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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // 魔花 -maka-

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OPENING

魔花 -MAKA-
日陰に咲く蒼い花。
とある魔法国にしか存在しない。
花弁を食すと、食した者の魔力が底上げされる。
人によって様々だが、苦いと思うのが一般的。
美味いか不味いかで言えば、不味い。
食すだけでなく、素材としても使われる。
魔力の塊なので、扱いには注意せねばならない。
※強い衝撃を与えると、爆発する。

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異界各所で発見されている魔花。
テレビや新聞、雑誌、ラジオ…あらゆるメディアから得た情報を一纏めにした雪穂。
とはいえ、謎の多い花だ。報じられる情報は、どれも似たり寄ったり。
わかっているのは、薄暗いところに咲くということと、
花弁を食せば、魔力が増加・底上げされるということだけ。
けれど、それだけで十分。とくに、後者。
食べれば魔力が増加する…そこに、魔術師である雪穂が食いつかないわけがない。
うーん…やたらと報じられてはいるのに、
どれも、同じようなことばっかりなんだよね。
わかってるのは、この二つだけかぁ…。
ちょっと面倒かもしれないけど…行かないわけにないかないよね。
よしっ、行きますか。魔花採取。
メモを胸元にしまい、意気揚々と部屋を出る雪穂。
どうしよっかなぁ…手当たり次第でも良いけど、
出来れば無駄な動きはとりたくないよね。
薄暗いところ、薄暗いところ…。
うーん…やっぱり、森とかかなぁ。洞窟とか?
ここ、多いからなぁ、森も洞窟も…。
とりあえず、一番近い森から攻めてみよっか。
本部周りの森…意外と、すんなり見つかったりしてね。
大きな袋を引きずりつつ歩く雪穂。
エントランスを抜けようとしたときだった。
可笑しな光景…いや、珍妙な人物が。
「何、その格好…」
苦笑して背後から声をかける雪穂。
クルリと振り返った浩太は、ニコッと微笑む。
「魔花採取に行こうと思って。あれ?もしかして、雪穂さんもですか?」
「うん…まぁね」
失笑ぎみの雪穂。無理もない。
浩太の格好は、まるで昆虫採集…。
大きなカゴに虫取り網…。
採取するのは花ですよ…?わかってます?
さすがに、雪穂の肩上にいる白楼と正影も呆れている。
浩太のズレっぷりに苦笑しつつ、一緒に森へ向かう雪穂。
一人で探すより、二人で探したほうが効率が良い。
見つけにくい花なら、尚更。

「意外と、近場にあったりするもんですよね」
「そうだね〜」
森を歩きつつ、魔花を探す二人。
ブンブンと虫取り網を振り回しつつ歩く浩太を見て、
さすが、海斗の親友だなぁ…思考回路が同じだもんねぇ…と実感する雪穂。
本部から、さほど離れていない森の中…。
薄暗いところに咲くということで、
二人は木の陰をヒョコッと覗き込んだり、茂みをガサガサと漁ってみたり。
そう簡単には、見つからないよねぇ〜…と苦笑していたのだが。
期待はずれというか…何というか。
魔花は、何ともあっさりと見つかった。
複雑に絡み合った木の根…その隙間に、ボンヤリと蒼く光る花。
「…あっさりですね」
「ま、疲れなくていいよねぇ」
気が遠くなりそうな程、あちこち歩き回ることになるんじゃないかと思っていたけれど、
あっさり見つかって…良かった良かった。
ちょーっと張り合いないような気もするけど。
目的は見つけること…っていうより、食べることだしね。ふふ。
ごそごそと袋を漁り、中から実験道具を取り出す雪穂。
花粉を採取して調べてみたり、少しだけ葉を取って成分を調べてみたり…。
けれど、自慢の実験道具を用いても謎は晴れぬまま。
やっぱり、謎は謎のまま…かぁ。
ま、それでこそ魔法の花だよね。
「よしっ。食べてみよ」
プチンと一枚、花弁を取り、クンクンと匂いを嗅いでみる雪穂。
無臭…かな、と思ったけど、ちょっとだけ…ほんのり甘い匂いがするね。
蒼…なだけに、ちょっと、ひんやり冷たい感じ。うーん?
パクッと食べてみる雪穂。
何の躊躇いもなく口にした雪穂を見て、浩太も続く。
だが、口に入れた瞬間…浩太はおもいっきり目を泳がせた。
不味い…果てしなく不味い…。苦い、苦すぎる。
甘党な浩太にとって、この苦味は酷だ。
逆に、甘いのが苦手な雪穂にとっては、ありがたい味。
「ん〜…まぁ、味はこんなもんかぁ」
うんうん、と頷き、懐からスペルカードを取り出す雪穂。
さてさて…魔力は増加してるのかな?
何も変わったような感じはしないけれど…。
(どうかな?)
試しに…と滅多に詠唱しない【大鎌】を謳う雪穂。
このスペルカードは、異なる属性を同時に纏わせるもので、
とても難易度が高い上に、魔力消費が半端ない為、いつも失神してしまう。
ドキドキしつつ…炎と雷を出現させて、そっと混ぜ合わせ。
融合した雷炎を、おそるおそる…大鎌に近づける。
すると。
バチッ―
「うわぁっ!?」
激しい閃光。細めた目をゆっくりと開いていけば…。
目に飛び込むのは、雷炎を纏い、眩く光り輝く大鎌。
「すっごい!すごいよ!すごーい!」
気が遠のくこともなく、大鎌をブンブンと振り回す雪穂。
もしかすると…とは思っていたけれど、
やっぱり、魔力が不足していたから成功しなかったんだね。
全然具合悪くないし、っていうか寧ろ身体が軽いような気もするよ。
見て見てー!と大鎌を振って嬉しそうに笑う雪穂。
けれど、浩太は、それどころではない。
花弁が喉につかえて…虫の息だ。
「あはは。酷い顔だね」
笑いつつ、フラスコでササッと紅茶を淹れて渡す雪穂。
一気飲みしたことで、次は火傷…。
騒がしい浩太にクスクス笑いつつ、雪穂はよいしょ…と屈む。
彼女が屈んで見やっているのは、巨大な魔花、一株。
この森に漂っている魔法で、異常成長を遂げたのだろう。
「んんんんんんん………」
踏ん張って踏ん張って…スポンッ。
ボコッと抜けた魔花を、せっせせっせと袋に詰める雪穂。
「はぁ、はぁ、はぁ…。ち、ちょっと雪穂さん…?どうするんですか、それ…」
舌をべぇ、と出しつつ、四つん這い状態で苦笑する浩太。
雪穂はニコッと可愛らしく微笑んで言った。
「夏ちゃんへの、お土産っ」

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7192 / 白樺・雪穂 (しらかば・ゆきほ) / ♀ / 12歳 / 学生・専門魔術師
NPC / 黄田・浩太 (おうだ・こうた) / ♂ / 17歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! おいでませ、毎度様です^^
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ…^^

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2008.05.28 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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