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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // フレアウルフの牙

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OPENING

本部1F・リクエストボード掲載依頼

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内容:
フレアウルフというモンスターの牙を採取してきて欲しい
報酬:
50000(上乗せアリ)
難易度:


備考:
フレアウルフは異界西部にある小さな洞窟に棲まう魔物。
その名のとおり、全身に炎を纏っている狼である。
視界に入ったものを反射的に見境なく襲う。
当然のことながら水に弱いが、風にも弱い。
依頼人は、フレアウルフの牙を御所望。
最低一本は必ず持ち帰って欲しいとのこと。
尚、牙を二本以上持ち帰った際は、
一本につき、報酬を1000上乗せ。

*****

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(まぁ…そこそこかな。小遣い程度に、ね)
リクエストボードにタッチし、依頼を請け負うという手続きを済ませようとする蓮。
と、そのとき、同じ依頼を見ている人物が。
依頼の上に灯るオレンジ色のランプは、
一階のリクエストボードではなく、
各エージェントの個室に設置されているリクエストボードから、
今まさに閲覧している者がいるぞ、という証だ。
ランプにタッチすれば、誰が閲覧しているのかもわかる。
タッチしてみると…。モニターには『RINO.S』の文字がピピッと表示された。
(あ。梨乃ちゃんか。……ふむふむ)
暫く考え、蓮は梨乃の携帯に連絡を入れた。
「あ、もしもし、梨乃ちゃん?」
『はい。あの、蓮さんも、その依頼請けるんですか?』
梨乃も、自室からランプをタッチし、
閲覧しているエージェントが蓮だということを確認していたようだ。
蓮はクスクスと笑って提案を飛ばす。
「一緒に請けない?」
『えっ?私は構いませんけど…蓮さんは、それで良いんですか?』
「もちろん。梨乃ちゃんと一緒に仕事できるなら」
『………』
「冗談だよ(冗談じゃないけど)火には水でしょ。キミが一緒だと心強いんだ」
『えぇと…わかりました。すぐ降りるので、ちょっと待ってて下さい』
「はいは〜い」
携帯を切り、フゥと息を吐く蓮。
間もなく、梨乃が階段を降りてきて、二人は合流。
梨乃は、見慣れぬパーカーを着ていた。
「うん?そういうのも着るんだね」
「え、あ、はい。へ、変…ですか?」
「ううん。似合ってるよ。でも、アンテナが出てる」
「ふぇっ…」
慌てて準備してきたのだろう。
髪がピョンと跳ねている箇所がある。
いつも、きっちりと束ねているのに、珍しい。
蓮はクスクス笑いつつ、跳ねた髪の毛を突いて言った。
「デートっぽい気構えで来てくれたの?」
「ち、違…っ」
はいはい、そこ。本部一階でイチャつかないの。
リクエストボードの周りにいる他エージェント達が、
冷たくも羨ましそ〜な視線を向けてますよ。

*

フレアウルフは、異界西部の洞窟に生息している狼タイプの魔物だ。
その名のとおり、炎のように赤い毛が全身を覆っている。
二人は、洞窟付近で待ち合わせた依頼人と接触し、
正式に任務を遂行する手続きを済ませる。
近くにいて、何かトラブルに巻き込まれてはたまらんと、
依頼人は二人の手続きを確認した後、そそくさと撤退してしまった。
近くの小屋にいるから、終わったら来てくれ、という言葉を残して。
「さて…と。じゃあ、サクッとやっちゃおうか」
腕をまくり、魔銃を抜いて言う蓮。
梨乃も「はい」と頷き、魔銃を抜く。
洞窟付近には、五匹ほどのフレアウルフが確認できる。
おそらく、洞窟内にまだいるだろう。
任務内容は討伐ではなく、
フレアウルフの牙を採取することだが、
おとなしく牙を差し出してくれるようなモンスターではない。
ということで、結局、討伐することになるのだ。
「中にどのくらいいるのかわからないと…ちょっと怖いですね」
洞窟を見やりつつ不安そうに言う梨乃。
蓮は、うーん…と考え、一つの結論を導き出す。
とりあえず、確認できる五匹を討伐しよう。
おそらく、あの五匹は洞窟入口付近を徘徊している門番のようなもの。
奴等が一斉に討伐されれば、内部もそれに気付き、外に出てくるだろう。
そこを畳んでしまえば、あとは牙を採取するだけでOK。
五匹を倒して、自ら洞窟内に入っていくことも可能だけど、
それは、さすがにちょっと危険だ。
どうなってるかわからないしね。
ここは、大人しく待ち伏せっぽくして遂行しよう。
蓮の提案に梨乃は納得し「よろしく御願いします」と、
共に任務にあたる際に、放つべき挨拶を告げた。
「こちらこそ」ニコリと微笑んで返す蓮。
挨拶を交わしを終えた二人は、揃って魔銃を構え、
洞窟入口付近を徘徊しているフレアウルフに向けて発砲。
放たれた風珠と水珠は弾けて、フレアウルフたちを次々と仕留めていく。
バタバタと倒れていくフレアウルフ。
とりあえず五匹の討伐は完了。
蓮と梨乃は物陰に隠れて、様子を窺う。
数分後、異変に気付いたフレアウルフたちが、ゾロゾロと洞窟から出てきた。
「…あらら」
「…お、多いですね」
予想外の数だった。百はいるだろうか…。
あれらが一斉に牙を剥いてきたら、ちょっと厄介かもしれない。
一度に全部討伐できれば無問題だけれど…。
うーん、と考えて、蓮はアッと思い付いた。
うまくいくかはわからないけれど、
真っ向から挑むよりは、安全だと思う。
蓮が思い付いたのは、自分と梨乃の魔力を重ねあわせること。
サラリと説明を受けた梨乃は、なるほど…と、提案を飲んだ。

放つ風を操り、無音で発砲する蓮。
放たれた風は、フレアウルフたちの真上で留まっている。
(よし…あとは…)
空に指で何やら文字のようなものを描く蓮。
すると、留まっていた風が、グルグルと回り出した。
「じゃ、よろしく。梨乃ちゃん」
「はい」
ポン、と蓮に肩を叩かれた梨乃は、
グルグルと物凄い勢いで回っている風に向けて発砲。
放たれた水は、風と接触することで…。
飛沫となって、フレアウルフに降り注ぐ。
水だけでなく、風の属性も備えた魔力の飛沫だ。
次々と浴びせられては、ひとたまりもない。
広範囲に降り注ぐ飛沫から逃げることが出来ず、
フレアウルフは、次々と倒れていった。
上部だけを見れば、何とも幻想的な現象だが、
下部を見やれば、かなり恐ろしい光景だ。
優しく美しく。それでいて残酷な飛沫のロンド。

*

ごっそりと採取した牙。
ありえないほどの採取量に依頼人は大喜び。
蓮と梨乃も、がっぽり儲けることができて大喜び。
双方大満足の結果となった。
任務遂行後は、すみやかに完了報告をせねばならない。
ということで、本部へと戻る蓮と梨乃。
半分コしたとはいえ、かなりの額だ。
報酬の入った鞄を大事に抱えつつ梨乃は微笑む。
「蓮さんと一緒に来れて良かったです」
「ふふ。それは、どういう意味で?」
「え?それはもちろん、蓮さんの応用力が…」
「あ〜。照れなくていいよ」
「へ?」
「俺と一緒ってのがポイント。でしょ?」
「…えぇと」
「ふふ。楽しかったね」
「は、はい。って、それもちょっと違うような気がしますけど」
「どうして?記念すべき、初の二人の共同作業だよ?楽しめなかった?」
「きょ、共同作業って…」
「誓いの口付けもしないとね」
「えっ!?そ、それはもう…」
「ほっぺでしょ、あれは。誓いの口付けは、違うトコだよ」
「れ、蓮さん…」
「あっはは。冗談だよ(冗談じゃないけど)」

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度様です!('ー'*) ニンマリ…。
ゲームノベル ”INNOCENCE” への参加・発注ありがとうございます。
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。

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2008.04.20 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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