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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // 巨乳か貧乳か

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OPENING

本部三階の通路。
一階に下りて、食堂で夕食を取ろうかとしていたときだった。
何やら、騒がしい…。
言い合い、喧嘩をしているように聞こえた為、
気になって声のする方へ行ってみると。
エージェントの個室の扉が開いている。
言い合いは、この中から聞こえる…。
扉には『KAITO』の文字。海斗の部屋である。
何をやってるんだろう…とチラリと中を覗く。
「わーかってねーな。ほんと、わかってねーな」
「わかってないのは、そっちだ」
「お前なぁ、巨乳が良いに決まってんだろ、男ならよー」
「偏見だね。っていうか、まだまだだねぇ」
「何だよ、それ」
「あまり大きいと下品だろ。適度な…ん〜…寧ろ控えめな方が良いって」
「ヤダ、そんなの。全然ミリョクねーじゃん」
「お前ねぇ…女の子を胸だけで判断してるのか?」
「そーゆーわけじゃないけどさ、何つーか、こう…」
部屋の中には海斗と藤二。
二人は『女性の胸』に関して討論しているようだ。

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(ほほぅ。胸討論ですか。ここは混ざっておかないとね)
ニヤリと笑い、部屋へと入っていく蓮。
「楽しそうだね。混ぜてよ」
「あ。蓮!」
「おぅおぅ。座れ座れ」
歓迎モード満開の海斗と藤二。
部屋は何というか…荒れていた。
様子を窺ってたときは気に留めていなかったけれど、
菓子やら缶ビールやらがテーブルの上に、ぐっちゃりと盛られている。
灰皿は藤二の煙草で山盛り。無論、室内は煙草くさい。
海斗の部屋は、ロボットや戦艦の玩具で埋め尽くされていて、
小学生の部屋か、と見まがう感じの部屋だ。本来は。
だが、藤二が来訪しているということで…かなりヤニに満ちた部屋と化している。
促されるがまま、二人の間にストンと腰を下ろして胡坐をかく蓮。
蓮はふふ、と笑って尋ねた。
「で。胸の話だよね?」
「そーそー!蓮はどっち派?巨乳?貧乳?」
「うーん。そうだなぁ…並、なコが多いかなぁ。中には大きいコもいるけどね」
「………」
じっとりとした眼差しを向ける海斗。
どっち派?って聞いたのに。
並が多いとか、大きいのもいるとか…何つー返しだよ。
そこまで聞いてねーし。けっ。
サラリとガールフレンドの多さを露呈した蓮に、
海斗はヘンッと鼻で笑った。羨ましいんだと思われるが…。
「まぁ、俺的には並〜控えめな感じが好みだね。藤二と一緒かな」
「っはは。だよなぁ」
「あんまり大きすぎても、ちょっとねぇ…」
「だよな。下品だよな」
「大きさによっては、ヒいちゃうこともあるね」
「あっはは。あるある」
「まぁ、女性のシンボルだからね。まったくないのは、さすがに残念かな」
「ぺったんこはな。ちょっと萎えるよな」
意気投合し盛り上がる蓮と藤二。
そこへ、黙っていられるかーとばかりに海斗が割って入る。
「デカいほうがいいじゃん!ふわっふわだしさー!」
「…うわぁ。いやらしいねぇ、海斗くん」
ビールを口に運びつつクスクスと笑う蓮。
藤二は「触ったことあんのか?」とクックッと肩を揺らして笑う。
「あるよ!失敬だな!」
「マジで?初耳なんだけど。付き合い長いのにな。隠し事か〜」
「うっさい。ぷらいばしーの侵害だぞ!」

巨乳か貧乳か、それは人によりけり。
討論したところで、どちらかが勝るということはない。
三人は、今度全男エージェントを集めて多数決を取ろうということで、
ひとまず討論にピリオドを打った。何をやってるんだか…。
そんなこんなで、話題は胸の話から、女性、恋愛全般へと移っていく。
「なぁなぁ、二人はさ。女のどーいう仕草がツボ?」
パリパリと板チョコを齧りながら問う海斗。
藤二は、そうだなぁ…と煙草の灰を落としつつ返す。
「やっぱ唇かな。俺はね」
「くちびるぅ〜??」
「そう。プルプルの唇見てるとゾクゾクしてくるんだよ」
「うっわ。変態だ。変態がいるぞ、蓮」
「ふふ。まぁ、わからないでもないかな」
「…蓮と藤二って何〜か似てるよな。今更だけど」
「っはは。息ピッタリだしなぁ。で、蓮は?」
「俺?そうだなぁ…弱み、かな?」
「よわみぃ〜??」
「そうそう。一見、隙がないように見える子の隙を見つけるとワクワクするね」
「あぁ、わかるわかる」
「どう弄ろうか…って楽しくなる。ドキドキとは違うけどね」
「あぁ、わかるなぁ、それ」
「わっかんねーよ!変態コンビ!」
どうにも、蓮と藤二は通じるところがあるらしい。
何においても、二人の意見が食い違うことがないのだ。
似たもの同士…というのもあるのだろうが。
二人の曲者っぷりに、海斗はついていけないところがある。
とはいえ、ガールフレンドの多い二人だ。
二人の意見というか考えというか。
そういうものは、後学のために聞いておいて損はなかろう。
というわけで、海斗は二人から、あれこれ知識を吸収していく。
…曲者になりたいのだろうか。海斗は。
まぁ、彼には…蓮や藤二のような生き方は出来ないだろうけども。
「で?海斗くんは、どんなのがツボなのかな?」
「俺はね、あれ。髪を結ってるときの、うなじー!」
「うわ。オヤジくせぇ」
「ふふ。確かに、意外と古風だね」

あれこれと会話をしているうち、海斗はしみじみと悟る。
蓮も藤二も、ザ・パーフェクト・クセモノだ。
女の子の気持ちや、ツボを心得た上で相手をしている。
生まれ持った才能…なのだろうか。
だとしたら、自分には無理だなぁ…などと思っていると。
「いいかい、海斗くん」
蓮は、海斗の肩に腕を回してニコリと微笑んだ。
海斗は、キョトンとした顔で返す。
「ん?」
「ナンパって大切だよ」
「なんぱぁ?」
「そう。いろんな女の子と触れ合う事で、自分を知ることができるんだ」
「自分を?何で?」
「自分の好み…ストライクゾーンとか色々とね」
「ふーん?」
「何なら、今度三人で行こうか。レクチャーしてあげるよ。ね、藤二?」
「おぅ。いつでもいいぞ。寧ろ、今から行くか?」
「えー?今からー?」
「そうだね。せっかくだし…よし、行こう」
海斗の腕を引き、立ち上がらせる蓮。
藤二は煙草をギュッと灰皿に押し当てて消し、よし…と気合十分だ。
海斗は、腹へってるから今度にしようよーと言って拒んだが、
それなら食事に誘えばいい、
女の子と食べるゴハンは美味しいよ、という蓮と藤二に言いくるめられ…。
二人に引きずられて、ナンパへと出発してしまった。

*

「海斗?ごはんの時間…」
夕食の時間はとっくに過ぎているというのに、
一向に食堂に来ない海斗を心配して部屋に来た梨乃。
部屋に入るやいなや、梨乃は、うっ…と顔をしかめた。
様々なものが散乱しており、部屋は滅茶苦茶だ。
「まったくもぅ……ん?」
片付けようと一歩部屋に踏み入って、梨乃は気付く。
テーブルの上に、缶ビールと吸殻山盛りの灰皿がある。
それと同時に、ふわり…と漂う、香水の残り香。
海斗は煙草を吸わないし、香水もつけない。
煙草を吸う、海斗と仲の良いエージェントといえば…藤二しかいない。
それに加えて、漂っている香水の香りは、藤二が使っている香水の香りではない。
この香水は…蓮が使っている香水の香りだ。
誰より早く夕食にがっつく海斗が食堂に来ない、
蓮と藤二が、海斗の部屋にいた痕跡。
それらを合わせた結果、梨乃は一つの答えを導き出した。
「………もう!!」
頬を膨らませ、急いで三人を探しに向かう梨乃。
街でナンパを楽しんでいる三人の前に、
怒り心頭のデビル梨乃が現れるまで、あと十五分…。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度様です! (ΦωΦ) 楽しかったです…(笑)
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。

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2008.04.20 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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