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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // ごしゅじんさま

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OPENING

「ち、千華さん…もう脱いでも良いですか?」
「駄目よ〜」
「えぇぇぇ…」
「ん?あ、帰ってきたみたいね。ほら、行って来なさい」
「ちょ、こ、この格好でですか?」
「うん。もちろん」
ニッコリと微笑む千華。
梨乃は今…とっても可愛らしいメイド服を着ている。
試着してみてとしつこく言われて、やむなく着てあげたのだが。
加えて、千華は、そのまま行って来いと言う。
どこへ?…仕事から戻ってきたエージェントの所へ。

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のっしのっしとセントラルホールを歩くミグ。
単独(ソロ)仕事から戻ってきたミグの体は、泥まみれ。
雨の中で、激しいバトルを展開した為、自慢の毛並みが台無しだ。
手こずるとは…俺もまだまだだな。
溜息を落としつつ歩くミグ。
見事な遂行っぷりだったのだが、不満なようだ。
泥だらけで歩くミグを見て、ホールにいるエージェント達はギョッとしている。
あのミグが、こんなに傷を負って戻ってくるなんて…といった表情だ。
いや、泥です。傷じゃなくて、泥です。
加えて、ミグは手こずったと言っておりますが、
魔物の討伐は一瞬で終わっております。
手こずったのは、雨でぐしょぐしょになった山道に、です。
さっさとシャワーを浴びて、戻らねばな…。
いそいそと歩くミグ。と、そこへ…。
「お、おかえりなさいませ。ごしゅじんさま」
梨乃の声だ。うん?と顔を上げて…ミグは呆気。
そこには、可愛らしいメイド服を纏った梨乃がいたのだ。
「グルル…?(訳:その格好は一体…?)」
呆気にとられつつ、首を傾げるミグ。
梨乃はうぅ…と恥ずかしそうに俯いて事情を話した。
梨乃が纏っているのは、千華が作ったメイド服。
試着がてらにと、着させられたところまでは、まぁ良いのだが、
メイドになりきって、ミグに奉仕してきなさい、とまで命じられたらしい。
事情を聞いたミグは、やれやれ…と溜息。
何をくだらないことをやっているのやら。
そもそも、嫌なら嫌だとキッパリ断らねばならん。
曖昧な返事をするから、お前は…。

「グルル…(訳:悪くないな)」
「か、痒いところはございませんか?」
浴場で、体を洗ってもらっているミグ。
まぁ、その、何だ。
せっかく奉仕してくれるというのだ。
このような格好をしていることだし、
言葉に甘えてやり、付き合ってやるのが優しさというもの。
などとお堅いことを申しておりますが。
あちこちを丁寧に洗ってもらっているミグは、まんざらでもなさそう。
お風呂のあとは、ブラッシング。
激戦(じゃないけど)の痕(泥だけど)はすっかり消え、
元通り、見事な毛並みに戻ったミグ。
せっせ、せっせ…とドライヤーをかけつつブラッシングする梨乃。
「グルル…(訳:ドライヤーのかけ具合に気をつけろよ…)」
何だろう、この光景。凄まじく…凄まじく、ごしゅじんさまな感じがする。

*

お風呂とブラッシングを終え、並んで歩くミグと梨乃。
次は部屋でマッサージを…と話していた矢先のこと。
二階テラスで、何やら楽しそうな声が。
「だー!もーやだ!藤二、うぜー!!」
「おいおい、何それ。酷いなぁ」
「ちょっと、お前下がってろよー」
「嫌だね。勝負、まだ途中だろ」
「もー結果丸見えだろーがよー!!」
ギャーギャー騒いでいる海斗と…藤二。
どうやら、二人はビリヤードで勝負をしているところのようだ。
ソファには、千華と浩太の姿も。
「あらっ。ごしゅじんさまとメイドちゃん。お風呂上り?」
クスッと笑って言う千華。
梨乃は、はふぅ〜…と溜息を落とし千華の隣に座る。
「千華さん、もう脱いでも良いですか?」
「ふふ。ごしゅじんさまが満足したならね」
チラリとミグを見やる千華。
ミグはグルル…と鳴きつつ頷いた。
ようやく解放される。良かった…。
元通りの服に着替える為、パタパタと部屋へ走っていく梨乃。

ビリヤード勝負は、明らかに藤二の圧勝だ。
もう何度も対戦しているようだが、海斗は勝てずにいる。
イライラしてムキになってはみるものの、
ビリヤードは集中力とテクニックを要する。
故に、キーキーとムキになっている海斗は、
このままでは、いつまでたっても勝てないだろう。
熱戦を繰り広げている海斗と藤二に歩み寄り、
トン、とビリヤード台に両前足を乗せて言うミグ。
「グルル…(訳:混ぜてもらおうか…)」
クールにキめているミグを見やり、
キューをブンブン振り回して海斗は言う。
「お前、ビリヤードできんのー?」
「グルル…(訳:見縊るなよ…)」
爪の伸縮と変形。それらを見事に駆使し、
ミグは、その見事な腕前を披露した。
心地よい音が、テラスに響き渡る。
着替えて戻ってきた梨乃も、わぁ…と驚いている。
「器用ですね…」
「ふぅん。これは、面白いかも。私も混ざるわ」
「あ、僕も」
続々と増えていく参加メンバー。
最終的には、全員でビリヤード大会を催すことに。
だが結果は明らかだ。ミグの圧勝。
プロ顔負けの腕前である藤二ですら、まったく歯が立たない。
これじゃあ楽しくない!と、海斗は無茶苦茶な提案を。
五対一…。全員で力を合わせて、ミグを打ち負かそうと意気込む。
だが、結果は一緒。不変である。
束になってかかっても、歯が立たない。
「グルル…(訳:まだまだ、甘いな…)」
勝ち誇った笑みを浮かべるミグに、海斗はジタバタ。
「だー!もーやだ!!ミグ帰れ!帰れよー!」
「グルル…(訳:さぁ、もう一勝負といこうか…)」

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7274 / ー・ミグ (ー・みぐ) / ♂ / 5歳 / 元・動物型霊鬼兵
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 黄田・浩太 (おうだ・こうた) / ♂ / 17歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! おいでませ、毎度様です。
ミグくん…。何というカッコ良さ。クールですね…(笑)
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ…^^

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2008.05.25 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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