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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // 巨乳か貧乳か

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OPENING

本部三階、海斗の部屋。
何をやってるんだろう…とチラリと中を覗く。
「わーかってねーな。ほんと、わかってねーな」
「わかってないのは、そっちだ」
「お前なぁ、巨乳が良いに決まってんだろ、男ならよー」
「偏見だね。っていうか、まだまだだねぇ」
「何だよ、それ」
「あまり大きいと下品だろ。適度な…ん〜…寧ろ控えめな方が良いって」
「ヤダ、そんなの。全然ミリョクねーじゃん」
「お前ねぇ…女の子を胸だけで判断してるのか?」
「そーゆーわけじゃないけどさ、何つーか、こう…」
部屋の中には海斗と藤二。
二人は『女性の胸』に関して討論しているようだ。

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はふぅ…お腹空いた…。
ちょっと予定外だったわね。手こずっちゃった。
夕方には終わるはずだったんだけどなぁ。
まさか、あんな隠し能力があったなんて。
むぅ〜…情報収集不足だったなぁ。
まだまだね。甘い甘い。
タシ、エクを肩に乗せ、イノセンス本部をタタタ…と駆けるシュライン。
報酬が美味しい任務を終えて、先程戻ってきたばかり。
すぐに終わるだろうとタカをくくっていたのだが、
討伐対象であるモンスターが金縛り的な隠し能力を持っていて、
思いのほか手こずってしまった。
お昼ごはんを食べずに出発して、
戻ってきたのは十八時半。
もう、お腹ペコペコ…。
完了報告を済ませた後、
ついでだから、とシュラインは本部で夕飯を済ませることにした。
初めてなのよね、食堂使うの。
メニュー豊富だって聞いてるし、
デザートが美味しいとも聞いてるし…ふふ、楽しみだな。
タシとエクにも、何か食べれるようなものあるかしら?
あるわよね…ないわけないもの。何でも揃ってるんだから。
三階にある与えられた自室(シュラインは倉庫として使っている)で、
サッと着替えを済ませたシュラインは、いそいそと食堂へ向かう。
夕飯時ということもあり、混んでいそうだ。
座れるかなぁ…などと不安を抱きながら歩いていたときだった。
「わかってねーのは、そっちだろー!」
「お前だっつぅの…強情だなぁ」
「藤二がだろー!」
聞きなれた二つの声が…何やら言い合いをしている。
ピタリと立ち止まるシュライン。
立ち止まったところは、海斗の部屋の前。
中では、海斗と藤二が言い合いをしている。
デカい方が良いだの、控えめな方が良いだの…。
何の話をしているのか、はじめはサッパリだったが、
少し立ち聞きして、すぐに内容を理解する。
二人は、女性の胸について討論しているようだ。
(何やってるんだかぁ…)
苦笑するシュライン。
部屋の外、中を窺っているシュラインを発見した海斗。
ベッドに寝転んでいた海斗はガバッと起き上がり、
その勢いのまま部屋の外に出て、シュラインの腕を掴んで部屋へと引き摺りこむ。
「ちょ、ちょっと海斗くーん?」
「混ざって混ざって!」
「…女の子を混ぜる話題じゃないと思うんだけど?」
クスクス笑いつつ返すシュライン。
部屋に入り、シュラインと目が合った藤二は、
「いらっしゃい」と歓迎の意味を込めて両腕を広げた。
その腕に飛び込むわけもなく。
シュラインはストン、と適当な場所に腰を下ろした。
「…切なっ」
藤二はクックッと笑う。

*

「シュラインも、デカいよなー。意外と」
ジッとシュラインの胸元を見つつ、しみじみと言う海斗。
「意外とですか。失礼ねぇ」
「お前、それセクハラだよ」
「え?いやいやいや、違うって。ただデカいなーと思ってさー」
「だから、それがセクハラだっつぅの」
「いいだろ、別に!そーいうハナシしてんだから!」
「開き直ってる…くく…」
「うるさいっ、ちょっと黙れ、藤二!」
「お前のほうがウルサイ」
藤二にセクハラだとツッこまれて動揺している海斗を見て、
海斗くんって、弄られキャラだなぁ…。
ん?でも浩太くんの方が弄られキャラよね。
んー…。藤二さんと一緒にいると、
海斗くんって、益々子供っぽく見えるかも。
うんうん…仲良しだものね。気を許しきってるからだわ、きっと。
そんなことを思いつつ、パリパリとベーコンスナックを齧るシュライン。
そんなシュラインに、海斗は尋ねる。
「なぁ、女的にはさ。どーなの?デカいのと小さいの、どっちがいーの?
「え…?」
「お前、それだけ聞いたらヤバイよ?セクハラの域を超えてるよ?」
「は?何で…って、ばか!違うよ、今は胸の話だろ!」
「え〜?何のこと〜?俺、何も言ってないけど〜?」
「…殴るぞ、いー加減にしないとっ」
二人の遣り取りにケラケラと笑い、シュラインはうーん…と考える。
胸の大きさ、かぁ。そうだなぁ…。
私的には、大きい小さいより、形が良い方がいいかな。
大きくて形も良ければ最高かもしれないけど、
小さくて形が良いっていうのも、魅力があるものよね。
「あー!わかるー!形って大事だよな!」
「言えてるね。掌に収まる感じと適度な弾力が良いな」
「溢れる感じのほーがいーじゃん。おおおお…ってなんねー?」
「なんない」
クックッと笑いつつ否定する藤二。
大きいか小さいか、どっちが良いか。
いくら討論しても、どちらかが勝るということはない。
人それぞれ、好みは違うのだから…。

胸討論に、ひとまずピリオドを打って。
話題は、胸から異性、恋愛全般へと移る。
現在盛り上がっているのは、異性の、どんな仕草や部位に魅力を感じるか。
「俺ねー。うなじが好きなの。髪結ってるときとかのアレ、いくない?」
「わからなくもないけどなぁ。お前、意外と古風だね」
「ふふ。確かにそうかも。ちょっとオジサンくさいかも?」
「うわ。それ、軽くショックだ…」
海斗は、女の子の『うなじ』が好きらしい。
まぁ、嫌いな男は、そうそういないような気もするが、
海斗にしては意外と落ち着いてるかもしれない。
確かに、ちょっと古風?
和服…着物とか、好きなんじゃないだろうか。
定かではないけれど。
「俺は、やっぱ唇だな。プルプルの唇見てると興奮するね」
「うわー。何か、エロいっつーか変態ちっくだなー。な?シュライン?」
「うん。そうかも。っていうか…ここまで聞いた話だけだと、ロリコ…ううん、何でもない」
「あっははははは!確かに、ロリコンっぽいかもー」
「…言うの遠慮したのに、サラッと言っちゃうのね、海斗くん」
「失敬だな、君達。俺はストライクゾーン広いよ?高校生から熟女まで…」
「藤二さん。それ、自慢気に言うことじゃないから」
藤二は、女性の『唇』が好きらしい。
まぁ、確かにツヤツヤプルプルな女の子の唇は魅力的だ。
カサカサに荒れてる女の子の唇には、萎えてしまうだろう。
だがシュラインがツッこみかけて、
そのすぐ後に海斗がズバッとツッこんだとおり…。
小さい胸が良いとか、唇が好きだとか。
何となぁくロリコンっぽいような気もする。
歳も歳だしね…そういう風に聞こえるのかもしれない。
実際は本人が言ってるとおり、
ストライクゾーンは広く、あらゆる年齢層がイケるみたいだけど、
若い女の子の方が、やっぱりちょっと燃える。というのは…あるんじゃないだろうか。
定かではないけれど。いや、こっちは定かかもしれない。
「で?シュラインは、どういうのが好きなの?」
海斗に聞かれ、シュラインは淡く微笑み、返す。
「斜め後ろから見上げた時の、男性の顎の…ラインとかかな」
「あごぉ?」
「うん、何か色っぽいの。あとね、手袋と袖の間のチラ見え絶対領域とか…手の甲の筋とかも好きよ」
「あぁ。手指は好きだよね、女の子」
「そーなの?」
「男性って、自分が触れる場所、女性は自分に触れる対象に注目するって話をどこかで聞いたけれどホントかもね」
「へーー。でもさー、あいつの手って煙草臭そうだよ?」
「ぷ。臭くないわよ」
ディテクター(武彦)の手が臭そうだと言う海斗に、ケラケラ笑うシュライン。
そこからは、どういうわけか、シュラインと彼の進展具合の話になっていったり…。
何だか、集中攻撃を浴びてるような気がするなぁ…とは思いつつも、
大好きな人のことを聞かれて、黙っていられる口じゃない。
シュラインは次々と、彼への想いを告げていく。
いつしか、ノロけ独壇場のようになってしまい、
海斗は面白そうに聞いていたが、藤二は何だか微妙なようで苦笑ばかり。
「って、私ばっかり話してるじゃない。二人の話も聞かせてよ。はい、じゃあ海斗くんから」
「え。俺から?」
「うん。藤二さんのは長〜くなるだろうから」
「あはは!確かに!」
「ふっふ。今夜は寝かせないよ?」
大盛り上がりの室内。
話に夢中になるがあまり、空腹だということを忘れていたシュライン。
それを聞いた海斗と藤二は、じゃあピザでも頼もう、とデリバリー。
本当に…今夜は夜通し、盛り上がることになりそうだ。
彼に連絡、入れておかないとね。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

0086 / シュライン・エマ / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度様です! (ΦωΦ) 楽しかったです(笑)
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。

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2008.04.26 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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