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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // 合コンで遭遇

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OPENING

面倒だなぁ、気乗りしないなぁ、と思っていたけれど。
古くからの知人だし、ないがしろには出来ず…。
というわけで、やって来ました、合コン会場。
異界にある、オシャレな居酒屋。
へぇ、こんな所あったんだ。
いいかもしれない。デートの時に、とか。
そんなことを考えつつ、知人に引っ張られ、中へ。
ご丁寧に、立派な座敷を貸しきっているそうで。
どんだけヤル気満々なんだか…。
まぁ、美味しいもの食べて飲んで。
舌を満足させれれば、ヨシかな。
経費とか払ってないし。
タダ飯食べれるだけ、ありがたい話だよね。
「おまたせしましたー!」
ガラッ、と引き戸を放ち、元気な挨拶をかます知人。
中は、既に、そうとう盛り上がっていたようで。
自分達の到着を、皆、拍手で迎えてくれた。
うん、まぁ、何ていうか。
個性派揃い…かな。
当たり外れで言えば、当たり…だとは思う。
まぁ、気が合う人がいれば、更に良い感じなんだけど…って。
「「あ」」
揃って、そう口にした。
見慣れた顔が、合コン面子の中にいたからだ。
何だってまた、こんなところにいるの?

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何度もね、断ったのよ。困るの、って。
でもね…絶版古書の貸しを持ち出されるとね、断りきれなくなっちゃったのね。
うん、すごく良い本だったわ。私のお気に入りの一冊よ。
童話をモチーフにした内容でね…って、そんなことより。
「何でいるのよ。探偵さん……」
ぽそぽそと小声で耳打つシュライン。
ディテクターはグィッとビールを飲み干し、淡く笑んで返す。
「こっちの台詞だ」
「…もぅ」
パシン、とディテクターの背中を叩いてビールを注ぐシュライン。
きっと、ううん、絶対に。武彦さんも同じなのよね。私と。
面子の中には、武彦さんと親しい男性がいるもの…。
誘われて、仕方なく。なのよね?そうよね?
っていうか、そうじゃなかったら…悲しいし、修羅場と化すわよ。ここ。
ニッコリと微笑むシュライン。
その笑顔は、決して微笑ましいものではない。
すぐさま、それを悟ったディテクターは、
お察しの通りだよ、と好き好んで参加したわけじゃないことを伝える。
合コン会場は、かなりの盛り上がり。
シュラインたちが合流したころには、
既に皆様、出来上がっていたようで。
ちらほらと…カップルも成立しているようだ。
仲良く隣同士で座っているシュラインとディテクターだが、
二人は関係を明かしていない。そりゃ、そうだ。
夫婦なんです、なんて言ったら、雰囲気が微妙になってしまう。
空気を読んで…二人は関係を明かさずにいるのだ。
故に、互いを気に入り声をかけてくる異性もいる。
「ね、きみ、可愛いね。一緒に飲まない?」
シュラインの隣にやってきて、さわやかな笑顔を向ける男。
年齢は…そうだな、シュラインと同じくらいか、少し下か。
「えぇと、その〜…」
雰囲気を悪くしてもいけないし、
かといって応じれば武彦さんの機嫌を損ねちゃうだろうし。
うぅ…どうすべきかしら、これ。
悩んでいるうちに、男はシュラインの肩に腕を回す。
「ね、飲もうよ飲もうよ。はい、グラス持って〜」
ニコニコしながら、シュラインにグラスを渡す男。
だが、チラリと見やって、男の笑顔は苦笑へと変わる。
見やった先には、冷たい…氷のような眼差しで自分を睨んでいるディテクターが。
何て目だ。一体、何人殺めてきたんだ。
悪魔のようだ。血も涙もない、悪魔のようだ。
ディテクターの冷たい睨みに心を凍らされた男は、
ははは……と笑いつつ、別の女性へとターゲット変更。
あ、良かった。諦めてくれた…。
でも、どうしたのかしら。何だか青ざめてたみたいだけど…?
クルッと振り返り首を傾げるシュライン。
ディテクターは、さぁ?どうしたんだろうね?と肩を竦めている。
悪魔のような眼差しは、どこへやら…。
同じように…ディテクターにも声は掛かる。
シュラインのいるほうとは反対側から、積極的な女性が。
「ふふ。あなた、すっごいタイプ〜」
きゃーっとディテクターの腕に絡みつく女性。
うーん。かなり可愛らしい女性だ。
性格は天真爛漫っぽいけれど、外見はフランス人形のよう。
オシャレもお化粧も、ばっちりとキまっている。
へぇ、こりゃまた可愛らしいお嬢さんだ。
けどな、ちょっと若すぎるな…俺には。
犯罪者には、なりたくねぇし。俺。
っていうか、お前…ここでOKなんぞしてみろ、
確実に、俺は家に帰れなくなる。
途中で息絶えるか、そこらへんに野ざらしにされる。
それは勘弁だ。暖かいベッドで眠りたい、俺は。
何だかよくわからないが、うんうんと頷いているディテクター。
そんなディテクターに女性はクスクス笑う。
「どぉしたのぉ。そんな怖い顔して〜」
キャッキャとディテクターの腕に絡みつく女性。
だが、ふっと見やって、女性はヒッ…と背筋を正した。
見やった先には、冷たい…氷のような眼差しで自分を見やるシュラインが。
怖っ。なに、この人。まるで魔女だわ。ううん、メデューサ。
そうよ、メデューサだわ。その眼差しで、あっという間に石に変えちゃうのね。
自分を不愉快にさせるものは、みんな石に変えてしまうのね。
シュラインの冷たい睨みに心を凍らされた女性は、
えへへ……と笑いつつ、別の男性へとターゲット変更。
お。何だ?意外とすんなり引いたな?
もう少ししつこく迫ってくるもんだとばかり思ってたんだが…。
クルッと振り返り首を傾げるディテクター。
シュラインは、さぁ?どうしたんだろうね?と肩を竦めている。
メデューサの眼差しは、どこへやら…。


盛り上がる会場。
カップルとして成立した男女が、これみよがしにイチャついてみたり、
いまだにお相手を掴めていない男性陣が一芸を披露していたり。
何だか必死で、可笑しいったら…ふふふ。
「みなさん、必死ねぇ…」
クスクス笑うシュライン。
ディテクターは、モシャモシャと料理を口に運びつつ苦笑して言う。
「ご苦労さん、だな」
何だか余裕しゃくしゃくな感じだが、
実際、今のディテクターは、ちょっとカッコ悪い。
なぜなら、ポロポロと箸で摘んだ料理を落としているから。
ま、無理もない。不器用になっている理由、それはテーブルの下を見ればわかる。
覗き込めば、ほら。そこには、キュッと繋がれた手が。
いつかバレるんじゃないか、ってハラハラするけれど。妙にドキドキ。
共犯者、みたいな感じ。…ね?武彦さん。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

0086 / シュライン・エマ / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
NPC / ディテクター(草間・武彦) / ♂ / 30歳 / IO2:エージェント(草間興信所の所長)

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度様です! ≧(´▽`)≦
気に入って頂ければ幸いです! 是非また、御参加下さいませ!!

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2008.05.25 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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