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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


レッツ コスプレ!

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OPENING

「うわ。これ可愛い…着てみたいなぁ」
ネットカフェにて雑誌を読んでいる雫。
読んでいる雑誌は…『LLL+』
かなりの発行部数を誇る、コスプレ雑誌である。
先日、メイド喫茶というものの存在を知り、
そっち方面への興味が沸き立っている雫。
好奇心旺盛だ。さすが現役学生。
雫は雑誌に掲載されている、とあるコスプレに釘付け。
そのコスプレとは…『萌えぐるみ』というアニメに出てくる主人公のコスプレ。
ウサギ…なのだろうが、コスプレというか、ほとんど着ぐるみである。
目をキラキラと輝かせながら雑誌を見やっている雫。
これは…もしかすると…。

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自宅のパソコンが壊れてしまったということで、
自宅から、さほど離れていないネットカフェに来た宗真。
あれこれと調べものやら何やらをしているのだが…。
どうにも気が散って仕方ない。
なぜなら、ジーッと雫が、こちらを見やっているからだ。
ここは、雫のホームともいうべきネットカフェでもある。
来るからには、遭遇してしまう可能性は高い。
それは理解っていた。
けれど、ここじゃない所…となると、
どこも遠く、歩いて行けるような距離にはないため面倒だった。
キラキラとした眼差しを向けてくる雫。
ビッシビシと刺さるような、その眼差しに宗真は後悔した。
(遠くても…面倒臭がらずに行けば良かったですね…)
そう、しみじみと後悔した。

散々見つめて我慢しきれなくなったのか、
テケテケと歩み寄ってくる雫。
「ねぇねぇ、暇?」
ナンパのような台詞を吐いて、宗真を覗き込む雫。
宗真は決して目を合わせぬよう、淡々と返す。
「いえ。ちょっと調べごとをしてて、今、手が離せないです」
調べごとは、実は既に終わっている。
つい先程終わったばかり。
早々に立ち去ろうとしたのだが、一歩遅かった。
店を出る前に、雫が歩み寄ってきてしまった。
忙しいから、と断る宗真だが、
雫はニンマリと笑って、バサリと宗真の手元に雑誌を置いた。
作業しているフリをしつつ、チラッと雑誌を見やって、宗真は冷や汗。
置かれた雑誌は、いわゆるアレだ、コスプレ雑誌というもの。
開かれているページには、何とも楽しそうなコスプレイヤーが、
満面の笑顔と、とっておきのポーズで写っている。
これから、雫が何を言い出すか。
それを瞬時に悟った宗真は、
冷静を装いつつも内心ヒヤヒヤ。
マズイ、すぐにでも立ち去らねば。
今すぐにでも。よし、今だ。
サッと立ち上がって、サッと立ち去ろう。
(よし)
カタン、と席を立つ宗真。
それと、ほぼ同時に。
ガシッ、と宗真の腕を掴む雫。
捕縛…。残念ながら、逃げることは出来ないらしい。

*

「ねぇねぇ、今度は、こっち着てみてよ」
「………」
「すみませぇん、この色違いとかってナイですかぁ〜?」
大盛り上がりの雫。宗真は、コスプレスタジオに連れて来られた。
嫌だ、無理だ、勘弁してくれ、と必死に抵抗したが、
その小さな体の、どこにそんな力があるのか…とばかりに、
雫はズルズルと宗真を引きずり強制連行。
で、どんなコスプレをさせられているのかというと。
大人気アニメ【きゃろーにゃ】のヒロインのコスプレである。
とっても可愛い、蒼いセーラー服。
もちろん、ウィッグでヒロインのトレードマークであるツインテールも再現。
可愛らしいリボンが、宗真の頭で揺れている。
「…(帰りたい。今すぐに)」
逃げ出したい衝動に駆られるも、自分の服は雫の鞄の中にある。
奪われてしまったソレを取り戻さない限り、帰ることは出来ない。
この格好のまま外を歩くなんて、出来やしないし。
で、雫は何のコスプレをしているのか。
それは、ネコの着ぐるみ…。
ただの、ネコの着ぐるみに見えるが、これも立派なコスプレ。
これは、人気ゲーム【NYACO】の主人公のコスプレだ。
動きにくそうなことこの上ないが、雫は嬉しそうにピョンピョン飛び跳ねている。
「はー!楽しいっ。よーし、じゃあ、そろそろ…」
リボンのついた尻尾を揺らしつつ言う雫。
ようやく帰れる…そう安心した宗真だが、甘い…。
これで満足するわけがないのだ。
「行くぞぅ、宗真ぁ」
雫は、宗真の手を引きスタジオの外へと出て行く。
「ち、ちょっと雫さん。このまま…っ?」

コスプレを終えてから二時間だけ。
自由に外を歩きまわれるというオプションがあるらしい。
せっかく、素敵なコスプレをしたんだから、
みんなに見てもらわなくっちゃ!と雫はノリノリだ。
そんな雫につられて、宗真もノリノリに…なるわけがない。
街を歩くネコとセーラー服の少女。
何とも妙な組み合わせだが、二人とも、とっても可愛い。
秋葉原を歩く二人には、ウットリとした眼差しが向けられる。
中には、写真を撮らせて下さいと言い出す者まで。
雫は、喜んで!と嬉しそうに撮影に応じ、
様々なポーズをとって撮影者を喜ばせる。
すっかりなりきっているのだろう、語尾が「ニャー」になっている…。
宗真は、ずっと俯いたまま。恥ずかしくて顔なんて上げられない。
女装していると感付かれることがないのが、また困った点。
華奢な体つきに、白い肌の宗真は、女装がよく似合う。
そんなところを褒められても、ちっとも嬉しくないだろうけれど…。
それに加えて、宗真の恥ずかしそうにする素振りは、
コスプレ対象である【きゃろーにゃ】のヒロインに忠実なものらしい。
恥ずかしがりやでウブ、けれど正義感の強い女子高生。
それが、きゃろーにゃのヒロインの真の設定なのだ。
パシャパシャと何度もシャッターを切りつつ、
撮影者は、こんな要求も飛ばしてきた。
「変身ポーズも、もらえませんか?」
(へっ、変身…?)
そう。きゃろーにゃのヒロインは、戦う女子高生でもある。
女子高生から、正義の味方、蒼なる美戦士へと変貌を遂げるのだ。
変身したヒロインは、あちこちで暴れるモンスターを次々と成敗していく。
で、その変身ポーズというのが…こう。
いわゆる ”女子高生ピース”に、片足を可愛らしく上げて、
クルッと一回転、で、キメ台詞「ブルースフィアル!」を吐くというもの。
雫から変身ポーズの説明を聞いた宗真は、
更に深く俯きボソリと呟いた。
「…できるわけがないでしょう」

*

スタジオに戻り、衣装を返して雫は大満足から、はふぅと息を漏らす。
元の服装に戻りはしたものの、宗真はグッタリ…。
散々な目に遭った…もう、懲り懲りです。
雫さんの誘いには、もう応じないようにしないと。
身が持ちません…疲れた…本当に疲れた…。
グッタリしている宗真の背中をポン、と叩き雫は言う。
「やっぱプラス1000円で写真も撮っておくべきだったかなぁー?」
「いりません」
宗真は躊躇うことなく即答した。

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■

7416 / 柳・宗真 (やなぎ・そうま) / ♂ / 20歳 / 退魔師・ドールマスター・人形師
NPC / 瀬名・雫 (せな・しずく) / ♀ / 14歳 / 女子中学生兼ホームページ管理人

■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度さまです('∀'*)
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。

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2008.04.26 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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