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雪合戦 ＤＥ 組織対抗マジバトル！
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ＯＰＥＮＩＮＧ
東京に遊びに来た異界の住人たち。
一方は、ＩＮＮＯＣＥＮＣＥの面々。
もう一方は、ＩＯ２の面々だ。
地球にある、日本という国は、四季がある神秘の国。
今はまさに、春真っ盛りで桜前線が上昇している。
…はずなのだが、どういうわけか。
国の首都である東京で、ウィンターリターン現象。
真冬に戻ってしまったというのだ。
大パニックを引き起こしている、その現象が どんなもんかと、
両組織の面々は、興味本位で様子を見に来たというわけだ。
目の当たりにする事実は、なるほど。
確かに、ウィンターリターン。
風は春の優しい香りがするのに、雪が積もっている。
何とも不思議な光景だ。
遅刻した桜の花弁がヒラリと雪の上に落ちる。
春の雪。これは、そうそう見られる景色ではない。
両組織のエージェントのテンションは揃って一気に上昇。
ここでワクワクしなけりゃ、心が腐ってる。
誰が言い始めたワケでもないが、
両組織は、モソモソと準備を始めた。
何のって？そりゃあ、もちろん…雪合戦の。
楽しまなきゃあ、損でしょう？
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「梨乃！どんどん作れ！」
「作ってるってば〜…」
「まだまだ！もっともっと！」
「もぉ〜…」
「あ〜あ〜可哀相に。コキつかわれてんなぁ！」
「うっせー！」
ギャーギャーと言い合う海斗とディテクター。
一本の赤い旗を挟んで、ＩＮＮＯＣＥＮＣＥとＩＯ２は攻撃準備中。
組織対抗のマジバトル＠雪合戦。
その開幕を前に、両陣営は気迫に満ちている。
「ウキキキー？（訳：何や、騒がしいのぅ）」
「ウキキ…（訳：雪合戦…でごザルな）」
「ウキキキー（訳：呑気やなぁ）」
「ウキキ…（訳：いや、逆に賢いかもしれぬでごザルよ）」
偶然、雪合戦会場前を通りかかった佐介と才蔵。
開始前から白熱している両組織を見やり、呑気だと笑う佐介。
まぁ、確かに呑気…かもしれない。
一応、今東京に起きているのは異常現象だ。
各メディアは、躍起になって原因・情報を探っている。
だが才蔵の言うように、賢い…というのも、一理ある。
おそらく、このウィンターリターン現象は、妖の仕業。
暫くすれば治まる可能性が高い。
まぁ、いつまでたっても戻らないようであれば、
誰ぞ、討伐に赴いたりして、すぐさま解決されるであろう。
そんな状況で、雪合戦。その決断は、ある意味、有効的といえる。
どうにもならないのなら、その状況を楽しめ。
楽観的かもしれないが、悲観的になるより、ずっとマシだ。
どっちが勝つか賭けよう、と持ちかける佐介。
それに対し、何でも賭け事にするのはよくないと諭す才蔵。
キーキーと鳴きつつ話す二匹は、存在感アリアリだ。
二匹に気付いた海斗が、テテテ…と寄ってくる。
「猿！猿、捕まえたー！」
むんず、と二匹の首根っこを掴み、持ち上げて叫ぶ海斗。
「ウキキー！（訳：何すんねん、このガキー！）」
「ウキキ…（訳：生け捕りでごザル…）」
二匹を連れて行き、仲間に見せる海斗。
素早い猿が仲間になれば、百人力だ！と嬉しそうな海斗。
だが、ひょこっと敵陣地を覗き込み、ディテクターは卑怯だ、と訴える。
俺が見つけたんだから、俺のチームに入るのは当然だろ！と言う海斗と、
一匹ずつ分けるのがフェアってもんだろ、と冷静に返すディテクター。
参加するなんて一言も言ってないのに…と雪の上で正座して俯く才蔵。
佐介は、自分の首根っこを掴んだ海斗が気に入らないらしく、
ディテクターと言い合う海斗の周りをウロウロして、睨みつけている。
佐介の不愉快そうな態度に、ニヤリと笑うディテクター。
ディテクターは佐介にポソポソと耳打ちした。
酒でも何でも、奢るぜ？と。
海斗が気に入らない、ということもあり、佐介は速攻で決断。
「ウキキキー！（訳：覚悟せぇやー！特に、帽子のクソガキー！）」
ＩＯ２陣地で仁王立ちして宣戦布告する佐介。
くそぅ…と悔しそうな海斗。
才蔵はスッと立ち上がり、そういうことならば仕方あるまいと、
「ウキキ…（訳：助太刀するでごザル…）」
ＩＮＮＯＣＥＮＣＥチームに自ら身を投じた。
*
互いに雪玉を一つずつ敵陣地に投げやり、開戦。
両陣地から、ものすごい数の雪玉が投げやられる。
佐介は飛んでくる雪玉をヒョィヒョィと避けて、
ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ陣地の、すぐ傍へと移動。
「ウキキキ！（訳：一掃やでぇ）」
不敵に笑う佐介。海斗は、邪魔だー！どけろー！と怒りを露わにする。
ほんま、不愉快なやっちゃのぅ。生意気にも程があるで。
ギンッと鋭い眼差しで睨みつける佐介。
佐介は メンチをきった！
ギラリ―
「効かねー！」
海斗は めをそらした！
梨乃は めをそらした！
藤二は めをそらした！
千華は めをそらした！
海斗の合図で、ササッと目をそらしてメンチによる恐怖を回避した面々。
だが、浩太だけ、浩太にだけ、通達が遅れてしまった。
浩太は めがあって たちすくんだ！
「何っっ！？」
バッと振り返り確認する海斗。
浩太は きょうふにすくみあがっている！
雪玉を持ったまま、カクカクと震えている浩太。
ちきしょう！奴はもう使えねー！振り返るな！前を向け！
くぅっ、と涙を堪えて（カラカラだけど）士気を高める海斗。
ほほぉ。クソガキの割にやるやんけ。
そちらさんの要は、お前や言うことやな。ほんなら…。
ブチブチッと自身の体毛を抜き、ハラリと風に乗せる佐介。
舞う無数の体毛が、ポポポンッと変化する。
「ウキー！（訳：分身の術や！）」
「うおおおおー！？増えたー！！」
ズラリと並ぶ佐介に、慌てて雪玉をビュンビュン投げやる海斗。
けれど、身軽な佐介を捉えることが出来ない。
くそー！と闇雲に雪玉を放る海斗。
そこへ、スッと才蔵が一歩前へ。
「ウキキー！（訳：かかってこんかーい！）」
「ウキキ…（訳：無論でごザル…）」
キュッと胸元で指を小結び、カッと目を見開く才蔵。
才蔵は かなしばりのじゅつ をはなった！
ブゥン―
「ウキキー！（訳：食わんでー！）」
ヒョーィと背を向けて回避する佐介。
才蔵はニッと笑う。
「ウキキ…（訳：標的は別にあり、でごザル）」
「ウキー！（訳：しもたー！）」
ディテクターは かなしばりにかかった！
レイレイは かなしばりにかかった！
「ナイスだ！サムライ猿！」
グッと親指を立ててグッジョブ！と笑う海斗。
才蔵はペコリとお辞儀をし、立ち位置へと戻って雪玉を作り構える。
二匹の技は、永続するものではなく一時的なもの。
先ずは一分、先に、ディテクターたちの金縛りが解け、
その数秒後、次は、浩太が恐怖の立ちすくみから回復。
反撃開始！とばかりに白熱する双方。
佐介・才蔵の忍術を織り交ぜた、仁義なき雪合戦。
だが、いつしかムキになり過ぎて。
途中からは、小細工ナシの真剣勝負。
飛び交う雪玉、笑い声。
雪降る中、楽しい時間は、あっという間に過ぎていく。
*
「ウキキー（訳：うまいわぁ〜）」
「ウキキ…（訳：温まるでごザル…）」
女性陣が作った、おしるこを食べつつ交わす談笑。
「お猿さんたち…どこから来たんでしょうか？」
箸を咥えてキョトンとしているレイレイ。
海斗は、ばくばくと おしるこを食べつつ笑う。
「動物園から逃げてきたんだろー」
残念ながら、はずれ。
彼等は、某サーカス団の一員だ。
ウィンターリターン現象というのが、どんなもんかと二匹で散歩していた。
まさか、雪合戦に参戦することになるとは、思わなかったけれど。
「ウキキ〜（訳：あかん。こいつ嫌いや。腹立つわ〜。いちいち腹立つわ〜）」
あ？コラ。お？コラ。と海斗を睨みつける佐介。
そんな佐介を横目に、才蔵はきちんと正座をし、呆れている。
「ウキキ…（訳：佐介…おとなしく座るでごザル…）」
勝負の結果は、実に曖昧。
途中からルール無視の雪の投げあいになってしまったため、どちらが勝ったのか、サッパリ。
そもそも、どうなれば勝ちなのかさえ決めていなかった為、勝敗不明で当然。
けれど、双方共に勝ち負けに拘っている者は一人もいない。
楽しかった、それだけで十分ではないか。皆、そう思っているから。
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■■■■■ ＴＨＥ ＣＡＳＴ ■■■■■■■■■■■
７１８６ / ー・佐介 （ー・さすけ） / ♂ / １０歳 / 自称『極道忍び猿』
７１８７ / ー・才蔵 （ー・さいぞう） / ♂ / １１歳 / 自称『忍び猿』
ＮＰＣ / 黒崎・海斗 （くろさき・かいと） / ♂ / １９歳 / ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ：エージェント
ＮＰＣ / 白尾・梨乃 （しらお・りの） / ♀ / １８歳 / ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ：エージェント
ＮＰＣ / 青沢・千華 （あおさわ・ちか） / ♀ / ２９歳 / ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ：エージェント
ＮＰＣ / 赤坂・藤二 （あかさか・とうじ） / ♂ / ３０歳 / ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ：エージェント
ＮＰＣ / 黄田・浩太 （おうだ・こうた） / ♂ / １７歳 / ＩＮＮＯＣＥＮＣＥ：エージェント
ＮＰＣ / ディテクター（草間・武彦） / ♂ / ３０歳 / ＩＯ２：エージェント（草間興信所の所長）
ＮＰＣ / レイレイ（草間・零） / ♀ / ？？歳 / ＩＯ２：エージェント （草間興信所の探偵見習い・武彦の妹）
■■■■■ ＴＨＡＮＫＳ ■■■■■■■■■■■■■
こんにちは！ 毎度さまです〜！ (*´▽｀*)ノ゛
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ！
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２００８．０５．２９ ／ 櫻井 くろ （Kuro Sakurai）
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