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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


草間兄妹の海水浴 2

 波音が聞こえる。
 鳳凰院美香が起きると思いっきり背伸びをした。近くに丸くなっている猫が居る。
「焔、おいでおいで」
「うにゃ〜お?」
 時間は5時頃。まだ、他の人は寝ているようだ。

 猫を連れて散歩をする。
 ここが異界だなんて信じられないと、美香は思った。
 今まで人を拒んでいたのに、馴染んできている自分に驚きを隠せない。
 彼女は、思い出して笑ってしまう。

 磯に人影が居る。目の良い美香は直ぐに分かった。義明と草間だった。
「ヒッィト!」
 草間が竿を思いっきり上げる。大きな鯛が釣れた。天然の鯛ってすごいよ。
 二人は魚釣りをしている。
「釣れます? って、凄い大きいですね」
「ああ、大量だ」
 草間は上機嫌で釣りを楽しんでいた。
 影斬の方は……。
「む、食いつきが悪い……」
 絶不調のようである。
「師匠、まけないで!」
「ああ、最善を尽くす」
「っふ。このサバイバル能力のある俺に勝とうなんて10年早い!」
 不敵な笑みをこぼす草間。

 草間は丸一日釣りをするようではないが、これと言ったイベントは考えてないらしい。 
「一日丸々あるから、美香の水泳練習もできるな」
 影斬が言う。
「え、あたしは、その……いいですよ」
「だめだめ」
 チッチと指を振るのは影斬。
「水泳も、上手くなれば楽しいものだ」
「うう」
 影斬の釣り竿がヒットする。
「よいしょ」
 つり上げると、3人は呆れた。

|Д゚)んがぐぐ
 かわうそ?が釣れた。
「このまま餌にしよう……」
|Д゚)ゑー!!

 影斬は思いっきり遠投する。丁度そこでカジキが小麦色をくわえて逃げた。

 そんな平和なふかぶち海水浴場の朝であった。

〈朝〉
 風宮駿が、双眼鏡で沖を眺めていた。
 先ほど影斬が小麦色を餌にカジキに食わせたところからである。まあ、カジキがこんな浅瀬にまで来ることがおかしいのだが……。
「危ない! 変身!」
 彼はタロットを取り出す。そして、ソニックライダーに変身し、海に飛び込んだ。持っているアルカナは『吊られた男』。其れを読み込み、かわうそ?をくわえたカジキを釣り上げた!
|Д゚) げぴー!
 とりあえず何か間違ってる気がするのは横に置いて、無事に小麦色を助けた風宮は、
「大丈夫ですか?」
|Д゚) たすかった
 彼にお礼を求めるつもりでもあったようだが……、少し風宮の中で想像してみた……。
(仮に、仮にです。かわうそ?が美少女になってお礼に来てくれてもです……。こいつはナマモノだから、絶対達の悪い悪戯でお礼ではなく仇で返すのではと、おもうのですよ? しかし、彼は結構真面目であるとは聞いているんだけど……。其れが本当なのかどうなのかなぁ……。やっぱり、ろくな事にならないの『ちょあー』……。ええ、ちょあー、? 何で ちょあー?)
|Д゚) ちょあー!
「うわあ! かわうそ?くん」
|Д゚) すっげー、考え、失礼
「いや、思考の中に入ってこないで下さいよ」
 そう、彼の思考タイム(0.5秒)に、割り込んできたのは小麦色なのだ。
|Д゚) たくもー
|Д゚) ホレ、これやる
 小麦色はどこから取り出したのか、紙切れ2枚を風宮に渡した。
「映画のチケット?」
|Д゚) うぃっす
|Д゚) 誰か誘え
「ありがとう」
 受け取る風宮は、其れをみる。
 全く濡れていないという謎は放っておき、『大正メイド浪漫』と書かれた映画チケットであった。
「誰を誘うべきなのかなぁ?」
 失恋王・風宮駿、未だ懲りないようである。

 一方、鳳凰院美香が寝ていた布団には内藤祐子が未だ眠っていた。
「いないと思ったら、こんな所に。起きなさい。おーい祐子ちゃん〜」
 溜息混じりの隠岐明日菜が彼女を起こす。
「うにゃ? むにゃ? 私は何処で、寝ていたんでしょうか!」
 ぼうっとしながらも、起きる祐子は、直ぐに自分の状況を把握していた。
「美香ちゃん所で寝ていたのよ」
「あうう」
 何か又やってしまったので、恥ずかしい。
「謝りましょうね」
「あい……」

 そして、朝食。
 静修院樟葉と明日菜、祐子は、美香に謝り、美香はおどおどして、天薙撫子の後ろに隠れてしまった。未だ人見知りする様だ。
「美香様」
 微笑んでいる撫子。
「あうう」

「人気者ですね」
 風宮がモズクをかき混ぜて食べている。
「ですねえ」
 宮小路皇騎が味付け海苔をまいてご飯を食べていた。
「姉ちゃん! って、義明さん草間さん! 放してくれって!!」
「いかん」
「だが、断る」
 草間と義明に押さえつけられているのは、鳳凰院紀嗣であった。
|Д゚) 女の子、人気なのねー
|Д゚) 野郎は洋梨?
「字が違うが良いの?」
 駿君は意外に冷静であった……。

 石神アリスはその和気藹々とした中を眺めているだけであったが、たまたま隣にいたシュライン・エマに訊ねた。
「自由行動と聞いていますが、何かあるのでしょうか?」
「うーん特に決まってないけど……。まあ、たぶん……美香ちゃんのことで色々あるでしょうね」
 微笑むシュライン。
 行きの時に、口ごもった美香を思い出していた。
「ふむ……」
 アリスは、納豆をかき混ぜて考えた。
「所で茜さんは?」
 イシュテナが気付く。
「たぶん寝てます」
 草間零が微笑んで答えた。
「ふあ、おはよー」
 寝ぼけ眼の長谷茜が起きてきた。浴衣の方は着崩れていない。
 これで全員揃ったことになりそうだ。


〈水泳練習?〉
「というわけで、美香ちゃん。昨日言おうとしていた事って何かしら?」
 と、微笑みながらシュラインは、お茶を差し出しながら、美香に話しかけていた。
 直ぐに思い出す美香は、真っ赤になって……、義明の後ろに隠れてしまう。
「あの、あたしは……その」
 義明が何か言おうとするのをシュラインが止める。
「水泳?」
 美香はこくりと頷く。
「しかし海は、難易度高いわよ?」
「一度プールというのがありましたが……。25mプールを台無しにしたのがここに1人いるから」
「俺かよ!」
 義明の言葉に、紀嗣が突っ込んだ。
「お前以外誰がいる」
 草間。
「そうですよ」
 アリス。
「ですわよね……」
 撫子も。
「……だめね」
 イシュテナも頷いていた。
 膝を突いて、どんよりとなる紀嗣が其処にいた。

 皇騎と茜は水泳練習ではなくのんびりデートをするようで、既に片づけに入っていた。
「あ、お昼はスイカ割りって言うのはどうでしょう?」
 特に反対意見はない。
 全部、美香の水泳練習にするのは美香が疲れるし、他のこともしたいだろう。
|Д゚) でもね
|Д゚) 今回、美香、中心だよねー
「いや、人気者はそう言うモノだ」
 かわうそ?のぼやきに皇騎がため息を吐いた。

 直ぐに水に浸かるのはよろしくないと、皆でビーチバレーのトス練習みたいな事になった。
「そうれ!」
「ほ!」
 シュラインは一寸悪戯心で、波打ち際にボール落とす。
「あう!」
 未だ美香は、波打ち際ぐらいまでは大丈夫のようだ。
「きゃ、つめたい!」
 しかし、いきなりの波に驚く美香に、微笑むシュライン。
「もう!」
 一寸頬を膨らましてしまう美香であった。
「若いって良いわー」
 ビーチパラソルの下で、年寄り臭いことを言うのは明日菜。
 其処隣で、もじもじしているのは祐子であった。
「どうしたの?」
「えっと、その」
 美香をみては、顔を赤らめてうつむいてしまう。
「ははーん。ああいうコが好きなんだぁ」
|Д゚) 百合?
 いきなり輪に入ってきた、小麦色を思いっきりスイカ割りの用の木刀でホームランする明日菜。すぐに彼女は、其れがなかったかのように振る舞ってから祐子にこう言った。
「後で一緒に行こうね」
 と。
「はい」
 未だうつむく祐子であった。

 デートは未だお預けであるが、義明と撫子も、美香の水泳などに付き合うことになっていた。
「楽しんで戴ければと思います」
 撫子は義明に言う。義明は無言で頷いていた。
 水のかけあいっこになったり、ちょっと入っていったりと徐々に、楽しむ美香を観て、美香と仲良くなりたいイシュテナやアリス、シュラインは、一寸怖かっただけだとかおもっていた。
「ほら、美香ちゃん。カニよ?」
 草間が釣っていたり、捕まえてきたりした魚介類を見せるシュライン。
「……っ!」
 興味津々な猫みたいに触って威嚇されると驚く、美香をみて、シュラインや大人達は微笑む。
 あまり、『自然の魚介類』を見ることのない美香にとっては新鮮であった。もちろん、都会暮らしの全員はそうなるだろう。ただ、イシュテナ自体は水の要素を持って生まれていたために海自体に慣れている。元気な笑顔をみているのをみて、紀嗣は、ぼうっとしてしまう。
「どうしました?」
「あのこ、あんな笑顔みせるんだなぁって……」
 風宮が聞いていたのをそのまま答えている紀嗣だった。
 実際風宮からすると、守備範囲外なのでどうでもいいし、個人の恋愛に相談に乗れるほど心の余裕は全くない。
「そうですか……」
 と、言うしかなかった。
 もっとも、手にはチケットが握られているわけだが。

 イシュテナは、海水が気持ちよく、空鯨と浮かんでいる。
「まだ、さきかな?」
 一寸人が多すぎて、少し離れることにしたのだ。
 もともと、同居人や仕事仲間のほとんどは人とか代わりを最低限に止めているので、それが伝染ったのかもしれない。本当は美香と一緒にこうして浮きたいのだが、まだそのレベルではなかったのだ。
「一朝一夕とはいかないよね」
「きゅい」
「でも」
 岸が遠い。
「……何処まで流されていたんだろう。わたし」
 と、気が付いたら沖まで流されて焦るイシュテナであった。
「おーい、流されすぎ!」
 義明と紀嗣がボートをこいでやってきていた。
「はう!」
 ――何処まで異界なのか、空鯨に訊かないと解らないけどね(義明)
 ――きゅい?(海の範囲なんて考えてもない界王様)

《皇騎と茜》
 一方、皇騎と茜は、スイカ割りの下準備で離れていた。
「こうして2人で歩くのってひさしぶりかも」
 茜は、スキップする。よほど嬉しいらしい。
「色々忙しくて、済みません」
「ううん、お仕事でしょ? でもさ」
「はい?」
「大学とか大丈夫?」
「……」
 優秀とか言っても所詮は人間。限界がある。茜も勿論人間だ。無理をしてはダメだと茜は言うのだ。
「はい、善処します」
 茜に負ける、皇騎君20歳
 スイカを調達し、其れを旅館の冷えた流水に浸からせてから、皆が遊ぶ場所にむかうのであった。


《樟葉と失恋王》
 さて、一方では………。磯の方で、風宮と樟葉が一緒にいた。
|Д゚) ……げっぷ
|Д゚) ……イカ( ゚Д゚)ウマー
 波に乗って、何かが浮かんでいるのは気にしないでおく。
「あの、樟葉さん!」
「なんでしょうか?」
「こ、これを! 受け取って下さい!」
 風宮は先ほど例のあれに貰ったチケットを樟葉に差し出した。
「あの、いきなり……、わたされ……」
 驚く樟葉だが、遠くから見ている、例のあれと目が合ってしまう。
|Д゚) ←例のあれ
「はい、わかりました」
 断らずに素直に受け取ることにした。
「いつ見に行きますか?」
「えっと、それは、夏の……」
 一応デートの誘いは、成功したようである。
 しかし、樟葉は知っている。かの有名な失恋王のことを……。

〈昼食〉
 草間と義明が釣り上げていた魚は、昼にシュラインと風宮が捌いて食事になっていた。
「義明君は釣れていないんですね」
「義明さん釣り苦手? もしかして」
「悔しい気分だ」
 皇騎に言われて、一寸拗ね気味の義明の顔だった。
「風宮さん凄いですね〜」
「あ、なれてますから」
 明日菜の陰に隠れている祐子が、感心して風宮の包丁捌きを見ていた。
 風宮と明日菜の目が合うと……。
「……」
 過去のことを思い出したのか、彼はどんよりと落ち込んでしまったのだ。
「あ、だいじょうぶですかぁ?」
「あっちゃー、こんな時に思い出さなくねぇ……」
「この人と何があったの?」
 イシュテナが小首をかしげた。
「まあ、ちょっと……ね」

 シーフードバーベキュー。山椒と醤油、おにぎりだけで簡単に戴く。祐子は、美香に近づこうとしても、一目散に逃げてしまう。其処を樟葉と明日菜がタックルのように止めるおかしな光景を見ながらだった。
「このこと仲良くしてくれない?」
 明日菜が苦笑して、祐子を引っ張ってくるのであった。

|Д゚) つーか、美香人気すげえ
 

〈スイカ割りの恐怖〉
「スイカ割り……、スイカ割り……」
 草間は何か思い出そうとしている……。
「皇騎! 其れは急遽中止だ!」
 草間が顔面蒼白になってとめるが……
「予定変更は出来ないわよ?」
 凄くやる気満々な、探偵の奥さんが1人。
「ああ! ここが血の海にいいい!」
 頭を抱える草間。
「?」
「??」
 イシュテナやアリス、風宮、明日菜、祐子、樟葉も顔を見合わせて首をかしげた。
 何故其処まで、草間が恐怖するのか理解できないのだ。

 まずは義明。彼ぐらいの超越者が外れることはない。其れだと詰まらないので、メンバーから除外されている。
「まあ、当然だろう」
 うんうん、頷く義明。遊びでも剣は振りたくないようだ。
「その代わりだ……これもっておけ」
 先ほどの木刀一降り。
「あ……そうか」
 思い出す。『シュラインにはスイカ割りをさせるな』と。とりあえず、被害者が出る前に受けろという事だ。
 まず、アリスがする。
「どうして、木刀があるの? しかも重たいし」
「私の道場(いえ)のやつだ。練習用なんだけどね」
 職業柄、美術品などを扱うアリス。スイカ割りに使う木刀の重さが日本刀に近いことに彼女は気付く。普通土産屋の木刀はそんなに重くない。手頃な棒きれもなかったのだ。
「何故持ってきているの?」
「それは……アレに聞いてくれ。必要だからと出発前に言われていたのだが……。先見でもあるだろうかね?」
 義明が『アレ』を指差す。
|Д゚) いやっほー!
|Д゚) ←スイカを嬉々としてレジャーシートにおいているアレ
「訊いたことが間違いでした……。アレがいればほとんどを御都合で片づけられます」
 アリスはため息を吐いた。
「そっちは重たいからこれがいいな」
 普通の少女に戻っているので、義明は軽めの木刀を渡して行う。
 あちこちで声が挙がる。何処にスイカがあるのか全く解らない。
「ここだ!」
 しかし木刀は空を切った。
「うう、くやしい」
 打ち込んだ所はスイカより1歩、横にずれていたのだ。惜しいモノである。
 今度は美香、彼女は力を使わず真剣に構える。しかし、やっぱり外した。
「あれ? 目が見えないと言うのは……不便ですね。しかし、声が紛らわしいです」
「スイカ割りとはそう言うモノですよ」
 イシュテナも外してしまった。スイカ割りというのは其れが楽しいともいう。
 そして、シュラインの番。
「こいつを盾?」
|Д゚) え!?
「そうだな」
「ですよね……」
 草間と義明、皇騎が呟いた。
 シュラインが、構えて進む。しかし彼女の耳の良さが仇をなすのだ。ノリノリな知らない一部の人が、声を上げるなか、そっちの方向に向いて、そのまま脳天を……。
「え?」
 そこで義明が素早く割り込み、木刀で受け止める。
「こっちじゃないです」
「……あらそう……」
 フラフラと新しい獲物を探すシュライン。義明がため息を吐く。
 何とか被害は食い止められたようだった。
 イシュテナと祐子が、義明の後ろで青ざめて、腰を抜かしていた。
「大丈夫か?」
 義明が手をさしのべて訊くと、2人はこくこく頷くだけだった。
「うわー!」
「こっちじゃないですよー! うわああ!」
|Д゚) ぎょへ!
 悲鳴と、とてもイヤな鈍い音がした。
「あ、ごめんなさい……」
 風宮が轟沈。皇騎も無意識に『剣』を出すが撃沈。最後は、アリスがかわうそ?でシュラインの一振りを防ぐかわうそ?の断末魔だ。
 頭(スイカ)割りにかわっていたのである。
「スイカ割り提案しちゃだめー!」
「すみません〜!」
 この後、皇騎が色々言われるのは当然の流れであった。


〈夕食〉
「はぁ。デートどころじゃなかったです」
 撫子がため息を吐いていた。
「まあ、たいしたトラブルはなくてよいことだ」
 義明は苦笑する。
「皇騎ちゃんの所為ですね」
 ぷんぷんと怒っている撫子。
 スイカ割りで、犠牲となった人の治療をしていたのだ。皇騎は反省として正座させられている。
 笑い事で済むのは幸いである。
「ああ! すっきりしたぁ!」
「でも、ストレス発散しつくしたシュラインさんの笑顔はすごいね」
 と、今回参加者は震えている。
|Д゚) 教訓と言うことで
「高い授業料だった……」
 
 皆、さっとお風呂に入り、昼間での疲れを取ってから夕食。皇騎、義明、明日菜と草間は、ドイツビールと刺身などで楽しくやっていた。
「海水浴どうでしたか?」
 撫子が、鳳凰院姉妹に尋ねた。
「はい、たのしかったです」
 紀嗣が元気に答える。
「はい……」
 祐子に抱きつかれて困っている美香が答える。
「はいはいくっつきすぎー」
「あれー!」
 明日菜が祐子を引っ張っていく。ホドホドにしろということだろう。

「影斬さん」
 アリスがたまたま1人になった義明に声をかける。
「? その名で呼ぶには、『あちら』のはなしか?」
「はい。私は美香さんをまもりたい。なので、全て話しました」
「……ふむ。勇気を持って告白することは、良いことだが……。美香は赦したようだね」
 影斬は真剣な顔つきになっている。しかし、優しい顔だった。
 その顔を見ただけで、アリスの奧にある『心』に何か灯った気もした。
「……そうか」
 影斬はそれ以上何も言わなかった。

 こうして、夏の休みは終わる。



「疲れてない?」
 シュラインが草間に訊ねる。
「一寸遊び疲れたかな?」
 草間が欠伸をする。
「なら、帰りはあたしが運転するわ」
「ああ……助かる。ありがとう」
 草間はそういって紫煙を燻らせた。


「きゅい」
 空鯨は姿を素の姿になり空を泳ぐ。
 目覚めるときはあるのかと。
 ただ、彼女は夢を見ている。
 人も夢を見る。
 この楽しい一時は?
 夢? 現?


END


■登場人物
【0086 シュライン・エマ 26 女 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【0328 天薙・撫子 18 女 大学生・巫女・天位覚醒者】
【0461 宮小路・皇騎 20 男 大学生・財閥御曹司】
【2922 隠岐・明日菜 26 女 何でも屋】
【2980 風宮・瞬 23 男 記憶喪失中 ソニックライダー(?)】
【3670 内藤・祐子 22 女 迷子の預言者】
【6040 静修院・樟葉 19 女 妖魔(上級妖魔合体)】
【7253 イシュテナ・リュネイル 16 女 オートマタ・ウォーリア】
【7348 石神・アリス 15 女 学生(裏社会の商人)】

■|Д゚)通信
|Д゚) みなー、参加さんくすー!

20080912
滝照直樹