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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


ストーカーに仕返しを

 視線に気づいたのは、1ヶ月前のことだ。
「誰かにつけられてる……」
 クルールもその辺りには敏感である。自分をつけまわす存在がいることはすぐに分かっていたが、最初は無視していた。仕事柄、付け狙われることは多かったからだ。
 しかし。
 とある日、彼女が居候している喫茶店の入り口に、彼女宛の小包が置かれていた。
 不気味だったので開けなかった。喫茶店の副店長が処分してくれた。
 とある日、彼女宛のメッセージカードが届いた。

『いつもあなたを見ています』

 全身に鳥肌が立った。クルールは自分をつけまわす人間がいることを、そのとき初めて家族に言った。
 副店長が、それは「ストーカー」だと言った。
 ストーカー。天使のクルールにとって、初めて聞く言葉だった。
「それはいけないわ」
 店長で姉代わりのエピオテレスが、クルールの話を聞いて頬に手を当てた。
「クルール、怪我をさせては駄目よ? 相手は素人さんよ。……そうね、私が話をつけてきてあげるから」
「テレス……」
 そうして、エピオテレスは店を出て行った。クルールをつけまわす男の方へと。
 ――……

 ■■■ ■■■

 草間興信所の扉を、ピンクの髪の少女が叩いた。
「ん? クルールじゃないか」
 草間は入ってきた少女の姿を、意外に思って見る。
「草間サン。相変わらず煙たいね」
「お前のところにも煙たいのがいるだろう――どうした」
「あのさ」
 クルールと呼ばれた少女はすたすたとソファに座っていた草間の元へ来ると、「頼みがあるんだけどさ」
「何だ」
「あのさ、すとーかーとかゆーのが、いるじゃん?」
 クルールは人間界に来て間もない天使である。時々、言葉のイントネーションがおかしい。
「ストーカーか。それがどうした?」
「あたし、それにつきまとわれちゃってさ」
 クルールはかわいい顔立ちを、心底嫌そうにしかめる。「うっとうしいことこの上なくて」
「……お前さんなら追っ払えるだろう。もしくはお前のところの家族」
「男連中が仕事で出払っててさあ」
 少女は口を尖らせた。「で、テレスがあたしが直接手を出しちゃ危ないって、説得に行ったのさ」
「……まあ、お前さんは問答無用で斬りそうだからな。それで?」
 話を促すと、クルールは急に顔を憤怒で染めた。
「そしたらそいつ、ナイフでテレスを切りつけたんだよ!」
 クルールの姉代わりのエピオテレス。彼女を傷つけられて、どうやらクルールは怒り心頭のようだった。
「仕返ししたいんだよ!」
 きーとわめく少女。草間は難しい顔をして腕を組む。
「ナイフで人を傷つけたか……警察に突き出すべき問題だが」
「それだけじゃ気が済まないんだよ! ケーサツなんかアテになんない! てゆーか、もう、徹底的にやっつけたい!」
「……いや、やりすぎは厳禁だぞ」
「気が済まないー!」
 なのにさなのにさ、とクルールは身を乗り出す。
「テレスはあくまで、あたしは何もしちゃダメだって言うのさ! もうこうなったら、誰か紹介してよ草間サン!」
「分かった分かった」
 ほどほどに――しかしクルールの気が済むように。
 とても難しい問題を放り投げられて、草間は困ったように頭をかきながらそれを受け止めた。

 ■■■ ■■■

 草間から連絡をもらい、興信所にやってきた人物が3人。
 草間と懇意にしているとあるサーカス団からは、代表として豪奢な金髪のアレーヌ・ルシフェル。
 クルール自身とも懇意にしている、黒冥月が[ヘイ・ミンユェ]。
 そして……なぜか上にドのつく上機嫌さで、興信所にやってきた仁薙隼人[じんなぎ・はやと]。
「はいはいアイスはいかが〜」
 隼人はこれまたなぜか大量のアイスを手にやってきて、
「あ、零ちゃんにはコレね。草間サンこれ。で、あーと、……げっ」
 クルールを見た瞬間、苦虫を噛み潰したような顔をする。以前とある依頼でクルールと顔を合わせたことがあるのだ。
 しかしクルールは首をひねって、
「誰だお前」
「……忘れ去られてるし……」
 それはそれでがっくりの隼人である。
「仁薙。お前なんでそんなに機嫌がいいんだ?」
 草間に問われ、「そりゃ暇してたからに決まってら」と気を取り直した隼人は言った。ちなみにコンビニ帰りのところを草間に捕まった。
「んでんで? 何かトラブル起きたんだろ? 何が起こったんだよ。ん?」
 隼人はわくわく顔で草間に迫った。
 ――話を聞いて、3人は3様の反応……
「うっしゃ! 面白そうじゃねえか!」
 拳を鳴らす隼人に、
「女相手に刃物で切りつけるなんて……卑屈にも劣りますわね」
 静かに怒りを沸騰させるアレーヌ。
 対照的に、呆れたのは冥月だ。
「クルールにストーカー……物好きな」
 苦笑しつつ、彼女としても懇意にしているエピオテレスを怪我させられたことには思うところがないでもないが、かと言って――エピオテレスも裏社会の人間だ。
「たとえ話合うつもりで油断していても、素人相手にその様では先が思いやられる。その甘さではいつか……」
 命を落とす、と言いかけて、クルールに壮絶な目でにらみつけられた。冥月が口をつぐむくらいだ。相当な目つきである。
「同じ女として許せないとは思いませんの!」
 なぜかアレーヌに叱られ、
「もう! 冥月はテレスのこと大事じゃないのか!?」
 きーとクルールに文句を言われ、
「分かった分かった」
 冥月は嘆息した。
「ふむふむ。冥月はやはり若い女の子に弱い、と……」
 とかメモ帳にメモしている草間の顔面に裏拳を炸裂させてから、にやりと笑い、
「ただし、私個人に報酬を払ってもらうからな。ああ心配するな、金じゃない」
「何だかわかんないけど、手伝ってくれるならいーよ」
「わたくしは報酬なんかいりませんわよ。個人的に許せませんわ」
 アレーヌは肩をいからせて、
「だからクルール、心配しないで」
「ありがと、アレーヌ」
 珍しくクルールがアレーヌに笑顔を見せた。
「へっ。ナイフなんか簡単に撃ち落とせらぁな」
 隼人がにやにやと笑う。どうボコるか算段を練っている顔だった。
 アレーヌは、クルールに「ストーカーはどんな男か」と尋ねた。
「いっつも深く帽子かぶってる。黒いジャンパーでね、デニムのジーパン。シャツは毎日色変わるけど白が多いかなあ」
「典型的なストーカースタイルですわね……」
「まあ、そんなもんだろうな」
 冥月は腕を組んで聞いている。アレーヌはこめかみをつついて、
「クルールが好みの女性のタイプだったとかかしら?」
「クルールが好みのタイプってのは珍しいぞ。ピンクの髪に金の瞳だからな、むしろ珍しさに惚れたんじゃないか」
「そうだよなあ、こんな女あんまり見ねえぜ。滅茶苦茶派手に髪染め、メイクしてる女とはちょっと一線を画してるしなあ」
 冥月の言葉に、隼人がうんうんとうなずく。
「あたしって珍しいのか?」
 自覚がないクルールはきょとんとした。
「まあ、なんでもいい」
 冥月はその話を打ち切った。
「どうする? 狙撃? 拷問?」
 隼人が子供のような笑顔で恐ろしいことを言う。
 アレーヌは、
「敵がナイフならこちらは投げナイフで行きますわよ!」
 と宣言した。
「まあ色々とストーカーを震え上がらせる方法はあると思うが……」
 冥月は悠然と構えている。
「さぁ、行こう! 今すぐ行こう!」
「ピクニックじゃないぞ仁薙……」
 ぼんやり聞いていた草間がため息をついて、
「お前ら、くれぐれもやりすぎるな……?」
 そのとき、アレーヌ、冥月、隼人は揃って草間を見て、にっこりと笑った。
 草間はぞっと背筋に汗が伝った。――このメンツを揃えたのは、まずかったかもしれない……

 ■■■ ■■■

 クルールは3人を引き連れ、一度喫茶「エピオテレス」へ寄った。
 エピオテレスの怪我の具合を見るためだったが、エピオテレスは相変わらず寝込んで動けない。
「こんなときに、ほんと役に立たない男ども!」
 クルールは家族を思い出して憤った。
「代わりは務めましてよ」
 アレーヌがエピオテレスの姿に、ますます義憤を覚えたようだった。逆に冥月は、見事に急所近くをやられているエピオテレスの姿に「やれやれ……」とため息をついたが。
 いや、急所を避けられたあたりはやはりエピオテレスも訓練された人間だということだろうか――
 何となくエピオテレスの包帯の取り替えを行った冥月は、
「ひょっとするとストーカーは手練かもしれんな……」
 傷口を見てつぶやいた。
「んなもん関係ねえよ」
 隼人はにっこにっこと笑いながら、銃の準備をしている。
 今回は頑張って近接戦にしてみようか……とも考えた彼だったが、やっぱり苦手ということで。武器は銃に決まった。
 冥月は何気なく壁にもたれ、窓外を見る。
 ――いた。目深にかぶった帽子、ジャンパー、ジーパン、今日は赤と白のストライプのシャツ。
「テレスを相手に傷害事件を起こしているにも関わらず、まだストーカーをする度胸……一筋縄ではいかんな」
 もちろん彼女は、その男が草間興信所にもついてきていたことを知っていたが。
 さて。
 まずはアレーヌと隼人の出番だ――
 クルールと冥月は店に残り、隼人とアレーヌは先に外へ出た。
 ストーカーの前へ出る。帽子を目深にかぶった男――近くで見るとどうやら若者――は、逃げようとする気配もない。
 両手がジャンパーのポケットに入っている。そのどちらかに、エピオテレスを傷つけたのと同じナイフをおそらく持っているはずだ。
 アレーヌがにっこりと華やかに笑い――
 その腕がなめらかに動いた。
 カカカカカ!
 ストーカーを塀に張り付かせる形で、スローイングナイフが何本も塀に突き刺さる。それは恐ろしい速さでナイフが飛んだ証拠だった。
 ストーカーは数秒遅れて自分の体のあちこちを切り裂かれたことに気づき――帽子の奥に隠されていた目が、血走った。
「てめえらも邪魔者か!」
 とてもボキャブラリーのない言葉を吐きながらナイフを取り出す――その瞬間、隼人の手でサイレンサーのついた銃が火を噴いた。
 ナイフが撃ち落とされる。ナイフを撃ったのだが、衝撃でストーカーの手が痺れて動かなくなった。
 その間にもアレーヌの華麗なスローイングナイフショーは続く。カカカカッ。ストーカーの顔の横すれすれを小型ナイフがかすめていく。
 隼人はひそかに空間を操る能力で、ストーカーが動けないよう――逃げ出せないように捕まえていた。
 アレーヌは声高にストーカーを罵倒する。
「ストーカーした上に女を傷つけるなんて……この下劣以下のゴミ、カス、塵、蛆虫!」
「うおう」
 隼人がびびったように、危うくストーカーを手放しかけた。
 罵倒は続く。アレーヌのきんきん声で叫ばれると余計にダメージが大きい。
「ミジンコ、アメーバ、単細胞、哺乳類外!」
 口撃は、そして最後の止めを刺す。
「この地球上から消えてしまいなさい!」
 ストーカーはぶるぶる震えていた。恐れていたのか怒っていたのか――まったく不明だが、やがてがっくり肩を落とす。
 戦意喪失?
「おいおいマジかよ」
 隼人が呆れて、「男なら――これぐらいされるまで気を保ってろっての!」
 苦手な近接攻撃も今ならイケる。嬉々として拳で頬を一撃。
 その後、男なら一番嫌がる超急所を蹴り上げる――
 ストーカーはうめいてしゃがみこんだ。
 アレーヌが眉をひそめて、「下品だわ」とつぶやいた。
「いいじゃねえか、ボコっちまえ」
「わたくしもっと綺麗に済ませたかったですわ」
「てめえの罵倒はとても綺麗じゃなかったぜ」
「まあ。あれは作戦とおっしゃってほしいですわね」
「ボコるのも作戦じゃねえか?」
「美しくありませんわ」
「ストーカーやっつけるのに美しさを求めてもなあ」
 とか何とか、2人が口論を続けている間、ストーカーはずっと股間を押さえてうめいていたが――
 ふと、彼は苦しそうなまま顔を上げた。
 ん? とアレーヌと隼人が気づいて振り向く。
「ちょっと2人ともー、さっさと止めさしてよ!」
 なぜかクルールが1人で――
 こちらに向かって走ってきていた。
 アレーヌと隼人は驚いた。クルールはたしか、冥月に決して店を出るなと言いつけられていたはず。
 しかし現実にクルールは走ってくる。そして到着すると、ストーカーを見下ろした。
「へえ、こいつ? あたしの好みじゃないな」
 すっぱりと切り捨てる。
 ストーカーの顔色が、変わった。
「テレスのこと傷つけるしさー、ナイフ持ってるしさー、最低だよね」
「お、俺は……!」
 ストーカーが苦しそうな声を出した。
「お前だけを見てきたんだ! この1ヶ月、お前だけを……!」
「うわー、気持ち悪っ」
 クルールは自分の体を抱くようにして、軽蔑の目でストーカーを見る。
「大体真正面から告白もできないくせに、えらそーに。ま、真正面から告白してきてもオコトワリだけどさ」
 わなわなとストーカーが震え始めた。
 何をわざわざ挑発するようなことを――とアレーヌと隼人が疑問の視線をクルールに投げかけたとき――
 返ってきたのは、口元だけで微笑する、いつものクルールらしくない表情。
 何かあるのだ。察して、アレーヌと隼人は口をつぐむ。隼人は空間操作で捕まえていたストーカーを手放した。
 手の痺れは治っていたのか。すぐさまストーカーが落ちていたナイフを拾う。
「こ、これで、お前のために、人を傷つけてまで……!」
「どこがあたしのためさ。あたしの大切な人傷つけて」
 クルールは冷めた目でストーカーを見る。
「あんたなんか、どっかいっちまえ」
「―――!」
 ストーカーは激昂した。
 おおおおと泣くように雄たけびを上げながら突進する。彼が捻じくれた愛情を注いだ金の瞳の天使に向かって。
「!」
 とっさにアレーヌと隼人が動こうとしたが、その瞬間のクルールの表情を見て彼らは動きを止めた。
 そして、
 クルールと、ストーカーの影が、重なって、

 血が

 クルールの口元に血が、つうと流れ出て

 懐をまともに、ナイフが

「クルール!」
 アレーヌが声を上げた。
「てめ、ストーカー!」
 隼人が激する。
 クルールの体が崩れ落ちる。彼女はそのまま、地面に倒れて動かなくなった。
 腹のあたり、血がどんどん溢れ出て
「クルール、クルール!」
 アレーヌがしゃがみこんで呼ぶ。うんともすんとも反応が返ってこない。刺された場所は――急所だ。
「どうしてくれんだ、おい!」
 隼人がストーカーの胸倉をつかみ上げる。
 ストーカーが、カランとナイフを取り落とした。ガタガタと震えていた。
 人殺し――
 この瞬間から、彼はその汚名を背負ったのだ。
 隼人が拳を固める。硬いそれは、まともにストーカーの横っ面を吹っ飛ばした。地面に倒れたストーカーをもう一度捕まえようと、隼人が能力を行使しようとしたときだった。
「―――?」
 体が、一瞬動かなくなった。
 意識がなぜか、下にいった。影。太陽が出ている限り、自分に必ずくっついている影。そこに何か――……
 横を見ると、怒りのまま投げナイフを振るおうとしていたアレーヌも、怪訝そうに己の影を見下ろしている。
 影から、誰かの声がした気がした。動くな、と。
 時が止まったようなその時間の中で、ストーカーだけがあたふたと逃げ出した。
 一生消えない汚名を背負って――

「クルール……?」
 アレーヌがぼんやりと、地面に倒れたまま動かないクルールを見下ろす。
「クルー……」
 しかし。
「変な演出ー」
 クルールの声は、まったく別方向から飛んできた。
 はっとアレーヌと隼人は振り向いた。
 喫茶「エピオテレス」の方角から、冥月とともにクルールが歩いてきた。
 そんな馬鹿な。
 そう思ってもう一度地面に倒れているクルールを見ると、ピンク色の髪に金の瞳をした娘が真っ黒の影となり、消え去るところだった。
 そう言えば、とアレーヌがほうけたようにつぶやく。
「あなたの能力……影を操るのでしたっけ……」
 見つめる先は冥月。黒尽くめの冥月はにやりと笑った。
「さ、クルール。これでやつは永遠に殺人犯の汚名を背負って恐怖に怯えて過ごすことになるだろうさ」
「そーなの?」
「そうだ。人間界では怖いことなんだぞ? これで気を済ませろ」
「……よく分かんないけど、分かった」
 そして本物のクルールは、アレーヌと隼人に向かって、にっこりと素直な笑顔を見せた。
「ありがと。うん、2人があたしが死んだと思って本気で怒ってくれたことが嬉しかった。……ありがと」
「当然ですわ……!」
 アレーヌがクルールに抱きついた。
 隼人は照れてそっぽを向き、首の後ろをかく。
 すべては狂言。敵を騙すのには味方から――
 別にアレーヌたちまで騙す必要はなかったのだが、どうせならこの方がリアリティがあると冥月が判断したのだった。

 ■■■ ■■■

 話を聞いた草間は頭を抱えた。
「だから、やりすぎだ……」
「どこがだ?」
 即座に冥月が問い返してくる。
「女に刃物を振り上げる下劣な男、あれで充分ですわ」
 アレーヌは素知らぬ顔。
「ま、終わってみりゃあ、なんか呆気なかったな」
 隼人はやりだらなそうだ。
 クルールはエピオテレスの看護のため店に帰った。そのため話はすべて、草間興信所に戻ってきたこの3人がしたのだ。
 草間は天井を仰いで、
「何か責任問題が発生したら、俺のせいなんだろうなあ……ああ……俺の人生どこで間違っちまったんだ……」
「兄さん、落ち着いて」
 零が混乱状態の兄の肩もみをする。
「まあ草間も、あんな気まぐれ天使と縁が出来てしまったことを恨むことだな」
 冥月は素っ気なく言った。
 お前が一番やりすぎなんだ、とは、草間は言わなかった。鉄拳が怖かったのではない。
 いつか自分もそのストーカーのような目に遭うかもしれないと思うと、目の前の女の怒りを買うのが怖くなったのだ。
 零が淹れてくれたコーヒーをやけになって一口。
「……俺はちょっとだけ、そのストーカー君に同情しよう」
 ちょっとだけ。ほんのちょっとだけ。人情として。
 ストーカーは憎むべき行為だが、それぐらい許されるだろう。恐ろしいほど何倍にも返されたのだから……


 ―FIN―


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【2778/黒・冥月/女/20歳/元暗殺者・現アルバイト探偵&用心棒】
【6813/アレーヌ・ルシフェル/女/17歳/サーカスの団員/退魔剣士【?】】
【7315/仁薙・隼人/男/25歳/傭兵】

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■         ライター通信          ■
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アレーヌ・ルシフェル様
お久しぶりです、こんにちは。笠城夢斗です。
このたびは無茶な依頼にご参加くださり、ありがとうございました!
お届けが遅くなり、まことに申し訳ございません。
アレーヌさんとクルールの間に友情が生まれているようです。嬉しく思います。
よろしければまた喫茶「エピオテレス」にご来店くださいね。