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東郷大学奇譚・最終決戦! 夏祭りだよ全員集合!?(後編)
〜 全ての真実 〜
「……つまり、最初から全て学長の計画通りだった、と」
最上京佳(もがみ・きょうか)の指摘に、東郷十三郎(とうごう・じゅうざぶろう)は黙って頷いた。
最初の疑問は、簑田有郎(みのだ・ありお)と「無限迷宮」のことだった。
同時期に東郷大学に在籍していた者として、京佳も「無限迷宮」の設計者・暮田統悟(くれた・とうご)がどれほどの人物であるかはある程度知っているつもりである。
しかし、その統悟と、彼の最高傑作である「無限迷宮」をもってしても、はたして有郎をそう長い間閉じこめておけるものなのだろうか?
だが。
もし仮に、彼が「出てこられない」のではなく、「出てこない」だけだとすれば。
そう考えると、これまでは「事実」と思われていた全てのことが、一気にひっくり返る。
「手がつけられないので仕方なく閉じこめた」は、あくまで建前に過ぎず。
「悪党連合」の創設すらも、その「建前」のためのステップでしかない。
そして統悟の失踪も、「迷宮の危険度を再認識させ、迷宮の管理を徹底して、迷宮へ近づく人間を減らす」ことや、「迷宮のメンテナンス」が目的であったとすれば?
「なるほど、さすがはお京さんだ。どうやらすっかりバレてしまったらしい」
その声に、京佳は弾かれたように後ろを振り向いた。
困ったように笑う大男は――髭を蓄え、やや落ち着いた印象を受けるものの、あの暮田統悟に間違いない。
そうすると、隣にいるもう一人は――。
「ま、こんなにかかるんじゃ合格点はやれないけどな」
人の悪い笑みを浮かべ、冗談めかしてそう口にした男こそ、簑田有郎その人であった。
ことの真実は、ほぼ京佳の推理した通りだった。
「では……これまでずっと皆を騙し続けていたというのか?」
拳を固める京佳に、統悟がなだめるように言う。
「まあ、そういうことになってしまうかな。それは本当に悪かったと思っているよ」
けれども、有郎は悪びれることなくさらりとこう言ってのけた。
「全ては大事の前の小事だ。
『争いのない世界を創る』……その大義のために俺はこうして修行を積んできたんだからな。
今の俺なら、たった一人でも国盗りは可能だ。それだけの力は間違いなくついた」
「何が大義だ! 振り回された方の気持ちなど全く考えもせずに!」
その京佳の言葉に、なぜか「悪党連合」の面々までもが賛同する。
「そうだ! あの『強さと悪の美学を追求する』という崇高な目的が、ただの建前だったなんて!」
しかし、これにも有郎は一切動じず、あっさりと笑い飛ばした。
「悪の美学云々は勝手に後のやつがくっつけただけだろ?
それに、そもそも善悪と強い弱いは完全に別次元の話だ。力に善悪はねぇよ」
と。
そこへ現れたのは、諜報部の七野零二(しちの・れいじ)だった。
「学長……我ら諜報部、一度だけあなたに弓を引くことをお許し下さい」
「何の話だ?」
不思議そうな顔をする十三郎に、零二は淡々とこう告げる。
「この部屋に盗聴器を仕掛けさせていただきました。
一連の会話はすでに多くの学生の耳に入っています……反発は必至でしょう」
それきり、場を沈黙が支配する。
それを破ったのは――やはり、有郎だった。
「学長、グラウンドの使用許可を」
「何をするつもりだ?」
十三郎の問いに、有郎は相変わらずの調子でこう答える。
「要するに、学内には俺に用のあるやつがごまんといるんでしょう?
修行の成果を試すためにも、片っ端から相手になってやるってことですよ。
俺がいない間に後輩たちがどれだけやるようになったか、それも見たいですからね」
当然のごとく、その宣言も諜報部のネットワークを通じて学内全域に広まり――グラウンドは「最終決戦場」となったのだった。
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〜 闘神、降臨 〜
「ってぇーっ!!」
その合図で、ずらりと並んだ人型機動戦車の主砲が一斉に火を噴いた。
完全に銃刀法違反なのだが今さらそんなことを言っても仕方がない。なぜならここが東郷大学だから。
着弾。
轟音。
爆炎。
そして沈黙。
「ふはははははっ! 悪党連合創始者だかなんだか知らんが、所詮は骨董品よ!
我々『戦術兵器研究会』の長年の研究成果を活かした最新兵器の前には手も足も出まい!!」
もはやどっちが悪党だかわからない様子で勝ち誇る「戦術兵器研究会」の会長。
……だが。
「……で?」
煙が晴れた後には、無傷のままの有郎が立っていた。
「な……ひ、ひるむな! もう一発だ!!」
慌てて第二射を放つ戦車隊だが、さすがに慌てていたのか、今度はかなりのバラツキが出る。
その後に起こったことは――それを正確に視認できた者は少なかったが、その結果だけでも、-そうできなかった者たちをも驚愕させるには十分すぎた。
彼は、自分に向けて放たれたその砲弾を、流れるような動きと、目にも止まらぬ速さで、片っ端から勢いを殺さぬままに投げ返したのである。
その上、投げ返された砲弾は、全てその砲弾を発射した機動戦車の足下に着弾し。
煙が晴れた後には、人型機動戦車は一台残らず無様にひっくり返っていた。
「まだやんのか? やるってんなら、次は当てるぜ」
有郎のその一言で、「戦術兵器研究会」は算を乱して逃げ去っていった。
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〜 笑いの神は舞い降りるか 〜
グラウンドで勃発した騒ぎのため、ネタが延々と続いて徐々にグダグダ感の漂ってきていた盆踊り会場からは、潮が引くように一斉に人がいなくなり。
今では、この状況をさっくり無視して盆踊りを楽しむ数十名の学生を除いては、ほとんど人影は見あたらなくなっていた。
……まあ、これだけの大騒ぎを無視して意地でも盆踊りを強行する辺り、なかなか間違った方向に気合いが入った連中もいたものであるが、いずれにしても、すでに二人――守崎北斗(もりさき・ほくと)と三沢治紀(みさわ・はるき)――の方を見ている者は誰もいない。
「やっぱり最後までネタ披露できねぇ……」
その様子に、北斗はがっくりと肩を落とした。
「治紀ー、何がどう悪くていつも最後までネタ披露出来ねぇんだろ……」
平たく言ってしまうと、そもそもオチが用意されていないからである。
出だしだけは決めてあるものの、そこからは治紀の暴走気味のボケに北斗がアドリブでツッコミを入れていくだけという形式のため、双方が「オチに持っていこう」という意識を共有しなければ、いつになっても終わるはずがないのだ。
それなのに、北斗も治紀も変にノってしまって、いつまで経ってもオチに行こうとしないのだから、終わらないのも無理はない。
もちろんそれだけのテンションを共有できる観客も全くいないわけではないのだが、大多数の人は、いくら面白かったとしてもさすがに途中で飽きてしまう。
どんなにおいしいデザートであっても、小さな器で出てくるからこそありがたみもあるのであって、バケツいっぱい、まして風呂桶いっぱいのレベルで出てこられてはたまったものではないのに近い。
まして、治紀の微妙なボケを北斗の派手なツッコミでごまかしている現状ではなおのことである。
それなのに、北斗の辿り着いた結論は、それとは全然違っていた。
「もしやあれか! 煙玉だけじゃ、もうこの学園では掴みとしては弱すぎなのか!」
……とはいえ、まあそれもそれで間違いではない。
ここでは忍者や侍の類もそこまで珍しいものではないので、煙玉くらいだいたい何度かは見ているものなのである。
しかし、だからといってこういう解決策を選ぶのはどうなのか。
「ここはひとつ、パンドラの箱ならぬ講義棟の窓を開けて特殊効果発動といくか!」
今回は北斗自身は講義棟の方にはまだ立ち寄っていないが、どうせ「あの」前衛芸術部の展示などもあるのだろうから、何事も起こっていないとは考えにくい。
「そうと決めりゃ、さっそく観客のいる方へ向かわないとな!」
「はい! 第二幕の開始ですね!」
そんなことを言いつつ、二人はグラウンドの方へと向かったのであった。
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〜 不穏な動きがあちこちに 〜
石神アリス(いしがみ・ありす)がグラウンドに着いてみると、そこには思ったより大勢の人間が集まっていた。
人混みというのは、アリスにとってはもっとも「仕事」のしやすい環境である。
お互いがお互いにそこまで注意を払っていないので、多少様子がおかしいことがあっても気づかれることは少ない、というのも、もちろん理由の一つではある。
けれども、それ以上に重要なのは、人がたくさんいるということは、もちろんどういった人間かにもよるが、単純に考えれば「獲物」――つまり、「可愛い子」も当然多くいる可能性が高い、ということでもある。
もっとも、あまりにも混雑しすぎているためその中へ割って入るのは容易ではないが、これだけ人数がいればその外周を辿るだけでもそれなりにはヒットする。
そういった「可愛い子」数人に声をかけ、こちらを向いたところを「魔眼」で催眠状態にする。
ひとまずそれを繰り返しながら、アリスはグラウンドの外周を移動していた。
一方その頃。
この事態を「出し物」と割り切ることにした守崎啓斗(もりさき・けいと)も、やはりなんとなくではあるが、グラウンドの外周を歩いていた。
と。
「おお、やはり来ておったか!」
戦いが一段落した隙に、特等席にいた十三郎に見つかってしまった。
さすがに無視するわけにもいかず、そちらの方へ行ってみると、十三郎はちょうど「報道各部代表」に今回の経緯を語っていたところであった。
「学長、十数年前の『最後の依頼』というのは?」
「うむ。わしが最後に戦場に出た時に、戦友だった男から『闘神の像』を託されてな。
わしにならその声が聞こえるはずだと、そしてもし聞こえぬ時は、聞こえるものに託してくれと」
なるほど、どうやら今回の騒動の発端は東郷大学設立よりも前に遡るらしい。
せっかくなので、その話を聞いてみるのも悪くない、と啓斗は思った。
「それで、その声は?」
「いや、わしには聞こえはしなかった。
そこで、わしはいつかこの像を託せるものが現れることを願いつつ、像をずっと手元に置いておったのだ」
十三郎がただ者ではないのは、啓斗もすでに気づいている。
その彼にさえ聞こえなかった「闘神の像の声」を聞くことができるものが、もしいるとすれば。
「では……その像を託せた相手とは、やはり?」
「うむ、あそこにいる簑田だ。
あ奴が入学して二年目の秋に、突然校長室を訪ねてきてな。
校長室の奥にある闘神の像に呼ばれた、と言いきったのだ。
わしは誰にもそんな像があることなど話していなかったのに、な」
やはり、あの男か。
してみると、あのものすごい戦いぶりは、やはりその「闘神の像」の力なのだろうか?
「それでは、やはりあの力は……」
「うむ。あ奴は闘神の像に教えを受け、八年という歳月をかけてその全てをものにしたらしい」
北斗と治紀がグラウンドにたどり着いたのは、ちょうどその時だった。
「よしよし、十分人は集まってるな。
ここまできたら、最後はみんな巻き込んでナマモノ漫才&前衛芸術部のライブパフォーマンスだ……!」
誰にも気付かれぬまま、グラウンドに面した講義棟の窓を――外側から開ける。
次の瞬間。
中から窓いっぱいはあろうかという毛むくじゃらの太い腕が伸びてきて、あっという間に北斗を中へと引きずり込んでしまった。
後に残されたのは、開いたままの窓と、オロオロする治紀だけだった……。
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〜 今回もビックリドッキリ 〜
グラウンドでの「最終決戦」開始から、どれくらいがたっただろうか。
風紀委員会や悪党連合を筆頭に、空手部やコマンドサンボ部、介者剣術研究会などを中心とした戦闘系の団体や、魔法生物研究会やプリンス同好会などの「本来の目的とは違うにせよ、なぜかそれなりの戦闘能力を保持している団体」が次々と代表を立てて挑んだが、それでも有郎に傷一つ負わせることはできなかった。
「まだわかんねぇかな。
『戦おう』とか『勝とう』とか思ってるうちは、俺には絶対勝てないってよ」
グラウンドの真ん中で勝ち誇った笑みを浮かべながら、有郎ははっきりとこう言った。
「俺は違う。
わざわざ意識しなくても、勝手に『戦った』――『勝った』って結果が転がり込んでくる。
俺の目指すところは一つ……そしてそいつは少しだってぶれちゃいない」
彼がはっきりと指差した先は――天。
「闘神――つまり、戦いの神様の子供なんだよ、今の俺は」
「これが、ここの本気かよ……」
不城鋼(ふじょう・はがね)は、目の前で繰り広げられる戦いに半ば圧倒されていた。
もともとものすごい技術力を有していることにはうすうす感づいていたが、まさかこれほどまでとは。
「言っただろう。ここの学生たちは強いと」
確かに聞いたが、ここまですごいとはさすがに想定外だ。
そして、この想定外の連中を片っ端から一蹴している有郎という男。
戦い方がうまいというか何というか、うまく相手の力を受け流すなりあしらうなりして、それをことごとく逆用している。
その全くムダのない動きは、彼の言葉がただのハッタリではないことを物語っていた。
すでに学生側の戦力もほぼ出尽くし、「切り札」である鋼たちが出なくていいという展開にはまずならないだろう。
(あいつと戦うとなると……一体、どうしたらいいんだ?)
それと同じ頃。
啓斗の前には、予期せぬ人物――正確には、「予期せぬ幽霊」が現れていた。
「あ、啓斗さん! 大変なんです!」
普通に考えれば幽霊がこうして堂々と出てくること自体大変なのだが、今さらそんなことを言っても仕方がない。
まして、この幽霊――治紀とは、すでに啓斗も何度も顔を合わせているので、もはや珍しくも何ともない。
「治紀、お前まだこっちにいたのか?」
「ええまあ、そうなんですけど……って、それどころじゃないんです!
北斗さんが、講義棟の窓から出てきたでっかい腕に捕まってしまって!!」
治紀の言葉に、啓斗は思いっきりその場で硬直する。
なるほど、これは確かに二重、三重の意味で大変な事態だ。
啓斗の双子の弟、守崎北斗。
彼が災難に巻き込まれているのは大変なことだし、彼が騒動を引き起こすのも、いつものことではあるが大変と言えば大変だ。
そしてそれより何より大変なのは、あの「講義棟」が絡んでいることである。
何を隠そう、啓斗はここに来る直前まで、あの講義棟――というより、あの講義棟の中に発生した異空間の中にいたからである。
その上、その異空間の発生には、啓斗が持ち込んだ「魔法の炊飯器」も一役買っているのだから、そういう意味でも完全に他人事とすっとぼけるわけにもいかない。
「一体、何だってそんなことに?」
「それが、この際だからグラウンドで一暴れしてやろうと思ったみたいで、講義棟の窓を開けたらいきなり……!」
やはりたまたま巻き込まれたのではなく、自分で藪をつついて蛇を出したと言うことか。
そこまで考えて、啓斗はふとあることに気がついた。
「……で、その窓はどうした?」
近くの建物からただならぬ気配を感じて、アリスはそちらを振り向いた。
ところが、そこには開いたままの窓があるだけで、気配の主らしき姿はない。
「……窓?」
一旦窓から目を離して、その窓のある建物全体を見回してみる。
どこから見ても普通の――むしろ、この異常な大学には普通すぎるくらい普通の建物で、特に怪しいところはない。
それなのに――開け放たれたままの窓の奥に微かに見えるのは、どう考えても普通の建物の内部にあるような光景ではなかった。
(どうも、この建物の中の次元がどうにかなっているようですわね)
気配の主の正体も気になるが、そんなことよりここは一刻も早くこの建物の側を離れた方がいいだろう。
そう考えて、アリスは建物から遠ざかろうとしたが――「一刻も早く〜」というのは、大抵の場合「もう手遅れです」とほぼ同義だったりするのである。
「名状しがたき何か」が、サイズを無視して窓から飛び出してきたのは、その直後のことだった。
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〜 災い来たリてホラを吹く 〜
それは、まさしく惨劇と呼んでいい事態だった。
講義棟の窓から飛び出した「災い」は――その混沌とした、デタラメで、名状しがたき物体を、どのような意味においてもこれ以上正確に言い表せる言葉があるだろうか――物理法則やその他諸々の法則に真っ向からケンカを売るがごとく、軽々と宙を舞い、グラウンドの中央に降り立った。
その精神衛生上きわめてよろしくない姿と、身に纏った「瘴気」と呼べるほどに強烈な邪気、そしてその圧倒的な威圧感の前に、意識を失って倒れるものが続出した。
「…………!!」
アリスが、言葉を失い。
「な、何だこいつは!?」
鋼が、思わず数歩後ずさり。
「俺の見た時より、さらに……!?」
啓斗が、予想を上回る最悪の事態に愕然とする。
そして。
「げぇーっ! ……げ、げ、げ、げぇーっ!!」
「ぬままま間違いない、あれが、られが、らられるれば!」
あまりにも想像を絶するモノの襲来に、ついに「戦場演出部」の二人が倒れた。
「大丈夫か!?」
近くにいた啓斗と治紀が駆け寄ると、「驚き要員」が弱々しく笑った。
「ざ、残念だが俺はここまでだ……すまないが、後を頼む……」
「いや、後を頼むと言われても」
「……ノリでいいんだ……だいたい、俺らの言っていることはほとんど口から出任せだ……」
明かされてしまった衝撃の真実。
それにどう反応するか迷っているうちに、治紀がとんでもないことを言い出した。
「わかりました。あとは私と啓斗さんに任せて下さい!」
「待て、俺はまだ引き受けるとは一言も」
文句を言おうとした啓斗だが、その暇も与えず「驚き要員」の男が倒れてしまう。
「……ありがとう……これで……眠、れ……」
「おい、待て、俺はまだ引き受けるとは一言も!」
啓斗は懸命に倒れた男を揺さぶってみたが、男が目を覚ますことはなかった。
そして、「災い」の方はというと。
奇声を上げて、目の前でただ一人全く動じずにいた有郎に飛びかかってはみたものの。
「オラぁッ!」
有郎が慌てず騒がずカウンターで放ったキックが、まともに腹部に――その場所を腹部と呼んでいいのか、確信を持って言える人物は誰一人としていなかったが――直撃し。
何やら謎の塊のようなものを吐き出すと、そのまま倒れて塩の塊と化してしまった。
「とびげりくれて倒しただと!?」
驚く啓斗の横で、治紀が真剣な顔で唸る。
「間違いありませんね。あれこそ究極奥義・無念不動拳!」
「知っているのか?」
「ええ。心を無にすることでいかなる事象にも動じることなく、冷静に相手を倒す技です」
「なるほど……」
と、ついその説明に納得してしまってから。
啓斗はようやっと、自分がすっかり「驚き要員」になってしまっていたことに気がついた。
「いい感じですよ、啓斗さん。この調子でいきましょう!」
嬉しそうに親指を立てて見せた治紀に、啓斗は大きなため息をついたのだった。
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〜 化け物は誰だ? 獲物は誰だ? 〜
金剛寺要(こんごうじ・かなめ)と津久読奈狭霧(つくよみな・さぎり)が東郷大学のグラウンドにたどり着いたのは、ちょうど「災い」が倒され、辺りが少し静寂を取り戻した頃だった。
鋼の総番時代に、その参加の「四天王」として鋼を支えていた二人がここに駆けつけてきたのは、もちろん鋼から呼び出しを受けてのことであるが――鋼が二人に連絡したのは、彼が征子に会いに行くよりさらに前の話である。
よって、二人に今現在の状況などすぐには把握できるはずもなく。
先ほどの「災い」によって野次馬の大多数が気を失ったり、精神に大きなダメージを受けている様を見て、二人が戦慄したのも無理はないことである。
「しっかり! 一体何があった!」
ぐったりしている学生の一人を助け起こしながら、要が何があったかを尋ねようとする。
けれども、彼はうつろな表情で、こう繰り返すばかりであった。
「ばけもの……ばけ……もの、が……」
「思った以上に厄介なことになっているようですわね」
「ああ。鋼から協力を頼まれるなんて珍しいと思ったが、これなら頷ける」
実際より数段深刻な事態を想像し、仮想敵を「化け物」にしてしまった二人。
その二人の前に、先ほど「災い」が吐き出した謎の塊があり。
それが突然動き出し、あまつさえ、まるで孵化する直前の卵のようにヒビが入りだしたとなれば、二人がそれを「敵」と認識するのも、まあやむを得ないことであろう。
……が。
その塊を割って中から出てきたのは、実際には化け物ではなく。
謎の腕によって異空間に引き込まれたはずの北斗であった。
「……ふー、やっと出られた……」
辺りを見回し、自分が化け物の体内からも、異空間からも脱出できたことに気づいて胸をなで下ろす北斗。
だが、彼の災難はまだ終わってはいなかったのである。
「出たな、化け物!」
その声に、北斗は弾かれたように辺りを見回したが、どこにも化け物の姿などなく。
鋭い目つきでこちらを睨みつけているポニーテールの女性と、その後ろで様子を伺っている黒髪の女性――つまり、要と狭霧の姿があるだけだった。
「化け物って……俺?」
「他に誰がいる!」
要にそうきっぱりはっきり言い切られて、北斗は改めて自分の姿をよく見てみた。
どこから見ても――あの化け物を思わせる毒々しいカラーに全身が染め上げられており、中身が人間でも見た目は立派な化け物である。
「こんなワケのわからない化け物と鋼を戦わせられるか!
鋼が出るまでもない、ここで私が成敗してくれる!!」
「ちょ、待った、タイムタイム!!」
常人を遙かに超えた身のこなしで迫る要から、忍者修行で培われたこれまた超人的な身のこなしで逃げ回る北斗。
そんな二人の戦い、というより追いかけっこは、狭霧がグラウンド中央の状況に気づくまでの間、しばらく続けられたのだった。
その様子を、遠くから見つめていた者がいた。
アリスである。
先ほどの「災い」の襲来で、これまで目をつけていた相手の多くが失神したり、より大きな精神的ショックを受けたせいで催眠が解けたりし。
アリス自身も優れた美的感覚を持っていたことが逆に災いして、つい先ほどその精神的ダメージからようやく立ち直ったところであった。
(全く、大変な目に遭いましたけど……ひょっとしたら、これは運が向いてきたかも知れませんわね)
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〜 実況、解説、そして何? 〜
戦いが始まってから、どれくらい経っただろうか。
「相手の蹴り足を取って、そのままひねりつつ投げるとは!」
「間違いありません。あれこそ必殺・SSS!」
「知っているのか、治紀?」
「スーパー・ソニック・スクリュー、つまりは超高速ドラゴンスクリューのことです」
延々と続く戦いに合わせて、延々と啓斗と治紀の実況・解説も続けられていた。
とはいえ、それもさすがに長くなってきたせいか、徐々に治紀の出任せ解説のキレが悪くなってきている。
(さすがに、そろそろ潮時か?)
と、そんなことを啓斗が考え始めた時。
「……って、なんで治紀が兄貴とコンビ組んでんだよっ!」
背後から聞こえてきた声は、まぎれもなく北斗のものであった。
振り向いた啓斗の目に映ったのは、予想に違わず北斗の姿――だったが、その全身は見事に先ほどの「災い」カラーに染め上げられている。
「北斗、お前無事……じゃないなどう見ても!」
「間違いありませんね。これはまさにあの化け物と同じカラーリング!」
「知っているのか、って知ってて当たり前だな治紀!」
「ええ、どこからどう見ても先ほどの化け物と全く同じ――」
驚きついでについつい反射的に実況・解説のフォーマットに乗っかってしまう二人に、北斗のツッコミが炸裂する。
「だから、いちいち必殺技と同じフォーマットで実況・解説するなっての!」
……と、このやりとりから、どうやら治紀が何か掴んだらしい。
「これです!」
「何がだ?」
啓斗が尋ねると、治紀は自信満々でこう続けた。
「やっぱりツッコミが足りなかったんですよ!
出任せ解説というボケを投げっぱなしにして終わらせないで、ちゃんとツッコむ!
これでネタの面白さは格段にアップするはずです!」
なるほど、言われてみればそうかもしれない。
確かに治紀の解説はボケであるが、啓斗は驚くことによってそれを引き出すだけで、特にツッコんではいなかった。
「そうか、ならこうすれば問題ないな」
そう言いながら、手近な紙に「ツッコミ担当」と書き、啓斗の胸元辺りにぺたんと貼り付ける。
「えーと、兄貴?」
呆気にとられる北斗に、啓斗はきっぱりとこう言いはなった。
「見ての通りだ。どうせお前の仕業なんだろうから、最後までしっかり責任を取れ」
……もちろん、実際には講義棟の騒ぎの原因の一端は啓斗なのだが……。
それは言わない約束である。
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〜 いきなり場外乱闘! 〜
「災い」の襲来により、無数の気絶者を出していたグラウンド。
要と狭霧は、本来保険医である京佳と一緒にそれらの気絶者や怪我人の救護にあたっていた。
「突撃してくるところを、回避しつつ足を払った!?」
「間違いありませんね。これぞ秘技・水面偃月脚!」
「知っているのか治紀?」
「ええ。まるで湖面に映った月のように足を滑らせ、相手の足を払う技です」
「……って、ただの足払いじゃねぇかっ!!」
時折聞こえてくる実況・解説・ツッコミのおかげで、目を離していてもどうにか戦況は把握できる。
このフザけた解説っぷりには腹が立って仕方ないが、そこはじっと我慢して救護に専念する。
と。
「……痛い……痛いよぉ……」
要の目に、蹲ったまま呻いている黒髪の少女の姿が目に入った。
「どうした、大丈夫か?」
少女に駆け寄り、様子を見ようと彼女の前にかがみ込む。
と、不意にその少女が顔を上げた。
その金色の瞳と目が合い、そして――。
(うまくいきましたわ)
要に催眠が効いたのを確認して、アリスは邪悪な笑みを浮かべた。
真っ向から戦えば到底勝ち目のない相手でも、こうして油断を誘い、不意をつけば、これくらいは容易いことである。
(あとは、怪しまれないようしばらくこの子には救護に戻ってもらって、同じ手でもう一人を仕留めればいいだけですわね)
いろいろとひどい目にもあったが、それだけの収穫は得られそうだ。
そう考えて、アリスはさっそく次のステップを実行に移したのだが。
「……で、一体何を企んでいるのかしら?」
背後から狭霧にそう言われて、アリスは蹲ったまま固まってしまった。
アリスは知らなかったことだが、素直な性格の要とは異なり、狭霧は策謀家という点ではアリスをも上回る難物だったのである。
ともあれ、いつまでも固まっていても仕方がない。
アリスが少し顔を上げて一度口笛を吹くと、要がこちらに戻ってきた。
「……要?」
警戒したような声を出す狭霧。
これ以上、彼女に騒がれては騒ぎが大きくなりかねない。
「やって」
アリスが小さな声でそう呟くと――その命令に従い、要が狭霧に飛びかかった。
が。
「……いきなり何のつもりだ!?」
狭霧の前に立って要の攻撃を受け止めたのは、京佳だった。
「京佳さん、その子が!」
かくなる上は、多少騒ぎが大きくなるのはやむを得ない。
「足止めを!」
アリスの命令で、要がターゲットを京佳に移す。
その隙に、アリスは素早く京佳が来た方向――助けられたばかりの野次馬が大勢いる方へと向かった。
「待ちなさい!」
その彼女の後を、狭霧が追いかけてくる。
追いついてこなければ、それもよし。
そして、追いつかれても、それもよし。
なぜなら。
「捕まえましたわ。さあ、一体何をしたのか――」
「……それがどうかしましたの?」
捕まったところで、こうして目を合わせてしまえばいいだけなのだから。
「……何だアレ?」
グラウンドの片隅での異変に最初に気づいたのは、北斗であった。
「どうやら、向こうで誰かが戦っているらしいな」
啓斗の言葉に、治紀がいつもの調子でこう続ける。
「間違いありませんね。あれこそ学園祭名物・場外乱闘です」
そうなると、反射的に啓斗もノってしまうもので。
「知っているのか治紀?」
「ええ。戦いを見て血が騒ぐか何かして、便乗してケンカを始めてしまったのでしょう」
「……って、何冷静に解説してんだよっ!」
北斗のツッコミまでがきれいに入ったところで、十三郎が苛立たしげにこう叫んだ。
「このような誇り高き漢たちの戦いに水を差すとは言語道断! 行くぞ!!」
ちょうど、グラウンド内の戦いが膠着状態に陥っていたこともあり。
その一言で、一同なんだかよくわからないうちに止めに行くことになってしまったのであった。
「これは、さすがにまずいですわね」
十三郎らがこちらに向かってきていることに気づいて、アリスは計画の変更を迫られた。
救護された者の中からめぼしい者を見つけて催眠術をかけ、戦いのどさくさに彼女たちを連れてグラウンドを抜け出す作戦だったのだが、こうなった以上はまずあの学長を排除しなければならないようだ。
幸い、彼らの周りには野次馬の生き残りや報道各部の連中などもいる。
それはつまり、足止め要員には事欠かない、ということだ。
「このような時に、一体何をやっている!」
「それが、この娘が急に暴れ出して!」
十三郎の声に、防戦一方になりながらもどうにか応答する京佳。
そんな彼女たちの横をすり抜け、野次馬たちと――約一名幽霊がいるような気もするが、幽霊に彼女の能力が通じるかは不明なので見なかったことにする――ほんの一瞬ずつ、目を合わせていく。
一瞬なのである程度抵抗力のある相手には無意味だが、それでも半数くらいは術にかけられたことだろう。
「足止めを!」
アリスの声で、野次馬たちの半数ほどがいきなり十三郎や啓斗、北斗たちに襲いかかる。
予期せぬ出来事に一同が慌てているのを見て、アリスは作戦の成功を確信した。
「学長!」
アリスが叫ぶ。
「ぬう!」
反射的に、十三郎がアリスを見返す。
目が合う。
そして、十三郎は一瞬にして石と化した。
驚きのあまり、周囲の術にかかっていなかった者たちの動きが止まる。
アリスの完全な作戦勝ちであった。
……はずなのだが。
不意に、石化したはずの十三郎のあちこちにヒビが入り。
中から、眩い光が溢れ出してきた。
「……な……!?」
驚くアリスの目の前で、ヒビはどんどん広がり、光は明るさを増していき。
「ぬううううううぅぅぅぅぅん!!!!!!」
次の瞬間、石像を砕くようにして、眩い光とともに無傷の十三郎が甦ったのである。
「な……石化を自分自身の力で解除した!?」
「間違いありません! これこそ秘奥義・押忍集気法!」
「知っているのか治紀?」
「米国の上級打音士の間に伝わる技です! 本来は多くの人の思いを集めて使う技なのですが!」
「……って、日本語版と英語版の設定がごちゃ混ぜだろっ!」
そんなことがあるはずがない。
あるはずがないが、目の前で起こっているのは事実である。
さらに、アリスにとって悪夢のような展開はまだ続く。
「喝っ!!!!!」
辺りに十三郎の大声が響き渡ったかと思うと。
要が、狭霧が、そして彼女の術にかかっていたはずの野次馬や報道各部が、一斉に我に返った。
「今度はあっという間に全員が正気に!?」
「間違いありません! これこそ大喝!」
「知っているのか治紀?」
「戦国時代に主に使われた技で、本来は相手の強化を打ち消すのに使われたものです!」
「……って、そもそも何だ強化って!」
もはやここまでくるとデタラメもいいところである。
……が、よく考えてみれば、この大学の中にデタラメなものがどれだけあっただろう?
世の中には常識の通じない空間、常識の通じない連中がいる。
そのことを、アリスは改めて実感した。
(……かくなる上は、三十六計逃げるに如かず、ですわ!)
くるりときびすを返し、一目散にアリスはその場を逃げ出した。
「捨て置けえぇぇいっ!」
何人か追ってこようとした者もいたようであったが、なぜか十三郎がそれを制したおかげで、結局追っ手はかからなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜 決着 〜
長い戦いも、そしてグラウンド周辺での騒ぎも収まり。
静寂が、夜のグラウンドを包んでいた。
ライトが照らし出すその中心には、鋼と有郎の二人。
その沈黙を破って――鋼が、動いた。
「蛟竜雷閃脚」。
その渾身の一撃を、有郎は避けようともせず。
蹴り上げるような回し蹴りが、きれいに有郎の横っ面に入る。
それでも――かすかに身体が傾いだような気はしたが、有郎は倒れなかった。
見守る全ての人が、言葉を失う。
静寂を破ったのは、小さな笑い声。
有郎の押し殺すような笑みが、やがて高笑いへと変わる。
やがて、彼は笑うのをやめ――はっきりとこう言った。
「言ったよな。一発は一発だ」
「もういい、わかった、やめろっ!」
痛む身体を押して、京佳が飛び出そうとする。
だが、それよりも早く。
鋼の前に立った有郎が、弓を引くように大きく右手を後ろに引き――。
その拳が、空気を切り裂き、前へと突き出され。
一瞬、鋼の身体が微かに宙に浮き。
一拍遅れて、その場に崩れ落ちた。
『鋼っ!』
要が、狭霧が、京佳が、征子が。
そして、啓斗や、北斗や、治紀や、十三郎までもが、鋼に駆け寄る。
そんな一同の様子を、なぜか、有郎はきょとんとした様子で見つめて。
何かを合点したかのように、軽く手を打った。
「悪い。寸止めしたつもりだったんだが、衝撃波を計算に入れてなかった」
「……っててて……」
それとほぼ同時に、鋼がふらつきながら身体を起こす。
「俺も計算外だったよ……殺気が全然なかったから、きっと止めると思ってつい油断した」
「悪いな。表に出てきてから、『本気』を出したのは今のが初めてだったんでな」
苦笑する有郎に、一同はただただ驚き呆れるより他なかった。
それから、有郎はおもむろに十三郎の方に向き直った。
「……というわけで、学長。見ての通りです」
「見ての通り、とは?」
尋ねる十三郎に、有郎は軽く肩をすくめてみせた。
「これだけの力があれば天下も獲れると思ってましたが、実際は相手の心一つ折ることもできやしない。
救世主なんてのはすべからく争いをもたらすもので、それが最終的にいい結果に繋がるからこそ救世主として褒め称えられもすれど、今の俺じゃ争いをもたらすだけに終わりそうです」
「ふむ。では、つまり……」
「ええ」
それだけ言うと、有郎はそっと鋼に右手を差し伸べた。
「鋼、だったか。この勝負、お前の勝ちだ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜 そして 〜
「いやー、それにしても面白かったですねー」
全てが片づいた後で、満足そうに治紀がそう言った。
「あれ、グラウンド中に放送されて、結構な人が聞いてくれてたみたいですし。
本当、啓斗さんと北斗さんのおかげですよ」
「そうかよ。俺はさんざんだったけどな」
苦笑しながら、北斗はそう答え――そこで、あることに気がついた。
「……あれ? 治紀、お前なんか薄くなってねぇか?」
そう。
幽霊だから多少透けているのは当たり前、というかこれまでもそうだったのだが、それと比べても今回はやけに透明度が高い。
「ああ、そうかもしれませんねー」
いつもと変わらぬのほほんとした調子で、治紀が答えるには。
「今回の件で、だいぶ満足できましたし。
ひょっとしたら、そろそろ向こうに逝く時なのかもしれませんねー」
「え、お前、まさか!」
「はい。お二人には、特にいろいろお世話になりました」
そうこうしている間にも、どんどん治紀の姿が薄れていく。
「そうか……達者でな」
啓斗は黙って見送ることに決めたようだが、これから成仏する幽霊に「達者で」というのは、なんだか妙だ。
「兄貴、その言い方はどうかと……けど、なんて言ったらいいんだろうなぁ」
考えれば考えるほど、なかなかうまい言葉が見あたらない。
北斗が悩んでいるうちに、やがて治紀の姿はほとんど見えなくなり。
最後に一言、これだけ言い残して完全に姿を消した。
「このご恩は、一生忘れませんから……」
「……お前の一生は、一体いつからいつまでだよ……」
行き先を失った北斗のツッコミが、風に吹かれて消えていった。
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
2239 / 不城・鋼 / 男性 / 17 / 元総番(現在普通の高校生)
7634 / 金剛寺・要 / 女性 / 19 / 神聖都大学生
7633 / 津久読奈・狭霧 / 女性 / 19 / 某有名大学生
7348 / 石神・アリス / 女性 / 15 / 学生(裏社会の商人)
0554 / 守崎・啓斗 / 男性 / 17 / 高校生(忍)
0568 / 守崎・北斗 / 男性 / 17 / 高校生(忍)
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■ ライター通信 ■
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西東慶三です。
この度は私のゲームノベルにご参加下さいましてありがとうございました。
正真正銘最後ということで、暴れて下さったPCさんが多くて何よりです。
私の方もそれに応えるべく、どころかそれをも上回る勢いで暴れさせていただきました。
文字数とか展開とか埋め込んだ小ネタとか、そりゃもうあらゆる意味で全力全開です。
ついでにお待たせする期間まで全力全開になってしまって、その点につきましては本当に申し訳なく思っております。
ともあれ、これで本当に完全燃焼しました。思い残すところはもうありません。
皆様、最後の最後までおつきあいありがとうございました。
またどこかでお会いできることがあれば、その時はどうぞよろしくお願い致します。
・このノベルの構成について
このノベルは十もしくは十一のパートで構成されており、随所に分岐や個別パートがございますので、もしよろしければ他の方のノベルにも目を通してみていただけると幸いです。
・個別通信(守崎北斗様)
いつもご参加ありがとうございます。
ノベルの方、こんな感じでよろしかったでしょうか?
「カオスのフタを開ける」という思い切ったことをしていただきましたので、その分思い切ってカオスな災難に遭っていただく形となりましたが、いかがでしたでしょうか?
治紀については、まあ最後ですし、ということで。
もし何かありましたら、ご遠慮なくお知らせいただけると幸いです。
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