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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // シトラス・バブルバス

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OPENING

本部二階にあるバスプレイス。
うん…いつ見ても、オシャレなバスルームだ。
ルームっていうより、本当…プレイスって感じ。
広々とした巨大浴場。
しかも、今バスプレイスには自分だけ。
貸切みたいなもんだ。
バスタブ(っていうには大きすぎるけど)に、
お好みのエッセンスを入れて…ゆったり。
今日はシトラスバブルのエッセンス。
柔らかな泡に包まれて。
うーん…極楽、極楽。

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いいわねー。このお風呂。優雅だわ〜…。
本部バスプレイスで、のんびりと、くつろぐ麻吉良。
何とも不思議な空間だ。キラキラと七色に輝く床や、
お湯をかけると、ポン、と引っ込む蛇口やシャワーなどなど…。
ほんと、どこもかしこも魔法で埋め尽くされてるわねぇ…。
神秘的かな、神秘的かな…うんうん。
頭にタオルを乗っけて、はふぅ〜と極楽気分な麻吉良。
と、そこでハプニングが…。
カラララ―
「筋肉ムキムキな男ってさー、どーなのー?」
「ん〜…私は、あんまり好きじゃないわね…」
「千華はモヤシ男が好きだからな」
「何よ、その言い方。何かカチンとくるわね」
「っはは。事実でしょ?」
誰か入ってきた…って、誰かじゃない。
入ってきたのは、海斗・藤二・千華の三人だ。
男性陣だけじゃなく千華もいるということで、
そこまで驚いたわけじゃないけれど、それでもビックリ。
混浴だったんだ…ここ…知らなかった…。
湯に顔を埋め、ぶくぶくぶく…と泡する麻吉良。
「モヤシ男ってさー…って、あれっ!?姉ちゃんだ!!」
麻吉良を発見した海斗が、元気に叫ぶ。響き渡る海斗の声。
クスクス笑い、麻吉良はクルッと振り返って手を…振ろうとしたのだ、が。
「うぉぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
物凄いスピードで藤二が突っ込んでくるではないか。
興奮したのか、やれやれ…というわけではなく。
ただ単に、泡で滑っただけだ。
バッシャァンッ―
バスタブに、勢い良く突っ込んだ藤二。
飛沫と、湯煙が、ゆっくりと晴れていく…。
「!!」
麻吉良は硬直した。(※某RPGゲーム風に)
藤二が…藤二が抱きついている。
それだけなら、まだしも。
二人の唇が重なり合って…まさかの、ハプニング・キッス。
「おっと。これはラッキー♪」
唇を離し、隙間でクスッと嬉しそうに笑う藤二。
数秒間の硬直の後、麻吉良は我に返り…暴走した。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
全力疾走でバスタブから脱出し、別のバスタブへ逃げ込む麻吉良。
「藤二!てめ、この、死ねやーーーー!!」
「痛いっ!ちょ、待て…海斗…痛いって!」
バスタブに飛び込んで藤二をポカポカ殴る海斗。
「あらら…。大変ねぇ」
千華は一人、クスクス笑ってシャワーを浴びつつ余裕だ。
「姉ちゃん!だいじょーぶか!怪我はないか!心の怪我!」
駆け寄って身を案じ、海斗はギョッとする。
顔の半分を湯に沈めている麻吉良の頭に、ピョコンと獣耳が生えている。
耳だけじゃない。お尻にも、尻尾が……。
魔人化せずとも、極度に驚いたとき、
こうして一部的に狼の風貌が出てきてしまうのだそうだ。

「わぁ、可愛い。本物なのかしら、これ?」
もふもふと麻吉良の耳を触りつつ尋ねる千華。
はじめて見るものに興味津々…といった表情だ。
「本物…デスよ…」
ぶくぶくと泡しつつ応える麻吉良。
チラッと見やれば、藤二は、ふっふっふっ…と嬉しそうに笑っている。
あぁ…夢じゃないのね、やっぱり。何てこと。
キスしてしまうなんて…不覚。っていうか、事故よ、あれは事故。
そう、事故なんだから、気にすることなんて…。
言い聞かせるものの、そう容易く割り切れるものでもない。
恥ずかしそうに頬を染め、ぶくぶくぶく〜っと沈んでいく麻吉良。
ショックを受けている麻吉良を見て、何とかしちゃる!と意気込む海斗。
海斗は麻吉良の腕を引っ張り上げて、座って座って、と促す。
言われるがまま、チョコンと海斗と向かい合うようにして座る麻吉良。
「ちが。姉ちゃん、違うよ。そーじゃなくて、こっち〜」
クリン、と麻吉良を引っくり返す海斗。
「へ…」
キョトンとしている麻吉良。
そんな麻吉良の背中を、海斗は、わしわしと洗う。
「痒いところは、ございませんかーー?」
「ぷ。海斗くん…それは、美容院だよ」
海斗の屈託ない言動にクスクス笑う麻吉良。
海斗のお陰で、元通り。すっかり気分は、元通り。
ありがとね、海斗くん…。
とはいえ、海斗は悪戯っ子だ。
ただ単に麻吉良を癒すだけには収まらない。
「ふわふわしっぽー!」
キュッと麻吉良の尻尾を掴んで笑う海斗。
「ひゃ!ち、ちょっと…海斗くんっ」
「尻尾も洗うぞー。わしわしわし♪」
「く、くすぐった…あっはははは…!」
キャッキャと笑い、じゃれあいながら背中を流し合う麻吉良と海斗。
二人を見やりつつ、藤二と千華は、ほのぼの。
「若いねぇ…」
「ジジくさいわよ、あんた…」

*

とんだハプニングだったけれど…楽しかった。
海斗のお陰で、楽しいバスタイムになった。
「よし、一気飲み勝負しよっか」
「おー。受けて立つぜー!」
並んで、揃って腰に手を当てて…グビッと飲むコーヒー牛乳。
ぽかぽか、温まった身体に、キーンと冷たいコーヒー牛乳。
「ぶはー!負けたー!げほぅげほぅっ!」
「ふはは。まだまだね」
クスクス笑って、海斗の口をタオルで拭ってやる麻吉良。
さすがにキスはビックリしたけど…うん、楽しかったよ。
こんなに笑ったの、久しぶり。
優しく微笑む麻吉良。海斗はニコリと微笑み返す。
微笑ましい二人の姿に、パタパタと扇子で千華を扇ぎつつ笑う藤二。
「可愛いなぁ、何か」
「そうねぇ…。ちょっと、もっとちゃんと仰いで」
「…へいへい」

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7390 / 黒崎・麻吉良 (くろさき・まきら) / ♀ / 26歳 / 死人
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! おいでませ、毎度様です^^
可愛い展開に…(笑) っていうか、海斗がガキんちょ過ぎる(笑)
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ…^^

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2008.05.26 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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