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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // ダウン・メロウ

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OPENING

本部1F・リクエストボード掲載依頼

内容:
モンスター【ダウザー】の討伐
報酬:
¥150000
難易度:


備考:
ダウザーは睡眠作用のある息を吐くモンスター。
微量でも吸い込んでしまうと深い眠りに落ちる為、
事前に対策を練っておく必要がある。
睡眠作用のある息の他、鋭い爪の攻撃も要注意。
かなり手強いモンスターなので、
対応できる戦闘能力を持つ者を求む。
ソロで遂行した場合、報酬上乗せ。+¥100000

難易度:<高 SS・S・A・B・C・D 低>

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(睡眠作用、ね……)
これは、ちょっと本気でいかないとマズイかもね。
まぁ、いつでも本気なんだけど、俺は。
さて…梨乃ちゃん誘おうか。
そりゃあ、一人で行ったほうが美味しいけど。
梨乃ちゃんと一緒じゃないと、糖度がね。
不足しちゃうから。色んな意味で。
濃ゆく、甘く。そうじゃないと駄目なんだ。
っていうか、そうじゃないと駄目になったみたい。
いつからかな。忘れたけど。
迷うことなく書庫に来た蓮。
梨乃は午後一時から三時頃まで、ほぼ百パーセントの確立で書庫にいる。
すぐさま発見できるのは、彼女の行動パターンを網羅している蓮ならでは。
「梨乃ちゃん」
後ろからギュッと抱きしめて声を掛ける蓮。
「ひゃ!れ、蓮さん。ど、どうしたんですか」
ごく自然に蓮の腕をどかしつつ尋ねる梨乃。
うん。今日も元気だね。結構、結構。
いつもどおりの梨乃の反応に笑い、蓮は告げた。
一緒に、仕事行かない?と。

*

ダウザーが潜んでいるという現場、小さな森の中。
蓮と梨乃は作戦を立てつつ、警戒し森を歩く。
作戦といっても、いつもどおり。
梨乃があれこれ提案やら注意やらをするのを蓮が聞いているだけ。
物知りだねぇ、などと笑う蓮。梨乃はいつも、そんな蓮に苦笑している。
ダウザーは睡眠作用のある息 "眠息" のほかに、
攻防力も高いという厄介な魔物だ。
油断は禁物。二人は警戒を怠らずに進んだ。
けれど、もう一つ。注意すべき点があった。
それは、気配を消す能力も備わっている、ということ。
リクエストボードには記載されていなかった。
依頼人の凡ミスである。
突如、背後に気配を感じて振り返る蓮と梨乃。
ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべるダウザーが目の前に。
「ちょ…それは、反則でしょ」
サッと梨乃を背に庇う体勢で笑う蓮。
梨乃は魔銃を構え、冷たい眼差しでダウザーの眉間を捉える。
不意打ちを食らったからといって、取り乱してはいけない。
冷静に対処し、ひとまず…とダウザーの眉間に一発ブチかます梨乃。
確かにヒットした。ダウザーはドサリと倒れた。
けれど、すぐに起き上がり、また不気味な笑みを浮かべる。
まぁ、一発で倒せるとは思っていなかったけれど…。
まったく効いていないように見える。
まずいかも…と危惧する梨乃。
じゃあ、次は俺が…と、蓮は風月を出現させて構えた。
気配を消せるとはね。ちょっと驚いた。
防御力も、かなりのものだ。
梨乃ちゃんの魔法をモロにデコにくらって、
ケロッとしてるなんて、すごいと思うよ。褒めてあげる。
ま、死んでから褒めるから、嬉しくないかもしれないけどね。
ニッと笑い、一歩踏み出す蓮。
蓮と梨乃が離れた瞬間、ダウザーは不気味に体をくねらせる。
何、いきなりダンス?意外と陽気なんだね。
そんな余裕のボケをかましていられたのは一瞬だけ。
ダウザーの口から、紫色の煙が吐かれた。
まずい、即座に判断して自身の体を風で覆う蓮。
梨乃ちゃんにも…と風の魔法を放とうとした蓮だったが、
時、すでに遅し。
ブワッと波のような煙に包まれて、梨乃はドサリと倒れこんでしまう。
あー…もう。この仕事、情報不備が多すぎるよ。
気配を消すことができることにしても、
例の厄介な息を吐く前の動作にしても。
もうちょっと詳しく掲載しといてほしいもんだね。
って依頼人に文句言ったら、上乗せしてくれるかな?
クスクス笑って、眠る梨乃へ竜巻を放つ蓮。
放たれた竜巻は、梨乃を覆うように吹き荒れて、
彼女を守る防壁の役割を果たす。
ギロリと蓮を睨みつけるダウザー。
おいおい、何、その目。
当然でしょ?守るのは。
っていうか、眠らせて袋叩きとか…卑劣極まりないよね。
まぁ、魔物らしいとは思うけどさ。
踏み込み、風月で斬りつける蓮。
まるで鋼鉄だ。ガキン、という音が響く。
これは…長期戦になりそうだなぁ。
はぁ、と溜息を落として苦笑し、一歩引く蓮。
ダウザーは、どうした、攻めてこないのか?と言わんばかりに不敵な笑みを浮かべている。
嫌味な奴だな。そんなんじゃモテないよ?
苦笑し、密かに鎌鼬を無数に出現させて、彼等をダウザーの背後に配置する蓮。
蓮がヒュゥと口笛を吹けば、鎌鼬は次々とダウザーに襲い掛かる。
背後からの奇襲。気を取られるダウザー。
生じる隙。そこを突く。
鎌鼬の背後からの攻撃、それに気を払えば前方から蓮の斬りつけ。
その繰り返し。はさみうち、これぞ袋叩きだ。
異常なまでの防御力を誇るダウザーでも、
この連続攻撃には敵わない。
応戦するものの、ダウザーの体には、
一つ、また一つと切創が刻まれていく。
徐々に徐々に、脆くなっていく自慢の身体。
塵も積もれば何とやら。
そろそろかな…。不敵な笑みを浮かべる蓮。
ダウザーには、もう既に笑顔も余裕もない。
躊躇うことなく、一振り。
渾身の力を込めれば、踊る風。
吹き飛び、砂と化す。それがキミの運命。
気持ちイイでしょ?風に乗るのって。
気分はどう?って、もう聞こえないか。

*

(うーん。寝顔も可愛いなぁ…)
眠ったままの梨乃を見つめてニコニコな蓮。
ゆすっても軽く叩いても起きなかった為、
蓮は梨乃を背負って本部に戻ってきた。
それにしても…深〜く眠ってるなぁ。
全然起きないや。これ、何しても気付かれないんじゃない?
だとしたら。こんな美味しい展開はないよね。どれどれ…。
顔を近づけ、唇を思う存分味わおうとする蓮。
と、そのとき、バタンと扉が開いた。
「こりゃ。何やっとる」
苦笑しつつ言うのは…マスターだ。
蓮と梨乃がダウザー討伐から戻ってきたと聞いて様子を見に来たらしい。
あはは、見られましたかと笑って梨乃から離れる蓮。
マスターはスヤスヤと眠る梨乃を見て言った。
「まぁ、間違ってはおらんのじゃがな。やりすぎじゃ、おぬしは」
「はい?」
「接吻までせんでも良いのじゃ。抱擁で事足りる」
「抱擁…すれば、起きるってことですか?」
「そうじゃ。だがまぁ、放っておいても………」
放っておいても、いずれ目を覚ますから問題はないと言おうとしたマスター。
だが、言っている最中、蓮はギュッと梨乃を抱きしめた。
パチッと目を開く梨乃。キョトンとしている梨乃に蓮は言う。
「おはよ。お姫様」
「え…?」
「んー。柔らかい」
「ちょ、あの……」
梨乃が目を覚ましても、そのままずっと抱きしめている蓮。
何が何だかわからずに始めはキョトンとしていた梨乃だが、
状況を把握すると、離してくださいぃ〜とジタバタもがいた。
「…ふぉっふぉ」
蓮の行動力には感心を。
梨乃の戸惑いには同情を。
それらを交えて、マスターは笑う。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / イノセンス・マスター / ♂ / ??歳 / INNOCENCE:マスター(ボス)  

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度様です! (o・∀・o)
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ!

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2008.05.22 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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