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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // 海斗vsディテクター

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OPENING

「勝負ー!勝負ー!勝負しろー!」
「あ〜…うるさい」
「お前がイイヨって言わないからだろー」
「いいって言うまで続くのか…」
「トーゼン」
「…はぁ、わかったわかった」
「おっ!ヤル気になった?」
「なったなった」
「よっしゃ。んじゃ、どこで戦る?」
「どこでもいいよ…どうでもいいよ…」
「ヤル気あんのかっ!?お前っ」
「あるある」

海斗に纏わりつかれているディテクター。
バッタリ街で遭遇したのがウンのつき。
かれこれ三時間、海斗はずっと『勝負しろ』と言っている。
面倒だからと適当に流していたディテクターだが、
治まる気配のない執拗な願いに、すっかりゲンナリ気味。
いつまでも 付き纏われては、それこそ迷惑。
そんなワケで、勝負に応じることになったのだが…。

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ん?あれは…探偵さんと、海斗くん?
うむぅ?何だか珍しい組み合わせね。
梨乃ちゃんじゃなくって、探偵さんってところが。
イノセンス本部でスイーツを満喫し、
元の世界へ戻ろうとしていた矢先に二人を発見したシュライン。
シュラインはテテテ…と二人に駆け寄り、声を掛けた。
「なーにしてるの?お二人さん」
「お。びっくりしたー」
「…お前こそ、何やってんだ、こんなとこで」
「うん?私は、ちょっとスイーツをね…。ね、もしかして組んで仕事行ってたとか?」
「「それはナイ」」
口を揃えて言う二人に、シュラインはクスクス笑う。
冗談よ、聞いてみただけ。面白そうだったから、二人の反応が。
んー?でも、じゃあ…どうして揃ってウロウロしてるのかな?
小首を傾げて尋ねるシュライン。二人は簡潔に纏めて状況を説明した。
海斗はノリノリ、ディテクターは、面倒くさそう。
そう、二人は、バトルする場所を探してウロついているのだ。
例によって、海斗がしつこく挑んでくるため、
ディテクターは、やむなく付き合ってあげることに…そんな展開で。
手ごろな会場を探し求めて、かれこれ三時間。
別に、どこでもいいだろ…とディテクターはゲンナリしたが、
ヤル気満々の海斗は、場所にもこだわるようで。
適当な勝負じゃないから、適当になんて決めれない、と必死らしい。
(三時間って…)
海斗の熱の入れように呆れ笑いを浮かべるシュライン。
はぁ…と溜息を落とすディテクター。
シュラインは、そっとディテクターに「お疲れ様デス」と労いの言葉をかけ、
以前、ガルカスを討伐した洞窟付近はどうかしら?と提案した。
確かに、あそこなら人が通ることは滅多にない。
あれこれ気を使わず、存分に暴れられそうだ。
「それだっ!いーこと言った、シュラインっ!」
ビシィッとシュラインを指差してポーズをキメる海斗。
ようやく決まったか…と、ディテクターは大きな溜息を落とした。

*

じゃあ、頑張ってね…と手を振り別れ…られるわけもなく。
シュラインは海斗に頼まれ、同行することに。
何でも、審判を勤めて欲しいのだそうで。
必要かなぁ、審判なんて…。
そう思うも、断れそうにない雰囲気に悟り、
シュラインは大人しく二人に同行。
ガルカスが棲んでいた洞窟は、あの時のまま。
粉々に砕け散った、そのままの姿を保っている。
現場に到着するや否や、
チャッと腰元から魔銃を抜いて構える海斗。
それに応ずるかのように、ディテクターも愛銃を腰元から抜いた。
わ。何、もう開始なのっ?早い早い。展開早いよ、もうっ。
慌てて瓦礫の影に隠れて、二人のバトルを見守るシュライン。
「今日こそ、ギャフンと言わせてやるぜ」
「お前が言うんだろ、どうせ今日も」
「ふんっ。チョーシ乗ってんじゃねー…よっ!」
ドッ―
躊躇なく、最大出力で発砲する海斗。
銃口から放たれた炎は、ディテクターを飲み込むかのように。
だがディテクターは、クルンと身返し、それを華麗に避け、
振り返ると同時に、海斗の足元へ発砲。
チュン、と土をひるがえした銃弾。
ピョンと高く跳ねて避けた海斗は、
そのまま木の枝にブラさがって、落ち着きなく動き回りつつ、果敢に攻める。
何ていうか…あれ…猿みたい。楽しそうだなぁ、海斗くん。
炎、って感じよね。彼は本当に。
性格、そのまんまが属性になってるっていうか。
で、探偵さんは…一見クールなんだけど、
実は、そうでもないのよね。
私、知ってるから。
探偵さんも、負けず嫌いだもんね。
仕方なく付き合ってあげるっていっても、
負けてあげるつもりなんて微塵もないの。
相手が海斗くんだから尚更なのかな。
容赦ないなぁ、大人気ない感じもするけど。
海斗くん、ついてきてるし。んー。問題はなさそうだけど。
二人のバトル展開を観戦しつつ、
冷静に分析なんぞしているシュライン。
だが、熱くなった二人は、次第に周りが見えなくなっていく。
何だかんだで、探偵さんのほうが、一枚上手なのかな。
海斗くんは全力全開!って感じだけど、
探偵さんは、まだまだ余力がありそうだものね。
うーん。さすがね。経験地の差、つてやつかしら…って。
「…ゎっ!?」
突如、頬を掠める銃弾。流れ弾、ってやつだ。
掠めたのは、ディテクターの銃弾…。
クールにキめてはいるものの、
ディテクターも何だかんだで相当熱くなっているようだ。
銃弾だけじゃない、辺りには、ヒュンヒュンと炎も飛び交っている。
…まぁ、海斗は、我を忘れてナンボ、みたいなところがあるけれど。
ディテクターまで、こんな感じだとは…。
シュラインは、ずずず…と瓦礫の影に深く身を沈め、
ちょこーんと顔だけを出し、二人のバトルを見やる。
眉間に寄っているシワに二人が気付くのは、
バトルが終了してからの話。

*

結果、勝ったのはディテクター。
最後にチョチョイと本気を出して、あっさりと勝利。
海斗は悔しいのか、ジタバタと暴れている。
「だー!くそ!むっかつくー!何なんだよ、お前ー!!」
「ふふん。俺に勝てるわけないだろ。学べよ、少しは」
「…あー!ムカつく!何もかもがムカつく!」
「というわけで、俺の勝ちだ。な、シュライン?」
勝ち誇った笑みを浮かべて振り返るディテクター。
だが振り返ると同時に、ディテクターの額に嫌な汗が。
見やった先には、流れ弾を浴びて、髪も服もボロボロになったシュラインが…。
夢中になりすぎた…と揃って反省する海斗とディテクター。
そんな二人に呆れ、シュラインはツカツカと歩み寄って叱る。
「キミ達。いつもこんなに周りに無頓着なの?」
腕を組み、フンと鼻息を荒くして言うシュラインに、
海斗もディテクターも、しおしお…。
返す言葉も御座いません…といった様子だ。
「っもう!」
ピンッ、とディテクターの鼻を指で弾き、
ぷぃっと顔を背けるシュライン。
とんだ、とばっちりをくらってしまった。
こんなことになるなら、無理矢理でも家に帰れば良かった。
そう思ってるに違いない…海斗とディテクターはバツが悪そうに互いに見合った。
怒ってるんだろうな、どうしよう。
どうやって機嫌をとろう。
いや待て、まず誠心誠意の謝罪を述べるのが先じゃないだろうか。
顔を背けたままのシュラインの背中を見つつ、あれこれ考える二人。
そんな二人の気まずそうな雰囲気を感じつつ、
シュラインは…クスクスと笑っていた。
(さぁて、何を奢ってもらおうかなぁ)
この後、二人の財布はシュラインの手によって、
スッカラカンへと追いやられることになる。

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■

0086 / シュライン・エマ / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / ディテクター(草間・武彦) / ♂ / 30歳 / IO2:エージェント(草間興信所の所長)

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度さまです〜! (*´▽`*)ノ゛
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ!

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2008.05.13 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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