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<東京怪談・PCゲームノベル>


 魔銃 JH-03

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 // 魔銃 JH-03(まじゅう)
 // 製作難易度:B(難 S・A・B・C・D 易)
 // 作り方と概要:
 // 特殊な接着剤を使ってパーツを組む。
 // 銃口から放たれるのは、着属で宿した魔素。
 // むやみやたらに発砲しないこと。

 何度か見せたことはあるけど。
 魔銃ってのは、これだな。
 中には、もう持ってる生徒もいるだろ。
 ただ、それは古いタイプだからな。作り直し。
 まぁ、作るのは簡単だ。すぐに出来ると思う。
 全員が完成したら中庭に移動して、試し撃ちするぞ〜。
 早く出来た生徒は、そのまま待機してること。
 間違っても、ここで引き金は引くなよ、頼むから。
 じゃ、開始。出来たら、俺のとこに持っておいで。
 ちゃんと出来てなければ、やり直しだぞ〜。

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「魔銃なー。めんどくせーんだよなー。組み立てー」
「こら、海斗。くっちゃべる暇あるなら手ぇ動かせ」
「動かしてるってー。すっげー動かしてるってー」
「どこがだよ。まったく……」
 ブツブツと文句を言うばかりで作業が進んでいない海斗を叱った藤二。
 だが、叱ったところで無意味。海斗は、面倒くさそうにグダグダ作業を続行。
 魔銃の組み立てには、特殊な接着剤を用いる。
 藤二が作ったものらしく、これもまた魔道具の一種。
 魔道具の組み立て時にしか接着効果を発揮しない代物。
 組み立て自体は簡単だ。
 よほどの不器用さんじゃない限り、すぐに出来るはず。
 即ち、海斗は……よほどの不器用さんということになる。
 次々と組み立てを終えていくクラスメート達。
 彼らを横目に、霊祠も一生懸命組み立てている。
 組み立てている……のだが。
(魔銃〜。海斗くんがいつも使ってる、あれですねぃ)
 海斗がハント時に使用しているのを何度か見ている。
 霊祠にとって魔銃は、カッコいいアイテムだ。
 良いですねぃ。あれ、僕も欲しいなぁと思っていたのです。
 カッコいいですし、便利そうですし。むふふ……早く使ってみたいです。
 組み立てながら、霊祠は不敵な笑みを浮かべていた。
 笑むだけに留まらず「ムフフ……」と妖しい声も漏れていた。
 無意識のうちに発していたようで本人は気付いていないようだったけれど。
 妖しい笑い声を耳にして、霊祠の前後左右の席に座るクラスメートは、苦笑を浮かべた。
 何だろう。この……イヤ〜な予感……。
 うん。残念なことに、その予感は、見事に的中するのだ。

 *
 *
 *

 不器用よりかは器用なほう。
 霊祠は、魔銃の組み立てを難なく終えた。
 出来たてホヤホヤの魔銃を手に、霊祠は満面の笑み。
 嬉しくてたまらない、ワクワクしてどうしようもない。
 そんな気持ちが、ザブンザブンと溢れているかのよう。
 魔銃が完成した後は、中庭にて試し撃ち。出来立ての魔銃で遊ぶ。
「えー。組み立て前にも説明したけど、魔銃に装填するのは魔力だ」
 でもって、銃口からは銃弾じゃなく、それぞれの魔法スキルが放たれる。
 引き金を引く時にな、イメージすることで放出パターンを変えることが出来るぞ。
 例えば……。優しい風を思い描きながら俺が引き金を引くと……。
 ほい。こんな感じで、ふわっとした微風が出る。
 逆に、激しい風を思い描きながら俺が引き金を引くと……。
「きゃー!」
「うおおおおお!」
 ほい。こんな感じで、突風が出るわけだ。
「先生の馬鹿! こっち向けて打たないでよっ」
「そうだよ! 危ないだろうがっ」
 はっはっはっ。まぁ、そんな感じで。
 それぞれが宿した魔素によって、色んなパターンが出来るぞ。
 その辺りは、使いながら自分で考えていくこと。何でもやってみないことにはな。
 んじゃあ、試し撃ちってことで。ちょっとしたミニゲームをしようか。
 ルールは、ドッジボールっぽい感じで。1対1でいこう。
 この真ん中のラインを超えての発砲は反則な。
 どっちかにヒットしたら終了で、次のペアな。
 まぁ、ゲームだから。魔力を込めすぎないように、適度に抑えろよ。
 扱いが難しいから、下手すりゃ暴発して大変なことになるぞ。ははは。
(ハハハって……)
 生徒全員が全員、同じ思いを抱いて苦笑を浮かべた。
 まぁ、授業の一環だし、勝負となればマジにならずにはいられない。
 負けず嫌いでお祭り事が大好きな生徒が多い、Aクラスならではの展開。
 適当に二人ずつペアになった生徒は順番にコート横に整列し、
 それぞれが出来たてホヤホヤの魔銃を構えた。
 とっぱじめから霊祠の出番。ペアを組んだのは海斗。
 一緒に組もうぜーと言われ、断る理由もないのでOKした。
 コートに入り、互いに一礼。よろしく御願いします。
 藤二がピッと笛を吹いて、試合開始。
 先手を打ったのは海斗。持ち前の身軽さを生かし、
 ちょこまかと動き回りながら、的確な発砲を繰り返す。
 魔銃初体験の霊祠が相手ということもあって、手加減済み。
 最初は優しく、徐々に本気で相手をする。そんなスタンス。
 パタパタと走り回って海斗が放つ炎を避けていく霊祠。
 相手が本気じゃないこともあって、余裕の表情。
(ふふふ〜……。銃、触るの久しぶりなのです)
 危ないからって、持たせてもらえないですからねぇ。
 まぁ、確かに "アレ" は怖かったですけども。心配もかけましたし。
 あの時の傷は、今も残ってます。背中にドーンと残ってますです。
 でも、怖い思いをしたからって、もう触りたくないとは思わなかったのです。
 逆です、逆。自在に操れるようになりたいって思ったのです。
 本当に久しぶりですけども、たぶん大丈夫です。
 海斗くんが使ってるの何度も見てますし。
 普通の銃と使い方は一緒なわけですし。
 要するに、こうやって引き金を引けば良いだけで―
「!!」
「あれ」
「ちょ、うぉぅぁあああああ!」
「あれ〜?」
 引き金を引いた瞬間、銃口から突風が放たれた。
 いや、もう突風ってレベルじゃない。嵐だ、嵐。
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」
 一瞬で酷い状況になってしまった中庭。
 グルグルと渦を描きながら回り、高く高く昇っていく風。
 竜巻のようなそれに巻き込まれ、クレスメート達が宙を舞う。
 それを見上げながら、霊祠はテヘヘと笑った。
 失敗してしまいました。制御、難しいですねぇ。
 えぇと……。これ、消すにはどうすれば―
「あ」
 クルリと、銃口を自分の顔へと向けてしまった霊祠。
 当然、顔面に猛烈な風を受けることになる。
「あぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜」
 間抜けた悲鳴を上げながら、空高く舞い上がっていく霊祠。
 魔銃は霊祠の手を離れ、風を放ちながら、そこらじゅうを飛び回る。

 大騒ぎの中庭。
 宙を舞う生徒達を見上げながら藤二は笑う。
 事前に風の結界を張っていたがゆえ、藤二は巻き添えを食らっていない。
 まるで漫画のようにグルングルンと目を回している生徒。
 この騒動を引き起こした犯人である霊祠も、旋回を繰り返している。
 魔銃に装填されるのは、所有者の魔力そのもの。
 要するに、このまま放っておけば、
 いつかは霊祠の魔力が底をついて、風も止む。
 すぐにでも助けるべき? まぁ、確かにそうかもしれないけれど。
 ただの風だ。鋭利でも何でもない。
 少々乱暴ではあるけれど、空中散歩しているようなもの。
 逆に、いい機会とも取れる。この風から、いかにして抜け出すか。
 思わぬところで良い体験が出来ることになったじゃないか。
 藤二はクスクス笑いながら、書類に何かを書き留めた。
 宙を舞う、生徒の悲鳴を聞きながら。
 初発で、この威力か……。ん〜……。
 確かに制御は難しいけど、ここまで暴発するもんかなぁ。
 一気に大量の魔力を装填した、装填できたってことにもなるわけだしな。
 う〜む。これは、もしかすると……。
「せぇんせぇぇぇぇ〜。助けてよぉぉぉぉぉぉ」
「目が……目が回るぁぁあああああ……」

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 ■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

 7086 / 千石・霊祠 /13歳 / 中学生
 NPC / 海斗 / 19歳 / HAL:生徒
 NPC / 藤二 / 28歳 / HAL:教師

 シナリオ参加、ありがとうございます。
 アイテム 【魔銃 JH-03】が追加されています。
 不束者ですが、是非また宜しくお願い致します。
 参加、ありがとうございました^^
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 櫻井かのと (Kanoto Sakurai)
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