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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // 偶然ランデヴー

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OPENING

特に用事があるわけではないけれど…。
退屈しのぎに、異界にある商店街をブラブラ。
異界の商店街は、ただ眺めているだけでも面白い。
怪しい道具やら武器やら、大半はそんなものばかりだが、
かなりレアな品物をゲットできたりもするから馬鹿にできない。
それ目当てで頻繁に足を運ぶ者も多いことだし。
来たついでにチェックするのは、まぁ、当然っちゃあ当然かな。
(うーん…)
残念ながら…今日は、レアモノは出回ってなさそうだ。
一通り見回ったし、別の場所にでも行こうか。
そう思い、歩いてきた通りを引き返し始めたときだった。
(ん?…あっ)
見覚えのある、いや…ありすぎる姿が、ふと目に入る。

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「買い物?」
ストン、と隣に腰を下ろして尋ねる蓮。
露店アクセサリーを見ていた梨乃は、
少し驚きつつも、ペコリとお辞儀した。
「はい。本を買いに来たんです」
「ふぅん…。で、何。欲しいアクセサリーあるの?」
「え?あ、いえ。特には。ただ、可愛いなぁと思って」
「そっかそっか。うーん、そうだな。これなんて似合うんじゃない?」
ヒョイッと蓮が手に取ったのは、可愛らしいクローバーのペンダント。
梨乃にペンダントを宛がい、ウンウンと頷くと、
蓮は露店員のオヤジに尋ねた。
「おじさん、これ いくら?」
「2000だな」
「オッケー。んじゃ、はい」
「まいどあり〜」
ポケットからコインを四枚だして支払いを済ませる蓮。
蓮は、買ったペンダントを、ストンと梨乃の首に落とした。
「うんうん、似合う似合う。可愛いよ」
「あ、あの蓮さん。こんな…」
「いいからいいから。さ、行こう」
立ち上がり、梨乃の腕を引いて立ち上がらせると、
蓮はニコニコと笑顔を浮かべて、スタスタと歩き出した。
一歩、また一歩と歩く度に、胸元で揺れるクローバー。
その可愛らしい動きに、思わず微笑んでしまうが、
梨乃は、ハッと我に返り、お返しします、と繰り返した。
蓮は聞く耳持たずで微笑み、大通りを歩く。
たまには、プレゼントくらいさせてよ、という蓮の言葉に、
申し訳ないなと思いつつも、せっかく買ってくれたものだし…。
梨乃は、ありがとうございます、と言って頭を下げた。

「あの、蓮さん。どこ行くんですか?」
スタスタと歩く蓮に尋ねる梨乃。
すると蓮は、さも当然かのように返す。
「デートだよ?」
「え?」
「はい。じゃ、とりあえず腕組もうか」
「え?」
「さっきの御礼だと思ってさ。ね」
「…は、はい」
ちゃっかりしている。
そんなことを言われたら、組まざるを得ないではないか。
蓮らしい言動に、梨乃はクスクスと笑いつつ、
言われるがまま、蓮の腕に、そっと絡まった。

*

街を行く二人。
どこから見ても、恋人同士である。
すれ違いざまに、お似合いのカップルねーなどと茶化され、
その度に梨乃は気恥ずかしそうに笑う。
クスクス笑って、そんな梨乃の反応を楽しむ蓮。
「ん。何だろ、あれ」
ふと目に入った、不思議な機械。
電話ボックスのような、箱型の機械だ。
銀仕様で、どことなくオシャレなものだが、
一体、何なのか…パッと見だけでは理解らない。
興味を持った蓮は、梨乃と共に機械の傍へ。
この機械は『ラブパセ』という機械で、
二人で中に入り、様々な質問に答えていくことで、
相性がわかる、というシステム。占いマシーンのようなものだ。
ボックスから出てくるカップルは、
皆、やたらとベタベタいちゃついている。
良い結果で、気分的に盛り上がっているのだろう。
蓮は梨乃を見つめて、ニコッと微笑む。
それは、入ってみようという意思表示。
梨乃は、断れるはずもない…と悟り、苦笑しつつ頷いた。

ボックス内は狭く、密着してしまう…。
何というか、狙いすぎというか、お決まりな仕様である。
あちこちが触れて、いちいちドキドキしてしまう。
まぁ、過剰に反応して動揺しているのは梨乃だけだが。
二人はタッチペンを操作し、様々な質問に答えていく。
二人の回答シートは、以下のとおりだ。

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名前:白月・蓮
年齢:21

好みのタイプ:色んな意味で飽きない子
キスは好き?:好き
それは何故?:色んな意味で気持ちイイから
彼女とはキスした?:当然
どうだった?:大変柔らかい ほっぺでした
彼女のこと大切?:当然
結婚は?:お望みとあらば?
彼女の好きなところは?:可愛い笑顔

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名前:白尾・梨乃
年齢:18

好みのタイプ:優しい人
キスは好き?:わ、わかりません
それは何故?:頭が真っ白になるので
彼氏とはキスした?:は、はい…
どうだった?:よ、よく覚えていません
彼氏のこと大切?:大事な仲間です
結婚は?:ま、まだ早いと思います
彼氏の好きなところは?:ゆ、指…?

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「うわ。梨乃ちゃん、以外とイヤラシイね」
「な、何でですかっ?」
「指が好きとか…。ふぅん、そうなんだ〜」
「あ、あの。えーと」
「絡めてみる? 好きなんでしょ?」
「えっ!?い、いや。あのですね」
「はい、手ぇ出して。しっとり絡める?それとも濃厚に?」
「は、いえ、あの、その。あっ!ほら!結果が出ましたよっ」
慌てて、モニターを指差す梨乃。
モニターに表示される相性は…何と、100パーセント。
あれこれと備考も記されているが、
どれも顔を覆いたくなるような恥ずかしい言葉回しばかりだ。
回避しようとしたのに、更に恥ずかしいことに。
梨乃は、耳を赤く染めて、うぅ…と俯いた。
「あっはは。ベストカップルらしいね、俺達ってば」

*

相性100パーセントの証であるハート型のカードを手に、ご満悦な蓮。
梨乃は照れっぱなしで、もうすっかり、ユデダコ状態だ。
”梨乃は蓮の指が好き”ということが判明してからは、
腕を組むのではなく、二人は指を絡めて歩いている。
まぁ、例によって、有無を言わさぬ蓮に梨乃が従っている感じだ。
日も暮れてきた、そろそろ帰ろうか、と帰路につく二人。
と、そこへ無粋な連中が絡んできた。
「おい、にーちゃん。可愛い子連れてんじゃねぇか」
「へっへっ。ボスはロリコンだなぁ〜」
絡んできたのは、何だかカッコ悪いヤンキーコンビ。
服のセンスも悪いし、背も低いし…。
そんなんで粋がるなんて、恥ずかしくないのか…と思わざるを得ないコンビである。
蓮は、スッと梨乃を背中に覆い、ニコリと微笑んで返した。
「でしょ?自慢の彼女なんだ」
「へっ。お前にゃあ勿体ねぇよ。そこ、どきな」
ポキポキと指を鳴らして言うヤンキー。
蓮はクッと鼻で笑い、
「っははは。冗談は顔だけにしなよ」
そう言うと、腕をまくって臨戦態勢をとった。
「ぶはは。身の程知らずの優男が」
ブンッと腕を振り下ろすヤンキー。
「れ、蓮さんっ」
蓮の後ろで身を案じる梨乃。
だが、次の瞬間。
ドカァァンッ―
「きゃーーーー!!」
「うおおおー!?」
ヤンキーは吹っ飛び、ゴミが詰まれたワゴンに突っ込んだ。
パンパン、と両手を合わせ、蓮はニコリと微笑んで尋ねた。
「まだやる?」
「うぐっ…お、おぼえてろ!」
舎弟っぽい、もう一方のヤンキーは、
そう言って、吹っ飛ばされて失神しているボスヤンキーを引きずり撤退していった。
「おぼえてろ、だって。随分と古典的な捨て台詞だよね」
クックッと笑いつつ、スッと梨乃に手を差し伸べる蓮。
梨乃は一瞬呆けたが、すぐに我に返り、
クスクス笑い「そうですね」と言って蓮の手をとった。
しょぼくれヤンキーに、蓮が手負うわけがないのだ。
要らぬ心配をしてしまったなぁ、などと思いつつ、
梨乃は、自身の手を引く蓮の背中に不思議な感情を抱いていた。
本人は気付いていないけれど…それは、確かな感情の変化だ。
手を繋ぎ、並んで帰路につく二人。
梨乃の胸元で、クローバーが可愛らしく揺れる。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度様です!('ー'*) ニヤニヤ。
ゲームノベル ”INNOCENCE” への参加・発注ありがとうございます。
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。

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2008.04.19 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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