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INNOCENCE // カラオケ・パーティ
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OPENING
「すげー。バッチリじゃん」
「…これは、確かに凄いかも」
「マスターも甘いよなぁ。海斗の我侭を聞いてやるなんて」
「あら。マスターもノリノリだったみたいよ?」
「うわぁ…モニター、すごい大きいですね〜」
イノセンス本部、二階に完成したカラオケルーム。
海斗の要望(というか我侭)で作られたもので、
部屋にある必要道具は、全てマスターの魔法で構成されている。
一体何人 入るんだ…というほどに広いカラオケルーム。
その出来栄えに海斗はもちろん、他のトップエージェント達も大満足の御様子。
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近くを通りがかったついでに、広いお風呂を満喫。
んー…ポカポカ、気持ち良い。
やっぱり、良いわよねぇ。広いお風呂って。
興信所のお風呂は、広くもなく狭くもなく質素で落ち着くけれど、
たまには、優雅なバスタイムも味わいたいわよね。
思いっきり足伸ばして、ん〜って伸びて…。
泡で遊んでみたり、鼻歌してみたり。
バスタイムを満喫したシュラインは、頭にタオルを乗せて本部をテクテク。
さて、どうしようかな。書庫を覗いてから帰ろうかな?
それとも、レストランで御茶飲んでから帰ろうかな?
あ、本を借りて、そのままレストランで読みつつ御茶ってのも良いわね。
夕飯までに戻れば良いし、ちょっと、のんびりしていこうかな。
とりあえず書庫へ向かおうと、角を曲がったときだった。
(うわ。何っ?)
どこからか、爆音が響いてくる。
聴力に長けるシュラインには、爆音以上の衝撃。
何事かと思い、音のしたほうへテクテクと歩いて行けば、
そこには、見慣れぬ大きく分厚い扉が。
(防音…?)
ぽすぽす、と扉を叩きつつ首を傾げるシュライン。
すると突然、扉が開いた。
ガスッ―
「痛っ!」
勢い良く開いた扉に鼻を強打して、きゅ〜っと屈んでしまうシュライン。
扉を開けた・シュラインの鼻を痛めつけた犯人である千華は慌てて謝る。
「シ、シューちゃん。ごめんなさい」
「あはは…大丈夫。大丈夫ですよぅ」
鼻を擦りつつ、ふらふらと立ち上がる。
両手を合わせて何度も謝る千華の背後…広がる魅力的な空間。
扉の中には、素晴らしい設備のカラオケ・ルームがあった。
机の上に乗っかって、気持ちよさそうに歌っている海斗も確認できる。
爆音は、海斗の魂の叫びだったようだ。
「わぁ。凄く良い音響ね。気持ち良さそう」
ちょっと背伸びして部屋を覗き込みつつ言うシュライン。
千華はクスッと笑い、シュラインの手を引いて中へと案内する。
「どうぞ。盛り上がってるわよ〜? あ。私、飲み物取ってくるけど。何飲む?」
「んっ?えーと。そうねぇ…じゃあ、グレープフルーツジュース」
「了解。待っててね」
扉を閉めて、キッチンへ飲み物を取りに行く千華。
部屋に放り込まれたシュラインは、テテテッと皆が座るソファに駆け寄り、端っこに、ちょこんと座る。
選曲していた梨乃から授かる歌本。
ものすごい分厚さだ。一体、何曲ストックされてるんだろう。
マイナー・マニアックな曲なんかも普通にありそうねぇ。
そういう曲、大好きなんだけれども…やっぱり、みんな知ってる曲が良いわよね。
盛り上がるし…ん〜〜と。どれに、しようかなぁ…。
ジュースで喉を潤しつつ、みんなの自慢の歌声を堪能。
海斗は戦隊特撮のオープニングやエンディングばかりを歌う。
よくわからないけれど、かなり上手なのはワンフレーズ聴いただけで十分。
起伏もキッチリと歌いこなして…歌い慣れている感じ。
曲を入れる回数が半端ないことから、シュラインは悟る。
このカラオケ・ルームが、海斗の提案で作られたものなのだろう、と。
元気に歌う海斗に、つられて楽しくなってキャッキャと笑ったのも束の間、
続く藤二は、落ち着いた曲調の甘いバラードを歌う。
上手いか下手かで言えば、藤二もまた、かなり上手。
彼もまた、歌い慣れている感じがする。
きっと、数え切れないほどの女の子に、その歌声を捧げてきたんでしょうねぇ。
甘い曲で酔わせて、そのまま、お持ち帰りとか?
テクニックの一つなんだろうけれど、正直どうかなぁ。
微妙にエゲつないような気もするのよねぇ。
それに、そのマイクの持ち方…可笑しくて仕方ないんだけれども。
いや、うん、まぁね。そういう持ち方、一般的には格好良いんだと思うの。
でもね、何か藤二くんがやると…ホストみたいで可笑しいのよ。
クスクス笑うシュラインに、どうぞとマイクを差し出す海斗。
そうこうしている内に、シュラインに順番が回ってきた。
サッと立ち上がり、ささやかなステージへ向かうシュライン。
選曲は2曲立て続けに、アシッドテクノと演歌をチョイス。
散々迷った結果、要するに楽しめれば良いという結論に到達。
曲自体を知らなくても、自然と身体を揺らしてノれそうなものをチョイス。
イギリス発祥説の高いアシッドテクノは、
独特な音と身体に響くベースラインが心地よいナンバー。
アシッド、というのは麻薬的なものを示しているらしく、
音楽として中毒症状を覚えたり、酔いしれる者が多いことが名前の由来。
英語が理解らなくて、何を言っているのかサッパリでも、
このジャンルは自然と身体が揺れる。しかもオシャレでハイセンス。
変わって演歌は、いわずもがな日本の魂。
とはいえ、チョイスしたのは、こぶしの利いたガッツリ系ではなく、
お祭りにマッチするような、軽快で陽気な曲。
これにもまた、曲を知らずとも身体が踊り出す作用が。
ただ歌うだけではツマラナイからと、
シュラインは自慢の声と音で、一層の盛り上げを図る。
笛の音や太鼓の音で祭囃子。オリジナルのギターソロを付加してみたり。
ちょっと悪ノリして、動物の鳴き声で歌ってみたり。
喉を伝って放たれるシュラインの歌は、まさに音の洪水。
居合わせているメンバーは、手拍子してノリノリに。
大いに盛り上がった後、その雰囲気に乗っかるようにして梨乃の出番。
ふぅと一息つく間もなく、ギョッと驚かされる。
選曲はコテコテのパンク。
髪を振り乱して、熱く歌い上げる梨乃の姿は圧巻もの。
意外性もさることながら、その歌唱力にもビックリ。
続く千華も、これまた独創的というか個性的というか。
選曲は、異国の民謡。
初めて聴くはずなのに、どこか懐かしさを覚える旋律。
上手さで言うなれば、トップエージェントの中で一番なのではないだろうか。
歌っているときの、優しい表情も素敵な雰囲気…。
けれど、何だかんだで一番興味をそそられたの浩太の歌。
海斗と似たような選曲で、アニメソングが多いのだけれど…すさまじく音痴。
思いっきり音を外したり、ありえないテンポになったり、
落ち着きなく、上がったり下がったりで、ある意味面白い。そして和む。
音痴っぷりに海斗が爆笑する中、一生懸命歌う浩太。
その姿は、とても可愛らしくて、微笑まずにはいられない。
満喫するカラオケ・パーティ。
途中、他のメンバーが気持ち良さそうに歌っている中、歌本片手に、あれこれ談笑。
千華に、歌っていたのは、どこの民謡なの?あれは何語になるの?と尋ねてみたり、
梨乃に、ライブとかも行ってたりするのかしら?と尋ねてみたり。
精根尽き果てて、グビグビとジュースを飲む浩太に、
彼が歌いやすそうで且つ、レイレイが好きな曲やバンドをオススメしてみたり。
ワイワイと賑やかなカラオケルームで過ごす時間は、笑顔で溢れていて。
マイクを奪い合う海斗と藤二に笑いつつ、
しばらくは、皆ここに通い詰めそうねぇ…?なんて思ってみたり。
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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■
0086 / シュライン・エマ / ♀ / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 黄田・浩太 (おうだ・こうた) / ♂ / 17歳 / INNOCENCE:エージェント
■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■
こんにちは! おいでませ、毎度様です。
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ…^^
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2008.06.04 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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