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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // 白亜の館

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OPENING

何とも満足そうな笑みを浮かべる海斗。
無表情ではあるものの、梨乃も、内心は非常に満足しているようだ。
二人は、見つけた”逸材”を、本部へと連れて行く。

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異界の森、奥深く…イノセンスの本部は、そこにあった。
暗い森の中に立つ、白亜の館。
それは、何ともミステリアスな雰囲気を放っている。
館の周辺をバサバサと飛んでいるコウモリも、
その雰囲気を引き立てるのに、一役買っているかのよう。
「真っ白…ですわね」
本部を見上げ、その美しさに感心するアレーヌ。
「だろ?自慢なんだ。よっしゃ、中入るぞー」
海斗はアレーヌの手を引き、スタスタと歩き出す。
(この人…気安く触りすぎですわ)
やたらと自然に触れてくる海斗に、微妙な警戒心を抱くアレーヌ。
海斗は、そんな想いを抱かれてるなんてツユ知らず。
満面の笑みで、本部一階、正面エントランスへと向かった。
何というか…海斗の場合、警戒されようとお構いナシな気がする。

本部内は、内部も真っ白。
壁も床も灯りも、全てが美しき純白。
同じところをグルグルと延々と歩いているだけのような感覚に、
「妙な次元の空間に迷い込んだかのようですわ…」
アレーヌはそう言いつつ、おとなしく海斗に案内された。
長い回廊を抜けた先、巨大な銀の扉。
扉の前で立ち止まり、海斗は掴んでいた手を離すと、
「じゃあ、行ってらっしゃい。失礼なことすんなよ」
そう言ってヒラヒラと手を振った。
何のことやらサッパリわからず首を傾げるアレーヌ。
そんなアレーヌに、梨乃は丁寧に説明してくれた。
扉の中は、マスタールーム。
組織のトップであるマスターがいる部屋。
新しく組織に加入することになったエージェントは、
とりあえずマスターと面会してもらわねばならないらしい。
面会といえど、内容は至って簡素なもの。
ただ、マスターに挨拶をしてくれば良いだけなのだそうだ。
なるほど、と理解したアレーヌは扉に手をかけ、中へ…。

何とも不思議な空間だ。砂時計のような形をしている。
そこらじゅうにフワフワと浮いている紋章は、
どこかで見たことがあるような、ないような…?
妙な空間を進み、中心部で、アレーヌはマスターと対面。
灰色のローブを纏った老人。
フードを深く被っている為、表情はよくわからないが、どうやら、男性のようだ。
(すさまじい…魔力ですわ)
ただ向かい合っているだけで、思わず膝をついてしまいそうになる。
なるほど、確かに…組織のトップ、というだけのことはある。
マスターはスッと顔を上げ、アレーヌを見やった。
「ほぅ。これはまた可愛らしい娘さんじゃな」
「それはどうも。あなたが…マスターですのね?」
「いかにも。ふむ…炎の使い手か。なかなかじゃのぅ」
「………」
ただジッと見やるだけで、アレーヌの能力を瞬時に理解したマスター。
アレーヌは、思わず沈黙した。
…何ですの、この方。底が知れないというか。
決して ”触れる” ことができないような気がしますわ。
何か、重要なことを隠しているかのようにも…。
気のせい…なんかじゃないですわ。
こんなに汗が滲んでいるんですもの。
別に恐ろしいというわけではないの。
そういうのとは、少し違う…何て言ったら良いのかしら。
…不思議な方ですわ。
つかみ所のないマスターに、そんな想いを抱きつつ。
アレーヌはハッと我に返り、自身の想いを告げた。
「わたくし、所属する気はありませんの」
「何と。まぁた、あやつが無理矢理連れて来おったか」
「えぇ、まぁ。でも、正式には…という意味合いですわ」
「ふむ?」
「フリーな立場でOKでしたら、その都度、協力してあげてもよくてよ」
「あぁ、構わんよ。十分じゃ。よろしく頼むぞぃ」
「えぇ。こちらこそ」

*

マスターとの面会を終え、
正式なエージェントとしてではなく、フリーランスな立場、
手が空いているときに協力するということで、話を纏めたアレーヌ。
アレーヌは海斗と梨乃に案内され、本部内をグルリと回った。
かなり充実した設備だ。生活に事欠くことはないだろう。
一人一人に個室も与えられるそうで、そこは自由に使って良いそうだ。
倉庫のように使っても、仮宿として使っても、御好きなように。
食堂やショップ、書庫、依頼が記されているリクエストボードなど、
一通りの説明を聞き終え、アレーヌはフゥ…と息を吐いた。
本部は、とても広い。しばらくは、どこに何があるか、
覚えることに時間を費やさねばならないであろう。
そんなアレーヌに、海斗と梨乃は提案した。
お風呂にでも漬かって、疲れを癒してはどうか?と。

本部一階には大浴場がある。
そして、これがまた、何とも神秘的な造り。
古代ローマの伝統、トレビの泉をイメージした美しい浴場。
浴場全体に散りばめられているクリスタルは、見る角度によって七色に変化。
張られている湯も、不思議な肌触り…シルクのような心地よさ。
湯に身体を沈め、アレーヌは、はふぅ…と大満足。
「湯浴み目的だけで来ても悪くないですわね」
すっかり、お気に召したようで。何より、何より。

フリーランスな立場で、イノセンスに関わることとなったアレーヌ。
イノセンスで過ごす時間や出逢いが、彼女に大いなる成長をもたらしますように。

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■■■■■ CAST ■■■■■

6813 / アレーヌ・ルシフェル / ♀ / 17歳 / サーカスの団員・退魔剣士(?)
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / イノセンス・マスター / ♂ / ??歳 / INNOCENCE:マスター(ボス)  

■■■■■ THANKS ■■■■■

こんにちは! 毎度さまです! ゝ(▽`*ゝ)(ノ*´▽)ノ
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
是非、また。以降各種シナリオにご参加下さいませ^^

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2008.04.25 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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