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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // ごしゅじんさま

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OPENING

「ち、千華さん…もう脱いでも良いですか?」
「駄目よ〜」
「えぇぇぇ…」
「ほら、帰ってくる前に…やらなきゃいけないこと、色々あるでしょ?」
「ちょ、こ、この格好でですか?」
「うん。もちろん」
ニッコリと微笑む千華。
梨乃は今…とっても可愛らしいメイド服を着ている。
試着してみてとしつこく言われて、やむなく着てあげたのだが。
加えて、千華は、そのまま行って来いと言う。
どこへ?…じきに、仕事から戻ってくるであろうエージェントの所へ。

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はー…疲れた。
意外と手こずっちゃったな…まだまだねぇ、私も。
こんなんじゃ、母さんに、ま〜たダメ出しされちゃうな。
あれ、結構キツいのよね〜。
決まって、食事してる最中にやるもんだから、
も〜…ご飯を味わって食べれなくて。
ダメ出しされた日の夜中は、お腹空いちゃうのよね。
食べた気がしなくて…。
は〜ぁ、と息を吐き、自室へと向かう明日菜。
マスターへの完遂報告を済ませた明日菜は、
とりあえず着替えてから、昼食でもとろうかな…と腕を組んで歩く。
あ、っていうか部屋…片付けなきゃ。
急な仕事だったから、そのまんま出てきちゃったのよね。
脱いだ服とか下着とか、ほったらかし…。
う〜…面倒くさい。ゆっくりしたいのに。
ま、自業自得なんだけどねぇ……。
カチャリと扉を開ける明日菜。
部屋に一歩入った瞬間。
明日菜はキョトンと目を丸くした。
そのまま、ほったらかしてきたはずなのに。
部屋が…元通りになってる。
っていうか、これは…綺麗になってるよね。元より。
小人さんでも入ったのかしら?などと笑いつつ、鏡の前へ移動する明日菜。
と、そこで…明日菜は、ソファで眠っている、
可愛らしいお人形さんを発見する。
梨乃だ。
何とも妙な…フリフリの服を纏っている。
メイド服、というやつだろうか。
テレビや雑誌で何度か見たことはあるけど、本物を見るのは初めてね。
へぇ〜…こんな感じなんだ。すごい、色々と細かいのね、作りが。
っていうか、梨乃ちゃん…。可愛い…。
明日菜の部屋を片付けたのは、間違いなく梨乃だ。
ふきんを持ったまま眠っている。
掃除をして疲れて、一息ついていたら、
そのまま眠ってしまった…とか、そんな感じだろう。
(天使の寝顔ねぇ…)
すぅすぅと眠る梨乃を見つつ、ほのぼの…。
さきほどまでの疲れは、どこへやら?

*

せっかく気持ちよさそうに眠ってるし、起こしちゃ可哀相よね。
そう思った明日菜は、梨乃をそのままソファに寝かせておいて、
サッとシャワーを浴びにバスプレイスへ。
汗を流し、さっぱりして部屋に戻って来ると、
扉の開く音で、梨乃が目を覚ました。
「あれ…私…?」
ぽけっ…として辺りを見回す梨乃。
そうだ、千華さんに命令されて、明日菜さんの部屋に来て…。
掃除とかして、帰ってくるの待ってたんだけど。
寝ちゃったんだ、いつの間にか。
千華さんに、メイド失格っ!とか言われちゃうな、こんなんじゃ…。
そんでもって、まだ脱いじゃダメとか言われるんだ。
うぅ…この格好、恥ずかしいから今すぐにでも脱ぎたいのに…。
普段は至ってラフな格好をしている為、
メイド服は動きにくいし、何だか…重い。
ぎこちなく、ソファから立ち上がる梨乃。
立ち上がり前を見て、梨乃は、ようやく気付く。
濡れた髪をバスタオルで拭きつつ、クスクスと笑っている明日菜。
「はわっ!?あ、明日菜さんっ!」
「ふふ。おはよう」
「あ、あ…あのっ」
「ん?」
「お、おかえりなさいませ、ごしゅじんさま」
咄嗟に頭を下げて言う梨乃。
おそらく、千華に言いなさいと命じられていたのだろう。
思い出して、即座に言ってしまうあたりが何とも梨乃らしい。
ぎこちないメイド梨乃の、ちょっと遅いお迎え。
明日菜はクスッと笑うと、ツカツカと梨乃に歩み寄り、
彼女をギュッと抱きしめて言った。
「可愛いけど、ちょっと反則かな」
「え…?」
明日菜の豊満な胸の中で首を傾げる梨乃。
「そういうこと、他の人の前でしちゃダメよ。誤解する奴とかいるから」
「え、あ、は、はい…」
「うん。素直でよろしい。そんな良いコには、ご褒美をあげちゃう」
「へ?……きゃ」
ぱふーっと梨乃をソファに押し倒す明日菜。
何が何だかわからず、ただ呆然としている梨乃。
明日菜は、そんな梨乃の頬にチュッと口付けを落とした。
明日菜の髪を濡らしている雫が、ポタリと首元に落ちる。
その冷たさに、ひゃ…と目を瞑ってしまう梨乃。
一挙一動が、いちいち可愛い。
くすぐられるような感覚。
明日菜は淡く微笑み、額や耳、首筋、胸元…。
至るところを唇と指でなぞる。
それに反応する梨乃は、これまた、いちいち過剰だ。
恥ずかしいのだろう。体が火照り、熱を持っている。
「あ、明日菜さ…」
うぅ…と目を伏せ、もう勘弁して下さいと乞う梨乃。
ん〜。敏感なのね。ますます不安だわ。
笑い、梨乃の頭を撫でて "いたずら" を止める明日菜。

*

「で、では…失礼します」
ペコーッと頭を下げ、退室していく梨乃。
明日菜はパタパタと扇子で胸元を扇ぎつつ、
去りゆく梨乃の背中に声を飛ばす。
「梨乃ちゃん」
「はいっ?」
クルッと振り返る梨乃。
その動きにあわせて、ふわふわのスカートが花のように揺れる。
うっかり見惚れてしまいそうになるその姿に笑い、明日菜は告げた。
「もっと欲しくなったら、いつでもおいで」
「え……?」
「そのときはまた、その服着てきてね。そそるから」
「え…あ、あの…し、失礼しますっ」
ペコペコッと連続で二回頭を下げて、逃げ出すように去って行った梨乃。
あそこまで純粋だと、危なっかしいわよねぇ。
誰かが守ってないと、すーぐ悪い虫がついちゃうわ。
やれやれ、と肩を竦める明日菜。
ふと、目に留まる小さなピアス。
明日菜のものではない。
こんな可愛らしいハートのピアスなんて、明日菜は着けない。
おそらく、押し倒した拍子に、取れてしまったのだろう。
(ふふ。まるで、シンデレラね)
拾い上げたピアスをキュッと握り締め、明日菜は微笑んだ。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

2922 / 隠岐・明日菜 (おき・あすな) / ♀ / 26歳 / 何でも屋
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度様です! w(( ̄ ̄0 ̄ ̄))w
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ!

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2008.05.23 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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