|
いかがわしいマジックショー
-----------------------------------------------------------------------------------------
サーカス団員達が住まうテント。その内部は、実に広い。
外から見れば、ほんの少しばかり大きなテントにしか見えないのに、
どうしてこうも広大な空間が内部に広がっているのか。
その辺りは企業秘密らしく、誰にも理解らない。
団員すらも知らない状況のようだ。
全てを把握しているのは、サーカスの団長のみ……とのこと。
何とも不思議なサーカステント、その内部地下にある団長の部屋。
やたらと広いそこは、宴会場も兼ねる場所だ。
ここは毎夜、どんちゃん騒ぎ。毎日が宴会である。
今日も今日とて、宴会場は大賑わい。
会場にいるのは、ほとんどが人外なる者だ。
もっと理解りやすく言うなれば、動物だらけ。まるで動物園である。
まぁ、団長が団長だけに、こうなるのも無理はない気がするが。
宴会場をパタパタと駆け回る少女が二人。紗枝と蓮花だ。
いつの間にやら女性(とういうかメス?)を口説きに、
どこかへ消えてしまった団長の代わりに、彼女らがおもてなしをしている。
まぁ、いつものことなのだが。
ショーが終わって疲れているのに……と、二人とも内心はキツそうだ。
おもてなしをすることを嫌だとか面倒だと思うことはない。
ここにいる人達は、全員が常連客だ。
いつもショーを見に来て盛り上げてくれる大切なお客様。
感謝の気持ちを込めて、おもてなしするのは当然のこと。
お酌をするだとか、膝枕をしてあげるだとか……その辺りまでは構わない。
だが、エスカレートしてくると、さすがに面倒なことになってくる。
紗枝も蓮花も、それを思うと、どこか笑顔が引きつってしまう。
「おーい、紗枝ちゃん! 蓮花ちゃん!」
(きた……)
呼び声にニコリと微笑み応じるものの、二人とも冷や汗。
二人を呼びつけたのは、団長の親友でもある人物だ。
サーカスを立ち上げる際、誰よりも協力してくれた人物。
無論、失礼などあってはならない。まさに神様のような存在である。
呼びつけて早々に、二人は御願いされた。
いや、御願いというより命令されたというべきか……。
ご所望なるは『妖艶なマジックショー』
要望から察することは容易い。今日も、随分と酔いが回っている御様子だ。
「う〜……」
「覚悟を決めるネ」
俯く紗枝の背中をポンと叩いて告げた蓮花。
そんなこと出来ませんと断ることが出来ないことが何とも、もどかしい。
気持ち的には、お断りしたいのだが、そうもいかない、この事情。
加えて、準備万端である、この状況。
次に欲しがるであろうポイントを予想していた団長、見事なりや。
紗枝も蓮花も、妖艶なマジックショーという要望に応じることができる技を身につけていた。
すぐさま応じることが出来てしまう、この状況……。
恥ずかしそうに俯く紗枝の横顔を見やり、蓮花はクスクスと笑った。
とりあえず余興としまして。セクシーな移転ショーをば。
恥ずかしそうにしながらも進行していく紗枝。
蓮花はコクリと頷き、生脱衣を始めた。
自身の身体から剥いだのは、とても可愛らしい桃色の下着。
間近で生脱衣が行われたことに、会場にいる者達の鼻息が一気に荒くなった。
要するに、今、蓮花は上も下も下着未装着な状態なわけだ。
客等の目が、蓮花にザクザクブスブスと刺さるのは当然と言えよう。
すっかり蓮花に釘付けな客等に苦笑を浮かべつつ、
蓮花から受け取った下着を、自分のベストのポケットへと突っ込んだ紗枝。
ふぅ、と小さく息を吐き落としてから、紗枝はカウントダウンを開始。
「スリー・ツー・ワン……」
ゼロ、と同時に、蓮花が勢い良く紗枝のベストを剥ぎ取った。
目にも留まらぬ速さで、黒いホットパンツもズルリと下げる。
マジックは大成功である。
紗枝のベストの下、白い肌を更に映やす桃色のブラジャーと、
ホットパンツの下、白い肌を更に映やす桃色のパンティ。
確かに、下着はベストのポケットの中に入ったのに。
いつの間に、装着したのだろう。というか、何故に装着出来たのだろう。
見事な転移ショーに感心する客達。
拍手喝采を浴びながら、紗枝と蓮花は黒いボックスの中へ入り、いつもの団員服へとお色直し。
身体のラインがハッキリとわかる、何ともセクシーな衣装である。
お色直しを終えた二人は、ピッタリと左右対称に息の合ったダンスを少々披露し、
二人揃って黒い椅子の上に登ってポーズを決める。
すっかり良い気分になっているのだろう。客等は、全員が全員、満足そうにキャッキャと笑っている。
決めたポーズを同時に崩し、二人は腕を交差して、ピラリと互いのスカートを捲り上げた。
露わになるのは、これまた可愛らしい赤いギンガムチェックのパンティだ。
その可愛らしいパンティには、何やらチャックのようなものがついている。
客等の視線を引き付けた二人は頷いて、互いのパンティの中へ手を突っ込んだ。
何が起きるのかと思いきや。
出てくる、出てくる、次から次へと色とりどりのハンカチが溢れ出てくるではないか。
セクシーな演出であることに、見た目が綺麗なことも相まって、客等は大喜び。
ハンカチを出し尽くした二人は、椅子の上で再びポーズを決めてペコリと一礼。
だが、これで終わりではない。最後に、もうひとつ。とっておきの大技があるのだ。
チラリと紗枝を見やった蓮花。
その視線は、覚悟は良いアルか? 的なものだ。
覚悟なんて出来ません。出来うることならば、今すぐここから逃げ出したいです。
俯き頬を赤く染め、泣きそうな表情を浮かべながらも頷いた紗枝。
所詮は叶わぬ望みですとも。従うしかないんですよね。わかってますとも……。
覚悟を決めた(というか諦めた)様子の紗枝を確認し、蓮花はニコニコと微笑む。
まるで鏡に映る姿のように、ピッタリと息の合った動き。
二人は、可愛らしいパンティの中にタマゴを一つ入れた。
何だ何だ、何が起こるんだ。どよめく会場。
客等の期待を背負い……フィナーレへ。
二人はクネクネと腰を揺らし、妖艶なダンスを踊る。
まるで骨のない軟体動物かのような動きだ。
彼女等の身体の柔らかさは、異常レベルかもしれない。
妖艶なダンスに魅了されてしまった客達。
ダンスが終わって、そこでようやく彼等は気付く。
先程まで、二人のパンティの中に入っていたはずのタマゴが見当たらない。
ぷっくりとした膨らみが、まるっきりなくなっているのだ。
これもまた転移ショーのようなものなのかと、あれこれ予想する客達。
どよめく会場の妙な雰囲気を一蹴するかのように。
二人は、自身のパンティにあるチャックを開けた。
すると……。
「ピヨ」
「ピヨ」
ひょっこりと出現したのは、可愛いヒヨコ。
玩具ではない。本物のヒヨコだ。
パンティから飛び出し、ちょこちょこと歩きながら鳴く二匹のヒヨコを目の当たりにして、
客等は一瞬沈黙したが、すぐさま我に返って大喜び。
熱気ムンムン最高潮の中、マジックショーは終演。
紗枝はクルリと後ろを向き、自身のパンティをズリ下ろして、垂れ幕付きのTバックを披露。
垂れ幕に記されているのは、感謝の言葉。心を込めて。
― ありがとうございました(はーと) ―
宴会が終わり、後片付けをしている最中、
紗枝が何度も溜息を落とし、蓮花がそれを笑うのも、またいつもの光景。
「いい加減、慣れるべきだと思うネ」
「無理よ〜……。もう嫌……。普通のショーがしたい……」
「普通? アハハハ! 今更何を寝ぼけたこと言ってるネ」
「……そうなんだけどね」
-----------------------------------------------------------------------------------------
■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■
6788 / 柴樹・紗枝 / ♀ / 17歳 / 猛獣使い&奇術師(?)
7317 / 桃・蓮花 / ♀ / 17歳 / サーカスの団員・元最新型霊鬼兵
シチュエーションノベル発注ありがとうございます。
お久しぶりで御座います!またお会いできて嬉しいです^^
不束者ですが、これからも宜しくお願い致します。
発注、ありがとうございました^^
-----------------------------------------------------------------------------------------
櫻井かのと (Kanoto Sakurai)
-----------------------------------------------------------------------------------------
|
|
|