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<東京怪談ウェブゲーム アンティークショップ・レン>


ブルー・ティア

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OPENING

「わぁ。これ…綺麗ですね」
「ふふ。なかなか良いセンスしてるじゃないか」
「おいくらですか?これ」
「そうだねぇ、三百万ってところかね」
「さっ…!?」
東京に遊びにきたついでに、アンティークショップを訪れた梨乃。
店内を回り、梨乃の目に留まったのは、青い宝石。
吸い込まれそうなほどに美しい宝石。
値段を聞くということは、よっぽど気に入ったようだ。
だがしかし三百万とは…暴利ではなかろうか。

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じー…っと宝石を見つめる梨乃。
瞳に青い宝石が灯り、キラキラと輝いている。
見惚れている梨乃を見つつクックッと笑う店主。
まるで、買って欲しい玩具の前から動かない子供のようだ。
(こういうところが可愛いんだよね、このコは)
カウンターに頬杖をつき、微笑ましく思っていると。
カラン―
来客だ。店主は「いらっしゃい」と客を迎える。
店にやって来たのは…蓮だった。
蓮は、どうもと軽く会釈し店内へ。
(あれ?)
すぐに気付く、見慣れた後姿。
蓮は歩み寄り、声をかける。
「梨乃ちゃん。何してるの?」
「………」
返事はない。
梨乃は、じーっと青い宝石を見つめている。
釘付け…って感じだね。これは。クスクス笑う蓮。
店主は扇子を揺らしつつ、肩を竦めて言った。
「気に入ったみたいでね。けど、手が出せないみたいだよ」
「手が出せないって…あぁ、なるほど?」
クスッと笑い、梨乃の隣に腰を下ろす蓮。
「へぇ、確かに綺麗だね」と蓮が呟くと、
ようやく、梨乃が蓮の存在に気がついた。
「は。あっ、蓮さん。いらっしゃいませ…!」
「あははははっ。いつから店員さんになったの?」
「あ、あぅ…。いえ、あの、すみません。ビックリしちゃって」
「釘付けだったね」
「は、はい…」
夢中に、うっとりしていたことに照れ笑いする梨乃。
蓮は、そんな梨乃の頭をぱふぱふっとして、店主に尋ねる。
「で…?これは、どんな曰く付き商品なのかな?」
「ふ。そういうモンばっかり扱ってるわけじゃないんだよ、うちは」
「へぇ?じゃあ、特に何の問題もないわけだ」
「加工した職人が天才と謳われる人でね。適当な価格さ」
「ふぅん…」
まぁ、確かに。斬新なカットだ。
これが宝石の美しさを、更に増徴させているといっても過言ではない。
手法だとか、そういうものは、よくわからないけれど、
素晴らしいものだ、っていうのはパッと見ただけでわかるよ。
梨乃ちゃんの視線を独り占めできちゃうんだしね。
でも、三百万か。さすがに自分へのご褒美には痛いね。
うんうん、と頷く蓮。
すると、宝石の美しさを思う存分に堪能した梨乃はスッと立ち上がり、
「じゃあ、私、戻ります」
そう言って、店を去ろうとした。
「っと。待って」
きゅっ、と梨乃の腕を掴んで止める蓮。
はい…?と首を傾げている梨乃に蓮は言った。
「欲しいんでしょ?これ」
「え…と。でも、ちょっと…」
「ふふ。だよね。だからさ…」
クルッと振り返る蓮。
蓮は店主にニコリと微笑みかけて言った。
「というわけで。譲ってくれないかな?これ」
「…はい、どうぞって言うとでも思うかい?」
「ははっ。勿論、タダでとは言わないよ」
「………」
軽く首を傾げて笑っている蓮。
彼からは "何でもどうぞ" というオーラがモリモリと放たれている。
店主はハァ…と溜息を落として苦笑すると、
譲る代わりに…と、とある条件を提示した。

*

「あ、あの…蓮さん。私…」
「いいから。黙って。目、瞑って」
「…で、でも」
蓮の腕の中で顔を真っ赤に染めて、あたふたする梨乃。
店主が提示したのは、二人が愛し合ってることを証明しな、というもの。
やっぱり、そんな感じできましたかと蓮は笑った。
提示してくる条件を想定した上での、おねだりだったのだ。
だがしかし、ここまでして手に入れるなんて…と梨乃は戸惑い。
キスしたいから目を瞑って、という蓮の言葉に、応じることができない。
拒み続ける梨乃を見つつ、蓮はふっと憂いの表情。
「俺の気持ち…わからない?」
キミの為に、キミの喜ぶ顔が見たいから。
だから、こうして…店主の要求に応えようとしているのに。
切なそうな眼差しで見つめられ、梨乃の胸が、きゅっと…。
自分のために、どんなことでも。蓮の優しさと想いに打たれる。
「蓮さん…」
「………(はは。可愛いなぁ、その目。たまんないね)」
憂いの表情を浮かべてはいるものの、実際は小悪魔だ。
梨乃の喜ばせてあげれる上に、堂々とキスもできる。
蓮にとって、この条件は美味しすぎるものだ。
意を決し、スッと目を伏せる梨乃。
蓮は、クスッと笑うと、店主に見せ付けるかのようにして口付け。
恥ずかしくて、たまらない。
見られてる。見られてる。
…どうしよう、恥ずかしくて。
気が…遠くなりそう。
店主に見られていることが恥ずかしくて、梨乃は真っ赤。
湯気が見えるような気が…しないでもない。
蓮と梨乃が唇を重ねて十秒が経過したとき。
店主は「もういい。ごちそうさん」そう言ってクック…と笑った。
唇を離して、すぐ、がっつくように宝石を手にとり、ニッコリ微笑んで言う蓮。
「はい、梨乃ちゃん。良かったね」
「…は、はぃ」
俯き、真っ赤な状態で宝石を受け取る梨乃。
た、確かに嬉しいです。すごく…すごく欲しかったから。
で、でも…それと引き換えに、すごく恥ずかしい思いを…。うぅ…。
沈黙してしまった梨乃の肩を抱き、蓮は歩き出す。
「さ、行こう。送るよ」
「…は、はぃ」
店を去る間際、店主に目配せする蓮。
どう?といわんばかりの、その視線に店主は苦笑し、
とっとと帰りな、とシッシッ…という手振りを見せた。
確かに、想い合ってはいるみたいだけど。
まだ、ぎこちないね。
それが初々しくて良いのかもしれないけれど。
…ふ。面白い。退屈しそうにないねぇ。
これから先の蓮と梨乃を思いつつ、店主は妖しく笑んだ。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 碧摩・蓮 (へきま・れん) / ♀ / 26歳 / アンティークショップ・レンの店主

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度さまです〜。('ー'*)
気に入って頂ければ、幸いです。是非また、宜しく御願い致します^^

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2008.05.18 / 櫻井 くろ(Kuro Sakurai)
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