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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE ラボに住まうエージェント

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OPENING

イノセンス本部、白亜の館。
この館の地下には巨大なラボが在る。
魔物のデータや、エージェントの情報が保管されている そこには、
常に、とあるエージェントが滞在している。
エージェントの名は、赤坂・藤二。
海斗と梨乃にとって、兄のような存在である彼は、
情報収集と武器の改造能力に長ける。

今日も藤二はラボで一人。
読書をしながら、ゆったりと過ごしている。

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フラリと本部に立ち寄った凍夜。
何か良い仕事はないか…とリクエストボードを確認していると、
背後から、ものすごい勢いで誰かがタックルしてきた。さすがにフラつく。
タックルしてきた人物が誰かは、もうわかりきっている。
振り返り、ジロリと睨みやる凍夜。海斗はハハハッと笑うと、
「な、今ヒマ?」やぶからぼうに暇かと尋ねてきた。
「まぁ…な」無愛想に返すと、海斗はニッと笑い、
会わせたい奴がいるから、ついて来いと凍夜の腕を引っ張る。
グイグイと腕を引っ張り、どこかへと連れて行こうとする海斗。
そんな二人を見かけた梨乃はパタパタと駆け寄ってくる。
「どこ行くの?仕事?」
マスターの書斎から借りてきた古書を持ち、尋ねる梨乃。
海斗は「藤二に会わせとこーかな、と思ってさ」そう言って地下へ続く階段を下り始める。
「あ、そっか。早い方がいいよね」
納得し、自分も同行するとついてくる梨乃。
(藤二って誰だよ…)
グイグイ引っ張られつつ、凍夜は不満そうな表情を浮かべた。
地下へと続く階段は長く、薄暗い。ボーッとしていると足を滑らせて落下してしまう。
凍夜に叱られて腕を引っ張ることは止めた海斗だが、
戦隊モノのオープニングテーマをノリノリで歌っている。だが、音痴である…。
聞くに堪えない海斗の歌声が響く中、しばらく階段を下り続けると、やがて、眩い空間へと辿り着いた。
数え切れぬほどのパソコンが稼動しており、
辺りにはピッピッ…ザーザーと電子音とノイズが響いている。
空間の中心には大きな円卓があるが、ほとんどが書類らしきもので埋まっている。
(何だ、ここは…)
キョロキョロと辺りを見回す凍夜。見た感じ、データバンク…といった印象を受ける。
絶え間なく稼動しているパソコンを見やれば、
そこには謎の記号がビッシリと。何のデータなのかサッパリわからない。
「藤二〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
突然海斗が叫んだ。すると、その声に応じ、
巨大なモニター横から男性がヒョコッと顔を見せた。
「お。どうした。また暇潰しか?」
優しい笑顔で言う男性。海斗は「当たり〜」と言ってケラケラ笑う。
「誰だ?」梨乃に尋ねる凍夜。
すると梨乃は微笑み「エージェントの、藤二さんです」と言った。
どうやら、彼もINNOCENCEのエージェントらしい。
凍夜は一応…と軽く一礼する。
「あ、キミが凍夜くんかい?」男性は言った。
「…そうだけど」
「そうかそうか、キミかぁ…うん、確かに凄い能力を持ってるね」
「………」ポンと肩に手を乗せられ、凍夜は無表情のまま少しだけ首を傾げる。

地下ラボに住まう、このエージェントの名前は、赤坂・藤二。
INNOCENCE設立当初から所属している古株エージェントだ。
とても気さくな性格で面倒見が良い。銀縁の眼鏡をかけている。
海斗と梨乃にとって兄のような存在であり、二人ともやたらと懐いている。
前線で戦い任務を遂行することよりも、この地下ラボで情報収集や、
武器の開発・改造を行っていることの方が多い、本部常在タイプだ。
魔銃に宿した属性の変換や、魔銃そのものの改造を、いつでも快く引き受けてくれるらしい。
初任務、ガルカス討伐の見事な遂行で、凍夜はすっかり有名人。
藤二も、凍夜の活躍は耳にしていた。
それ以前に海斗から「すげー奴が入った」と耳にタコが出来るくらい聞かされていたというのもあるが…。
藤二は「会えて嬉しいよ。よろしくね」と言って握手を求める。
凍夜はそれに応じるが、ポツリと「藤二…?」と呟いた。
「ん?どしたー?知ってるのか?藤二のこと」
キョトンをして尋ねる海斗。
「ん?いや…どこかで聞いたことのある名前だと思ったんだが。…人違いだろう」
凍夜はボソボソと呟くように言った。


藤二と言葉を交わすうち、彼がディテクターの幼馴染であることを知った凍夜は、
一気に藤二と意気投合し、様々なことを話す。
ディテクターとは何でも言い合える親友のような間柄であることや、
ついこのあいだ一緒に遂行したアイドル護衛の話、
果てにはディテクターの好みの女性の話まで。他愛ないことを延々と。
凍夜と藤二が親しげに話しているのを横目で見やる海斗は、ちょっと不機嫌だ。
海斗はディテクターにライバル意識がある。
ライバルだと思っているのは海斗だけで、
そう意識し始めたキッカケも些細なことだが、
海斗にとってディテクターは『お節介なキザ男』として映っている。
おそらく、この先もそれは払拭されないイメージだろう。
凍夜がディテクターと親しいことに加えて、
藤二と盛り上がっている話題の中心がディテクターであることが海斗は不愉快らしい。
「何ふてくされてんのよ」
ぶにーっと海斗の頬を抓んで言う梨乃。
「…何か、むひゃつくんだよ(←むかつくんだよ)」
「ほんと…子供だよね、あんたって。いつまで意地張るの?」
「うるひゃい。つか、離せっ」
パシンと梨乃の手を払って言う海斗。
頬を膨らませている海斗を見やり、梨乃はやれやれ…と苦笑した。

あれこれ喋り時間を忘れて夢中になってしまった凍夜。
ふと時計を見やれば、時刻は十六時。
「そろそろ戻らないとな」
スッと席を立ち襟を整える凍夜。
藤二は「また、いつでもおいでよ」と微笑みヒラリと手を振る。
藤二との会話に夢中になっていた間、
海斗と梨乃はシューティングゲームで対戦していたようだ。
何度やっても海斗が圧勝する為、梨乃はゲンナリしている。
凍夜は「すまない。少し夢中になった」と二人に謝罪を述べる。
ゲームで連戦連勝したからか、海斗は先程よりもずっと御機嫌だ。
「なー、凍夜もやろーぜ。対戦対戦」
梨乃から奪ったコントローラーを渡して言う海斗。
この後、ちょっとしたヤボ用があるのだが…。
連敗して、しょんぼりしている梨乃を見て、凍夜は少しだけ…と付き合うことに。
見事に負かして仇をとってやろうと挑んだのだが、連敗。
海斗はゲーマーだ。彼にゲームで敵う者は…組織内には一人しか存在しない。
何度やってもアッサリと負ける為、凍夜はムッとしリベンジを申し出る。
少しだけ…のはずが一時間、二時間…。
巨大モニターの前に並んで座り白熱バトルを繰り広げる三人を、
少し離れた場所で本を読みつつ見やり、藤二はクスクスと笑った。

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■

7403 / 黒城・凍夜 (こくじょう・とうや) / ♂ / 23歳 / 退魔師・殺し屋・魔術師
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度さまです。
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
藤二にとって、凍夜さんも可愛がる対象になったと思われます r(^ω^*)
+凍夜さんに「実は負けず嫌い」という属性が付加されてしまいました…(笑)
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。

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2008.03.14 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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