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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE // 相合傘

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OPENING

雨降る中、相合傘で歩く二人。
いつもなら少し、うっとおしいと思う雨だけど、
キミと話していると楽しくて…気にならないから不思議だね。
雨振る中、相合傘で歩く二人。
他愛ない話で微笑んで、一緒に帰る、帰り道。
ゆったり静かな昼下がり。雨音ワルツとキミの声。
この時間が、永遠に。続けばいいと思ってた。

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千華と買出しに出かけていた麻吉良。
食材目的だったんだけど、つい夢中になっちゃって。
うっかり、ブラウスとアクセサリーも購入してしまった。
想定外の出費だけど、後悔はしていない。
だって、どっちも一目惚れしてしまったものだから。
初夏にピッタリな、淡い水色の爽やかなブラウス。
どんなボトムにも合いそう。ボトムは、黒っぽい方が良さそうかな。
で、ブラウスに合わせて買ったアクセサリーはペンダント。
星のペンダントなんだけど、これがまた凄く可愛いの。
ブラウスの開いた胸元で、さりげなく揺らしたら…絶対可愛い。
ふふふ…と嬉しそうに微笑む麻吉良。
そんな麻吉良を見やりつつ、傘を持つ千華もつられて微笑む。
生憎の雨模様だけれど、良い買い物が出来て気分は上々ね。
自分でオススメしといて何だけど、それ絶対似合うと思うの。
麻吉良ちゃんは肌が白くて綺麗だから、
淡い色の服でも、ぼやけることなく可憐に着こなせちゃうのよね。
アクセントでチョイスしたアクセサリーも気に入ってくれたみたいだし…良かった。
並んで歩く、雨の中。傘を挟んで隣り合わせ。
何気ない、何の変哲もない状況だけど、
どうしてかな、今、すごく幸せなの。
こうして、普通に買い物して楽しんで…。
そういうことが出来たのって、すごく久しぶりだから。
いつもなら、ちょっとだけ、うっとおしいなって思う雨だけど、
それさえも素敵なことに思えてしまうから不思議ね。
出来うることなら、このままずっと。
この幸せな感覚に酔いしれていたいな。

って…折角良い気分だったのに。
あっさりと邪魔してくれるのね。
本当、魔物ってデリカシーがなくて嫌だわ。
並んで歩く二人の前に、ヌッと出現した魔物。
大樹の姿形をした巨大な魔物、ティルタ・プラント。
梅雨時の今、もっとも出現率の高い魔物だ。
けれど、さほど強くはない。動きもトロいし。
特に警戒すべき能力もない。
強いて言うなれば、今降りしきっているものが、
実は雨ではなくて、こいつが撒き散らしている "葉" だということくらい。
「相変わらず、大きいわねぇ…」
魔物を見上げ、感心する千華。
麻吉良は愛刀に手をかけ「やっていいの?」と尋ねた。
報酬の出ない、タダ働きになるけれど、それでも良いならと微笑む千華。
まぁ、放っておいても特に害はなさそうだけど…。
魔物は魔物だしね。何らかのキッカケで人を襲うようになったら厄介だし。
それにしても、全然動かないわね、この魔物。
っていうか、初めて見るわ。何ていう魔物?
ティルタ・プラント初見の麻吉良は、千華に尋ねた。
得た情報から、こいつが水の魔物だということが理解る。
なるほど、水かぁ。この雨も、こいつの仕業ってわけね。
迷惑な魔物よねぇ。ん?ある意味、恵みの魔物でもあるのかな?
そんなことを思いつつ、シャンと愛刀を鞘から抜いた麻吉良。
その音に反応し、魔物がノソノソと動き出す。
常に攻撃的なわけではないが、
自分を始末しようとする人物に対しては過剰に反応。
魔物は枝を揺らし、一層の雨葉を降らせた。
それに対抗するかのように、魔人化して威嚇の雄叫び。
「ガァァァァッ!!」
降りしきる雨葉さえも揺らす、その声に怯んだ魔物。
元々、気弱な魔物だ。威嚇は効果的。
怯んだことで、一瞬…雨葉の舞が止む。
我に返り牙を向く前に、迅速に討伐してしまおう。
バサリと、大きな四枚の翼を揺らし、
空を飛び交って、愛刀で、サクサクと枝を切り落としていく。
バサァと音を立てて地に落ち揺れる枝と、それを彩る水葉。
あっというまに、丸裸。
すっかり、朽ちた木と化してしまったティルタ・プラント。
我に返ったときには、もう手遅れ。
自慢の蒼い葉は、全て地を彩ってしまっている。
戸惑いを隠せず、無様に逃げ出そうとする魔物。
けれど、なにぶん、その巨体だ。
一歩が、果てしなく大きくも遅い。
背を向けた魔物に向かって、氷の刃を放つ麻吉良。
放たれた刃はザクリと魔物の背に刺さり、
刺さった箇所から、波状に氷を張っていく。
水属性の魔物ということで、氷漬けにするのは容易くて。
たいした魔力を消費することなく、あっさりとフリーズ。
身動きが取れなくなったら、後はもうスパッと一刀両断。
自慢の愛刀の切れ味は、今日も今日とて最高。

魔物を討伐したことで、すっかり晴天。
ふわりと浮かんでいる虹が、何とも綺麗。
「御見事ね」
傘を畳み、目を伏せて微笑む千華。
麻吉良は、すぐにタタッと駆け寄り確認する。
「荷物、濡れてない?」
「大丈夫よ。ばっちりガードしてたから」
「ふふ。さすがぁ」
大して魔力を消費していないことから、
魔人化して、結構な時間が経過したけれど失神することはない。
折角解放した能力だし、まだ余力があるならと、
千華は麻吉良に提案というか、御願いした。
空を飛んで、帰ってみない?
実は、前から良いなぁって思ってたの。
私も、空を飛んでみたいなぁって。
自由に飛び回りたい。それって、人間故の願望よね。
御願いにクスッと笑い、千華を抱いて高く舞い上がる麻吉良。
全てが模型のように見える、この不思議な感じ…。
風を切って虹を潜って、優雅に空を満喫。
本部入口で、二人の帰りを待っていた海斗が、
空を飛ぶ二人を見上げて「俺も!俺も!」と叫んだのは、言うまでもない。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

7390 / 黒崎・麻吉良 (くろさき・まきら) / ♀ / 26歳 / 死人
NPC / 青沢・千華 (あおさわ・ちか) / ♀ / 29歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■

こんにちは! おいでませ、毎度様です^^
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ…^^

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2008.06.11 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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