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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // ラボに住まうエージェント

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OPENING

イノセンス本部、白亜の館。
この館の地下には巨大なラボが在る。
魔物のデータや、エージェントの情報が保管されている そこには、
常に、とあるエージェントが滞在している。
エージェントの名は、赤坂・藤二。
海斗と梨乃にとって、兄のような存在である彼は、
情報収集と武器の改造能力に長ける。

今日も藤二はラボで一人。
何やら書類整理に忙しそうだ。

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「明日菜ー!」
ぱふーっと抱きついてくる海斗。
豊満な胸に衝突…したのは、ワザとだろう。
何とも可愛らしい海斗の行動に、明日菜はクスクス笑って尋ねた。
「ん?どうしたの?」
「藤二んとこ遊びに行くんだー。明日菜も来いよっ」
「藤二…(あぁ、この間の)」
巨乳か貧乳か、その討論と海斗と交わしていた人物だ。
そういえば、遊びにおいでとか言ってたわねぇ。
地下ラボだっけ。ふむ…ちょっと興味あるし。行ってみますか。
コクリと頷く明日菜。明日菜は続けて尋ねた。
「今日は、梨乃ちゃんと一緒じゃないのね?」
「うん。本に夢中だからさー。あいつ」
「ふふ。そっかぁ」
「あ、でも、後から来るよ」
「そう」
海斗と共にテクテク歩き、イノセンス本部、地下ラボラトリーへと降りていく。
地下ラボがあるっていうのは聞いてたけど、入るのは初めてなのよね。
藤二くんの部屋でもあるんだっけ。確か。
地下が丸ごと自分の部屋だなんて、贅沢よねぇ…。
薄暗い階段をしばらく降りて、長い回廊へ。
抜ければ、そこは機械の山。
上階の美しさとのギャップが激しい。
別世界にポィッと放り込まれた感じ…。
わぁ、すごい。情報室でもあるのね、ここ。
並ぶモニターに、ズラリと表示されているデータに感心する明日菜。
藤二の部屋でもある地下ラボは、情報室としての役割も兼ねる。
保管されているのは、各エージェントの個人情報だったり、
任務遂行の成功・失敗データだったり、依頼人のデータだったり。
決して外に漏らしてはならない、どれも重要なものばかりだ。
藤二は、この地下ラボで主に武器生成を行っているが、
これらの情報を管理するという仕事も行っている。
膨大なデータを管理するのは、かなり骨の折れる仕事だ。
その為、藤二は外に出て仕事をすることが滅多にない。
ほとんど、この地下ラボにこもりっきりで作業をしている。
「藤二ー。遊んでー」
やぶからぼうにオネダリする海斗。
そんな海斗に、書類整理をしていた藤二は笑う。
「お前…見りゃわかるだろ。仕事中です、俺は」
「嘘つけー。どーせ、女のデータをチェックしてただけだろー」
「…いたたたたた」
ご名答らしい。苦笑する藤二。
海斗と共に地下ラボにやってきた明日菜を見て、
藤二は書類からパッと手を離し「いらっしゃい」と迎えた。
データより生身。ま、当然かな。

「ねぇ、これ…どういう仕組みなの?」
「あぁ、マスターの魔法で構成されてて…」
「へぇ…見た感じ、普通の銃なのにねぇ」
「変なこだわりがあるらしくてさ」
「そうなの?」
「あぁ、元々マスターは…」
会話の弾む明日菜と藤二。
二人は、魔銃について言葉を交わしている。
以前から、魔銃の仕組みや威力に興味を持っていた明日菜は、
参考にして、武器を作れないだろうかと考えていた。
魔銃はマスターが作ったものだが、基盤のみ。
デザインや装飾などは、藤二が担当している。
知りうる限りの情報を藤二から聞き出す明日菜。
肝心なところは…やっぱり、マスター本人に聞いたほうが良さそうね。
魔法が関与しているなら、私にはちょっとね…専門外だし。
あれこれ言葉を交わしている隣で、海斗はゴロゴロしている。
退屈というわけではない。
楽しそうに話してるなーなどと思いつつボーッとしている感じだ。
コロンと寝返りを打つ海斗。そこで、海斗の目が梨乃を捉える。
読書を終えてきた梨乃の顔は、何だか満ち足りている。
よっぽど、楽しい時間を過ごせたのだろう。
ヒラヒラと手を振る海斗。梨乃は歩み寄り、首を傾げた。
「何してんの?あんた…」
「ごろごろ〜」
「…見ればわかるわよ、そんなことは」
「盛り上がっててさー。入っていけないのー」
ビシーッと、楽しそうに話す明日菜と藤二を指差して言う海斗。
二人を見やった梨乃は、なるほどね…と笑い、
退屈そうにしている海斗の相手を…とコーヒーを淹れる。
「へー。そっかぁ、そういう方法もあるのねぇ……って、あれっ。梨乃ちゃん」
話に夢中になっていた明日菜が、ようやく梨乃に気付く。
ニコリと微笑み「こんにちは」と挨拶する梨乃。
ひとまず機械談議は落ち着いたことだし、と、
一行は梨乃が淹れたコーヒーで一息つくことに。

この間の胸討論のことだけど…と切り出す明日菜。
海斗と藤二は、その言葉に食いつき、
あの日のことを思い返しつつ、またも討論を始めた。
終わりの見えない討論に熱くなっている海斗と藤二を見やり首を傾げる梨乃。
明日菜が説明してあげると、梨乃はやれやれ…と苦笑した。
また、そういうくだらない話してるのかぁ…。
本当、いつまでたっても子供なんだから、二人とも。
RE:胸討論を始め、あれこれと談笑を交わす四人。
話題を変えようとしてはみるものの、
どうしても海斗と藤二は胸討論に戻してしまう。
そんな二人に呆れる梨乃。そんな梨乃に微笑む明日菜。
賑やかに、それでいてまったりと。過ぎていく地下ラボでの昼下がり。
散々盛り上がり、最後に明日菜が吐いた言葉に驚いた海斗と梨乃だが、
言っても止めても聞きそうにない、ということで。
二人は、藤二と明日菜を地下ラボに残し、地上へと戻っていった。
明日菜が吐いた台詞は「今日は、ここに泊めてもらうわね」
オオカミというか猛獣である藤二と一夜を共に明かすなんて。
覚悟がないと出来ないことだ。
「大丈夫かな…明日菜さん」
「どーかなー?」
「う〜ん…」
階段を上りつつ不安気な表情の梨乃。
だが心配無用である。
明日菜は、一晩中ラボにある機械に釘付けだったから。
何度もめげずに抱きつこうとしてくる藤二を、ヒョィヒョィと避けて。
「へぇ〜。こういう組み方もあるのねぇ……」

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■

2922 / 隠岐・明日菜 (おき・あすな) / ♀ / 26歳 / 何でも屋
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度さまです('-'*)ノ
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。

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2008.03.23 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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