十分ほど、この状態らしい。
カウンターに頬杖をつき、蕩けているネズミを見やってクスクスと微笑むシュライン。
ネズミ達の情熱的な愛情表現は、見ていてとても愛らしい。
いや…シュラインには、愛らしくみえるのだ。
ネズミ達に優しい笑顔を向けているシュラインに、蓮は言った。
「欲しくないかい?これ」
「え?」
ふっと顔を上げて蓮を見やるシュライン。
蓮の手には、惚れ薬の小瓶。大きさは親指ほど、かなり小さいものだ。
透明な小瓶には、トロリとした青い液体が並々と入っている。
「せっかくのコレクションなのに、とっておかないの?」
シュラインは不思議そうな顔で尋ねる。
とっておかなくても商品として店に並べるとか、
いつもなら、欲しいか?なんて聞かないのに。
蓮はクスクス笑って返す。
「たくさん仕入れたからね」
「あ。何だ、そうなの?」
「あぁ。ダンボールにビッチリとね」
「そんなに要らないんじゃない?」
「どうかねぇ。意外と売れるかもしれないよ」
「うーん。そうかな?」
「この手の商品は人気あるからねぇ。で、どうすんだい?いるのか、いらないのか」
「ん?うーん………」
小瓶を見やりつつ、どうしようかなぁと悩むシュライン。
蓮は妖しい笑みを浮かべて言った。
「あぁ、言っておくけど、タダではあげないよ」
「え。そうなの?」
「当然だろう。結果報告、してもらうよ」
「結果…って」
ニヤニヤと笑っている蓮。その笑顔にシュラインは苦笑した。
蓮の妖しい笑みには、期待の類も含まれている。
それを、ビッシビシと肌に感じるのだ。
武彦に使ってみたら?そういう意味合いである。
シュラインは、むむぅと悩む。
好きな人に惚れ薬を使うという行為には、抵抗がある。
薬で好きになってもらうっていうことに、シュラインは疑問を抱いてしまうのだ。
好きな人に想われたいのなら、努力するしかない。
薬に頼るのは、間違いだと思う。
それに、武彦との仲は既にある程度…まぁ、何というか公認の仲?
今更彼の気持ちを確かめたり、試そうという気は…たまぁにあるけど、
そんなに躍起になるほど気になる!ということはない。
毎日一緒にいるのに疑うのは、失礼で悲しいことだし。
シュラインは、しばらく考えたあと、こう提案した。
「私が飲んでみようと思うの」
「あんたが?」
「うん。それじゃあ不満?」
蓮はクックと笑って「いいや」と返した。

結果報告を求めるのは、情報を欲するがゆえ。
蓮は、効果に伴う、あらゆる症状を確認しておきたいのだ。
特に意味はない。ただ、興味があるだけ。
彼女は『面白そうなこと』に貪欲である。
自分が飲んでみせてあげると言ったシュライン。
蓮は、じゃあ早速…と携帯で武彦を店に呼びつけた。
丁度店の近くにある本屋にいたらしく、
呼びつけられて、武彦は間もなく店へとやってくる。
「これはまた…。ほんと、変なもんばっか集めてんなぁ、あんたは」
事情というか、自分が呼ばれた理由を聞いて武彦は笑う。
蓮は「趣味だからねぇ」と言って、シュラインに目配せを飛ばす。
合図に応じて、シュラインは薬の蓋を開けた。
フワリと漂う甘い香り。
(あ、いい香り…)
そう香りに酔えたのは、ほんの一瞬。
すぐにシュラインはガクリと、その場に膝をついてしまう。
シュラインから小瓶を奪い、即座に蓋を閉める蓮。
開けっ放しにしていては、自分と武彦も蕩けてしまうので…。
「おい、だいじょぶか…?」
シュラインに駆け寄り、彼女の顔を覗き込んだ武彦。
ほんのりと桃色に染まる頬、うるんだ瞳。
ふっと顔を上げたシュラインとバチッと視線が交わり、
武彦は思わず、うっ…と退いてしまう。
一目見ただけで、変化は容易に確認できる。
甘い視線を自分に向け、じっと見つめているシュライン。
武彦はパリパリと頭を掻いて「参るね…」と小さな声で呟き笑う。
「武彦…さん」
囁くかのように武彦の名を口にするシュライン。
「ん?何だ?」
苦笑しつつ武彦が返すと、シュラインは突如、ガバッと武彦に抱きついた。
「うぉ」
勢い良く抱きつかれて、フラついてしまう武彦。
っとと…とバランスを保つ武彦の耳元で、シュラインは囁く。
「だいすき」
武彦の腰に腕を回して、絡みつくかのような体勢で、
何度も何度も、シュラインは武彦の耳に甘い言葉を吹き付ける。
「エロっ…何これ、エロいな」
苦笑しつつ、照れ笑いを浮かべる武彦。
何とも嬉しそうである…。
試してみな、と言ったのは自分だけど、
目の前でイチャイチャされて…蓮はちょっぴり後悔した。

目を覆い隠したくなるようなイチャイチャぶり。
一時間半それを見せ付けられて、蓮は胃もたれ気味。
頬杖をつき、フゥと深呼吸する蓮を見て、
正気に戻っているシュラインはクスクスと笑って言った。
「どうだった?」
「…満腹だよ、もう」
目を伏せ苦笑する蓮。
シュラインはワザとらしく「良かったわ。お役に立てて」と言うと、
チラッと武彦を見やって、ジッと彼を見つめた。
「ん?」
見られ、何だ?という視線を送る武彦。
ちょっとだけ上目遣いで、何も言わずにジーッと見つめるだけのシュライン。
その眼差しに、あぁ…と気付き、武彦は笑って言う。
「まぁ、楽しかったよ」
「まぁ?」
「いや、かなり」
「楽しかっただけ?」
「いや、嬉しかった?」
「何で疑問系?」
「いや…嬉しかったよ、うん。普通に。照れたけど」
「ふふふふ」
目の前で繰り広げられる甘い会話。
薬の効果は、もうとっくに切れているというのに、何だ、この甘ったるさは。
蓮は肩を竦め、二人をシッシッと追い払うようにして言った。
「家でやっとくれ、家で」

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

0086 / シュライン・エマ / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
NPC / 碧摩・蓮 (へきま・れん) / ♀ / 26歳 / アンティークショップ・レンの店主
NPC / 草間・武彦 (くさま・たけひこ) / ♂ / 30歳 / 草間興信所所長、探偵

■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

こんにちは! 発注・参加 心から感謝申し上げます。
アイテム、惚れ薬を贈呈しました。
まだかなり残ってますので、お好きなように使って下さい(*'ー'*)フフ。
気に入って頂ければ、幸いです。是非また、宜しく御願い致します。

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2008.03.18 / 櫻井 くろ(Kuro Sakurai)
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