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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


IO2 vs INNOCENCE (猫探し)

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OPENING

「よっしゃ…行くかっ!」
パンと両手を合わせ、意を決した表情で言う海斗。
その隣で梨乃は、コクリと頷く。
二人は揃って、異界森へ…。

「よし…行くか。時間だ」
煙草を踏み消し、フゥと息を吐いて言うディテクター。
その隣でレイレイは、コクリと頷く。
二人は揃って、異界森へ…。

異界森の入口。バッタリと遭遇する両者。
両者は互いに不敵な笑みを浮かべた後、
ザッと森の中へと入り、反対方向へと駆けて行く。
両者の目的は同じ。子猫を見つけ、保護すること。
IO2とINNOCENCE、ほぼ同時に両組織に舞い込んだ仕事だ。
どちらが先に子猫を見つけ、任務を完了するか。
誰が言い出したわけでもなく、勃発するささやかなバトル。
子猫を探す…という、とても和やかな任務なのに。
両者は本気。やる気満々である。

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「ぜってー負けねーからな!」
ビシィッとディテクターを指差して言う海斗。
梨乃は人を指差しちゃ駄目でしょ!と海斗の手をペシッと叩く。
海斗の、ディテクターに対するライバル意識は少し異常だ。
当人、ディテクターにとってはウザいばかり。
ことあるごとに牙を剥いてくるのだから。
まぁ、そんな海斗を心のどこかで可愛らしくも思っているのだが。
気合十分に決意表明をした海斗だが、ひとつ不満なところがある。
それは、助っ人の存在だ。
ディテクターとレイレイには、シュラインが助っ人として加勢している。
どうして、そっちに付くんだよー!とブーブー文句を垂れた海斗だが、
シュラインは、すっかりディテクターたちの味方だ。
いちいち面白くなさそうに反応する海斗を楽しんでいたりもする。
(可愛いわよねぇ、ほんと)
すぐムキになる性格もさることながら、
競争相手がディテクターだと、すぐにオーバーヒートしてしまう。
ディテクターの何気ない一言に過剰反応する様は、
見ていて飽きない、とても愉快なものだ。
探偵さんも大変よね。
すぐ、ガーッと歯向かってくるんだもの。
でも、邪険にしているようで、ちゃんと相手してあげるのよね。
何だかんだで、可愛がってるのかも。
元々、人懐っこい良いコだしね。うん。
ゴソゴソと子猫捕獲用のゲージを準備して、
シュラインはニコリと微笑み海斗に言った。
「お手柔らかに、よろしくね」
その言葉は、開戦の合図。
双方は互いに違う方向へとザッと駆け出した。

「それにしても子猫の捜索とはねぇ」
探索しつつ言うシュライン。
イノセンスとIO2、双方に依頼した依頼人は、かなりの資産家。
双方に支払った前金を聞いて驚いた。
ポーンと200万円を置いていったのだそうだ。
無事に子猫を見つけて連れ帰ったら、
後金ということで、300万円を支払うとのこと。
この依頼人は、大金持ちだというのに人が良く、好かれているのだが、
飼っているペットが絡むと、ちょっとオカシくなってしまうらしい。
ディテクターは、彼が飼っている子犬や蛇なども捜索したことがある。
そのたびに、巨額な報酬を支払ってきた依頼人。
組織にとって良い金づる…いや、お得意様なのだ。
「広いんだよなぁ、この森…めんどくせぇなぁ」
フワァ、と欠伸をしつつ愚痴を漏らすディテクター。
IO2サイドの三人は、効率的な方法で捜索している。
レイレイが薄く広範囲に怨霊を張り巡らせ、
それに加えてシュラインが【音】に耳を澄ます。
この二つの能力を合わせるのは、
捜索において、かなり効率的な手段だ。
何か異変を察知したら、二人にすぐに知らせてもらう。
その間、ディテクターは手探りで探してみたり、
周囲を警戒したり、襲ってくる魔物を瞬殺したり。

「腹へったなー」
「…無駄に動くからよ」
「サンドイッチちょーだい」
「もうないよ」
「マジかよ」
「マジよ」
イノセンスサイドの二人の捜索は、とても荒々しい。
というのも、海斗だけが荒々しく、梨乃は丁寧に慎重に捜索している。
負けないぞ!という意気込みからか、
海斗は我を忘れて、何とも効率の悪い手段をとっているのだ。
探す、というよりは漁っているだけのような。
闇雲に茂みを漁ったり、木を蹴っ飛ばしてみたり。
彼らしいといえば彼らしいが、
そんな手段では、見つけるのは至難の業だ。

*

捜索開始から二時間が経過したときだった。
森の、少し開けた場所で両者が遭遇。
どちらもまだ発見できていない。
海斗は体中、葉っぱまみれ…どこを探していたのやら。
「お前ら…何つぅ格好してんだ」
海斗を見やってクックッと笑うディテクター。
巻き添えをくらっているのだろう。
梨乃の身体にも葉っぱが沢山ついている。
微笑ましい二人の姿に和むディテクター。
何つぅかな、こいつらは、本当…無邪気っつぅか何つぅか。
ありのまま、っていうかな。素直で結構。
でも、こいつらの格好を見る限り、
効率的な捜索をしているとは思えねぇな。
寧ろ、効率の悪い…馬鹿っぽい手段で探してたんじゃねぇか。
例えば…そうだな、闇雲にそこらじゅうを漁るとか、
猫ーって呼んでみたりとか…か?
ご名答である。海斗と梨乃は(というか主に海斗)、
低効率な手段しかとっていない。
子猫を見つけられなくて当然だ。
これは、自分の勝ちだな。
そう確信して不敵な笑みを浮かべるディテクター。
その笑みに、海斗がムカッとしないわけもない。
「てめー…その鼻、へしおってやるからな!ばーか!」
「おいおい、物騒だなぁ」
「ふん!お前なんかと喋ってるヒマないし!行くぞ、梨乃っ」
「ふぅ…。うん…」
ガッと牙を剥くだけ剥いて、捜索に戻ろうとする海斗。
だが次の瞬間、その気合は脆くも打ち消されてしまう。
「捕まえましたぁ」
ニコリと微笑むレイレイ。
その手には…捜索対象である子猫が抱かれている。
「…げっ!?」
ギョッとして目を丸くする海斗。
ディテクターが勝利を確信していたのには理由がある。
海斗と対峙し言い合いのようなものをしていた最中、
シュラインとレイレイは、変わらず捜索を続けていたのだ。
見た感じでは、探している素振りはない。
当然だ、二人とも目には見えない能力を使っているのだから。
ディテクターと対峙している間、海斗はムキになっている。
周りが見えていないし、隙だらけだ。
冷静になれば、ディテクターの両隣にいる二人が、
能力を使用していることに、すぐ気付けたであろうに。

「…マジかよ」
ガックリと肩を落とす海斗。
梨乃は、そんな海斗の背中をポンポン、と叩いて励ました。
シュラインとレイレイが能力を使っていたことに、
梨乃はすぐに気付いたのだが…言うと面倒なことになりそうなので、秘密にしておこう。
「ふふ。私達の勝ちね」
「やりましたぁ。ふふふふっ」
「と、いうわけで。昼飯でも奢って貰おうかな」
ヘタりこんでいる海斗にスッと手を差し伸べて言うディテクター。
シュラインとレイレイはクスクスと笑っている。
レイレイの腕の中、何とも可愛らしく鳴く子猫。
「…奢んねーよっ!」
海斗は頬を膨らませて、パシンとディテクターの手を払った。

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■

0086 / シュライン・エマ / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
NPC / ディテクター(草間・武彦) / ♂ / 30歳 / IO2:エージェント(草間興信所の所長)
NPC / レイレイ(草間・零) / ♀ / ??歳 / IO2:エージェント (草間興信所の探偵見習い・武彦の妹)
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

こんにちは!(^ー^* )
発注ありがとうございます。心から感謝申し上げます。
気に入って頂ければ幸いです。また、どうぞ宜しく御願いします^^

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2008.04.25 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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