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雪合戦 ＤＥ 組織対抗マジバトル！
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ＯＰＥＮＩＮＧ
東京に遊びに来た異界の住人たち。
一方は、ＩＮＮＯＣＥＮＣＥの面々。
もう一方は、ＩＯ２の面々だ。
地球にある、日本という国は、四季がある神秘の国。
今はまさに、春真っ盛りで桜前線が上昇している。
…はずなのだが、どういうわけか。
国の首都である東京で、ウィンターリターン現象。
真冬に戻ってしまったというのだ。
大パニックを引き起こしている、その現象が どんなもんかと、
両組織の面々は、興味本位で様子を見に来たというわけだ。
目の当たりにする事実は、なるほど。
確かに、ウィンターリターン。
風は春の優しい香りがするのに、雪が積もっている。
何とも不思議な光景だ。
遅刻した桜の花弁がヒラリと雪の上に落ちる。
春の雪。これは、そうそう見られる景色ではない。
両組織のエージェントのテンションは揃って一気に上昇。
ここでワクワクしなけりゃ、心が腐ってる。
誰が言い始めたワケでもないが、
両組織は、モソモソと準備を始めた。
何のって？そりゃあ、もちろん…雪合戦の。
楽しまなきゃあ、損でしょう？
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良いわね、雪合戦。
こんな状況だもの、楽しまなくちゃ損よねぇ。
何事か、って気になりはするけれど…。
何が起きても不思議じゃないのよね、実際。
深く気にしちゃ、負け。そんな気がするの。
いつまでもこの状態が続いたら、色々と大変だけど、
そうなったらそうなったで、対処すればいいだけ。
悪戯とかじゃなく、れっきとした事件なら、解決しなきゃね。
何となぁくだけど、事件！って感じじゃないのよね。
悪戯…って感じ。困ったコがいたものね。
ま、異界から頼りになる面々が来てることだし？
多分、何とかなるでしょ。もしものときは、ね。
それよりも何よりも。
今は、雪合戦バトルの展開が気になるわ。
イノセンスとＩＯ２…うん、楽しそう。楽しそうなん、だけど…。
この面子だと、ひどいことになりそう。色んな意味で…。
作戦会議をしている双方チームを見やりつつ、苦笑するシュライン。
彼女は一人、少し離れた場所で、みんなに振舞う豚汁を用意している。
バトル会場である広場に、ふんわりと漂う良い香り。
美味しそうな匂いは、双方のヤル気を増幅させる。
輪になって、ごにょごにょと作戦会議しているイノセンスチーム。
ＩＯ２は、ディテクターを中心に、彼を囲うようにして作戦会議中。
調理を終えたシュラインは、いそいそとチームに合流。
彼女が加勢するのは、もちろん、ＩＯ２チーム。
シュラインは、ディテクターに手袋を渡しつつ尋ねた。
「良い感じ？作戦会議」
「おぅ。説明するから、ちゃんと聞けよ」
手袋を受け取りつつ、不敵に笑んで言うディテクター。
顔を見れば、一目瞭然。何て楽しそうな…生き生きとした顔か。
こういう時の武彦さんって可愛いのよねぇ。
コロッと童心に帰っちゃうっていうか。素直っていうか。
ふふ。私も、頑張らなきゃ。
作戦会議に参加したシュラインは、
ディテクターに、あれこれと説明されて作戦を理解。
こんな作戦はどう？と提案したりも。
いつしか、遊びって感じではなくなり、
みんな、本気モードになっていた。
*
さぁ、いよいよバトルスタート。
双方は、陣地に作った雪山の影に身を潜めつつ、攻撃を開始。
先ずはお手並み拝見。ディテクターが、一発かまし。
雪山に当たり、ボスゥッと音を立てて崩れる雪玉。
ディテクターは、チラリと雪山から顔を出し、
かかってこい、と言わんばかりにニヤリと笑んだ。
「うわ。ムカつく。何、あの顔！」
挑発にまんまと乗り、わっさりと雪玉を抱える海斗。
抱えた雪玉を、海斗は次々と放る。
ヒュンヒュンと飛んでくる雪玉。
それらを上手に避けつつ、シュラインはクスクス笑う。
「良い肩してるわねぇ」
「血気盛んなピッチャーだな。プロ初入りってとこか」
「あははっ。それ、何か妙にしっくりくるわね」
「ふ。プロの洗礼に嘆かせてやるぜ」
不敵に笑んで、応戦するディテクター。
ディテクターの放つ雪玉は、見事に海斗にヒット。
「ぐあー！っんのやろー！」
キー！と苛立ち、ムキになる海斗。
ディテクターは、その後も海斗ばかりを執拗に狙う。
海斗とディテクターが熱戦を繰り広げている横で。
シュラインとレイレイは互いに顔を見合わせ、コクリと頷く。
対、藤二＆浩太用の作戦、発動。
ヒョコッと雪山から顔を出し、じっと浩太を見つめるレイレイ。
その視線に気付かないわけもなく。
雪玉を持ち、構えていた浩太はピタリと静止。
動きを止めた浩太の尻をぺしっと叩き、マスターは言う。
「こりゃ。相手の作戦に飲まれるでない。情けないぞ」
「えっ、あっ、は、はいっ」
我に返り、大きく振りかぶる浩太。
するとレイレイは、頬を赤らめつつ大きな声で叫んだ。
「こ、浩太くんっ。大好きっ！！」
広場に響き渡る、愛の言葉。一瞬の静寂。
レイレイはガバッと雪山に隠れ、うずくまって真っ赤なユデダコに。
「は、恥ずかしいです…」
照れて真っ赤になるレイレイの頭を撫で、お疲れ様、と労うシュライン。
で、浩太は…というと。ピキーンと石化。
レイレイよりも酷い赤面状態で、動けなくなっている。
「千華、浩太はもう駄目だ、使えねぇ。隠せ、隠せ」
雪玉を作りつつ千華に指示するのは藤二。
支持に従い、千華は前線で石化している浩太の元へ駆け出し、
ズルズルと彼を引き摺って雪山の影に隠した。
常に雪玉が飛び交っている中、千華がそれらを一発もくらわないのは、
彼女が自身を光の結界で覆っているからだ。ある意味、無敵…？
浩太を仕留められたのは、かなり痛い。
攻撃の要として活躍してもらう予定だったのに。
作戦を狂わされ、苦笑しつつ…渋々、藤二は前線へ。
藤二が前線に出てきて構えている姿を見たシュラインは、
すぐさま、バッ…と。セクシーな某女優のポスターを広げた。
東京で人気の女優だ。とてつもなく美しく、それでいて妖艶。
これに、藤二が無反応なわけがない、という作戦だ。
作戦通り、藤二はピタリと動きを止め、ポスターを見やる。
だがしかし、残念なことに。
「いいね、めっちゃ好み。でも、ポスターじゃ、抱けない…ねっ！」
生身じゃないと意味がなかった。藤二はブンブンと雪玉を投げやる。
「きゃー！や、やっぱり生身じゃなきゃ駄目だったかぁー」
身を屈め、雪玉を避けつつ逃げ回るシュライン。
*
大盛り上がりの雪合戦。
混乱するバトル会場で、咄嗟に思いついた作戦を実行するシュライン。
単純な作戦だけど、これが効果てきめん。
レイレイの怨霊とシュラインの"声"のコラボレーション。
地下に張られた怨霊能力応用のトンネルを伝い、
イノセンスの陣地付近に、シュラインの声が飛び交う。
後ろだ、右だ、左に避けろ、など、
シュラインはディテクターとアイコンタクトを取りつつ、的確な指示を飛ばす。
わーわーと混乱しているバトル会場では、もう何が何やら。
飛び交うシュラインの指示に、まんまと引っかかり、
イノセンスの面々は、次々とディテクターに仕留められていった。
窮地に立たされたイノセンス。もはや、これまでか…。
勝った！そう思った矢先のことだった。
それまで、ただジッと…雪山に身を潜めていた人物が、
不敵な笑みを浮かべて、ゆっくりと姿を見せる。
出てきたのは…梨乃だ。
梨乃の姿を見た途端、ＩＯ２の面々はギクリ。
同時に、やばい…と全身でピンチを悟る。
その予感は見事に的中。
梨乃はクスクスと笑いつつ、指を躍らせて…雪を操る。
そう、彼女は水・氷を身に宿す能力者だ。
何という、うっかり。すっかり忘れていた。
遅いくる雪のつぶてと雪崩。
それを目前に、ディテクターは膝をついて苦笑した。
「不覚…」
うっかり誤算により、イノセンスにバトルを制されたＩＯ２。
海斗の嬉しそうに飛び跳ねる姿が、一層、悔しさを引き立てる。
いやいや、大喜びしてますけどね、実際…梨乃が一人で勝ったようなものですよ？
まぁ、切り札を隠しておいたという、ありきたりな作戦は…成功したわけだけど。
「はぁ…。しくじったな…情けない。ちゃんと把握してりゃあ…」
実に悔しそうなディテクター。
そんなディテクターに、海斗は嫌味に絡む。
「負け犬の遠吠えー」
「うるさい」
バトルを終え、みんなで食す豚汁。
吐く息白く、ウィンターリターン。
微笑ましい光景に、シュラインは空を見上げて淡く微笑んだ。
雪が止むのは、もうすぐ…。
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■■■■■ ＴＨＥ ＣＡＳＴ ■■■■■■■■■■■
００８６ / シュライン・エマ / ♀ / ２６歳 / 翻訳家＆幽霊作家＋草間興信所事務員
ＮＰＣ / 黒崎・海斗 （くろさき・かいと） / ♂ / １９歳 / ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ：エージェント
ＮＰＣ / 白尾・梨乃 （しらお・りの） / ♀ / １８歳 / ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ：エージェント
ＮＰＣ / 青沢・千華 （あおさわ・ちか） / ♀ / ２９歳 / ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ：エージェント
ＮＰＣ / 赤坂・藤二 （あかさか・とうじ） / ♂ / ３０歳 / ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ：エージェント
ＮＰＣ / イノセンス・マスター / ♂ / ？？歳 / ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ：マスター（ボス）
ＮＰＣ / ディテクター（草間・武彦） / ♂ / ３０歳 / ＩＯ２：エージェント（草間興信所の所長）
ＮＰＣ / レイレイ（草間・零） / ♀ / ？？歳 / ＩＯ２：エージェント （草間興信所の探偵見習い・武彦の妹）
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こんにちは！ 毎度さまです〜！ (*´▽｀*)ノ゛
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ！
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２００８．０５．１７ ／ 櫻井 くろ （Kuro Sakurai）
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