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<PCシチュエーションノベル(グループ3)>


+ 激闘・キャットファイト! +


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 明日ミネルバとその従妹と一緒にキャットファイトの取材に行くの!
 時間が合えばSHIZUKUも一緒に行きましょうよ!

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 それは昨日ルナちゃんから入ったメール。
 あたしは自分の携帯をパタンっと音鳴らしながら閉じる。このメールを貰った時はキャットファイトってなんだろうと思いつつ丁度時間も空いてたから即OKの返事をした。でも後でネットできちんと調べてみたらキャットファイトって、ほら、ちょっとお色気むんむんな格闘技でしょ。ポルノ目的で行われているところもあるみたいだし……し、知らなかった事とは言え簡単に返事しすぎちゃった!
 ミネルバさんが取材するっていうんだからちゃんとした団体が行っているところだろうけど、ホント一体どんな試合が見れちゃうんだろう。なんだか期待半分、ドキドキ半分だわ!


 やがて一台の黒い車が待ち合わせ場所である此処、神聖都学園の校門前に止まる。
 ミネルバさんのドイツ製の車、だったかな。日本製とは違い右側になる助手席にはルナちゃんが乗っていて窓を開いてあたしに片手を上げた。


「SHIZUKUお待たせ! さあ早く後ろに乗ってちょうだい!」
「こんにちは、ルナちゃん。後ろ後ろ、っと。あ、」
「その子が昨日言ってたミネルバの従姉よ。名前は明姫 リサ(あけひめ りさ)」
「貴方がSHIZUKUちゃんね。初めまして、今日はよろしくね」
「こちらこそよろしくお願いしま、……」


 後部座席の扉を開いてくれた長髪の女性が優しげな笑みをあたしに向ける。車に乗り込みながら挨拶をしようと彼女に視線を向けた瞬間、あたしは目が点になった。
 何にって、胸! バスト! 豊満なんてもんじゃないわ! ぼんきゅっぼんどころじゃなくて、ばーんっていう効果音が似合いそうなくらいの巨乳!
 格好もライダースーツに素肌という露出度の高さ。
 ルナちゃんといいこの人といい……集まってくる人達ってなんて、こう、おおらかっていうか、目のやり場に困る人達なの!?


 あたしの動揺が伝わったのか巨乳の持ち主は胸元に視線を下ろす。
 そして綺麗に切り揃えられた爪を持つ人差し指をやんわり唇に当て更に衝撃ある一言を吐いた。


「ああ、これ118のOよ」



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 ミネルバさんによれば主催団体はその筋じゃ大手、らしい。
 そう説明されても初心者なあたしにはふーん、としか返せなかったんだけれど、しっかりした団体がやってるなら面白いものがみれそうなんて期待は膨らんだ。
 会場は400人入るかどうかという程度の小さな会場。あたし達の席はリングから近すぎず遠すぎず会場の中ごろに当たる。
 周りを見渡せば予想通りと言うかなんというか、男性観客ばっかり。女性もたまに見かけるけれど流石に外国人はいない。むしろあたし達が注目されている気がしないでもないんだけどね。


「あまり近過ぎると汗とか唾とか飛んでくるから丁度いいわね」
「はい、飲み物買ってきたわよ。ミネルバはコーヒーでいいんだったわよね。で、SHIZUKUはアイスレモンティー」
「ルナちゃん有難うー!」
「そろそろ始まるみたいよ。ほら端の方のライトが消えたでしょ」


 アイスレモンティーが入ったカップを受取ればリサちゃん――車内でそう呼ぶ許可は貰った――が本部と思われる場所を指差す。
 その言葉のすぐ後選手入場が始まった。
 わぁああ!! と沸き立つ会場。中には立ち上がり叫ぶ人も居てびっくりしちゃったわ。やたら光が飛び交うと思えばフラッシュの光だった。ミネルバちゃんに聞いたところ動画撮影が駄目だけど写真撮影は許可されているとのこと。デジカメが主流になったと思っていたけれどやっぱりフラッシュを使う人も多いんだなぁなんてちょっと違うところに感心してみたり。


 リングに上がり紹介された人は意外にも……言ったら失礼だけど可愛い女性だった。対戦者なんてとってもグラマディスなお姉さん。プロレスにも近い競技だって聞いていたから骨太の男前な女性を想像していたからこれはちょっと、いや本当に意外。まあでも水着姿に近いユニフォームでお色気いっぱいなのは外せないみたい。
 そのためか周囲の男性の目付きが凄いの。
 卑俗な興味に溢れたギラギラって言えば分かりやすいかな。鼻息荒くしてる人もいるし。
 あ、試合が始まった。


「へえ、お色気だけで持ってる競技かと思ったのに案外しっかりした技術を持ってるのね」
「確かにリサの言うとおり。赤の方の筋はとても良い感じ、予想以上だわ」
「青の方も負けてないと思うけどなー」
「女子プロレスの原型ってキャットファイトに近いものだったらしいし、それを考えると中々のものよね」


 ミネルバさんが薀蓄を語る。
 ルナちゃんが彼女に頼まれた資料用の写真を撮り、リサちゃんは腕を組みその上に大きな胸を乗せながら楽しげに観戦している。あたしはと言えば初めて見るキャットファイトにごくりと唾を飲んだ。だってだって、試合が進むにつれて服が脱げそうになって何かがポロリとしちゃいそうな雰囲気なんだもの! 男だとか女だとか関係なく目がいっちゃうよー!


 やがて試合終了の音が鳴って休憩が入る。異様な熱気に包まれていた会場も落ち着きを取り戻し観客達は各々自由に席を離れる。あたし達もトイレ休憩も兼ねて席を後にした。
 興奮のままにいつの間にか飲み干していたカップを会場の片隅のドリンクコーナーに設置してあったゴミ箱に捨てる。
 他の三人は自動販売機から新しくコーヒーを買っていた。


「中々面白い試合じゃない。あたしもやってみたいな」
「ルナ、嘘でしょう」
「嘘じゃないわ! だって皆楽しそうじゃない!」
「観客はルナちゃんとは違う意味で楽しいんだと思うよ……」
「そうね。多分、角度的な問題ってやつかしら」
「でも思い切り打ち合うような試合って楽しいのよ!」


 ルナちゃんが試合の熱にあてられたのか興奮気味に語る。
 あたし達はてきとうに受け答えしていたんだけど、それを聞き付けた関係者の男が声を掛けてきた。なんでも飛び入りで参加しませんか、っていう話。地獄耳だわ。


「良いじゃない、出ましょうよ。ね、ね!」
「なんでそんなにノリノリなの。いい、今日私達は取材で来てるのよ?」
「ミネルバってばどうしてそう頭が固いの。子供の頃よく二人でプロレスごっこしたじゃない」
「プロレスとキャットファイトは違うわよ。大体他の二人だってそんなに乗り気じゃないでしょ」
「えー、そんなことないわよ。ね、今回だけだから、お願い!」


 ルナちゃんが両手を合わせて強請る。関係者の男も「ギャラは払うから」「どうしても嫌なら覆面を被ってもいいから」なーんてあたし達を言葉巧みに誘う。
 やがて折れるようにミネルバさんとリサちゃんが肩を竦める。最終的にあたしの返事待ちになっちゃって、一同の視線が集まった。
 ふと男があたしの顔を凝視する。
 そうあたしが即答出来ないのには別の理由があって。


「あれ、君ってもしかしてSHIZU……」
「ああああー! 覆面してもいいなら! 顔と名前を出さないっていうなら!」


 大声を出し両手を振りながら名を呼ばれることを回避する。
 ルナちゃんはその返事で更に乗り気になっちゃって最終的には男が案内する控え室まであたし達の背中を押す始末。
 こうなったら出来る限り素性は明かさないまま楽しんでやるんだから!



■■■■■



 うん、先の試合で分かっていた。
 ちゃんと理解はしていたのよ。ユニフォームが水着だって言う事くらいは!


「赤コーナー、Jカップ美女二人組! ミネルバ、アーンド、ルナー!」
「対する青コーナー、Oカップという爆乳美女リサ、アーンド、美少女女子高生シズー! ちなみに彼女のバストサイズは秘密だー!」


 ミネルバさんとルナちゃん、リサちゃんとあたしのタッグマッチ。
 飛び入りの四人を観客達は快く受け止めてくれる。むしろビキニ姿の外国人美女に爆乳美女は歓迎に値するだろう。まああたしも今はスクール水着にマスクを被っているけど中身は美少女女子高校生だし! うーん、でもやっぱり注目は他の三人に集まっちゃうわよね。当然といえば当然なんだけど同じ女としては少し羨ましい……。
 鐘の音が鳴り響き、あたし達の名を呼ぶ皆の声が聞こえた。


「ふふ、やるからには手加減無しで行くわよー!」
「リサは中国武術の達人よ。油断出来ないわ」
「ミネルバもルナもお手柔らかに……って言ってももう無理かしら?」
「さ、流石にあたしにまで本気で技かけてこないよね!?」
「さあ、いくわよー!」


 ルナちゃんがあたし達に向けて拳を繰り出す。リサちゃんがあたしの肩を軽く押し、自分も横に避けた。その隙にミネルバさんがリサちゃんの方に駆け出し柔らかな二の腕を掴む。そしてそのまま引き倒して関節技を決めようと足を絡めた。


 むっちむちの美女達の絡みに会場内の熱が上がる。
 中にはリングぎりぎりまで近付いて際どい角度から写真撮影してる観客もいるくらい。皆の視線はぽよんぽよんどころかばいんばいんと上下左右に揺れる柔らかな胸に注がれる。
 ルナちゃんもミネルバさんもあたしに対しては手加減してくれているみたいだけど、リサちゃんには容赦が無い。何より息の合っている。
 そんな幼馴染チームに比べて、一般人なあたしの攻撃が非常に弱いためリサちゃんが苦戦を強いられている。助けを出そうとするもどう入っていいかわからないのが現状だ。


「っ、ん! ミネルバ、ッ……本気、出して、るでしょ!?」
「やるからには全力でやらなきゃね」
「じゃあこっちも全力で……!」
「ッ!? ……ここから私の技を外すなんてやるじゃない」


 ミネルバさんが愉しげに唇を歪ませる。リサちゃんもそれに反応して挑発するように手招いた。


「さあ、シズ! 掛かっていらっしゃい!」
「ああ、もう当たって砕けろよー!!」


 開き直った為か次第にあたしとリサちゃんも息が合って来る。ルナちゃん達みたいに凄い技が使えるとかじゃないけれど相手の気を逸らしてみたりとかからかってみたりとかだけど、それでもリサちゃんが二人に攻撃する隙を与えることは出来るようになった。
 肌を擦る拳。
 絡み付く肉。
 面積の少ない布地はずれる度に興奮を呼ぶ――なんてどこの小説かしら。
 でも本当にずれるから!
 特に胸元!
 三人とも巨乳なんだからそんなに大きく腕を振り回したりしたらずれちゃうからー!


 観客達の興奮の声から察するに本格的な攻防戦も皆に認められたみたい。
 鐘が鳴るまであと少し。
 あたしは開いていた手を握り込む。三人に比べたらへなちょこパンチだけど、出来るってところを見せてやるために。
 決意して繰り出すパンチ、勢いはこの試合の中で一番のもので唯一ルナちゃんに当たったものだった。



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「いやー素晴らしいプレイだったよ! ねえ君達折角だから入団しない?」


 あたし達が着替え終えた後の控え室で飛び入りを誘ってきた男が息巻く。
 どうやら観客達から良い反応が貰えたらしく出来れば次も、ということらしい。


「お断りしますわ」
「楽しかったけど私も無理ね」
「あたしも!」
「あたしは別に入っても良いかな〜」
「「「ルナ(ちゃん)!?」」」


 あたし達が断る中ルナちゃんだけは反応が違った。
 確かに一番出たがっていたけどまさか入団まで受けるなんて思わなかった。肝心の彼女は心配気にみるあたし達の視線なんて気にするそぶりすらない。持ち前の豪快さで入団の話を進めていく。


「ま、勝手になさい。怪我だけは気をつけてね」
「たまになら応援に来てあげるわ」
「たまになら、ね!」


 励ましの言葉を贈りながらあたし達は笑って視線を合わせる。
 ルナちゃんもまた「任せて!」と胸を叩いて微笑んだ。




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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【7873 / ルナ・バレンタイン (るな・ばれんたいん) / 女性 / 27歳 / 元パイロット/留学生】
【7844 / ミネルバ・キャリントン (みねるば・きゃりんとん) / 女性 / 27歳 / 作家/風俗嬢】
【7847 / 明姫・リサ (あけひめ・りさ) / 女性 / 20歳 / 大学生/ソープ嬢】

【NPCA004 / SHIZUKU(しずく) / 女性 / 17歳 / 女子高校生兼オカルト系アイドル】

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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、発注有難う御座いました。
 今回もSHIZUKU視点でこのような形に。最期にルナ様が入団ということでこれから先のファイトも楽しみです(笑)お色気バトルに仕上がっていることを祈りつつ。