コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // 秘蔵のワイン

------------------------------------------------------

OPENING

「ふむ…良い香りじゃなぁ」
倉庫から出してきた秘蔵のワインを香りつつ嬉しそうに微笑むマスター。
魔法をかけて寝かせておいたものらしく、かなりキツいワインらしい。
今宵は月が綺麗…ということで、
皆で頂こうと、マスターはウキウキしつつ倉庫からワインを出してきた。
本部内を漂う林檎の香り。
その充満さに、何となく、キツそうだということは把握できる。
さぁ、今夜は無礼講。思いっきり楽しんで、酔っ払って。
素敵な夜を過ごしちゃいましょう。

------------------------------------------------------

「グルル…(訳:盛り上がってるようだな…)」
「うん…楽しそうだね…」
少し遅れて、イノセンス本部に到着したミリーシャとミグ。
海斗から『パーティO(≧▽≦)Oやるぞ!』というメールを貰い、少々慌ててやって来た。
会場である中庭は、既にどんちゃん騒ぎ。
パーティのメインであるワインに、揃って酔わされているようだ。
「ミリーさん、いらっしゃいませぇ〜」
ニコォッと笑って二人を迎える梨乃。
酒くさい…。そもそも、梨乃は、こんなにフランクじゃない。
酔っ払ってるのか…とミリーシャとミグは苦笑する。
梨乃が作ったという、おつまみ…鹿、猪、鴨のジビエ料理に大満足のミリーシャ。
「おいしい…いくらでも食べれるね…」
微笑み、パクパクと次々料理を口に運んでいる。
ミリーシャの場合、本当にいくらでも食べられるから、微妙に怖い。
ミリーシャが差し入れに、と持ってきた、
ザクースカ(前菜)とストロガーニナ (シベリア風牛刺し)も、また美味だ。
こっちも負けません美味しさですよ〜と、
よくわからない感想を述べつつ、梨乃は美味しそうにパクついている。
「お前、今の反則にゃろがー!」
「にゃにをー!?言い掛かりくぁー!?」
「このにゃろー!!」
「何にょー!!」
呂律がね…激しく回っておりませんけども。
海斗と浩太は、戦隊ごっこをしているようで。
やかましいことこの上ないが、今夜は無礼講…。
うるさいのは、海斗と浩太だけじゃない。
他のエージェント達も、皆はっちゃけている。
藤二?藤二は、ほら…例によって、ナンパに勤しんでおりますよ。
「グルル…(訳:ここは、いつも騒々しいな…)」
溜息混じりに笑って言うミグ。
そこへ、マスターと千華が寄ってくる。
「ふぉっふぉ。さぁ、お二人さんも…乾杯しようではないか」
「ミグミグには…ちょっとキツかもしれないわ。大丈夫かしら?」
クスッと笑い、ミグの前へワインの入ったグラスを置く千華。
「グルル…?(訳:どうせ、大したことないんだろう…?)」
余裕しゃくしゃくで、前足で器用にグラスを傾けワインを喉に落とすミグ。
それに続いて、ミリーシャも、コクリとワインを一口。
「きつい…ね…」
「グルル…(訳:フヴァンチカラよりコク深い。だが…確かにキツいな…)」
ミグの言葉を訳して伝えるミリーシャ。千華は詳しいのね、と微笑んだ。
フヴァンチカラは、甘口のグルジアワインだ。
これでも、ミグは、ワインには少々うるさい。
少しずつ飲む分には、至高なる一品だ。
海斗たちのように一気飲みしてしまえば…地獄に堕ちる事になるのは明らか。
一口飲んで、このワインの秘めたる恐ろしさを把握したミグは、
少しずつ、少しずつ…ワインを楽しんでいく。
ミリーシャは料理の合間に、コクコクと。
ハイペースというわけではないが、摂取量が…少し不安なところ。

*

フラフラとセントラルホールを歩くミリーシャ。
ものすごく眠い…ということで、ミリーシャは本能的に自室へと向かっている。
朦朧とする意識、歩けているのかすら、理解らない。
「あ…」
足がもつれて、フラッと…。転ぶ。
そう思って咄嗟にキューッと目を瞑るミリーシャ。
「っと」
「…は、れ…?」
倒れるミリーシャを、藤二が抱きとめた。
かなり酔っているようだ。目が…目がイヤらしい。
大丈夫?と尋ねる藤二。ミリーシャは、うん…と応える。
が、一向に離そうとしない藤二。
抱きとめているだけならまだしも、
藤二は、さわさわとミリーシャの身体を触る。
「うわぁ。良いね…。お肌プルプルだ」
セクハラである。とんでもないセクハラである。
だが酒のせいで、身体が思うように動かない。
その結果、ミリーシャは、しばらく藤二に好き勝手されることに。
だが、いつまでも触っていられるほど甘くない。
ゆるり…と動きつつも、ミリーシャはキュッと藤二の腕を締め上げる。
「だめ…そこ…」
「い〜〜〜だだだだだだだ……!」
関節技でオトされた藤二。ぱったりとノックダウン。
セントラルホールの中心で、行き倒れているかのように、うつ伏せ。
そのまま、藤二を放ったらかしにし、ミリーシャは再び自室へ向かう。
もう少しで、辿り着く…自室の扉は、見えている。
もう少し、もう少し…と歩くミリーシャ。
と、そこで、今度は廊下で眠っている梨乃を発見。
ミリーシャよりも先に自室で寝る〜と言って中に入っていったのに。
部屋に辿り着く前に、力尽きてしまったようだ。
「梨乃…風邪…ひくの…」
フラつきながらも、梨乃を肩に抱え、ズルズルと引き摺って行くミリーシャ。
道中、お前は藤二か、とばかりに、梨乃はミリーシャの身体を、さわさわ…。
「すべすべですよ〜〜……」
「あ……んっ……」
むにゃむにゃ言いつつ、身体を触る梨乃。
どうしたことか。ミリーシャは、ドキドキしてしまう。
藤二のときのように抵抗することはなく、ただ恥ずかしそうに俯いて…。

ばふっ、とベッドに千華を寝かせるミグ。
余裕っぽく振舞ってはいたものの、千華もフラフラだ。
テーブルに突っ伏して眠っていた千華を、
ミグは背に乗せるような形で千華を部屋に運んでやった。
「グル…(訳:やれやれ…)」
ふぅ、と息を吐いてソファに飛び乗るミグ。
すやすやと、心地よさそうに眠る千華…が、突然ムクリと起き上がった。
うん?どうした?と首を傾げていると、千華が、突然服を脱ぎだした。
「グル…?(訳:お、おい…?)」
さすがに、ちょっと慌てるミグ。
とりあえず、シーツを被せてしまえ、とシーツを咥えるミグ。
だが、要らぬ世話だったようだ。
シーツをパサリとかけたとき、既に千華はすやすやと…眠っていた。
「グルル…?(訳:あのワインに、何らかの作用があるのか…?)」
そんなことを考えつつ、ソファに伏せて煙草をふかすミグ。
様々な予測や仮説を立てていくうちに、ミグは危惧に辿り着く。
大丈夫だとは思うが…念の為な、念の為…。
ミグは煙草を消して、急ぎ足でミリーシャの元へ向かった。

部屋にいない…確かに中に戻っていったのに。
おかしいな、どこに行ったんだ…?
キョロキョロと辺りを窺いつつ、ミリーシャを探すミグ。
ふと、扉が開いている部屋があることに気付く。
近寄ってみれば、扉の前に、ミリーシャのリボンが。
まさか……。不安になり、バンッと勢い良く扉にタックルするミグ。
飛び込んだ部屋、飛び込んでくる光景。
それに、ミグは一瞬呆ける。
「あのね…梨乃は…寝てるだけ…私も…大丈夫なの…」
「むにゃぅ………」
ベッドで、ミリーシャは梨乃に抱っこされるような体勢で横たわっていた。
要らぬ心配をしてしまった…。まぁ、無事なら良い。何よりだ。
やれやれ…と溜息を落として、ソファに飛び乗って伏せるミグ。
いつしか目を瞑ってしまい、そのまま夢の中へ。
すやすやと…寝息を立てて、同じ部屋で眠る三人。

放置されている藤二は、朝まで、あのまま。
多分、寒さに目を覚ますだろう。くしゃみなんぞしつつ。
風邪、引いてしまえば良いとおもう。いっそのこと。

------------------------------------------------------

■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

6814 / ミリーシャ・ゾルレグスキー / ♀ / 17歳 / サーカスの団員・元特殊工作員
7274 / ー・ミグ (ー・みぐ) / ♂ / 5歳 / 元・動物型霊鬼兵
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 黄田・浩太 (おうだ・こうた) / ♂ / 17歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / イノセンス・マスター / ♂ / ??歳 / INNOCENCE:マスター(ボス)

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度様です! ヽ(´▽`)/
煙草をふかすミグくん。何というカッコ良さ(笑)
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ!

-----------------------------------------------------
2008.05.26 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
-----------------------------------------------------