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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // ニックネームと絆創膏

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OPENING

まだ帰ってきてねーのかー。
バタン、と扉を閉めて溜息を落とす海斗。
彼が進入していたのは、アリスの個室。
女の子の部屋に勝手に入るとは…失敬な奴である。
夏穂と雪穂も一緒だろーしなー…。
むーん…と考え込む海斗。
どうやら、アリスたちに用があるようだ。
けれど、アリスたちは任務中。
まだ戻って来ていない。
さすがに遅すぎるような気がすると考える海斗。
けれど、身を案じたりはしない。
あの三人の失敗報告はゼロだから。
もしかしたら、もう戻って来てて、
どこかにいるのかもしれない。
食堂とか、ホールとか、倉庫とか…書庫とか。
(書庫っぽいな。そーだとしたら)
一番可能性が高い書庫へ、海斗は向かっていった。

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「ちょ、待て。雪穂…あんま押したら…って、いてぇっ!」
ドサァッと、窓から落下するアリス。
書庫にある窓は高い位置にある為、衝撃は大きい。
こんにゃろぅ…と見上げて睨むアリス。
上方、窓から、ゆっくりと降りてきつつ雪穂と夏穂は笑う。
任務を終えて戻ってきた三人だが、
何故エントランスからではなく、書庫の窓から本部に入ったのか。
その理由は、彼女達が負っている"怪我"だ。
予想外に手こずり、たっぷりと傷を負ってしまった三人。
戻ってくる途中、治療魔法をかけっぱなしだったのにも関わらず、
三人の体には、まだまだ傷が残っている。
この状態のままエントランスから入ったら大騒ぎだ。
というのも、アリス・雪穂・夏穂は、
イノセンスのマスコット的な存在で、
所属エージェント達は皆、彼女達を可愛がっている。
その為、大怪我をしたまま戻ると、
必要以上に騒がれて、面倒なことになってしまう。
まるで、アイドルのような悩みだ。
そんなわけで、書庫窓から侵入した三人。
夏穂は、いそいそと治療魔法を二人にかける。
自分が一番を負っていることには気付いていないようだ。
柔らかい癒しの光を浴びつつ、クスッと笑う雪穂。
「それにしても、夏ちゃん。無茶するよねぇ」
「え?」
「まさか、あそこで魔銃を使うとは思わなかったよ」
クスクス笑う雪穂。夏穂はつられるように笑う。
アリスは光の中、目を瞑ってハァ…と溜息。
「さすがにビックリしたぞ、あれは」
「ふふ。うん、ごめんなさい」
首を傾げて笑う夏穂。
魔物討伐の際、珍しく苦戦した三人。
どうする?と作戦を立てつつ、魔物に応戦していた矢先、
夏穂が単独行動で、何の前触れもなく魔銃をブッ放した。
苦戦しているという状況が、彼女の性格を豹変させてしまった結果だ。
驚いた二人だが、雪穂はすぐに夏穂に続いて、魔物に猛攻。
アリスは溜息混じりで二人を見ていただけ。
豹変し、我を忘れて、魔物をギッタギタにする雪穂と夏穂は、
普段からは想像できないほど、恐ろしい。鬼のようだ。
二人の戦闘時における性格変化を嫌というほど目にしているアリスだが、
その度に思う。こいつらは、敵に回すべきではないと。
くっくっ…と笑いつつ二人を見やるアリス。
そんなアリスに雪穂は尋ねた。
「ん?何笑ってるのかな?猫さん?」
「お前らの変貌っぷり、一種のネタだなと思って」
「何それ。何かムッとくる言い方〜。ね?夏ちゃん?」
「うん…。でも、猫さんも人のこと言えないよね」
「あははっ。ま、確かに、そぉかもな」
夏穂のツッこみに、そうかもと笑うアリス。
談笑しつつ十五分。ようやく治療が終わり、元通りになった三人。
はふぅ…と息を漏らす夏穂を、お疲れさんと労って、
どりあえずメシでも食いに行くか、と書庫の扉に手をかけたアリス。
そこへ、バーンと勢い良く、扉を開けて入ってくる海斗。
「お。やっぱ、ここにいたかー!」
探していた三人を発見してニコニコ笑顔の海斗。
海斗が勢い良く開けた扉に、
ガツンと鼻をぶつけたアリスは、屈んでワナワナと震えている。
ぷっつんしないように、とアリスの背中を撫でて宥める雪穂。
夏穂は首を傾げて海斗に尋ねた。
「何か…御用?」
「うん。お前らに会いたいって言ってる奴がいてさー」
「ふぅん…?」
ちょっと前にも似たような展開があったような…?と思いつつも、
アリスたちは海斗に連れられて、
自分達に会いたがっているという人物の元へと向かった。

*

海斗に連れて来られたのは…本部二階にある医療室。
こんなところにいるってことは…怪我人さんなのかな?
私達と一緒ね、私達はもうすっかり治ったけど。
などとクスクス笑いつつ言葉を交わす夏穂と雪穂。
医療室は、消毒液の香りで満ちていた。
(うぇ。嫌だな、この匂い)
むっと顔をしかめるアリス。
中に入ってすぐ、三人は見知らぬエージェント二人と目が合った。
一人は女性。かなりの美人さん。
もう一人は少年。海斗と同い年か…もう少し下かな。
「連れてきたぞー」
テケテケと見知らぬエージェントに近寄る海斗。
見知らぬエージェント二人は、スッと立ち上がるとペコリと頭を下げて、
アリスたちに自己紹介をし、握手を求めた。
名乗り返して、握手に応じる三人。
女性の名前は千華、少年の名前は浩太。
彼等も海斗と同じ、イノセンスのトップエージェントである。
「キミたちが、噂のマスコットガールズかぁ。うんうん、確かに可愛いわぁ」
微笑み、アリスたちの頭を撫でて言う千華。
評判の三人と話がしたいと思っていたのだそうだ。
千華は三人を可愛い可愛いと撫でたり抱きしめたり。
かなり気に入ったらしい。そのノリのまま、千華は三人にニックネームをつけた。
アリスは「ありりん」雪穂は「ゆっちん」夏穂は「なっちん」
どんなのが良いかしら…と、結構長い時間悩んでいたため、
どんなニックネームをつけるつもりなんだろう…と思っていたが、
何ともあっさり…誰でもパッと思いつきそうなものばかりだ。
「ネーミングセンスはないんだね。綺麗なのに」
スパッと言い放つ雪穂。
失礼でしょ、と注意はするが、夏穂も同感らしく笑っている。
アリスは、その隣で苦笑。無論、同感である。
「仲良しなんですね」
笑い合うアリスたちをみつつ微笑む浩太。
そこへ、海斗がボソボソと耳打ち。
「誰が好み?」
「なっ。何で?」
「気になったから」
「そ、そんなの…僕には彼女がいるからね」
「固っ苦しいなー、ほんと、お前はー」
苦笑する海斗。海斗と浩太の会話を聞いて、
浩太に彼女がいると知った雪穂と夏穂は興味津々。
あれこれ質問されて取り乱し、パニック状態に陥る浩太。
極度に照れ屋な浩太を見つつ、玩具みたいだな…とアリスは苦笑する。
クールにキメているアリスの隣に座り、
仕事、どーだったの?と質問する海斗。
「おぅ。面白かったけど、ちょっと色々あってなぁ…」
「へー?どんなん?」
「あいつらがさぁ………」

医療室で言葉を交わす一同。
千華が藤二の幼馴染だということや、
浩太の彼女がIO2のエージェントだということなど、
驚いたり、意外だったり。次々と判明する事実。
中でも特にアリスが食いついたのは、浩太の性格。
普段はおっとりしているが、戦闘になると攻撃的になるという彼。
彼の鼻には絆創膏。生傷が絶えないという浩太を見つつ、
アリスはチラリと雪穂と夏穂を見やって苦笑した。
あいつらと…似てるのかもな。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7420 / 猫目・アリス (ねこめ・ー) / ♀ / 13歳 / クラッカー+何でも屋+学生
7192 / 白樺・雪穂 (しらかば・ゆきほ) / ♀ / 12歳 / 学生・専門魔術師
7182 / 白樺・夏穂 (しらかば・なつほ) / ♀ / 12歳 / 学生・スナイパー
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 黄田・浩太 (おうだ・こうた) / ♂ / 17歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度さまです! ('∀'*)ノ
ゲームノベル ”INNOCENCE” への参加・発注ありがとうございます〜!
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。

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2008.05.22 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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