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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // ごしゅじんさま

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OPENING

「ち、千華さん…もう脱いでも良いですか?」
「駄目よ〜」
「えぇぇぇ…」
「ん?あ、帰ってきたみたいね。ほら、行って来なさい」
「ちょ、こ、この格好でですか?」
「うん。もちろん」
ニッコリと微笑む千華。
梨乃は今…とっても可愛らしいメイド服を着ている。
試着してみてとしつこく言われて、やむなく着てあげたのだが。
加えて、千華は、そのまま行って来いと言う。
どこへ?…仕事から戻ってきたエージェントの所へ。

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「あー。疲れた」
は〜と深い大きな溜息を漏らすアリス。
そんなアリスに、夏穂と雪穂は、サッと飴を差し出した。
「疲れた時には、甘いものだよ」
「ふふ。美味しいね」
口の中で転がしているのは、苺の飴。
アリスは差し出された飴を受け取ると、ポィッと口に放った。
うん、確かに美味い。あんまり好きじゃねぇんだけどな、菓子は。
こういうときは別だな。すげぇ甘く感じる…。
コロコロと飴を転がしつつ、本部へ戻ってきた三人。
とある任務を終えて、戻ってきたところだ。
今日の晩御飯は何かな?などと他愛ない話をしていたとき。
セントラルホールに踏み入って早々、アリスはポカンと口を開けた。
雪穂と夏穂も、さすがにキョトンとしている。
なぜなら…目の前に、フリッフリのメイド服を纏った梨乃がいるから。
梨乃は恥ずかしそうにモジモジしつつ、三人に言った。
「お、おかえりなさいませ。ごしゅじんさま…」
言ってみたものの、何という恥ずかしさ。
梨乃は、うぅ…と頬を赤らめて俯いてしまう。
そんな梨乃に唖然としていた三人だったが…。
「…あはっ!可愛い〜!メイドさんだぁ」
「お似合いですよ」
キャッキャとはしゃぐ雪穂と、似合う似合うと梨乃を褒める夏穂。
アリスだけは、相変わらず、ポカーンとしている。
「何だって、そんな格好してんだ…?」
キョトンとしつつ尋ねるアリス。
すると、夏穂と雪穂に抱きつかれている梨乃は、困り笑顔で言った。
「千華さんの仕業なんです…」
「千華?あぁ、あのモデルか」
「嫌だって言っても、全然聞いてくれなくて…。恥ずかしいです…」
いまだ、恥ずかしそうに俯く梨乃。
そんな梨乃を見て、雪穂はピンと閃く。
「よし、やろう」
そう言って、ズルズルと夏穂、アリスを引きずっていく雪穂。
「うん…?どこ行くの?」
「ちょ、何だよ、いきなりっ」
キョトンとしている夏穂と、文句を言うアリス。
雪穂が二人を引きずって来たのは…千華の部屋。
「おい、まさか…」
眉をピクピクさせて苦笑するアリス。
その、まさかだった。
雪穂はノリノリで千華の部屋へ入ると、
僕達も着たい〜と千華にオネダリした。

*

三十分後。
千華の部屋から出てくる可愛いらしいメイド三人。
濃紺のメイド服、絶対領域、オプションに、黒レースの傘。
キャッキャと笑い、雪穂は梨乃に言う。
「お揃い、お揃い〜」
恥ずかしそうにして梨乃を見て、
皆でやれば怖くない!と思った雪穂のアイディアだった。
脱がせて戻してあげるんじゃなくて、
自分たちも同じ格好をするという発想が、何とも雪穂らしい。
だが、その雪穂のアイディアは見事に梨乃の照れを払った。
四人で同じ格好をしていることで、恥ずかしさが払われたのだろう。
「可愛いですね」
似合いますよ、と三人を褒める梨乃。
と、そこへ。軽食を済ませた海斗と藤二が近付いてきた。
「げふ。食いすぎた」
「お前は、どうしてそう…加減を知らねぇの?」
「だって、超うまいからさー」
「まぁね。あの新メニューは俺も当たりだと思……」
言いかけて、ピタッと足を止める藤二。
どした?と首を傾げる海斗。
前方を見やってクックッと笑う藤二。
何だ?と見やってみれば。何だあれは。
そこでは、可愛らしいメイドさんが四人。
キャッキャとはしゃいでいるではないか。
どうやら、写真を撮っているようだ。
いや、撮られているというべきか。
アリスたちは、千華に御願いされて、撮影に応じている。
パシャパシャとシャッターを切りつつ、
やーん、可愛い〜…と嬉しそうに悶える千華。
「何してんのー」
「盛り上がってるなぁ」
近寄り声をかける海斗と藤二。
二人が声をかけてきたことに、
アリスはゲッとした顔をして、ササッと顔を背けた。
そんなアリスに気付いて、ヒョィッと顔を覗き込む藤二。
メイドさんということで、今のアリスはフードを被っていない。
髪をサイドで束ねて、魅了を防止するための眼鏡も。
普段はフードを深く被っていてわからないが、
実はアリス…めっちゃ可愛い顔をしている。
おぉ、と驚き笑う藤二。
「アリスちゃん、可愛いなぁ…」
「んなっ…うるせぇ!」
ガーと牙を向いて怒るアリス。
恥ずかしくもあるのだろう。
テレを隠すように、アリスは藤二に飛び蹴りを放つ。
まぁ、ヒョィッと藤二は、それを避けるのだが。
何ともパワフルなメイドさんだ。すごく可愛いのに。
うん?でもこれは、一種のツンデレというやつではなかろうか。
なるほど、これが噂のツンデレかぁ。悪くないね。
アリスの攻撃を避けつつ、満足気に笑う藤二。
アリスと藤二がワーワーと騒いでいる横で、
雪穂と夏穂はニッコリ笑う。
二人は、揃って髪を下ろしている。
これまた可愛らしい。お人形のようだ。
意外と似合うのなーと笑う海斗。
そんな海斗に梨乃は聞いてみた。
「ね、海斗。夏穂さんか雪穂さんか。どっちだか、わかる?」
「んー?」
雪穂と夏穂は、うりふたつの双子だ。
いつもは、異なる色の服を着ている為、
パッと見ただけで、どっちがどっちか把握することができる。
けれど今、二人は、まったくもって同じだ。
メイド服も、下ろした髪も…。
問題を出した梨乃も、実際危うい。
かろうじて、二人の立ち位置で、
どっちが雪穂か、夏穂か把握してはいるけれど、
ちょっと目を離した隙に立ち居地を変えられてしまえば、もうさっぱり。
かなり難易度の高い問題…かに思えたが。
「こっちが夏穂だろ」
海斗はスパッと、見事に夏穂を見極めた。
「で、こっちが雪穂」
自信満々に言う海斗。千華はクスクス笑う。
「凄いわね、海斗」
「簡単だろー。二人とも、全然違うじゃんかー」
ほほぅ。どうやら海斗の目には、
雪穂と夏穂は、まったくの別人として映っているようだ。
おんなじに見えるんだけどな…と首を傾げる梨乃。
うーん?見比べても見比べても、さっぱり。
それどころか、見比べるほどに、どんどん似ていくような。
錯覚なんだろうけれど、まったくもってわからない。

キャイキャイとはしゃぎつつ、全員揃って記念撮影。
残った写真は、夏穂と雪穂にとっては良い思い出に、
アリスにとっては、即刻抹消したい思い出となった。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7420 / 猫目・アリス (ねこめ・ー) / ♀ / 13歳 / クラッカー+何でも屋+学生
7192 / 白樺・雪穂 (しらかば・ゆきほ) / ♀ / 12歳 / 学生・専門魔術師
7182 / 白樺・夏穂 (しらかば・なつほ) / ♀ / 12歳 / 学生・スナイパー
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度様です〜! ゝ(▽`*ゝ)(ノ*´▽)ノ
夏穂ちゃんをスパッと言い当てた海斗が "ミソ" です(笑)
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ!

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2008.05.21 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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