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INNOCENCE // ファッションショー
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OPENING
自室でまったりとくつろいでいた時だった。
コツコツ、と扉を叩く音。
この落ち着いたノックは…誰だろう。
海斗ではないことは確かだけれど。
誰かな?と思いつつ扉を開けると…。
そこには、千華がいた。
「…?」
首を傾げると、千華はニコリと微笑んで言った。
「モデルを御願いしたいんだけど。良いかしら?」
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「モデル…」
ぽわん、と思い浮かべて少し考えるシュライン。
千華さんの作る服…好きなのよね。おしゃれで、斬新で。
新作とか、仕上がったのかしら?それなら…。
「よろこんでっ」
ニコッと微笑み、承諾するシュライン。
千華にモデルの御願いをされるのは、今日が初ではない。
シュラインのボディラインというか、スタイルを気に入っている千華は、
新作が上がるたびに、彼女にモデルを頼む。
今日で、何度目になるだろう。
いつ頼まれても嫌な顔一つせず、
にこやかに微笑んでOKするシュライン。
千華と同じように、彼女もまた楽しんでいるのだ。
千華と共に歩き、彼女の部屋へと向かう。
途中、すれ違った男性エージェントがペコリとお辞儀。
見たことのないエージェントだ。新入りさんかな?
ニコッと微笑み、お辞儀し返すシュライン。
新入り(であろう)エージェントは、照れ臭そうに走っていってしまった…。
あれ…私、何かした?と不安になるシュライン。
いやいや、何もしてませんよ。
ただ、新入りエージェントは照れていただけ。
「シューちゃんって…モテるのに鈍いわよねぇ〜」
クスクス笑う千華。シュラインはキョトンと首を傾げた。
「え?何?何のこと?」
千華の部屋…バニラの香りがする、綺麗な部屋…。
そう、本来はきっちりと片付けられた綺麗な部屋。
だが現状は、所狭しと様々な服が並んでいる。
まさに、足の踏み場もない状態だ。
うわぁ、凄い。
見たことのない服にワクワクするシュライン。
何でも、一気にノッて片付けてしまったらしく、置き場所に困っているのだとか。
うんうん、あるわよね。そういうの。
お仕事のジャンルは違うけど、私にもあるもの。
波っていうか、ね。
妙にノッちゃって、サクサク片付くときもあれば、
逆に駄目駄目なときもあるのよね。
で、駄目なときは、どう足掻いても駄目なのよね〜。
気分転換とかすると、意外とサクッとできたりするんだけど。
並ぶ服を手に取りつつ微笑むシュライン。
千華が眼鏡をかけ、メモを手にとると、
では、始めますかと笑った。
*
「メンズも似合うのよねぇ、シューちゃんってば」
「ふふ。そう?あ、こんなのは、どうかな?」
レザースーツを纏ったシュラインは、前髪をグイッと後ろにもっていった。
後ろ髪を一つに束ねてオールバック…。まるで、ナンバーワンホストのようだ。
「あははっ。カッコいいわ。そういうのもアリね」
メモを取る千華と、あれこれ言葉を交わすシュライン。
マーメイドラインのスカートで、シックにキメてみたり、
淡い色合いのカーディガンでキュートにキメてみたり、
お嬢様風なネグリジェを纏って、クルッと一回転してみたり。
こんなときじゃないと着られないようなもの、
それこそ着ぐるみ(ニワトリの着ぐるみ)や、
セーラー服っぽいデザインの服…。
絶対に着ないであろうゴスロリドレスなんかも。
チャイナドレス、ワンピース、コート、ジーンズ…
千華が作った、様々な服を次々と着ては楽しそうに笑うシュライン。
メタリックな質感の服のアンダーに、レースのボレロでギャップの魅力。
男性フラメンコダンサー風の服を着て、帽子に一輪…花をそえて大人の色香。
などなど、シュラインは着替えては、少し歩いてみたり、
クルクルッと回ってみたりして、
違和感や、ここをこうしたら、もっと良いんじゃないかしら?とか、
あれこれとアドバイスを告げた。
千華は、それら全てを有難く頂戴しメモに書き留め。
なるほどね、などと言いつつメモをとる千華の顔は真剣そのものだ。
そんな千華を見つつ微笑み、シュラインは尋ねる。
「ね。千華さん…それ」
「ん?あぁ、眼鏡?」
「千華さんも遠視?」
「うん。あ、そうだ。眼鏡もあるのよ」
「え。デザインしてるのっ?見たい見たい」
「ふふ。たくさんあるわよ〜」
テーブルの上に並べられる、色とりどりの眼鏡。
…鼻眼鏡がポツンとあるのが気になるところだけど、
どれも素敵なデザイン。黒フレームもいいわねぇ、あ、赤いのも素敵。
実際に、眼鏡をかけてみては鏡を見やり、どう?と尋ねるシュライン。
千華は、服に合わせて…こっちの方が良いんじゃないかしら?と、
インテリジェンスな眼鏡を薦めた。
現在シュラインが着ているのは、女性用の黒いスーツ。
白いシャツの襟には、赤い刺繍が施されている、オシャレなデザイン。
この格好にインテリ眼鏡…。
それはそれは、もう…バリバリのキャリアウーマンといった感じだ。
きゃっきゃとはしゃぎつつ、あれこれ試して言葉を交わすシュラインと千華。
楽しそうな二人の声に、引き寄せられて…。
ヒョコッと部屋を覗き込む海斗。
「うぉ!」
キャリアウーマン・シュラインを見て驚く海斗。
海斗に気づいたシュラインは手招きして呼びつけ。
隣にストン、と腰を下ろした海斗は、じーっとシュラインを見つめている。
「ふっふ。どう?似合う?」
自信アリ!な感じで笑って言うシュライン。
海斗は、あははと笑い、ほっぺをポリポリ掻きながら言った。
「そーゆーの好きー。俺」
「ほほぅ?海斗くんって、デキる女タイプが好みなのね?」
「限定ってわけじゃないけどさー。何かいーよね」
「ふむふむ。だって、千華さん」
「海斗の好みを書き留めてもねぇ…?」
クスクス笑う千華。
シュラインは、異性から見た印象とかも大事よ、と伝えた。
そうね、確かに…とメモとペンを構える千華。
シュラインと千華は、それから、まくしたてるように海斗に質問攻め。
わいわいと楽しそうなシュラインと千華に、海斗は思う。
(女って…うるさいなー)
いやいや、あんたの方がウルサイよ。
しかも、キミは一人でウルサイからね…。
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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■
0086 / シュライン・エマ / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■
こんにちは! 毎度さまです! ('∀'*)ノ ふっふふ。楽しかったです^^
ゲームノベル ”INNOCENCE” への参加・発注ありがとうございます〜!
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。
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2008.05.20 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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